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24.深層の備え
5.月まで届く、怪鳥の煙
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シキがカッと目を開く。何の前兆もないので、ホラーさえ感じる。
幼い頃から同じ起床時間で、同じ行動、同じ就寝時間を繰り返しているうちに、朝の3時半には必ず目が覚めるようになってしまった。3つ語の魂百までとはいうが、恐ろしいものだ。
そして、いつものようにナイフを振るったり、足技を繰り出したりして、戦闘訓練をする。
4時になり、コストイラとアシドが起きてくる。コストイラは訓練のために、毎日この時間に起きている。アシドは漁師の息子として、早起きの特訓だ。目標はシキと同じ3時半だが、まだ起きることができない。
4時15分になり、エンドローゼが起きてくる。孤児院の習慣が体に染みついており、さらにメイドの教えもあり、この時間に起きてくる。何かすることがあるわけではないので、月にお祈りしたり、ボーッとしていたりする。この時間にフォンは起きていない。
5時になり、アストロとレイドが起きてくる。アストロは指輪を磨いたり、魔力切れの道具に魔力を注いだりしている。レイドは朝日に対する礼拝だ。
またしても最後に起きてきたのはアレン。時刻は7時半だ。別に遅いわけではない。
「申し訳ないです」
「謝る必要なんかねェよ」
「全員起きたことだし、行きましょうか」
皆が覚悟を決めて、山登りをし始める。
この山はそこまで高い山ではない。休日に親子で山登りピクニックができる程にはキツイ山ではない。
だからこそ、魔物が現れた際にはそこまでヘイトを集めなかった。しかし、この魔物に最も闘志を燃やすものがいた。
エンドローゼである。
現れた魔物の名前はインフェルノ。体を青紫の炎で包んだ鳳である。
激しく鳴くことなく、そこで羽ばたいている。体は熱く燃えており、その際発生する煙は月を隠していた。
今日は昼間にも月が見える、トッテム教には大事な日。常に月とともに在れるため、最もテンションの上がる日だ。
それを邪魔されたとあっては、フォンが許さない。
チャキ、とコストイラが刀が構えた瞬間、淡い月明かりのような魔力が放たれた。インフェルノは向かってくる魔力に対して、炎を吐きかけて抵抗する。
しかし、それは意味をなさず、インフェルノの頭に当たった。威力がすさまじく、一撃でインフェルノの頭を消し飛ばした。
体を覆っていた炎が霧散し、体が顕になった。
「朝御飯にちょうどいい奴が来たな」
「そうね、これを調理しましょう」
アストロとコストイラがインフェルノの解体を始めた。
月のとある一角で、とある双子が身を寄せ合って泣いていた。
『フォン様はあの女にご執心』
『私達の事なんてどうでもいいんだ』
双子はお互いの涙を拭いながら、窓の外を見る。ここから見えるのは、立ち入り禁止エリアだ。しかし、そこを見ていない。
見えてるのは月宮殿。そこに住まうフォンの御姿だ。
『愛してほしいな、フォン様』
『頭なでなでと、力一杯のハグ。してくれないかな、フォン様』
『何でしてくれないの?』
『何で?』
『何で?』
『何で?』
・
・
・
『『私達の夢を打ち砕いたのは、誰?』』
モフリと柔らかい感触のものに、顔を突っ込んだ。思い切り吸い込む。これで当分の精神安定を図るのだ。
あの日、公爵家からの呼び出しがなければ、帰ってきた彼女にお祝いパーティをしてあげる予定だったのに。
だというのに、こんなことになった。なんてことだ。いつものようにたくさんのキスができないではないかっ!?
『ニャス。いい加減出てきなさい! 御飯よ』
姉のトレットの声が聞こえた気がした。しかし、今は何に対してもやる気が出ない。
あぁ、愛しのエンドローゼ。今、貴方はどこにいるの?
幼い頃から同じ起床時間で、同じ行動、同じ就寝時間を繰り返しているうちに、朝の3時半には必ず目が覚めるようになってしまった。3つ語の魂百までとはいうが、恐ろしいものだ。
そして、いつものようにナイフを振るったり、足技を繰り出したりして、戦闘訓練をする。
4時になり、コストイラとアシドが起きてくる。コストイラは訓練のために、毎日この時間に起きている。アシドは漁師の息子として、早起きの特訓だ。目標はシキと同じ3時半だが、まだ起きることができない。
4時15分になり、エンドローゼが起きてくる。孤児院の習慣が体に染みついており、さらにメイドの教えもあり、この時間に起きてくる。何かすることがあるわけではないので、月にお祈りしたり、ボーッとしていたりする。この時間にフォンは起きていない。
5時になり、アストロとレイドが起きてくる。アストロは指輪を磨いたり、魔力切れの道具に魔力を注いだりしている。レイドは朝日に対する礼拝だ。
またしても最後に起きてきたのはアレン。時刻は7時半だ。別に遅いわけではない。
「申し訳ないです」
「謝る必要なんかねェよ」
「全員起きたことだし、行きましょうか」
皆が覚悟を決めて、山登りをし始める。
この山はそこまで高い山ではない。休日に親子で山登りピクニックができる程にはキツイ山ではない。
だからこそ、魔物が現れた際にはそこまでヘイトを集めなかった。しかし、この魔物に最も闘志を燃やすものがいた。
エンドローゼである。
現れた魔物の名前はインフェルノ。体を青紫の炎で包んだ鳳である。
激しく鳴くことなく、そこで羽ばたいている。体は熱く燃えており、その際発生する煙は月を隠していた。
今日は昼間にも月が見える、トッテム教には大事な日。常に月とともに在れるため、最もテンションの上がる日だ。
それを邪魔されたとあっては、フォンが許さない。
チャキ、とコストイラが刀が構えた瞬間、淡い月明かりのような魔力が放たれた。インフェルノは向かってくる魔力に対して、炎を吐きかけて抵抗する。
しかし、それは意味をなさず、インフェルノの頭に当たった。威力がすさまじく、一撃でインフェルノの頭を消し飛ばした。
体を覆っていた炎が霧散し、体が顕になった。
「朝御飯にちょうどいい奴が来たな」
「そうね、これを調理しましょう」
アストロとコストイラがインフェルノの解体を始めた。
月のとある一角で、とある双子が身を寄せ合って泣いていた。
『フォン様はあの女にご執心』
『私達の事なんてどうでもいいんだ』
双子はお互いの涙を拭いながら、窓の外を見る。ここから見えるのは、立ち入り禁止エリアだ。しかし、そこを見ていない。
見えてるのは月宮殿。そこに住まうフォンの御姿だ。
『愛してほしいな、フォン様』
『頭なでなでと、力一杯のハグ。してくれないかな、フォン様』
『何でしてくれないの?』
『何で?』
『何で?』
『何で?』
・
・
・
『『私達の夢を打ち砕いたのは、誰?』』
モフリと柔らかい感触のものに、顔を突っ込んだ。思い切り吸い込む。これで当分の精神安定を図るのだ。
あの日、公爵家からの呼び出しがなければ、帰ってきた彼女にお祝いパーティをしてあげる予定だったのに。
だというのに、こんなことになった。なんてことだ。いつものようにたくさんのキスができないではないかっ!?
『ニャス。いい加減出てきなさい! 御飯よ』
姉のトレットの声が聞こえた気がした。しかし、今は何に対してもやる気が出ない。
あぁ、愛しのエンドローゼ。今、貴方はどこにいるの?
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