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32.次元の狭間
2.死を与える煉獄鳥
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ドラゴンが壁を壊し、塔を揺らすと、上から声が降ってきた。
「今、何か聞いたことがある声がしたなぁ。どこでだっけ」
「何か最近聞いたような」
「あれではないか? 魔王ゴイアレのところの?」
「「「あぁ!!」」」
出会いが一瞬すぎて記憶にあまり残っていないかったが、その出会いを思い出した。
「何でポラリスさんがここに?」
「知るかよ。 ただ、あの時のカンジャと同じ枠だとしたら、倒すのが必須ってことになる」
コストイラ達が嫌そうな顔をしながら上を見ていると、塔に翼が生えた。
「お?」
「あ?」
眉根に皺ができる。
塔に翼が生えるなんてことは、普通ではありえない。つまり、塔の上で何かが、翼を広げたのだ。炎のように揺らめく青い翼には見覚えがあった。
「インフェルノ」
「おいアレン。魔眼使ってみようぜ」
「え、でも」
「準備オッケー」
コストイラがアレンの背を軽く叩いて、インフェルノを指差した。相手に不快感を与えることは敵対に等しい行為のため、アレンは躊躇してしまう。そんな中、シキは後ろで投擲用の石を用意し終えていた。
なぜそんなにさっき満々なのか分からないが、どうか待ってほしい。心の準備ができていないのだ。
「し、し、シキさん。まだです」
「うん」
シキは素直に構えを解いた。
アレンが魔眼を使う。インフェルノはこちらを覗きこんできた。
アレンは勝手に恐怖する。やばい? もう襲われる? その不安がシキに伝わり、シキはもう攻撃開始したそうに、うずうずしている。
インフェルノはじっと勇者一行を見つめている。何を考えているのかはさっぱりだが、襲ってくる気配はない。
「襲って、来ないわね」
「獣かと思ったが、理知性をきちんと持ち合わせているみたいだぞ」
インフェルノが翼をはためかせ、塔から飛び降りた。
攻撃してくるというよりは、下りる、様子見のための高さにゆっくりと下りてきた。
両翼20mはある蒼炎大鳳が炎竜の頭に乗った。フレアドラゴンが鬱陶しそうに頭を振るが、インフェルノは退かない。何がしたいのだろうか。
そして、両者はそろって塔の方を見た。
死者の世界。いわゆるあの世。後世、死後世、呼び方は何でもよいが、死者が生前に現世でした行いや、宗教における信仰心などに応じて行き先が分かれる。その選択を行う場。それが冥界。
死後の霊ないしはそれに類するものが行きつく場所に、なぜ自分がいる? ここにいるということは、自分は死んだのか?
いや。自分にそんな記憶はない。最も近い時の記憶は曖昧だが、自分に死の記憶がない。
『アナタは何を言っているのだ? 私は死んでいない。死んだ記憶はどこにもない』
『自らの考えること以外は信じられない。いや、データしか見ることができないということの方が正しいか』
『むしろ、データ以外の何を信じるというのか』
ホキトタシタの言うことに対し、カンジャは両手を広げて宣言した。
自分に酔っている。見ただけで誰もがそう思えるだろう。
ホキトタシタは本当に面倒な相手だと思いながら溜息を吐いた。
「今、何か聞いたことがある声がしたなぁ。どこでだっけ」
「何か最近聞いたような」
「あれではないか? 魔王ゴイアレのところの?」
「「「あぁ!!」」」
出会いが一瞬すぎて記憶にあまり残っていないかったが、その出会いを思い出した。
「何でポラリスさんがここに?」
「知るかよ。 ただ、あの時のカンジャと同じ枠だとしたら、倒すのが必須ってことになる」
コストイラ達が嫌そうな顔をしながら上を見ていると、塔に翼が生えた。
「お?」
「あ?」
眉根に皺ができる。
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「インフェルノ」
「おいアレン。魔眼使ってみようぜ」
「え、でも」
「準備オッケー」
コストイラがアレンの背を軽く叩いて、インフェルノを指差した。相手に不快感を与えることは敵対に等しい行為のため、アレンは躊躇してしまう。そんな中、シキは後ろで投擲用の石を用意し終えていた。
なぜそんなにさっき満々なのか分からないが、どうか待ってほしい。心の準備ができていないのだ。
「し、し、シキさん。まだです」
「うん」
シキは素直に構えを解いた。
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アレンは勝手に恐怖する。やばい? もう襲われる? その不安がシキに伝わり、シキはもう攻撃開始したそうに、うずうずしている。
インフェルノはじっと勇者一行を見つめている。何を考えているのかはさっぱりだが、襲ってくる気配はない。
「襲って、来ないわね」
「獣かと思ったが、理知性をきちんと持ち合わせているみたいだぞ」
インフェルノが翼をはためかせ、塔から飛び降りた。
攻撃してくるというよりは、下りる、様子見のための高さにゆっくりと下りてきた。
両翼20mはある蒼炎大鳳が炎竜の頭に乗った。フレアドラゴンが鬱陶しそうに頭を振るが、インフェルノは退かない。何がしたいのだろうか。
そして、両者はそろって塔の方を見た。
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いや。自分にそんな記憶はない。最も近い時の記憶は曖昧だが、自分に死の記憶がない。
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『自らの考えること以外は信じられない。いや、データしか見ることができないということの方が正しいか』
『むしろ、データ以外の何を信じるというのか』
ホキトタシタの言うことに対し、カンジャは両手を広げて宣言した。
自分に酔っている。見ただけで誰もがそう思えるだろう。
ホキトタシタは本当に面倒な相手だと思いながら溜息を吐いた。
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