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26.『黄昏の箱庭』
5.想いをしょって
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それは古い記憶にあった。
かか様と壮絶な舌戦をした日の夜は、いつも月を見上げていた。月は隠れていることもあったが、それでもエンドローゼは月を見ていた。
時折くすくす笑ったり、涙を流したり、ひいき目に見ても限界が近いのかもしれないと考えていたのは内緒である。
注意を引きすぎたエンドローゼを理不尽な暴力が襲った。そのたびに笑顔では対応しながら、ちくりと口撃した。
注意を引いている間に、エンドローゼは理不尽で損しかない人身売買を減らしていった。
エンドローゼはとにかく優秀だ。
通常状態のエンドローゼは異様に何かに怯えていた。
そのエンドローゼが強さを見せた。メルもルーサも見たことがないほどの威力に汗が流れた。
『え、え、エ、エンドローゼ?』
『な、なに、な、な、何したの?』
「め、め、メルとルーサ」
エンドローゼとメルとルーサの間に微妙な空気が流れる。アストロやコストイラも何も話しかけることができずにただ見守る。
「あぁ、とりあえず一緒に来るか?」
アシドが首の後ろに手をやりながら、2人の少女に提案する。少女は顔を一瞬明るくしたが、すぐにエンドローゼの顔が見えて、顔を背けた。
『ご、ごめん、え、エンドローゼ。わ、私達は、あ、あ、貴方のこーとを誤解していた』
メルの目尻に涙が溜まる。ルーサがメルの背中を撫でて涙を止めてあげる。メルはルーサの胸に顔を埋めて、呼吸を整えようとする。
「わ、わ、私も2人を勘違いしーていました」
エンドローゼが自身の胸の前で指を組み、謝罪を述べる。
「あ、あ、あの時の花冠の事も、2人がう、う、う、売られたしまったことも、わ、わわ、私は知ーっていたのに、なに、な、何もで、できませんでした」
エンドローゼの目尻にも涙が現れる。
「お、お、お二人は、か、かか、か、かか様がどちらにい、いらっしゃーっているのか、お、お知りですか?」
『知らないわ』
『わ、私もです』
「そ、そうですか」
ルーサが指を鳴らす。
誰も指摘しないのだが、アレンは気になってしょうがない。あの少女がなぜ指を鳴らしているのだろうか。
『そういえば知ってる? わ、私達のこれは、吃音じゃないんだって』
「ふぇ?」
エンドローゼが目を丸くした。アストロ達も驚愕した。全員がエンドローゼのことを見る。エンドローゼの吃音? を全員が本当に吃音だと思っていた。
『わ、私達のこれは、ただの思い込みなの。心を鎮めれば、きっと普通に話せるわ』
『名前は忘れてしまったけど、高名な方が教えてくれたの』
「誰だ、それ……」
メルとルーサは詰まりなく話し、自分達の現状を証明してみせる。アシドは高名な先生が何者なのか分からず、呆然としてしまう。
「わ、私も、こ、こ、言葉をはーねさせずには、は、話すことができる……」
エンドローゼは下を向いて、自身の掌を見つめる。アストロがエンドローゼの背を擦ってやる。
『うん。冷静に、平静で、落ち着いて、喋れば、跳ねなくなるわ』
『興奮を抑えるのが、コツよ』
「じ、じ、じゃあ、む、むむ、む、無理かも~」
『えぇ~~』
『何で~~』
ミニマムな少女達が互いに体を触りながら会話している。アストロは入れなくなった。
「だ、だって~」
『頑張ろうよ~』
「あう~~」
エンドローゼがメルに頬をモチモチされている。
『何でできないの?』
「だ、だ、だって~。み、み、皆といると、こ、こ、興奮しちゃうんだもん」
照れながら理由を話すエンドローゼに、メルもルーサも鼻血が出てしまいそうになった。
アストロが照れ隠しでエンドローゼの後頭部を叩いた。
かか様と壮絶な舌戦をした日の夜は、いつも月を見上げていた。月は隠れていることもあったが、それでもエンドローゼは月を見ていた。
時折くすくす笑ったり、涙を流したり、ひいき目に見ても限界が近いのかもしれないと考えていたのは内緒である。
注意を引きすぎたエンドローゼを理不尽な暴力が襲った。そのたびに笑顔では対応しながら、ちくりと口撃した。
注意を引いている間に、エンドローゼは理不尽で損しかない人身売買を減らしていった。
エンドローゼはとにかく優秀だ。
通常状態のエンドローゼは異様に何かに怯えていた。
そのエンドローゼが強さを見せた。メルもルーサも見たことがないほどの威力に汗が流れた。
『え、え、エ、エンドローゼ?』
『な、なに、な、な、何したの?』
「め、め、メルとルーサ」
エンドローゼとメルとルーサの間に微妙な空気が流れる。アストロやコストイラも何も話しかけることができずにただ見守る。
「あぁ、とりあえず一緒に来るか?」
アシドが首の後ろに手をやりながら、2人の少女に提案する。少女は顔を一瞬明るくしたが、すぐにエンドローゼの顔が見えて、顔を背けた。
『ご、ごめん、え、エンドローゼ。わ、私達は、あ、あ、貴方のこーとを誤解していた』
メルの目尻に涙が溜まる。ルーサがメルの背中を撫でて涙を止めてあげる。メルはルーサの胸に顔を埋めて、呼吸を整えようとする。
「わ、わ、私も2人を勘違いしーていました」
エンドローゼが自身の胸の前で指を組み、謝罪を述べる。
「あ、あ、あの時の花冠の事も、2人がう、う、う、売られたしまったことも、わ、わわ、私は知ーっていたのに、なに、な、何もで、できませんでした」
エンドローゼの目尻にも涙が現れる。
「お、お、お二人は、か、かか、か、かか様がどちらにい、いらっしゃーっているのか、お、お知りですか?」
『知らないわ』
『わ、私もです』
「そ、そうですか」
ルーサが指を鳴らす。
誰も指摘しないのだが、アレンは気になってしょうがない。あの少女がなぜ指を鳴らしているのだろうか。
『そういえば知ってる? わ、私達のこれは、吃音じゃないんだって』
「ふぇ?」
エンドローゼが目を丸くした。アストロ達も驚愕した。全員がエンドローゼのことを見る。エンドローゼの吃音? を全員が本当に吃音だと思っていた。
『わ、私達のこれは、ただの思い込みなの。心を鎮めれば、きっと普通に話せるわ』
『名前は忘れてしまったけど、高名な方が教えてくれたの』
「誰だ、それ……」
メルとルーサは詰まりなく話し、自分達の現状を証明してみせる。アシドは高名な先生が何者なのか分からず、呆然としてしまう。
「わ、私も、こ、こ、言葉をはーねさせずには、は、話すことができる……」
エンドローゼは下を向いて、自身の掌を見つめる。アストロがエンドローゼの背を擦ってやる。
『うん。冷静に、平静で、落ち着いて、喋れば、跳ねなくなるわ』
『興奮を抑えるのが、コツよ』
「じ、じ、じゃあ、む、むむ、む、無理かも~」
『えぇ~~』
『何で~~』
ミニマムな少女達が互いに体を触りながら会話している。アストロは入れなくなった。
「だ、だって~」
『頑張ろうよ~』
「あう~~」
エンドローゼがメルに頬をモチモチされている。
『何でできないの?』
「だ、だ、だって~。み、み、皆といると、こ、こ、興奮しちゃうんだもん」
照れながら理由を話すエンドローゼに、メルもルーサも鼻血が出てしまいそうになった。
アストロが照れ隠しでエンドローゼの後頭部を叩いた。
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