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32.次元の狭間
9.愛は星を繋ぐ
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泣いた。それはもう脱水症状を疑うほどに泣いた。特にエンドローゼが怖いくらいに泣いた。怖すぎてアシドが距離を取ったところ、咎めるようにして尻を蹴られた。
話の主人公たる少女は、これ、私のせい? と焦っている。
先程まで、別の理由で泣いていた氷の女王は、そんなに泣く? と眉根を寄せていた。
「うぐっうぐっ、ぎ、ぎ、ぎっと、あ、あな、たのことを、見、み、見守って、ぐ、れていー、ます、よ。えぐ、びぐ、ずび、えふ」
「そ、そうですかね?」
若干引き気味ではあるが、少女は嬉しそうにはにかむ。
「しかし、そのような歴史があったとは。全く知らなかった。ワズの滅亡理由は歴史書に記されていてもおかしくないだろうに」
「そんなの簡単でしょ?」
半眼でそう言ってのけたアストロに、レイドは目を丸くした。
「簡単だと? では、理由は何なのだ?」
「焚書。むしろ、それ以外にある?」
的確に言われてしまい、レイドは思わずハンズアップした。
「都合の悪い歴史は抹消される。その通りだ。あぁ、まったく。どうして思い浮かばなかった」
レイドは己を悔やみ、顔を片手で覆った。
「そんな大げさにリアクションすることかよ。で? オレ達は何をすればいいんだよ。その話を聞かせて」
『ん?』
コストイラが真理を尋ねると、ワズエナは首を傾げてしまった。
「あ? 何かの依頼的な話じゃねぇの?」
ワズエナとシテリアは顔を見合わせると、分かりやすく首を傾げてしまった。お前は何を言っているのだ? という声が聞こえてきそうだ。
「いい、コストイラ」
「え、あ、はい」
「これが男女の違いよ」
「え、どれが?」
決め顔でいうアストロに対し、コストイラはまだ分かっていない。ちなみに、男性陣はおろか、女性陣も分かっていない。
「前にコミュニケーション学の先生が言っていたわ。男性は問題解決のためにコミュニケーションをする。女性はストレスの緩和や絆を深めたり、想像力を刺激してアイデアを生み出したり、のためにコミュニケーションする。そう、つまり、あれは、ただのお喋りよ」
「な、なんだって~~!」
「私に大げさだと言っていたくせに、お前も大げさではないか」
ドォン! と指を向けられ、コストイラが飛び出さんばかりに目を見張り、口から心臓が飛び出しそうなほどに驚いた。レイドは先程の意趣返しが如く、恨みがましくコストイラを罵った。
「ところで、貴女の方に乗っているのって」
『はい。災厄を創り出す邪蛇。ナーガのキュルンちゃんです』
「かわい!」
今度は名前を聞いたアストロがオーバーなリアクションを取った。なぜみんなが似たようなリアクションをしているのだ。最近の流行なのだろうか。はやりに疎いレイドは胡乱な目を向けるしかできない。
『この子は私の夫の大事なお友達です』
「いや、友達なのはいいんだが、その前に何か災厄を創り出す邪蛇って言ってなかったか?」
『ハイ。暴れた後、向こう三百年は草木も生えぬ土地にします』
アストロがじっと邪蛇を見つめる。肩に乗っているキュルンはどうだ、と胸を張るような仕草をした。
「本当に? これが?」
『あぁ、今はお友達モードなのです。戦おうとするなら戦闘モード、お話しするなら人化モードになりますよ』
「あぁ、姿が変わるのか」
『はい』
ワズエナはまるで自分の事のように胸を張る。背が低いにもかかわらず、ある程度成長している胸が強調され、エンドローゼはムッとした。
星から離れた、それでいて近い場所。月のとある海の一つに存在している魔物NBBが星に目を向けた。
あそこに自分の愛した女がいる。いつかにこの横を通った一団と、愛する女が話をしている光景があった。
妻が浮気をするとは思えない。しかし、不安になってしまう。
『フォオオオオオオオン!!』
そして、鯨は懐郷に啼いた。
話の主人公たる少女は、これ、私のせい? と焦っている。
先程まで、別の理由で泣いていた氷の女王は、そんなに泣く? と眉根を寄せていた。
「うぐっうぐっ、ぎ、ぎ、ぎっと、あ、あな、たのことを、見、み、見守って、ぐ、れていー、ます、よ。えぐ、びぐ、ずび、えふ」
「そ、そうですかね?」
若干引き気味ではあるが、少女は嬉しそうにはにかむ。
「しかし、そのような歴史があったとは。全く知らなかった。ワズの滅亡理由は歴史書に記されていてもおかしくないだろうに」
「そんなの簡単でしょ?」
半眼でそう言ってのけたアストロに、レイドは目を丸くした。
「簡単だと? では、理由は何なのだ?」
「焚書。むしろ、それ以外にある?」
的確に言われてしまい、レイドは思わずハンズアップした。
「都合の悪い歴史は抹消される。その通りだ。あぁ、まったく。どうして思い浮かばなかった」
レイドは己を悔やみ、顔を片手で覆った。
「そんな大げさにリアクションすることかよ。で? オレ達は何をすればいいんだよ。その話を聞かせて」
『ん?』
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「あ? 何かの依頼的な話じゃねぇの?」
ワズエナとシテリアは顔を見合わせると、分かりやすく首を傾げてしまった。お前は何を言っているのだ? という声が聞こえてきそうだ。
「いい、コストイラ」
「え、あ、はい」
「これが男女の違いよ」
「え、どれが?」
決め顔でいうアストロに対し、コストイラはまだ分かっていない。ちなみに、男性陣はおろか、女性陣も分かっていない。
「前にコミュニケーション学の先生が言っていたわ。男性は問題解決のためにコミュニケーションをする。女性はストレスの緩和や絆を深めたり、想像力を刺激してアイデアを生み出したり、のためにコミュニケーションする。そう、つまり、あれは、ただのお喋りよ」
「な、なんだって~~!」
「私に大げさだと言っていたくせに、お前も大げさではないか」
ドォン! と指を向けられ、コストイラが飛び出さんばかりに目を見張り、口から心臓が飛び出しそうなほどに驚いた。レイドは先程の意趣返しが如く、恨みがましくコストイラを罵った。
「ところで、貴女の方に乗っているのって」
『はい。災厄を創り出す邪蛇。ナーガのキュルンちゃんです』
「かわい!」
今度は名前を聞いたアストロがオーバーなリアクションを取った。なぜみんなが似たようなリアクションをしているのだ。最近の流行なのだろうか。はやりに疎いレイドは胡乱な目を向けるしかできない。
『この子は私の夫の大事なお友達です』
「いや、友達なのはいいんだが、その前に何か災厄を創り出す邪蛇って言ってなかったか?」
『ハイ。暴れた後、向こう三百年は草木も生えぬ土地にします』
アストロがじっと邪蛇を見つめる。肩に乗っているキュルンはどうだ、と胸を張るような仕草をした。
「本当に? これが?」
『あぁ、今はお友達モードなのです。戦おうとするなら戦闘モード、お話しするなら人化モードになりますよ』
「あぁ、姿が変わるのか」
『はい』
ワズエナはまるで自分の事のように胸を張る。背が低いにもかかわらず、ある程度成長している胸が強調され、エンドローゼはムッとした。
星から離れた、それでいて近い場所。月のとある海の一つに存在している魔物NBBが星に目を向けた。
あそこに自分の愛した女がいる。いつかにこの横を通った一団と、愛する女が話をしている光景があった。
妻が浮気をするとは思えない。しかし、不安になってしまう。
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そして、鯨は懐郷に啼いた。
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