旧世界、世界樹の下で

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終末教

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 その教団は終末の世界に度々現れると言う……その名を【終末教】、この教団は終末に怯える人々の前に姿を現しては人々を終末の恐怖から救っているのだという。かく言うこの世界樹の近くにある村にも、終末教の支部があるのだった。フレスベルグとマスクドワンはその存在は知っていたが、特別自分達に害がない為放置していた。だが、そんな終末教がフレスベルグとマスクドワンに危害を加え始めるのは、そう遅く無かった。



 ある日、世界樹の根元でフレスベルグがいつもの様に草笛を吹きながらのんびり過ごしていると、遠くの方から人の集団がくる気配がした。珍しい出来事に何かあったのだろうかと吹いていた草笛を止め立ち上がると一気に緊張感が漂う。
 暫くすると村人の一団が見えてきた。その人々は男や女、子供までおり、皆手には様々な刃物を持っていた。村人達の目は全員一様にギラつき、目の周りは落ち窪んでいる。その異様な状態にフレスベルグは龍の姿になりその一団を睨みつける。

「何用でしょうか」

 フレスベルグが武器を持って近づいてきた村人達に問いかける。しかし、誰一人としてその問いに答える村人はいなかった。村人達はフレスベルグの姿を確認すると気力を感じられない薄ら笑いを浮かべ武器を振り下ろしてきた。咄嗟の事と様子のおかしい村人達に危害を加えたくない思いからフレスベルグは村人達の凶行に胸を痛めながらも受け入れることにした。それでしか彼らの心が癒せないのであれば甘んじて受け入れることにしたのだ。

「血だ……フレスベルグの血を奪うんだ」
「もっとだ、もっと血をよこせ」

 村人は口々にフレスベルグの血を求めた。フレスベルグもなんとなく目的がそうではないかと感じていた。フレスベルグの血には癒しの効果があり【傷を癒す毒癒しの血】と人々の間で言われており、その血の一滴でも口にすればどんな傷でも病気でも治すことができる。
 しかし、代償もある。その血を飲めば全身に治癒の力が巡り、どれだけ苦しくとも死ぬことは出来ず、生きながらに死んでいるかの様になってしまう。それをフレスベルグも分かっているが、人々がそれを望むのであれば彼女の性格上喜んで差し出してしまうのだった。村人も彼女の性格を知っているからこそ血を求めたが、今日のそれはいつものそれとは違った。

「血だ……血だ‼︎」
「これで終末を乗り越えられるぞ‼︎」
「終末教万歳‼︎」

 終末教の人間に何か言われたのだろう村人達は、その血を普段なら薄めて飲むののだが、今日は武器に着いた血をそのまま舐め歓喜の声を上げる。



 一頻りフレスベルグを傷つけた村人は、その傷だらけの彼女を放置して村へと帰っていった。彼女は村人達が去った方を悲しげに見つめると空を見上げる。もう夕方でマスクドワンがそろそろ出てきてしまう。傷は隠せそうにないが、せめて自分が平気な表情を浮かべていれば何も言ってこないだろうと思い、マスクドワンが出てくるのを待つ。

「フレスベルグすまないまたせ——どうした」

 全身傷だらけのフレスベルグを見るとマスクドワンはすぐに龍の姿になり彼女の傷を自身の魔力で癒していった。

「なんでもないの……ちょっと怪我をしてしまって」
「……なぜ庇う」
「……貴方には嘘がつけないわね」

 なんでもない風を装ってみたもののマスクドワンには全てお見通しの様で、彼の表情が怒り一色に染まる。フレスベルグが止めなければマスクドワンは今すぐにでも村を全て滅ぼしかねないと思ったフレスベルグは、首をマスクドワンに絡め落ち着くように宥める。

「いいの……これで村の人が穏やかに過ごせるなら」
「しかし……分かった……お前がそう言うなら」

 納得はしていないが、フレスベルグがこれ以上のを求めないのであればとマスクドワンは殺気をすっと消し彼女の傷がこれ以上傷まないように回復の魔法をかけ続ける。

「だが、お前が理不尽に次晒されるのであれば私は容赦はしない」
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