転生したらなぜか双子になってたけどそれはそれで便利だし気にせずこの素晴らしき世界を楽しみます

気まぐれ八咫烏

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幼少期編

村への帰還

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 翌日からの午前中の時間はストレッチから始まり基礎体力強化のトレーニングも追加した。その上で剣術の練習もきっちりとやった。



 午後からはいつも通り一本杉平原で魔法の研究をしようと思ったが、ライカだけでなくグリンやピッケル、モズクやパセリもちょくちょく来るようになったためあまり実験はできなくなった。



 魔法を教えてほしいと言って請われたら教えないわけにもいかない。



 とはいえ、詠唱ありで基本初級魔術の【水球ウォーターボール】を教えたが4人はなかなか習得できなかった。



 一度使うと魔力切れしてしまうため、何度も練習できなかったからだ。





 それでも何か学び、強くなりたいという気持ちが4人を突き動かしていたのだろう。



 5日ほどかけてグリンが、7日ほどでピッケルとモズクが、10日ほどでパセリも【水球ウォーターボール】を習得した。



 さすが成長期の子供ということだろう。その後、他のボール系魔法やウォール系魔法も教えていった。





 4人全員が4属性ボール系ウォール系を習得したのは2年程かかったのだが、無詠唱では結局できなかったようだ。



 魔力自体の感覚を教えるのは難しい。感覚を感覚で教えるのだから抽象的な表現になるし、その説明を受けてもピンとこないらしい。



 もちろん、ライカの時にやった魔力を強制的に動かして感じてもらう方法もやったがダメだった。





 ライカはエルフの血を引くため魔力の扱いが人族よりも上手だったのかもしれない。





 村に帰還して10日程経った時、ちょうどパセリも【水球ウォーターボール】を習得できた日の翌日だった。

 朝食の時にララから、今日は一緒に治療院に行きましょうと言われた。



 どうやらエリン先生が俺達のために時間を作ってくれたということだ。



 朝食後、ララと一緒に治療院へ行く。

 いつもは家から村はずれのほうにある一本杉平原へ向かうが、今日は逆方向。



 そのため治療院に行くのははじめてだった。



 治療院は入り口を入ると受付と待合室のがあり、その奥に診療する部屋、2階には入院部屋などがあった。
 


 こんな田舎町にしては結構大きいが、村の警備隊があまり強くなかった時代は治療院は大活躍していたらしいので、その名残りだそうだ。





 俺たちが訪れた日は午前中休みの日だったらしい。

 普段は怪我人はそんなに頻繁には来ないが老人たちの寄合所みたいになっているらしくエリン先生がゆっくり時間を取れないからだ。



 エリン先生はそりゃーもう、ベッピンさんだった。一言でいえば美人。

 透き通った銀髪、長いまつ毛に大きな瞳、スラリとした体。控えめに言って、エルフ最高!



 昔勝手に想像してたボンッキュッボンッ!ではなかった。キュッキュッキュッ!だった。

 胸は残念ながら大きくないようだ。スレンダー美人。



「はじめまして、私がこの治療院のエリンです。いつもライカと遊んでくれてありがとね」

 美人に見惚れていたら向こうから挨拶してくれた



「いえ、こちらこそライカさんにはいつもお世話になっています」

 しまった。子供の挨拶じゃねーな。



「あら、しっかりしているのね。で、今日は魔法について教えてほしいと聞いていたのだけれど何が知りたいの?」

 俺とユイを交互に見ながら笑顔で答えてくれる



「先日誘拐事件の時ですが、魔法が使えなくなる魔法陣があったのがきっかけなんです」



「魔法陣……。それで?」



「それで、僕たちは魔法については父さまと母さまから教わっていたのですが、魔法陣については本で少し見ただけです」



「アスラさんもララさんも中級魔法あたりまでは使えるということよね。でも魔法陣については詳しくないと」



「そうです。ですので、魔法陣についていろいろ教えてもらいたいというのと、もっと上位の魔法を教わることができればと」



「なるほど、そういうことね。でもね、魔法陣となると魔力そのものの力と、その流れや陣の意味も含めて説明しないといけないわね」



「魔力の流れは分かるのですが、陣は完成したものをそのまま描き移せば効果は出ます。でも意味はさっぱり分からないのです」



「魔力の流れが分かるの?」



「はい、普段からも体の中を流れていますよね。それを形にして体外で発現させるのが魔法だと認識しています」



「驚いた。人族でも魔力の流れまで理解できるのは極一部なのにこんなに小さな子がそこまで理解しているなんて」



「ライカに教えたらすぐに分かったみたいでしたよ?」



「人族では魔力の流れを感じる力が小さいみたいなのよ。ライカはエルフの血を半分引いているからね」



「そうなのですか。それで他の子(グリン達)に無詠唱魔法を説明しても分からない感じだったんですね」



「あなた達、詠唱無しで魔法が使えるの?」



「はい」

 診療部屋内なので攻撃魔法は使わず、【照光シャイン】を使って見せた。



「魔力の流れを理解し、魔法と同じ力まで発現できるなんて……」



「魔力の流れが分かっても、魔法陣の中で何が起こっているのかは分かりません」



「まぁ、そうでしょうね。簡単に言うと魔法陣というのは魔法の詠唱のようなものなの」



「詠唱すると確かに自動で魔力制御が行われる感じがありますね」



「でもあなた達は詠唱する必要がないのでしょう? だったら魔法陣についてその構造が知りたい?」



「構造というか……」

知りたいっちゃ知りたい。けど実際はちょっと違う。



「つまり、魔法陣が詠唱だとするとあなた達が本当に知りたいのはもっと別。魔法でできることをもっと知りたいのじゃない?」

まさにその通りなのだ。



「その通りです。火や水を作ったり、光を出したり出来るようにはなりましたが、他にももっと出来るようになりたいです」



「分かったわ。でもそれは一日二日で教えれるものじゃないの」



「つまり、それだけ魔法でできることは多いということですね」



「例えばだけどね、火を発現させることができたとしてもそれを球にして投げ出す魔法と壁にして広げる魔法があるでしょう。

その他にも弓矢の形にして発射したり或いは動物の形を模したり。そしてそれぞれが一つの魔法として成り立つの」

 やっぱり魔法って万能だ!

 オラ、ワクワクすっぞ!



「エリン先生、僕たちに魔法を教えてもらえませんか?」



「それは構わないわよ。ララさん、どうかしら?」

 それまでずっと会話に参加していなかったララが突然話を振られる。



「エリン先生に教えて頂けるのならば私からもお願いします」



「では、治療院が落ち着く16時以降ならいつ来ても構わないわよ」



「ありがとうございます。よろしくお願いします」





 こうして俺達には新たな日課が加わった。

 午前中に体力アップ、午後から自由に魔法研究か子供たちと息抜き、夕方からエリン先生に魔法を教わる。

 こうして幼少期の俺達が基本的な力を身に着ける土台ができあがったのだ。











 ある日の夕方、俺達はいつも通りエリン先生のところを訪れていた。



 一本杉平原で遊んだあと、ライカと一緒に治療院まで来るのが日課となっていた。



 ライカやエリン先生の自宅は治療院のすぐ裏にあるからだ。







「おかあさま、ただ今戻りました!」



「はい、おかえり」



「「エリン先生こんにちわ!」」



「はい、こんにちわ。本当にあなた達のおかげでライカが楽しそうだわ」



「ちょっとおかあさま、毎日そんなこと言わないでよ!」



「前までは虐められて泣きながら帰ってくることも多かったのに……(泣」



「いえ、僕たちもライカのおかげで楽しい毎日ですよ」



「ちょっと、ケン達まで。もう! ボクのことよりも今日も魔法を教わるんでしょ!」



「そうだね。エリン先生、今日もよろしくお願いします」



 こんなやりとりが毎日のように繰り返されるのがエリン先生の授業の始まりだった。



「じゃあ今日は天候を操るレベルと言われる上級魔法を教えます。ちょうど雨季なのにまだ雨が降ってないからね」



「「「はーい」」」

 そうなのだ、ちゃんとこの世界にも季節というものがある。

 といってもこのサイージョ村には、と付け加えるべきか。



 世界は広いため冬しかない地方、夏しかない地方もある。

 そのあたり、前世と一緒だ。



 今は丁度6月ごろ。梅雨の季節に入ってきたが、まだ雨は降っていない。

 この時期に雨が降らないと農作物に大きな影響があるため、エリン先生が来てからは魔法で雨を呼んでいた。
 


「いいですか、雨を降らす上級魔法の名前は【水嵐ウォータースコール】と言います。これは中級魔法の【水雨ウォーターレイン】とは根本から原理が異なります。」



 中級魔法の【水雨ウォーターレイン】は敵の上級数メートルに魔力を水に変換したものを勢いよく降らせる魔法である。もちろん一粒のサイズは1センチ程度の小さなものだ。それでも、攻撃魔法として成立するくらいに勢いがついているため結構な攻撃力があり、そして射程範囲も広い。


 俺たちは結界魔法の練習の時に全方位攻撃をやったが、あれのもうちょっと簡単なものだ。



「これは単純に水魔法だけではできません。水と風の融合魔法とでも言えばいいでしょうか。それに火魔法の力も使います」

 まぁ、台風を作ると思えば風ももちろん使うんだろうね。



「中級魔法の効果範囲が数メートルから10数メートルだったのに対し、上級魔法では1キロ以上が効果範囲となります。

 その分、消費魔力も飛びぬけて大きくなりますから今はある程度原理だけを理解し十分魔力が育ってから効果範囲を広げましょう」



「「はい!」」



「今日はイメージだけでもできるように説明します。まず空に向けて自分の魔力を打ち上げます。打ち上げた魔力で雲を作ります。それを何発も何発も繰り返し大きな雲を作ります。そうして雨雲を作るのが第一段階です」



 そうか、雲自体を魔法で作るのか。てっきり温かい湿った空気と冷たい空気をぶつけて渦を作ってとかするのかと思った。



「第二段階は雲の下を温かく、雲の上を冷たく冷やしていきます。こうすることでより激しい雨を降らせることができます」

 あ、やっぱりそんな感じのことはするんだね。



 こんなことならば理科とかちゃんと習っておくんだった。

 イメージではテレビでやっていたスーパーセルができる動画や積乱雲のできる動画とかの記憶しかない。

 まぁ、温かい上昇気流と冷たい下降気流を渦にして……



「ちなみに、温かい空気や冷たい空気を多く作れば作るほど雨から嵐に変わっていきます。そのため、農作物のための雨であればあまりやりすぎてはいけません。もっとも、温度差を作るのはさらに魔力を使いますから簡単にはいかないでしょう」



「おかあさま、どうして温かい空気や冷たい空気を作るの?」



「ライカ、湿った暖かい空気の塊である雲を急激に冷やすと雨になるのよ」



「どうして???」



「ライカ、見せてあげようか?」



俺はそう言うと水を作り出す。そしてどんどん温度を上げていく。

その上でユイが氷の天井を作り出す。



蒸発した湯気が天井に当たって冷やされ水になっていく。



「なにこれ、すごい!」



 まぁ、厳密には違うけどもまあイメージだから。



「あら、さっそく作れるなんて二人ともすごいじゃない」



「規模の小さいものですから。でも先生!一度実際に作ってみてもいいですか?」



 こうやって教わってものを実践してみるのもいつもの流れだ。



「いいけど、最初に言った通り天候を操る魔法は消費魔力も膨大よ。無理せず、少しずつ進めなさい」



「「わかりましたー!」」



 俺とユイは表に出て試すことにする。

 ライカはまだイメージが出来上がっていないため、もう少しエリン先生の話を聞くそうだ。





「じゃあユイ、やってみるか」



「そうだね」





 俺とユイは表に出て両手を高く掲げると、魔力を雲に変換するイメージで上空に打ち上げた。

 そして見える範囲のほとんどを覆いつくすほどの雲を作り出すと、さらに上空の気温を低く、雲の下は気温を高く設定した。



 この時点で結構な量の魔力が出ていくのを感じているが、なんというか、まだ魔力の底は見えない。どうやら日々の鍛錬で、上級魔術が使えるくらいには魔力量を手に入れているようだ。

 まだいけそうなので、引き続き魔力をどんどん使う。



 すると



 ポツポツと降り出した雨はすぐにザーザー降りの雨となった。



 そこで気づいてしまった。





 この魔法は、やばい。



 とんでもない魔法に手を出してしまったようだ。





 これ、例外なく魔法を使った者も……





 濡れますやん!



 なんてエセ関西弁が出てきそうなところで、ライカとエリン先生が出てきた。



「あらら、もうすっかり使いこなせているじゃない。ほんとあなた達は教え甲斐の無い生徒ね。フフフ」



「ボクもやってみたい!」

 というライカの言葉で、俺達は魔法を解除した。

 しかし解除しても一度できあがった雨雲は消えたりしない。



「ライカ、ちょっと待ってね。雨雲を散らすから」



 俺たちは引き続き同じポーズをしたまま、今度は雲を作ったりするための魔力ではなく、風を大規模に起こして雲を散らすように魔力を使った。まぁ、イメージは簡単。巨大なドライヤーだ。



「ちょっとあなた達、調子に乗って上級魔法を連発しないの!」



 雨雲を散らすのも上級魔法になるのか??

 まぁ、確かに規模でいうとさっきと一緒だからそういうものか。



 しかし、魔力に余裕はあるしやってしまう。

 見る見るうちに雨雲が散っていく。



「まったく、あなた達は魔力切れというものを知らないの?」



「魔力切れなら毎日ですよ?寝る前に魔力が尽きるまで使っています」



「なんですって??」



「魔力を使い果たすと、翌日に回復するとき少しだけ、前より多く使えるようになるから昔から続けてますよ」



「まったく。いつも言うように、あなた達の常識は世間の非常識なのよ。確かに小さい頃のほうが魔力の伸びはいいらしいという話もあるのだけれど、それでもあなた達の魔力量は常識外よ?」



 少し呆れながら言われましても……赤ん坊の頃は他にする事も出来る事もなかったんだし。



 とりあえず常人以上の魔力保有量にはなっているようだ。



「魔力量が多少多くても、使い方は教えて頂ければ。先生!」



「はいはい」



 だいたいいつもこんな感じで、教わってすぐ試して、先生の想定を超えてしまって、呆れられ、それでも引き続き教えてくれる。そんな毎日です。







 エリン先生にいろんな魔法を教わった。

 通常の属性魔法だけでなく、複数の属性を合成して使う魔法も教わった。

 今回の【水嵐ウォータースコール】もその一つだ。



 純粋なエルフの中でも、魔力に特化している一部の人は詠唱しなくても魔法を使えるらしい。

 エリン先生もその一人だった。そのおかげで、詠唱による魔力の自動変換で一定の威力にしかならないものが無詠唱だと調整できたりする。しかし、その分イメージ力が必要になるってところか。



 前世日本人の俺達からすれば、イメージって結構し易いものが多かった。


 エリン先生に教われたのは俺達にとって幸運だった。



 また、エリン先生には魔法陣の成り立ちについても教わった。

 魔法陣とは、詠唱の代わりをするようなものだという認識は大体あっていた。



 それ以外にも、複雑な魔法の場合は魔法陣で補助するような使い方もされているようだ。

 一応、それらについても簡単には教わったが、その辺はエリン先生も専門外らしく詳しいところまでは知らないようだった。



 ちなみにエリン先生の話だと、通常の属性魔法以外には種族固有魔法がいくつかあるらしい。

 例えば、召喚魔法というのものは魔族が得意とする魔法らしくエリン先生にも使えないということだった。



 こうして、俺達は魔法のレベルを少しずつ上げて行ったのだ。

 もちろん、午前中には剣術のレベルを上げるために頑張った。




 そんな事を続けて2か月ほど。

 実はあれからまだアスラは帰宅していなかった。



 俺達が帰宅して2週間ほど経った頃、ギルドを通じて一通の手紙が届いた。



 内容は目的が達成できておらず、まだしばらくかかりそうだというものだった。

 それから半年だ。流石に心配にもなる。



 ということで、アスラ捜索をしようかとララと話をしていた時だった。

 アスラがひょっこり帰ってきたのだ。





 このタイミングで帰ってくるか?というタイミングだ。



 そこには、精霊都市シーマまで送ったはずのジーナとリンダの姿もあった。

「おかえりなさい父さま、二人を家まで送り届けたのでは?」



「もちろんそのつもりだったさ。しかしなぁ……」

 苦笑いしか出てこない。



「わたしたちの家がなかったのにゃ」

 リンダさん、なんですと?



「どういうことでしょうか?」

 アスラに説明を求める。もちろんララも同じように疑問に思っている。



「この子達がバリの町に行っている間に、獣族は大移動の時期になってしまった。この子達の親も一緒に行ってしまったらしいんだ」



「そうなの。私たち獣族は気温が高いのを嫌い温かくなると北へ移動するの」



「でも、だからって子供をおいて移動するなんてこと・・・」



「獣族では団体行動が鉄則にゃ。一人二人逸れたとしても団体が優先されるにゃ。人族は違うのかにゃ?」



「まぁそんなわけで俺達は精霊都市シーマから北へ追いかけて行ったわけだが」



「問題が起こったのですね?」



「そうだ。シーマから北へ行くと大山脈があるが、そこを抜けたあたりで大移動の目撃情報すら出てこなくなったんだ」



「獣族は人族とは違うルートをいくつも持っているにゃ。だから簡単には追いつくことができないにゃ」



「大移動のルートや目的地は族長が決めるため、毎年同じではないの」

 ジーナが補足をいれる。



「まぁ、そういう訳で追跡を一度断念、帰還したというわけだ」



「なるほど。帰還した理由は分かりました。で、ジーナとリンダは今後どうするんですか?」



「それなんだがな。獣族は冬が過ぎれば南下してくる。その時にまたシーマに戻ってくる保障はないが可能性はある。

 だからそれまでうちで面倒を見ようかと思う。……んだけど、ララどうかな?」

話の途中で慌ててララに許可を求めるアスラ。



「ええ、もちろん歓迎よ。アスラがそう決めたならそれでいいじゃない」



「これからお世話になります」

「お世話になるにゃ!」

 しっかりものの柴犬娘ジーナと適当主義の黒猫娘リンダが改めて挨拶した。



「人が多いほうが賑やかで楽しいよね!」

 俺達だって歓迎だ!





 翌日のことだった。

 俺たちがいつも通り剣術の稽古をしているとき。



「何してるにゃ?」



「見ての通り、剣術の稽古だよ」



「そういえば、船の上での動きは素人ではなかったね」



「まだまだ始めたばかりだから素人に毛が生えたくらいだよ」



「面白そうにゃ。ジーナ、わたちたちもするにゃ!」



「アスラさん、ご一緒してもいいでしょうか?」



「ああ、もちろんだ。じゃあ最初からしようか」



「え? 父さま、最初からですか?」

今日のメニュー半分くらいは消化したところですけど?



「そうだ。後輩にも優しくしてやらなきゃな!」





「「はーい」」

 本日の稽古が1,5倍の量になった。



 練習をはじめてすぐ、この二人が剣術に向いていることがわかった。

 俺達が少しずつ上達していくのに比べて、二人は一足飛びに上達している。



同じことをやっているのだからその違いがすぐに分かった。

アスラの教えをどんどん吸収していってる。



「うちの子と違ってお前たちは筋がいいな!」



「父さま、それは少々傷つきますよ……」



「ははは! 気遣ってほしいのか? そんな甘えがあるなら精進しなさい」



 ごもっともな正論でげす。



「「はーい」」



 人族よりも身体能力では上を行く獣族、こういう肉体的な動きは相性がいいらしい。

 このままではあっさり抜かれそうなので俺達も頑張らねば。





 午前中の稽古を終えて昼食。

 その後いつものように一本杉平原へ行こうとするとジーナとリンダがついてきた。



「ちょうどいい、子供たちに二人を紹介しようか」



 4人で一本杉平原までジョギングする。



 村のはずれにある一本杉平原に到着するとみんないた。

 そして船で一緒だったから知っているだろうけど、改めて紹介ししばらく家で預かることを説明した。



 グリン達4人に魔法を教えたりしていたが、今日からは6人に教えることになる。

 まぁ、遊び半分ではある。【照光シャイン】を使ったものがメイン。



 オリジナル魔法、ライトセーバー(パクリ)を使ってチャンバラしたり光を降らせるように使ったり。

 時には、前世の記憶から鬼ごっこやケイドロ、カゲフミなんかも教えてあげたりしていた。



 半分どころか、7割遊びだった。

 残りの3割はちゃんと基本属性魔法とかを教えているよ。

 ちなみに、ジーナもリンダも魔法は全くと言っていいほど素質はなさそうだ。



 脳筋特化なのが獣族なのかもね。言わないけど。

 まぁ、教えても数回チャレンジしてダメだったら魔力切れのため遊びに移行する。





 夕方になると俺とユイ、ライカは魔法のお勉強のため治療院へ向かう。

 今日はジーナとリンダもついてきた。

 が、翌日からは小難しいことでつまらないと言って来なくなった。
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