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13−2 再会
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「手先が器用なんだな。これも君が?」
子供たちにレース編みを教えていれば、アルヴェールが話しかけてきた。
手に持ったのは手本用のリボンだ。単調なデザインだが初心者には丁度良いもので、始める前に軽くジョアンナが作ったものだ。
「ジョアンナお姉ちゃんが、ぱって作ってくれたの」
「それはすごいな。この前拾ったハンカチも君が?」
「お恥ずかしいですが」
町でハンカチを拾いあった時、落としたハンカチもジョアンナが作ったものだった。
今も持っているかと聞かれて、町で落としたものとは違うハンカチを差し出す。アルヴェールはなぜかそれを手にして、じっと見つめた。そこまでまじまじ見られると恥ずかしいのだが。汚れていないか気になってくる。
「あの、なにか?」
「いや、素晴らしい出来だと思って。ハンカチに加護を与えるとは、珍しいな」
「かご? ですか?」
なんのことだろう。首を傾げると、アルヴェールは目を細めて、小さく笑う。
「気づいていなかったのだな」
「なんのお話でしょうか」
「誰かに渡すつもりの物だったのだろうか?」
「なぜそれを」
これは前にクリスティーンへ編んであげたハンカチだ。ジョアンナが持っていたハンカチを欲しがったので作ってあげたのだが、やはりいらないと突き返されてしまった。それで仕方なく自分で使用している。自分自身で作ったものを使うが、これに限っては自分のために作ったものではない。
「気持ちを込めて作ったのだろう。温かさを感じる。特異な能力だな。知らず魔法を使っているのだろう」
「私がですか?」
「君が作った物ならば、効果が出ることだろう。病気になりにくいとか、体調がよくなるとか、怪我が少ないとか、なにかしらの影響があるはずだ」
「まさか、そんな。私にはそんな力は」
「間違いない。たまにいるんだ。女性は魔力を測ったりしないから、気づかず魔法を使えてしまう人が。それでも、とても珍しい力になるが」
信じられない。そんな力があるなど。
けれど、祖母がジョアンナの作ったものを持つと気分が良いと言ってくれたことがあった。あの時は褒め言葉だと思っていたのだが、本当にそんな効果があったのだろうか。
「作ったものに、それも日常的に使うようなハンカチに加護を施す人は初めて見た。普通は魔道具などの宝石にいれるものだから。ハンカチを作って、気分が悪くなったりしたことは?」
「そんなことは。集中しすぎて疲れることはありますが、一枚二枚作ったところで、特には」
「よければ、魔力を測定したらどうだ? その力を伸ばせれば、もっと力のある加護を作れるだろう。魔法を学んだことはないのだろう?」
「ありません。そんなこと。伸ばすことなんてできるんですか?」
「それはもちろん。魔法の才能があるのだから、当然だ」
アルヴェールは大きく頷くが、ジョアンナはすぐには信じられなかった。そんな力があるなど、考えたこともない。作っているものに加護があるならば、あれもこれも、製作したなにもかもということになる。他人のためにと言うならば、店で売った商品すべてになってしまうだろう。にわかには信じられない。
「学べば強い加護をかけることができる。今よりもはっきりと。そうであれば、加護だけでなく治療も可能だろう」
「治療……」
治療が必要な人が思い浮かんで、ジョアンナはぎゅっと手を握りしめた。
(クリスティーンの傷を、治せるのかしら)
治療できるのならば、学びたいとも思う。けれど、学んだところで、母親が治療などさせない気もした。ジョアンナがなにかしようとすれば、母親は大きく罵るだろう。ジョアンナを信じるはずがない。ジョアンナがクリスティーンを傷つけたと思っている限り。
それに、魔法を学べるのは貴族だけだ。それに加わればすぐに素性が知られるだろう。
ちらりと見やったアルヴェールは、無理強いはしないと引いてくれる。ジョアンナの希望を優先してくれるようだ。
「もし学ぶとしたら、言ってくれ。悪いようにはしない」
「ありがとうございます」
「おねえちゃん、続きは!」
子供に急かされて、その話は終わった。アルヴェールも剣を教えると、外へ出て行った。
(私に、魔法の才能)
だが、平民になることを望んだジョアンナが魔法を学ぶ姿など、到底想像することができなかった。
子供たちにレース編みを教えていれば、アルヴェールが話しかけてきた。
手に持ったのは手本用のリボンだ。単調なデザインだが初心者には丁度良いもので、始める前に軽くジョアンナが作ったものだ。
「ジョアンナお姉ちゃんが、ぱって作ってくれたの」
「それはすごいな。この前拾ったハンカチも君が?」
「お恥ずかしいですが」
町でハンカチを拾いあった時、落としたハンカチもジョアンナが作ったものだった。
今も持っているかと聞かれて、町で落としたものとは違うハンカチを差し出す。アルヴェールはなぜかそれを手にして、じっと見つめた。そこまでまじまじ見られると恥ずかしいのだが。汚れていないか気になってくる。
「あの、なにか?」
「いや、素晴らしい出来だと思って。ハンカチに加護を与えるとは、珍しいな」
「かご? ですか?」
なんのことだろう。首を傾げると、アルヴェールは目を細めて、小さく笑う。
「気づいていなかったのだな」
「なんのお話でしょうか」
「誰かに渡すつもりの物だったのだろうか?」
「なぜそれを」
これは前にクリスティーンへ編んであげたハンカチだ。ジョアンナが持っていたハンカチを欲しがったので作ってあげたのだが、やはりいらないと突き返されてしまった。それで仕方なく自分で使用している。自分自身で作ったものを使うが、これに限っては自分のために作ったものではない。
「気持ちを込めて作ったのだろう。温かさを感じる。特異な能力だな。知らず魔法を使っているのだろう」
「私がですか?」
「君が作った物ならば、効果が出ることだろう。病気になりにくいとか、体調がよくなるとか、怪我が少ないとか、なにかしらの影響があるはずだ」
「まさか、そんな。私にはそんな力は」
「間違いない。たまにいるんだ。女性は魔力を測ったりしないから、気づかず魔法を使えてしまう人が。それでも、とても珍しい力になるが」
信じられない。そんな力があるなど。
けれど、祖母がジョアンナの作ったものを持つと気分が良いと言ってくれたことがあった。あの時は褒め言葉だと思っていたのだが、本当にそんな効果があったのだろうか。
「作ったものに、それも日常的に使うようなハンカチに加護を施す人は初めて見た。普通は魔道具などの宝石にいれるものだから。ハンカチを作って、気分が悪くなったりしたことは?」
「そんなことは。集中しすぎて疲れることはありますが、一枚二枚作ったところで、特には」
「よければ、魔力を測定したらどうだ? その力を伸ばせれば、もっと力のある加護を作れるだろう。魔法を学んだことはないのだろう?」
「ありません。そんなこと。伸ばすことなんてできるんですか?」
「それはもちろん。魔法の才能があるのだから、当然だ」
アルヴェールは大きく頷くが、ジョアンナはすぐには信じられなかった。そんな力があるなど、考えたこともない。作っているものに加護があるならば、あれもこれも、製作したなにもかもということになる。他人のためにと言うならば、店で売った商品すべてになってしまうだろう。にわかには信じられない。
「学べば強い加護をかけることができる。今よりもはっきりと。そうであれば、加護だけでなく治療も可能だろう」
「治療……」
治療が必要な人が思い浮かんで、ジョアンナはぎゅっと手を握りしめた。
(クリスティーンの傷を、治せるのかしら)
治療できるのならば、学びたいとも思う。けれど、学んだところで、母親が治療などさせない気もした。ジョアンナがなにかしようとすれば、母親は大きく罵るだろう。ジョアンナを信じるはずがない。ジョアンナがクリスティーンを傷つけたと思っている限り。
それに、魔法を学べるのは貴族だけだ。それに加わればすぐに素性が知られるだろう。
ちらりと見やったアルヴェールは、無理強いはしないと引いてくれる。ジョアンナの希望を優先してくれるようだ。
「もし学ぶとしたら、言ってくれ。悪いようにはしない」
「ありがとうございます」
「おねえちゃん、続きは!」
子供に急かされて、その話は終わった。アルヴェールも剣を教えると、外へ出て行った。
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だが、平民になることを望んだジョアンナが魔法を学ぶ姿など、到底想像することができなかった。
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