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26.『黄昏の箱庭』
6.中央の囲い
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メルとルーサはその場を離れないと決断した。正確には、ついていけないと判断した。付いて行っても足手纏いにしかならないからだ。。
メルもルーサも申し訳なさそうにしている。
心中は一緒に行きたいと叫んでいるのだろう。しかし、それを自分達の行動に起こせない。
2人はエンドローゼに連れ出してほしいを考えていた。
エンドローゼは2人の性格を知っている。その為、2人の心中を察することだできていた。
しかし、連れ出したところで危険になるのは明白だ。自分がお荷物なのは自覚している。お荷物が増えるのは仲間に申し訳ない。
エンドローゼは2人を置いていくことにした。
「わ、わ、私は2人を連れていくことが、で、で、できません。で、ですから、”よいお迎え”がく、来ることをふ、ふ、フォン様に願っています」
『……うん!』
『エンドローゼも頑張って』
エンドローゼがトッテム教式の祈りを捧げると、メルとルーサもそれを真似して祈りを捧げた。
『むぐ!?』
虹の発生装置設置場所から遠い地である月。その長であるフォンが何かに反応した。
クレア家の次男と三男のナイトとフィリスがフォンのことを見る。何かを声掛けしようとして、ディーノイに止められた。どうせ面倒事だぞ、と。
フォンはフンフンと何かを聞いている。ディーノイはナイトとフィリスにハンドサインで、静かに出ていくぞ、と命令する。基本的に立場があやふやなクレア家の2人はフォントディーノイには逆らえない。
『ねぇ~~、ディーノイ~~~~。ねェ~~~~』
『…………何ですか?』
逃げ切れなかったディーノイは肩を落としながら、フォンのことを見る。
『静かに逃げようとしたことに関しては目を瞑るからさ、あの2人を連れてきてくれない?』
『……犬や猫じゃないのですよ』
『わ、分かっているさ。ただ、……エンドローゼちゃんに祈られちゃったから』
ディーノイに叱られ、少し拗ねながら指先をチョンチョンと合わせる。ディーノイはハァと溜息を吐いた。
『……分かりました。ただし、住まう場所や仕事の割り振りなどを考えてお入れくださいね』
『うぐ。任せんしゃい!』
ドンと自身の薄い胸を叩いて、ディーノイを送り出した。
ディーノイは最低限の指示をメイド達に与え、水晶越しにメルとルーサの元に飛んだ。
勇者達と出会うかもしれないと思ったが、すでにいなかった。
『すでに発っていたか』
『ひうっ!?』
『な、な、何ですか!?』
降り立つ場所が近かったらしい。少女達を怖がらせてしまった。
ディーノイは現在接敵中の勇者一行を目視し、剣をゆっくりと抜いた。
『あばばばばば』
『殺されちゃう!? こ、こ、殺されちゃう!?』
パチンパチンと指を鳴らす音が聞こえる。気を引く目的ではなく、自身に課したマインドコントロールだろう。
『最近は腹一杯食えて、いいなァ、グルマン』
ディーノイの手にしている剣に、黒い靄のようなものが纏われる。少女2人は興味津々で目を見開いている。
見世物じゃないんだよな~~、と思いながら、ディーノイは剣を振った。結果を見せることなく収める。
何をしたのか全く分からない2人は訝しげに真っ黒な男を見る。
『あー、エンドローゼの祈りは届いた。2人をフォンのところに連れていく』
『え、えぇえええ~~!?』
メルとルーサは互いの顔を見た。
『こういうのって……』
『と、と、と、届くものなんだ……』
静かになる空間に、パチンと場違いな音が響いた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
アレンは自身の非力さに膝を着いた。
アレンは未だにここがどこか分かっていない。きっとコストイラやアストロならばもう脱出方法を考えているだろう。残念ながらアレンにはそこまでの能力はない。
何か分からないものをいくら考えたって仕方ない。ヒントがなければ無駄な行為だ。
アレンがヒントを得るためにできる行動は2つしかない。魔眼か足か、だ。
魔眼は今のところ役に立たない。魔物がいたらどうしようもないという事実からも、あまり積極的に使いたくない。しかし、今まで見えた情報は、壁、石、木、そして目の前の水。全て詳しい情報が出てこない。せめて毒性があるのかないのかくらいは知りたい。
警戒しながらも抗いがたい飢えと渇きに負け、目の前の水で喉を潤した。
「く~、何もない胃袋を液体で満たしてしまった」
胃が刺激され、もっと、モット! と主張してくる。しかし、何もないので、腹を軽く叩いて紛らわす。
今アレンにできることは足でヒントを稼ぐことぐらいだ。
食料を探しつつ、ヒントを発見できるように歩き始めた。
メルもルーサも申し訳なさそうにしている。
心中は一緒に行きたいと叫んでいるのだろう。しかし、それを自分達の行動に起こせない。
2人はエンドローゼに連れ出してほしいを考えていた。
エンドローゼは2人の性格を知っている。その為、2人の心中を察することだできていた。
しかし、連れ出したところで危険になるのは明白だ。自分がお荷物なのは自覚している。お荷物が増えるのは仲間に申し訳ない。
エンドローゼは2人を置いていくことにした。
「わ、わ、私は2人を連れていくことが、で、で、できません。で、ですから、”よいお迎え”がく、来ることをふ、ふ、フォン様に願っています」
『……うん!』
『エンドローゼも頑張って』
エンドローゼがトッテム教式の祈りを捧げると、メルとルーサもそれを真似して祈りを捧げた。
『むぐ!?』
虹の発生装置設置場所から遠い地である月。その長であるフォンが何かに反応した。
クレア家の次男と三男のナイトとフィリスがフォンのことを見る。何かを声掛けしようとして、ディーノイに止められた。どうせ面倒事だぞ、と。
フォンはフンフンと何かを聞いている。ディーノイはナイトとフィリスにハンドサインで、静かに出ていくぞ、と命令する。基本的に立場があやふやなクレア家の2人はフォントディーノイには逆らえない。
『ねぇ~~、ディーノイ~~~~。ねェ~~~~』
『…………何ですか?』
逃げ切れなかったディーノイは肩を落としながら、フォンのことを見る。
『静かに逃げようとしたことに関しては目を瞑るからさ、あの2人を連れてきてくれない?』
『……犬や猫じゃないのですよ』
『わ、分かっているさ。ただ、……エンドローゼちゃんに祈られちゃったから』
ディーノイに叱られ、少し拗ねながら指先をチョンチョンと合わせる。ディーノイはハァと溜息を吐いた。
『……分かりました。ただし、住まう場所や仕事の割り振りなどを考えてお入れくださいね』
『うぐ。任せんしゃい!』
ドンと自身の薄い胸を叩いて、ディーノイを送り出した。
ディーノイは最低限の指示をメイド達に与え、水晶越しにメルとルーサの元に飛んだ。
勇者達と出会うかもしれないと思ったが、すでにいなかった。
『すでに発っていたか』
『ひうっ!?』
『な、な、何ですか!?』
降り立つ場所が近かったらしい。少女達を怖がらせてしまった。
ディーノイは現在接敵中の勇者一行を目視し、剣をゆっくりと抜いた。
『あばばばばば』
『殺されちゃう!? こ、こ、殺されちゃう!?』
パチンパチンと指を鳴らす音が聞こえる。気を引く目的ではなく、自身に課したマインドコントロールだろう。
『最近は腹一杯食えて、いいなァ、グルマン』
ディーノイの手にしている剣に、黒い靄のようなものが纏われる。少女2人は興味津々で目を見開いている。
見世物じゃないんだよな~~、と思いながら、ディーノイは剣を振った。結果を見せることなく収める。
何をしたのか全く分からない2人は訝しげに真っ黒な男を見る。
『あー、エンドローゼの祈りは届いた。2人をフォンのところに連れていく』
『え、えぇえええ~~!?』
メルとルーサは互いの顔を見た。
『こういうのって……』
『と、と、と、届くものなんだ……』
静かになる空間に、パチンと場違いな音が響いた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
アレンは自身の非力さに膝を着いた。
アレンは未だにここがどこか分かっていない。きっとコストイラやアストロならばもう脱出方法を考えているだろう。残念ながらアレンにはそこまでの能力はない。
何か分からないものをいくら考えたって仕方ない。ヒントがなければ無駄な行為だ。
アレンがヒントを得るためにできる行動は2つしかない。魔眼か足か、だ。
魔眼は今のところ役に立たない。魔物がいたらどうしようもないという事実からも、あまり積極的に使いたくない。しかし、今まで見えた情報は、壁、石、木、そして目の前の水。全て詳しい情報が出てこない。せめて毒性があるのかないのかくらいは知りたい。
警戒しながらも抗いがたい飢えと渇きに負け、目の前の水で喉を潤した。
「く~、何もない胃袋を液体で満たしてしまった」
胃が刺激され、もっと、モット! と主張してくる。しかし、何もないので、腹を軽く叩いて紛らわす。
今アレンにできることは足でヒントを稼ぐことぐらいだ。
食料を探しつつ、ヒントを発見できるように歩き始めた。
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