メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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31.サディスホユー

15.魔眼の祖

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『アレンさん。表情読みやすすぎですよ。まぁ、それ以外にも読む手段はありますが。フフッ。その茶色の目は活用できていますか?』

 完全に魔眼と分かっている発言をされてしまった。これは完全にバレている。
 アレンがアストロのことを見る。

「こっち見んな」
「アレン、悩み?」

 アストロに突き放され、泣きそうな顔をするアレンにシキが寄り添う。

『あの、話してもいい話題ですからね? 魔眼』

 グレイソレアが少し悲しそうな顔をしながら顔を掻いた。

「あ、やっぱりバレてた」
『まぁ、貴方のステータス眼だけではなく、鑑定眼の力も持ち合わせているので、ばっちり見えていますよ?』
「魔眼の二つ持ち!?」

 レイドが驚いているが、他は無反応だ。

「原初の魔王グレイソレアといえば、魔眼で有名な魔王よ。でも、すべての魔眼を言えるかは無理ね。覚えていない」
『別に説明してもいいですけど。それだけだとつまらないですよね』
「面白さ、いります?」

 ユーモアを追い求めているグレイソレアに対して、アレンが半眼を送る。

 クワッとグレイソレアの目が開かれた。眼窩にはいくつも瞳が入っていた。片方八つ、計十六の瞳がある。瞳がゴロゴロと移動し、茶色の瞳が前面に出てきた。

『ステータス眼は他者のステータスを勝手に、無断で、無許可に視ることができます。基本的に視れるのは体力や攻撃力、防御力、速度、レベル、性別、名前、称号、後、何でしょう? あ、属性ですね』
「ですが、使ったら、相手に不快感を与えてしまいます」
『……今、どなたか不快になっていらっしゃる方、います?』
「え」

 誰も手を上げない。

『魔眼は鍛えれば、相手に不快感を与えないことができます』
「何で不快感を与えてしまうんだ?」
『魔眼が体に馴染んでいないか、使いこなせていないか、まぁ、そのどちらかでしょうね。アレンさんは魔眼を使っていませんので、成長していませんね。あと十何回は使わないと駄目そうですね』

 笑顔で告げられ、アレンは崩れ落ちた。やっぱり無能! 能力を引き出せぬ鳳字!

 アレンは泣きそうになってしまった。ムッとした顔をしたシキがグレイソレアを睨んでいる。

『まぁ、事情を知ってくださっている方、皆さんと特訓されては?』
「えっと」
「ま、別にいいけど」
「協力する」
『基本的に魔眼は感覚的、というか本能的というか。動物的な野生の勘のようなものでチューニングされるので、私が教えることは特にないですね』

 十六の魔眼を閉じ、グレイソレアが立ち去ろうとする。

「なぁ、グレイソレア様よ」
『ハイなんでしょう。ええと、コストイラさん、ですね。フォンやシュルメに聞いていますよ。非常に可愛い子、だと』

 コストイラが少し嫌そうな顔をする。教祖様は一体何を話したんだ。

「魔眼持ちはアレン、ホキトタシタ、フォンの三人しか知らねぇんだけど。他に誰かいるのか?」
『それは勿論。私の瞳と同じ十六人はいますよ。あ、今は十七人ですね。そこに私を加えた十八人です。別に教えるのは構わないのですが、ネタバレはしたくない主義ですので、あまり教えたくないですね』
「そ、そ、そこを、何とか」
『ムムム。エンドローゼさんに頼まれてしまいましたか。今もフォンはこの光景を除いています。そのため、これは断れませんね』
「え、え、ふぉ、フォン様が?」

 エンドローゼがあたりをキョロキョロし始めた。グレイソレアはくすくすと笑っている。

『貴女の可愛らしい行動に、フォンは月面で悶えていますね。あ、ディーノイに怒られてしまいました。嫌なところを見てしまいましたね』

 フォンのことを遠視で見てしまい、少し申し訳なさそうな顔をした。

『夢見視はおそらく知っていると思いますよ。夢を見させる能力です。コストイラさんは二回、というか、二人の能力者からそれぞれの能力を受けましたよね? セイドンさんとショウノウさん』
「セイドンはよく分からねェけど、あれか? 初期の方で戦った兎か?」

 確かに最初の頃に戦った気がする。何か花畑を見た気がするが、詳しい内容を全く覚えていない。誰か少女の後ろ姿を見た気がする。

「その兎なら、何か殺しちまった気がするな」
『あぁ、彼は先天性の夢見視でしたので、私の元には戻らずに、バンツウォレイン王国のどこかの赤ん坊に移りましたよ』
「先天性?」

 あまり聞きなれない単語に、アレンの眉根に皺が寄る。

『生まれ持っているのが先天性。ある瞬間から持ち始めたのが後天性です。アレンさんは成人の儀を機に得ていらっしゃいますので、後天性ですね』

 ちらりとグレイソレアが後ろを見た。

「何かあるのか?」
『……先程、フォン達と会議をしておりました。この先に進ませていいのかどうか』
「そんなことが」

 グレイソレアはコストイラを見ていない。ずっと山の中腹を見ている。

『過去には、テスロメル、ロマンス、シムバ、イムカロ、ヌネ、ゴート、レペッシュ、スリース、そしてジョコンド。様々な勇者がやってきました。テスロメル、ロマンス、イムカロ、レペッシュはここを通さずに帰しました。力不足ですね。シムバ、ヌネ、ゴート、スリース、ジョコンドは通しました。帰ってきたのはゴートとジョコンドのみでした。貴方方には期待しています。必ず帰ってきてください』

「いいのですか? 通って」
『認めましょう。ついて来なさい。魔大陸へと通します。道中は世界の記憶を映し出しています。どうか死なないで。体も心も』
「記憶?」
『記憶と言っても本人であることは変わりません。知り合いが出て来たら、本人として接してください。特にコストイラ、エンドローゼ、気を強く持ってください』

 不穏なことを言うグレイソレアに連れられ、コストイラ達は山の中腹に着いた。そこにはボロボロのお寺が佇んでいた。

『次元の狭間です。さぁ、覚悟はできましたか?』

 寺のふすまを開けると、中の時空が歪み、破けていた。
 どうも禍々しい雰囲気だ。覚悟? そんなもの、最初からあるわけない。

 アレンが息を呑む。

「行こう」

 シキがアレンの手を取り、中に飛び込んだ。





『さぁ、通りましたよ、フォン。ここから先は魔王である私も』
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