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33.魔大陸
41.”魔”とは結局何なのか
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自分は異世界の存在である。
その告白は、いったいどれほどの勇気が必要なのだろうか。異世界へと行ったことのない勇者一行には、理解できない。
しかし、想像できる。異世界の技術を欲する者、自分とは違う者として迫害する者などがいる。あまり話せることではないだろう。
だというのに、驚きがない。
結構な告白をしたと思ったのだが、勇者一行は平然とお茶会を続けていた。
『あ、あれ?』
「ん? どうした? この世界の人間じゃねぇんだろ? それで?」
『え?』
ブサウは自身の下唇に触れ、一旦落ち着こうとする。
「オレ達はこれでも凄ェ旅をしてきたんだ。異世界から来た奴っていうのは、もう何人か遭っているよ」
『おそらくそれは私とは別の世界でしょうね。私と同じ世界から来る者はいません。断言できます』
「それはなぜ?」
アストロがスコーンにクロテッドクリームを乗せながら、ブサウを見る。ブサウはスコーンの減りが早くて嬉しくなる。
「断言なんて、早々にできるようなものじゃないわ」
『私達の世界は異世界へと移動する技術を確立しました。その世界にどなたがいるのかも分かります』
「嘘!? 転移技術は莫大な魔力が必要になるはずよ。それが簡単にできる!? 有り得ないわ!?」
『そこにすでに辿り着けているなんて凄いですよね、この世界の方は。たかが500年でそこまで解明するなんて』
「500年」
『……そう500年』
500年。それは一つの節目となる年月だ。魔術、魔物、魔力、魔素。何の研究をしても、必ず500年で立ち止まる。それ以上前にすべてのことが調べられない。
500年以上前にそれらがあったという証拠や記述が出てこない。似たような記述はあるが、”魔”の字は出てこないのだ。
『……500年前、私がこの世界に来ました。その時には神力という力があったようですけど、魔力は浸透していきました。まぁ神力に比べて簡単に扱えますから』
「神力」
『せ―――――っつ明しよう!!』
神力という単語を聞き、アストロの眉根が寄る中、唐突にフォンが登場した。フォンはいつの間にかエンドローゼを抱えて座っていた。フォンはエンドローゼの体に腕を回し、腹やら胸やらを弄り、ぐへへと言いながら髪に顔を突っ込んでいる。
エンドローゼは顔を真っ赤にして縮こまっている。
腹を擦っていた手が顔へと向かい、親指と中指で挟んでぷにぷにとし、胸を触っていた手はサンドウィッチを持って、食べさせている。
アストロ達にしてみればいつもの事なので、今は放置しておく。少し時間が経ったら助けよう。
ブサウは顔を真っ青にしている。昔、フォンに何かされたのだろうか。
「えっと、神力って何ですか?」
見かねたアレンがフォン登場の理由に言及する。フォンは今の幸福な時間を壊す気か? と、こちらを殺す勢いで睨んできた。
『は、はい。そちらの少年の言う通り、神力の説明をしにいらっしゃったのではないですか?』
「そ、そ、そうですよ。わーたしも、き、気になります」
『エンドローゼちゃんが言うならしょうがないにゃあ。というか、君達は見たことあるよ、神力』
「え?」
ブサウとエンドローゼに説得され、しぶしぶフォンは話し始めた。
アストロ達は自身の記憶を探る。神力とか、あったかなぁ?
『というか、魔眼って呼ばれているけど、もともと、神眼って名前だったからね。運用時には神力が必要になるよ』
「え!? じゃあ僕は神力を使っている!?」
フォンが遠視の魔眼を発動させながら、アレンを見る。アレンは驚愕しながら、魔眼を発動させた。フォンは少なからず不快感を覚えながら、エンドローゼの胸を服の上から揉みしだく。エンドローゼはピクピクと反応している。
『神力に目覚めれば不快感を与えないことができるよ。まぁ、魔力を馴染ませれば、同じように不快感を与えないことができるよ』
「僕のやることが増えていく」
「付き合う、上手くなろ」
フォンがさも簡単そうに言う事が、アレンには難しい。シキはそんなアレンの後頭部を撫でている。
「ちなみに、フォンは何をやらかしたの?」
『え”?』
急に話題を弱いところに替えられたフォンは咄嗟に目を逸らした。
『はい。とても怖い思いをしました。もうあんな思いは……』
ブサウはやり返す好機だと思い、片目をキラリと光らせると、泣き真似を始めた。アストロは何か茶番が始まった、と思い無視することにした。
エンドローゼは嘘泣きを見抜いておきながら、フォンに詰め寄ることにした。
「ふ、フォン様、い、い、一体何ーをな、さったの、で、で、ですか?」
『え!? いや、えっと、それは』
親愛なるエンドローゼに詰められ、もう喋るしかなくなってしまった。
『だって、私達が住んでいる世界にいきなり異物が入ってきたら、追い払わなくっちゃってなるでしょ』
フォンは可愛らしく唇を尖らせて抗議する。
『バハムートの攻撃を防ぐ結界があれば攻撃を防げますが、結界関係ない技を繰り出してきまして、私はボコボコにされました』
『だって、”魔”なんて変なもの持ちこむから』
「”魔”を持ち込むってさ、結局”魔”って何なの?」
アストロの質問に対して、フォンは目を逸らした。ブサウは一層真面目な顔をする。
『”魔”とは私達の世界に存在する、全ての根幹をなすエネルギーです』
ようやくきちんと話をする気になったようだ。
その告白は、いったいどれほどの勇気が必要なのだろうか。異世界へと行ったことのない勇者一行には、理解できない。
しかし、想像できる。異世界の技術を欲する者、自分とは違う者として迫害する者などがいる。あまり話せることではないだろう。
だというのに、驚きがない。
結構な告白をしたと思ったのだが、勇者一行は平然とお茶会を続けていた。
『あ、あれ?』
「ん? どうした? この世界の人間じゃねぇんだろ? それで?」
『え?』
ブサウは自身の下唇に触れ、一旦落ち着こうとする。
「オレ達はこれでも凄ェ旅をしてきたんだ。異世界から来た奴っていうのは、もう何人か遭っているよ」
『おそらくそれは私とは別の世界でしょうね。私と同じ世界から来る者はいません。断言できます』
「それはなぜ?」
アストロがスコーンにクロテッドクリームを乗せながら、ブサウを見る。ブサウはスコーンの減りが早くて嬉しくなる。
「断言なんて、早々にできるようなものじゃないわ」
『私達の世界は異世界へと移動する技術を確立しました。その世界にどなたがいるのかも分かります』
「嘘!? 転移技術は莫大な魔力が必要になるはずよ。それが簡単にできる!? 有り得ないわ!?」
『そこにすでに辿り着けているなんて凄いですよね、この世界の方は。たかが500年でそこまで解明するなんて』
「500年」
『……そう500年』
500年。それは一つの節目となる年月だ。魔術、魔物、魔力、魔素。何の研究をしても、必ず500年で立ち止まる。それ以上前にすべてのことが調べられない。
500年以上前にそれらがあったという証拠や記述が出てこない。似たような記述はあるが、”魔”の字は出てこないのだ。
『……500年前、私がこの世界に来ました。その時には神力という力があったようですけど、魔力は浸透していきました。まぁ神力に比べて簡単に扱えますから』
「神力」
『せ―――――っつ明しよう!!』
神力という単語を聞き、アストロの眉根が寄る中、唐突にフォンが登場した。フォンはいつの間にかエンドローゼを抱えて座っていた。フォンはエンドローゼの体に腕を回し、腹やら胸やらを弄り、ぐへへと言いながら髪に顔を突っ込んでいる。
エンドローゼは顔を真っ赤にして縮こまっている。
腹を擦っていた手が顔へと向かい、親指と中指で挟んでぷにぷにとし、胸を触っていた手はサンドウィッチを持って、食べさせている。
アストロ達にしてみればいつもの事なので、今は放置しておく。少し時間が経ったら助けよう。
ブサウは顔を真っ青にしている。昔、フォンに何かされたのだろうか。
「えっと、神力って何ですか?」
見かねたアレンがフォン登場の理由に言及する。フォンは今の幸福な時間を壊す気か? と、こちらを殺す勢いで睨んできた。
『は、はい。そちらの少年の言う通り、神力の説明をしにいらっしゃったのではないですか?』
「そ、そ、そうですよ。わーたしも、き、気になります」
『エンドローゼちゃんが言うならしょうがないにゃあ。というか、君達は見たことあるよ、神力』
「え?」
ブサウとエンドローゼに説得され、しぶしぶフォンは話し始めた。
アストロ達は自身の記憶を探る。神力とか、あったかなぁ?
『というか、魔眼って呼ばれているけど、もともと、神眼って名前だったからね。運用時には神力が必要になるよ』
「え!? じゃあ僕は神力を使っている!?」
フォンが遠視の魔眼を発動させながら、アレンを見る。アレンは驚愕しながら、魔眼を発動させた。フォンは少なからず不快感を覚えながら、エンドローゼの胸を服の上から揉みしだく。エンドローゼはピクピクと反応している。
『神力に目覚めれば不快感を与えないことができるよ。まぁ、魔力を馴染ませれば、同じように不快感を与えないことができるよ』
「僕のやることが増えていく」
「付き合う、上手くなろ」
フォンがさも簡単そうに言う事が、アレンには難しい。シキはそんなアレンの後頭部を撫でている。
「ちなみに、フォンは何をやらかしたの?」
『え”?』
急に話題を弱いところに替えられたフォンは咄嗟に目を逸らした。
『はい。とても怖い思いをしました。もうあんな思いは……』
ブサウはやり返す好機だと思い、片目をキラリと光らせると、泣き真似を始めた。アストロは何か茶番が始まった、と思い無視することにした。
エンドローゼは嘘泣きを見抜いておきながら、フォンに詰め寄ることにした。
「ふ、フォン様、い、い、一体何ーをな、さったの、で、で、ですか?」
『え!? いや、えっと、それは』
親愛なるエンドローゼに詰められ、もう喋るしかなくなってしまった。
『だって、私達が住んでいる世界にいきなり異物が入ってきたら、追い払わなくっちゃってなるでしょ』
フォンは可愛らしく唇を尖らせて抗議する。
『バハムートの攻撃を防ぐ結界があれば攻撃を防げますが、結界関係ない技を繰り出してきまして、私はボコボコにされました』
『だって、”魔”なんて変なもの持ちこむから』
「”魔”を持ち込むってさ、結局”魔”って何なの?」
アストロの質問に対して、フォンは目を逸らした。ブサウは一層真面目な顔をする。
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ようやくきちんと話をする気になったようだ。
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