415 / 684
23.大空洞
2.荒野の猛竜
しおりを挟む
目を覚ますと、見たことのない風景だ。
黄や茶、赤茶色の砂で溢れた荒野。砂漠かと思ったが、雑草がかなり生えている。
砂漠に行ったことがあるが、そこよりは息がしやすい。
「アレン、起きたか」
コストイラがアレンの側で、ポケットに手を突っ込んだ状態で立っていた。アレンは片手を頭に添えて、少し振った。
「ここはどこですか?」
「さぁな。オレ達も分からない」
アシド達は遠くを見ているが、何かが見えているわけではない。
「さっきのドラゴンは何だったのでしょう」
「さぁなぁ。オレも分かんねぇよ。ま、分かんねぇことをいつまでも考えても仕方がねェ。それより、歩こうぜ。ここにいても何にも始まんねぇ」
「そうですね」
アレンが立ち上がり、砂を払う。
「何かあったか?」
コストイラが聞くと、アシドが首を振った。
「何もねェ。何かあるとしたら、オレの側じゃなくて、アストロの方だな」
アシドが反対側で何かを探すアストロの方を顎で指した。
アストロは汗を拭きながら岩に腰を下ろしている。その岩に背を凭れさせて、エンドローゼが休んでいる。
「アストロ、何かあったか?」
「水場」
アストロはぶっきらぼうに後ろを指した。コストイラが手で笠を作りながら、水場を探す。
「あそこで休みたいけど、魔物が寄ってきそうだよな」
「水飲み場として活用していそうよね。わかるわかる」
「むしろ、何か水棲生物の縄張り」
「「あ~~」」
レイドの一言に2人が納得した。ありそう。
「ま、どっちにしろ行くんだけどね」
「水欲しいしね」
今の茶番は何だったのか。ニヤニヤしながら歩き出すコストイラとアストロの後を追う。
砂で足が取られると思ったが、案外砂地ではなかったようだ。しっかりと土の地面が下にあった。歩きやすくて助かる。
「下」
次の1歩を踏み出そうとした時、シキが襟を引いてきた。一瞬息が詰まり、咳き込みそうになる。
目の前で地割れが起きた。
地の下からグレートドラゴンが現れた。衝撃で足を滑らせて転んでしまう。
グレートドラゴンの体が崩壊した足場に乗っかるはずもなく、このまま地下に消える。何だったのか、とか、バカジャネーノ、とか思いたかった。
しかし、足場の崩落は伝播する。それは砂の城が崩れるような崩落ではなかった。棒アイスが熱で溶け、地面に落ちるような崩落だった。
シキやコストイラ、アシドならば崩落の外に脱出できただろう。
しかし、エンドローゼもアレンもそんなことできない。今からでも担いでもらえればいいのだが、エンドローゼはすでに落ちてしまっている。
シキは持っていたアレンを置き去りに、斜めになる地面を蹴った。シキから動くのは珍しい、シキはエンドローゼを捕まえると、そのまま下に落ちていった。
追うか追わないかを考える前に、アレンの体は下に落ちていた。
「しゃ~ねぇ~な、追うぞ」
コストイラがアストロを背負い、下に落ちていった。追従するようにアシド、レイドも落ちていく。
着地した直後、シキはすぐさまエンドローゼを下ろす。
「あ、あう~~。ご、ご、ごめんなさい」
「構わない。それより、魔物」
「は、はい」
泣きそうな顔を決意の顔に変化させ、魔物と対峙した。
ここで注意しなければならないことがある。目の前にグレートドラゴンのレベルが100なのに対して、シキはレベル120を超えている。水晶に表示される限界が120なだけで、もちろん、それより上がある。シキはすでに伝説の領域に足を踏み入れている。
レベル1個の開きは、レベルが高ければ高いほど広くなる。レベル1つ上げるのに必要な経験値が大きくなっていくからだ。レベル1から2に上がるときに1の経験値が必要とするならば、レベル9から10に上がるときには256の経験値が必要になる。
つまり、レベルが20も離れていると、経験値の量も段違いなのだ。
高速でグレートドラゴンの懐に入り込むと、移動よりも速いスピードでナイフを振った。
グレートドラゴンの首下を切り、ドバドバと血液が降ってきた。シキは血に触れる前に離脱した。
あれ? 私、これいる?
エンドローゼは、そんな感想を得たのだった。
黄や茶、赤茶色の砂で溢れた荒野。砂漠かと思ったが、雑草がかなり生えている。
砂漠に行ったことがあるが、そこよりは息がしやすい。
「アレン、起きたか」
コストイラがアレンの側で、ポケットに手を突っ込んだ状態で立っていた。アレンは片手を頭に添えて、少し振った。
「ここはどこですか?」
「さぁな。オレ達も分からない」
アシド達は遠くを見ているが、何かが見えているわけではない。
「さっきのドラゴンは何だったのでしょう」
「さぁなぁ。オレも分かんねぇよ。ま、分かんねぇことをいつまでも考えても仕方がねェ。それより、歩こうぜ。ここにいても何にも始まんねぇ」
「そうですね」
アレンが立ち上がり、砂を払う。
「何かあったか?」
コストイラが聞くと、アシドが首を振った。
「何もねェ。何かあるとしたら、オレの側じゃなくて、アストロの方だな」
アシドが反対側で何かを探すアストロの方を顎で指した。
アストロは汗を拭きながら岩に腰を下ろしている。その岩に背を凭れさせて、エンドローゼが休んでいる。
「アストロ、何かあったか?」
「水場」
アストロはぶっきらぼうに後ろを指した。コストイラが手で笠を作りながら、水場を探す。
「あそこで休みたいけど、魔物が寄ってきそうだよな」
「水飲み場として活用していそうよね。わかるわかる」
「むしろ、何か水棲生物の縄張り」
「「あ~~」」
レイドの一言に2人が納得した。ありそう。
「ま、どっちにしろ行くんだけどね」
「水欲しいしね」
今の茶番は何だったのか。ニヤニヤしながら歩き出すコストイラとアストロの後を追う。
砂で足が取られると思ったが、案外砂地ではなかったようだ。しっかりと土の地面が下にあった。歩きやすくて助かる。
「下」
次の1歩を踏み出そうとした時、シキが襟を引いてきた。一瞬息が詰まり、咳き込みそうになる。
目の前で地割れが起きた。
地の下からグレートドラゴンが現れた。衝撃で足を滑らせて転んでしまう。
グレートドラゴンの体が崩壊した足場に乗っかるはずもなく、このまま地下に消える。何だったのか、とか、バカジャネーノ、とか思いたかった。
しかし、足場の崩落は伝播する。それは砂の城が崩れるような崩落ではなかった。棒アイスが熱で溶け、地面に落ちるような崩落だった。
シキやコストイラ、アシドならば崩落の外に脱出できただろう。
しかし、エンドローゼもアレンもそんなことできない。今からでも担いでもらえればいいのだが、エンドローゼはすでに落ちてしまっている。
シキは持っていたアレンを置き去りに、斜めになる地面を蹴った。シキから動くのは珍しい、シキはエンドローゼを捕まえると、そのまま下に落ちていった。
追うか追わないかを考える前に、アレンの体は下に落ちていた。
「しゃ~ねぇ~な、追うぞ」
コストイラがアストロを背負い、下に落ちていった。追従するようにアシド、レイドも落ちていく。
着地した直後、シキはすぐさまエンドローゼを下ろす。
「あ、あう~~。ご、ご、ごめんなさい」
「構わない。それより、魔物」
「は、はい」
泣きそうな顔を決意の顔に変化させ、魔物と対峙した。
ここで注意しなければならないことがある。目の前にグレートドラゴンのレベルが100なのに対して、シキはレベル120を超えている。水晶に表示される限界が120なだけで、もちろん、それより上がある。シキはすでに伝説の領域に足を踏み入れている。
レベル1個の開きは、レベルが高ければ高いほど広くなる。レベル1つ上げるのに必要な経験値が大きくなっていくからだ。レベル1から2に上がるときに1の経験値が必要とするならば、レベル9から10に上がるときには256の経験値が必要になる。
つまり、レベルが20も離れていると、経験値の量も段違いなのだ。
高速でグレートドラゴンの懐に入り込むと、移動よりも速いスピードでナイフを振った。
グレートドラゴンの首下を切り、ドバドバと血液が降ってきた。シキは血に触れる前に離脱した。
あれ? 私、これいる?
エンドローゼは、そんな感想を得たのだった。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる