【配信】無能だと追放された僕の『最適化』スキル、実は神級だった件〜落ちぶれた勇者パーティを尻目に、Sランク冒険者になって人生逆転します〜

桃我タロー

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第103話 闇の皇子の素顔

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 闇の皇子ノクトは、僕たちを酒場の奥にある個室へと案内した。
 その圧倒的な存在感に、酒場の誰もが息を呑み、僕たちが通り過ぎるのを静かに見守っていた。

 個室の扉が閉まると、室内には僕たちとノクトだけが残った。
 重たい沈黙が流れる。

 先に口を開いたのは、ノクトだった。

「……さて、星を渡る旅人たち。お前たちの目的は何だ? まさか観光というわけでもあるまい」

 彼の声は冷たく、探るような響きを持っていた。

「俺は嘘と隠し事が嫌いだ。単刀直入に聞かせてもらおうか」

 僕は覚悟を決めた。
 ここで下手に嘘をつけば、交渉の余地すら失う。

 僕は、僕たちの素性と目的を正直に語った。
 僕が調整者であること。古き者どもの脅威が宇宙全体に迫っていること。
 そして、光と闇、二人の担い手の力が必要であることを。

 ノクトは腕を組み、黙って聞いていた。仮面の下の表情はまるで読み取れない。

 すべてを話し終えると、彼はふっと鼻で笑った。

「……面白い。おとぎ話としては上出来だ。だが、俺がそんな戯言を信じると思ったか?」

「戯言ではありません! 事実です!」

 僕が必死に訴えても、彼の態度は変わらない。

「仮にそれが事実だとして、なぜ俺がお前たちに協力せねばならん? それに、あの偽善者集団、ルクシオンと手を組めだと? 寝言は寝て言え」

 ノクトのルクシオンに対する憎しみは、想像以上に深いようだった。

 交渉は、ここで終わりか——。
 僕が諦めかけた、そのとき。

「……だが」とノクトは続けた。「お前たちの瞳。あれは、嘘をついている人間の目じゃない。それに、あの獣人の女と炎の小僧……その魂の輝きは本物だ。いいだろう。少しだけ、お前たちの話に付き合ってやる」

 彼は、僕たちの本質を見抜いていた。

 そして僕たちは、彼のアジトである皇宮へと案内された。
 それは街の中心にそびえる、巨大な黒水晶の塔だった。

 意外にもその内部は質素で、機能的な造りをしていた。
 そこで僕たちは、彼の本当の素顔を知ることになる。

 皇宮には多くの人々が暮らしていた。
 獣人、魔族、サイボーグ、そしてルクシオンの民と同じ純白の衣をまとう人間たちの姿もあった。

 彼らは皆、光の教義に背いた異端者として故郷を追われた者たち。
 ノクトは、そんな行き場のない人々を受け入れ、自由と尊厳を持って生きられる場所を作っていたのだ。

 冷酷な暴君という仮面の裏にあったのは、仲間思いで責任感の強い孤独な指導者の姿だった。

「……驚いたか?」

 ノクトが仮面を外し、僕たちに向き直る。

 現れたのは、僕たちとさほど年の変わらない青年の顔。整った顔立ちに、深い疲労と悲しみが宿っていた。

「これが俺の国だ。光に見捨てられた者たちが集まり生きる、最後の砦。……俺は、こいつらを守るためなら、悪にでもなる。さて、アルク。お前の言う“宇宙の平和”と、俺が守るべきこのささやかな平和。お前なら、どちらを選ぶ?」

 彼は、僕に究極の問いを投げかけてきた。
 その瞳は、僕の覚悟を試していた。
 調整者としての真価が問われる瞬間だった。
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