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14.冥界
6.観察者の迷宮
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夜。この冥界において、昼夜という概念はあまり浸透していない。魔界の下に広く存在している冥界には空がないので、当然太陽も月も目撃できない。
光の胞子を放ち続けるキノコがあり、それが冥界を照らしている。エンドローゼはキノコを見ながら、ホゥと息を吐く。
「どうしたの? 色っぽくなっちゃって」
アストロが声を掛けながら、エンドローゼの隣に座る。エンドローゼはアストロの顔を見ると、無言でキノコに目線を戻す。
「わ、わた、わ、私は色っぽくないです。いー、色っぽくしてくれるのは、こ、こ、このキノコのおかげです」
エンドローゼがキノコを指で弾くと、胞子が一気に飛び出し、一瞬だけ明るくなる。胞子は四方に飛び散り、明るさが元に戻る。
「アナタが色っぽく見えたのには理由があるわ」
「ぜ、ぜひ聞かせてください。こ、こん、こ、今後の参考にしたいので」
エンドローゼのやる気と裏腹に、アストロは首を振る。
「俯いて、元気なさそうで、儚げで。言ってしまえば、このキノコの胞子のように消えてしまいそうに見えるからよ」
エンドローゼは指摘され、やはり俯いてしまう。
「し、し、知っているかもしれませんが、わ、私はトッテム教です」
「知っているわ」
「トッテム教は、月を神聖視しています。つ、つ、月が見えていないですし、み、見てもくださらない地下では、け、元気が出ないんです」
「そういうものなのね」
「は、はい」
エンドローゼは足元の草を指先で弄ぶ。アストロは鼻から静かに息を吐く。
「それを、戦闘中にまで持ち込まないでよ」
「そ、そ、そんなことしないです。か、回復は戦闘の要です。わ、わ、私は皆さんの楯ですから」
エンドローゼの横顔がかっこよく見える。そんなこと気恥ずかしくて言えるわけない。アストロは話題を変える。
「アナタ、髪の色がまた白くなったんじゃない?」
「ふぇ?」
アストロに言われて、自分の髪の先端を見る。エンドローゼには分かっていない。アストロはエンドローゼの髪を一房持ち上げる。
「私は白いアナタも好きだけど、やっぱり今の淡い紫色の方が好きだわ。あまり無茶をしすぎて白髪にならないでよ」
「……は、はい」
百合百合しい発言に、エンドローゼの顔が真っ赤になってしまった。それに気付いていながら、フォローすることなく、ただ柔らかい笑みをエンドローゼに向け続けた。
洞窟の奥で一人、コストイラは刀を振っていた。剣道のような型のあるものではなく、実践を想定したものだった。
美しく流れるような剣捌きだと思う一方、力強く荒々しいものであるとも思えた。そんな不思議な感覚に魅了され、ホキトタシタはコストイラの鍛錬を眺めていた。
コストイラは見られていることが分かっていたが、気にならなかったので何も言わない。ホキトタシタは好奇の目で見てくるが、ぺデストリとアンデッキは隊長が見ているから見始めたのだろう。しかし、今は興味が現れたのだろう。必死になってコストイラを見ている。
そこでコストイラが蒼いオーラを纏う。ホキトタシタは岩壁から背を離し、身を乗り出す。2人の隊員は隊長の行動に驚いた。コストイラは何する気だ?
全員が見守る中、蒼いオーラが弾け、前から顔面をぶつけるように倒れた。
「えぇ~~~!?」
ぺデストリが困惑のまま叫ぶが、コストイラはぶくぶく言っている。その間に辿り着いたホキトタシタがコストイラを起こす。
「え? どうした?」
頬をペチペチと叩くが、コストイラは起きない。
「アンデッキ。エンドルフィン呼んできて」
「エンドローゼですね」
アンデッキは丁寧にツッコミながら走り去る。
ホキトタシタはコストイラをエンドローゼに預けると、ぺデストリ、アシドとともに洞窟の奥へ歩き出す。安全確保のためだ。入口はレイドをアレンが護っている。
「さっきのコストイラはびっくりしたな」
「急に倒れましたものね」
「先祖代々のモノだって言っていたぜ。先代の、アイツの母親は赤黒いオーラだったらしい」
ホキトタシタは話を聞きながら、顎を撫で、コストイラのいる後方を見る。
「代々か。特殊なものだな。魔法か? しまったな。魔眼で見ておくんだった。なぜしなかった、あの時の私」
ホキトタシタは自身の頭を抱えていた。アシドは呆れたように溜息を吐く。
「安全確保に行くんだろ。早く行こうぜ」
「それもそうだな。後で何か聞けばいいしな」
アシド達は直後、足を止めた。分岐路だ。
「3人でも危険なのに2つに分かれるのは自殺に等しい。ここは戻ろう」
「ところで」
「ん? 何だい」
ホキトタシタがアシドを見る。
「魔眼持ちってのは何人いるんだ?」
「さぁな。私を含めて5,6人くらいは知ってるけど、まだいるんだろうな。あのアカメガシワも知らんかったしな」
3人が帰路につく。魔眼が羨ましく思う。魔眼は相手よりも情報を多く持った状態から戦闘を開始できる。それがどれほど有利なのかは、もはや説明が要らない。この半年、戦いに身を置き続けたアシドには痛いほどに分かる。
「魔眼が欲しいのか?」
「あれば戦いやすそうだと思っただけだ」
「不便だぜ。これが意外と。魔物に使うと襲ってくる。理知性のある奴は不快感を覚えるらしい」
「不快感?」
アシドが疑問に思うと、ホキトタシタが魔眼を開き、アシドに向ける。最初は何とも思わなかったが、3秒後、口をへの字に曲げた。感想を言葉にしにくいが、何と言うかむかむかする。
ホキトタシタは魔眼を閉じた。
「おそらく魔物は不快感を覚えて襲ってくる。だからさっきの八岐大蛇もそういうことだ」
「それ教えていじってやろう」
「度は超すなよ」
皆と合流すると、少し騒がしかった。不思議に思ったホキトタシタが声を出す。
「どうした?」
「あぁ、ホキトタシタ様。実は入り口が崩落したそうです」
「は?」
入口の方を見に行ったアレンによると、辿り着いた時には入り口は崩落していたらしい。八岐大蛇に飛ばされた時は大丈夫だったが、その後の攻防で限界が来たか。
しかし困った。あの入り口は出口でもあったのだ。このままでは外に出ることができない。
「穴をあけられないのですか?」
「無理そうですね。内部崩落を招きかねません」
アンデッキの質問に否定で答える。
「奥の方はどうなんだ?」
「分岐路があったぜ。時間と人数、手数、それと運があれば踏破出来るだろうね」
「絶対一番必要なの、運だろ」
復活したコストイラが奥の方を見ながら問うと、アシドが指を折りながら答える。その答えはコストイラ達に一番足りないと考えているものだった。
「文句を言っててもしょうがない。脱出に集中しよう」
ホキトタシタが手を鳴らし号令をかけると、また面倒事が起きるんだろうなと思いつつ、全員が準備を始める。
出発して3分後、例の分岐路に辿り着く。
「奥は見通せねェな」
「そうですね」
コストイラは手を傘にして、アレンは瞳に魔力を込め、先を見ようとする。アレンの目は別に遠くが見えるわけでも鮮明に見えるわけでもない。結局、世界に7種ある魔眼の1種でしかないのだ。
シキがある一点を見る。
「どこを見ているんですか? まぁ、どこというか何を?」
「ん。見られてる」
「誰にだ」
「ん?」
そこでアレンが思い出したように肩を揺らす。
「洞窟の入り口でも言っていたあれですか?」
「ん」
アレンの言葉に首肯で応じる。
「じゃあ、その視線を辿れば出るための道に出られるかもな」
「シキ、先頭頼んだ」
「ん」
流されるまま、なぜか先頭を歩くこととなったシキだが、何の疑問も不満もなく歩き出す。アレン達も後を追う。シキは何の躊躇もなく、左の道を選ぶ。
恐くないのかすたすたと歩く。
「近い」
「そうだな。私にも近く感じる」
ホキトタシタの剣を握る力が強まる。ここまで来ると、シキだけでなく、ホキトタシタやコストイラにも視線を感じられた。じっとりと舐めるような視線にアレンは汗を垂らす。
一つの広い空間を見るけた。シキが覗き込むと、蟻地獄のような鉢状の空間であり、その中心地には巨大な紫色の半球があった。バチリと半球からこれまた巨大な一つ目が開いた。ギョロリと瞳が動く。そして、半球から生えている触手がうねうねと動き壁や床に接触する。
「見られてる」
「気付かれているのは分かるんだが、あの触手は何をしているんだ」
「あれで見ているんだ。それが、あの魔物ゲイザーの特長だ。後ろにも死角がない」
アレンはホキトタシタから魔物の名前を聞き、ガレットの書を開く。
ゲイザー。紫色の半球に緑の触手を生やした魔物。地属性。デカく、タフネスな奴。限界はないのかというぐらい伸ばしてくる。非常に面倒な相手。肉は硬く、臭みが強烈。だが、やり方次第では美味しく食える。触手は草のような苦味を感じた。
「あれも金稼ぎをしなかった身だ。まともなものを食わなかったのだろう。見た目も気にせず口に放るほどだしな」
「ガレットを知ってんのか?」
「あぁ、生まれた時から知っている。それよりもゲイザーの方だ。しん、魔眼の使いどころを間違えると面倒だ」
ホキトタシタは少しだけ顔を覗かせ、ゲイザーの姿を捉える。
「突撃のタイミングはカウンターだ。あの様子じゃそろそろ痺れを切らして攻撃してくるぞ」
攻撃の兆候ありと言われ、全員が武器に手をかける。
「ぺデストリ、レイドと後衛組はこの場に残れ。近すぎたら巻き込まれるぞ」
ホキトタシタがそう言った直後、1本の触手が襲い掛かってきた。
「よし、行くぞ!」
ホキトタシタの号令とともに、ゲイザーとの戦いが始まった。
光の胞子を放ち続けるキノコがあり、それが冥界を照らしている。エンドローゼはキノコを見ながら、ホゥと息を吐く。
「どうしたの? 色っぽくなっちゃって」
アストロが声を掛けながら、エンドローゼの隣に座る。エンドローゼはアストロの顔を見ると、無言でキノコに目線を戻す。
「わ、わた、わ、私は色っぽくないです。いー、色っぽくしてくれるのは、こ、こ、このキノコのおかげです」
エンドローゼがキノコを指で弾くと、胞子が一気に飛び出し、一瞬だけ明るくなる。胞子は四方に飛び散り、明るさが元に戻る。
「アナタが色っぽく見えたのには理由があるわ」
「ぜ、ぜひ聞かせてください。こ、こん、こ、今後の参考にしたいので」
エンドローゼのやる気と裏腹に、アストロは首を振る。
「俯いて、元気なさそうで、儚げで。言ってしまえば、このキノコの胞子のように消えてしまいそうに見えるからよ」
エンドローゼは指摘され、やはり俯いてしまう。
「し、し、知っているかもしれませんが、わ、私はトッテム教です」
「知っているわ」
「トッテム教は、月を神聖視しています。つ、つ、月が見えていないですし、み、見てもくださらない地下では、け、元気が出ないんです」
「そういうものなのね」
「は、はい」
エンドローゼは足元の草を指先で弄ぶ。アストロは鼻から静かに息を吐く。
「それを、戦闘中にまで持ち込まないでよ」
「そ、そ、そんなことしないです。か、回復は戦闘の要です。わ、わ、私は皆さんの楯ですから」
エンドローゼの横顔がかっこよく見える。そんなこと気恥ずかしくて言えるわけない。アストロは話題を変える。
「アナタ、髪の色がまた白くなったんじゃない?」
「ふぇ?」
アストロに言われて、自分の髪の先端を見る。エンドローゼには分かっていない。アストロはエンドローゼの髪を一房持ち上げる。
「私は白いアナタも好きだけど、やっぱり今の淡い紫色の方が好きだわ。あまり無茶をしすぎて白髪にならないでよ」
「……は、はい」
百合百合しい発言に、エンドローゼの顔が真っ赤になってしまった。それに気付いていながら、フォローすることなく、ただ柔らかい笑みをエンドローゼに向け続けた。
洞窟の奥で一人、コストイラは刀を振っていた。剣道のような型のあるものではなく、実践を想定したものだった。
美しく流れるような剣捌きだと思う一方、力強く荒々しいものであるとも思えた。そんな不思議な感覚に魅了され、ホキトタシタはコストイラの鍛錬を眺めていた。
コストイラは見られていることが分かっていたが、気にならなかったので何も言わない。ホキトタシタは好奇の目で見てくるが、ぺデストリとアンデッキは隊長が見ているから見始めたのだろう。しかし、今は興味が現れたのだろう。必死になってコストイラを見ている。
そこでコストイラが蒼いオーラを纏う。ホキトタシタは岩壁から背を離し、身を乗り出す。2人の隊員は隊長の行動に驚いた。コストイラは何する気だ?
全員が見守る中、蒼いオーラが弾け、前から顔面をぶつけるように倒れた。
「えぇ~~~!?」
ぺデストリが困惑のまま叫ぶが、コストイラはぶくぶく言っている。その間に辿り着いたホキトタシタがコストイラを起こす。
「え? どうした?」
頬をペチペチと叩くが、コストイラは起きない。
「アンデッキ。エンドルフィン呼んできて」
「エンドローゼですね」
アンデッキは丁寧にツッコミながら走り去る。
ホキトタシタはコストイラをエンドローゼに預けると、ぺデストリ、アシドとともに洞窟の奥へ歩き出す。安全確保のためだ。入口はレイドをアレンが護っている。
「さっきのコストイラはびっくりしたな」
「急に倒れましたものね」
「先祖代々のモノだって言っていたぜ。先代の、アイツの母親は赤黒いオーラだったらしい」
ホキトタシタは話を聞きながら、顎を撫で、コストイラのいる後方を見る。
「代々か。特殊なものだな。魔法か? しまったな。魔眼で見ておくんだった。なぜしなかった、あの時の私」
ホキトタシタは自身の頭を抱えていた。アシドは呆れたように溜息を吐く。
「安全確保に行くんだろ。早く行こうぜ」
「それもそうだな。後で何か聞けばいいしな」
アシド達は直後、足を止めた。分岐路だ。
「3人でも危険なのに2つに分かれるのは自殺に等しい。ここは戻ろう」
「ところで」
「ん? 何だい」
ホキトタシタがアシドを見る。
「魔眼持ちってのは何人いるんだ?」
「さぁな。私を含めて5,6人くらいは知ってるけど、まだいるんだろうな。あのアカメガシワも知らんかったしな」
3人が帰路につく。魔眼が羨ましく思う。魔眼は相手よりも情報を多く持った状態から戦闘を開始できる。それがどれほど有利なのかは、もはや説明が要らない。この半年、戦いに身を置き続けたアシドには痛いほどに分かる。
「魔眼が欲しいのか?」
「あれば戦いやすそうだと思っただけだ」
「不便だぜ。これが意外と。魔物に使うと襲ってくる。理知性のある奴は不快感を覚えるらしい」
「不快感?」
アシドが疑問に思うと、ホキトタシタが魔眼を開き、アシドに向ける。最初は何とも思わなかったが、3秒後、口をへの字に曲げた。感想を言葉にしにくいが、何と言うかむかむかする。
ホキトタシタは魔眼を閉じた。
「おそらく魔物は不快感を覚えて襲ってくる。だからさっきの八岐大蛇もそういうことだ」
「それ教えていじってやろう」
「度は超すなよ」
皆と合流すると、少し騒がしかった。不思議に思ったホキトタシタが声を出す。
「どうした?」
「あぁ、ホキトタシタ様。実は入り口が崩落したそうです」
「は?」
入口の方を見に行ったアレンによると、辿り着いた時には入り口は崩落していたらしい。八岐大蛇に飛ばされた時は大丈夫だったが、その後の攻防で限界が来たか。
しかし困った。あの入り口は出口でもあったのだ。このままでは外に出ることができない。
「穴をあけられないのですか?」
「無理そうですね。内部崩落を招きかねません」
アンデッキの質問に否定で答える。
「奥の方はどうなんだ?」
「分岐路があったぜ。時間と人数、手数、それと運があれば踏破出来るだろうね」
「絶対一番必要なの、運だろ」
復活したコストイラが奥の方を見ながら問うと、アシドが指を折りながら答える。その答えはコストイラ達に一番足りないと考えているものだった。
「文句を言っててもしょうがない。脱出に集中しよう」
ホキトタシタが手を鳴らし号令をかけると、また面倒事が起きるんだろうなと思いつつ、全員が準備を始める。
出発して3分後、例の分岐路に辿り着く。
「奥は見通せねェな」
「そうですね」
コストイラは手を傘にして、アレンは瞳に魔力を込め、先を見ようとする。アレンの目は別に遠くが見えるわけでも鮮明に見えるわけでもない。結局、世界に7種ある魔眼の1種でしかないのだ。
シキがある一点を見る。
「どこを見ているんですか? まぁ、どこというか何を?」
「ん。見られてる」
「誰にだ」
「ん?」
そこでアレンが思い出したように肩を揺らす。
「洞窟の入り口でも言っていたあれですか?」
「ん」
アレンの言葉に首肯で応じる。
「じゃあ、その視線を辿れば出るための道に出られるかもな」
「シキ、先頭頼んだ」
「ん」
流されるまま、なぜか先頭を歩くこととなったシキだが、何の疑問も不満もなく歩き出す。アレン達も後を追う。シキは何の躊躇もなく、左の道を選ぶ。
恐くないのかすたすたと歩く。
「近い」
「そうだな。私にも近く感じる」
ホキトタシタの剣を握る力が強まる。ここまで来ると、シキだけでなく、ホキトタシタやコストイラにも視線を感じられた。じっとりと舐めるような視線にアレンは汗を垂らす。
一つの広い空間を見るけた。シキが覗き込むと、蟻地獄のような鉢状の空間であり、その中心地には巨大な紫色の半球があった。バチリと半球からこれまた巨大な一つ目が開いた。ギョロリと瞳が動く。そして、半球から生えている触手がうねうねと動き壁や床に接触する。
「見られてる」
「気付かれているのは分かるんだが、あの触手は何をしているんだ」
「あれで見ているんだ。それが、あの魔物ゲイザーの特長だ。後ろにも死角がない」
アレンはホキトタシタから魔物の名前を聞き、ガレットの書を開く。
ゲイザー。紫色の半球に緑の触手を生やした魔物。地属性。デカく、タフネスな奴。限界はないのかというぐらい伸ばしてくる。非常に面倒な相手。肉は硬く、臭みが強烈。だが、やり方次第では美味しく食える。触手は草のような苦味を感じた。
「あれも金稼ぎをしなかった身だ。まともなものを食わなかったのだろう。見た目も気にせず口に放るほどだしな」
「ガレットを知ってんのか?」
「あぁ、生まれた時から知っている。それよりもゲイザーの方だ。しん、魔眼の使いどころを間違えると面倒だ」
ホキトタシタは少しだけ顔を覗かせ、ゲイザーの姿を捉える。
「突撃のタイミングはカウンターだ。あの様子じゃそろそろ痺れを切らして攻撃してくるぞ」
攻撃の兆候ありと言われ、全員が武器に手をかける。
「ぺデストリ、レイドと後衛組はこの場に残れ。近すぎたら巻き込まれるぞ」
ホキトタシタがそう言った直後、1本の触手が襲い掛かってきた。
「よし、行くぞ!」
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