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第十壱話 星龍
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晴明は自分の手札の少なさや索敵能力の無さを考えていた。
索敵があれば、奇襲や、敵の把握がわかる。
霊的濃度の違いが分かればもう少し危なげなく戦えるはず、実際爺が居なければやられていたし、晴明はあの男の子の力がわからなかったから尚の事焦っていた。
晴明はあの後土御門家にある蔵書を読み漁っていた。
「うーん都合良く新しい術何か手に入らないし、朱夏先生や爺はとりあえずインドラ様の術を極めろしか言わないしなあ、一芸に秀でるのは素晴らしいけど、僕は弱いから手札は欲しいよなあ」
パラパラと捲るが解決策は一向に見つからない。
ふと棚の隙間に一冊の本を見つける。
「何だろ?こんなのあったかな?」
その本はかなり古く、埃を被っていた。晴明は本の表紙の埃を払う。
「くちかな?この1番上の字?何だろ魔物の事でも書いてあるのかな?」
本を捲り中を読もうとするが、読めない、全く読めない。
「なんじゃこりゃ?蚯蚓が這ったような字だなあ。達筆とかの次元じゃないぞこれ」
本を閉じようとしてぐらりと視界が歪む
「ちょ・・これ、やばっ」
♢
真っ白い空間に晴明はいた。
「やあ初めまして、晴明君」
黒髪の男の子がいた。僕より年下の様に見えるのに物凄い威圧感を感じる。
「あの?此処は一体?」
「此処は現世と異界の狭間、次元界って処だよ、僕が君を呼んだんだよ。こないだはお話出来なかったからね」
「こないだ?ってまさかあの時の子!?いつのまに土御門の中に!?」
「あはは、怒らないでよ。あの時だって悪さする気は無かったんだよ、葛の葉が選んだ子である君が面白い運命を背負ってたから君を見に来たんだよ」
「葛の葉さんを知ってる?」
「ああ知ってるよ、安倍晴明の母であり君の守護者。数多の術を使う白狐。まあ、簡単に言えば伝説の存在だよね。それに君自身の中に有る巫力は並大抵の物じゃない、あの時の僕以上だよ。だけど術はインドラの物しか使えない、歪だよ」
「いっ歪かあ。インドラ様の術しか教わってないしなあ」
晴明は軽くショックを受けた。
「真言は君の胸の中にある」
胸を打つ、少年の言葉。
「えっ?」
「今はわからなくてもいつか分かるよ。君の悩みを解決できる素晴らしいアイデアがあるんだけど、聞く?」
「お願いします・・」
「素直なのは良いけど、君警戒心持とうね?まあそれは置いとくとして、自己紹介がまだだったね。僕の名前
月城悠、かつて異界に行った地球人さ」
「えっ!?あの異界って」
「んとねー鷹島さんが確か僕に言ってたんだよな、異世界転生、俺tueeeeee状態だったかな。話がそれたね僕と同行した魂がね、あー名前は言っちゃダメらしいんだけど君に興味?共感?があるみたいでさ。僕が来たって訳、今はまだあんまり干渉しない方が僕は良いと思うんだけどね」
「あっあの!爺が貴方を知ってたみたいなんだけど」
空気が一変し刺す様な痛さを覚える
「随分と懐かしいなあ。まあだけど今は関係ない。
早死にたくないなら僕の前であいつの話はやめろ。
君は今巫力を持て余して垂れ流してるだけだ。君の魂に巫術の使い方を刻んであげる。だけどいっぺんには力を使えないからね、君自身が強くならなきゃ意味がない。今回は君の指導役件お目付役を渡そうと思ってね」
「えっ?」
「土御門の連中に任せるだけじゃ、君の成長は望めないからね。来るべき日に僕と逢うまでに、君は生き残らなきゃいけない。さあおいで星龍」
月城悠の横の空間が歪み、銀色の髪、銀色の眼、白いワンピースを着た幼女が現れた。
「悠ー!!あっちに居なくなったと思ったらこっちに居たのじゃ!探したのじゃ!」
「ははは、ごめんね?空島さん達も心配してるよね?星龍にお願いがあるんだけど。晴明君を鍛えて欲しいんだよね」
星龍は晴明を観察し始める
「どれどれ~変な魂の奴が居るのじゃ!巫力に対して器が小さ過ぎるのじゃ?狐の神紋があるのじゃ、狐に教わればいいのに。何で妾なのじゃ?」
「こちらとあちらを行き来出来るのは僕より君の方が良いんだよ。それはわかるよね?僕はこちらでは居ない存在、居ない存在である僕が自由にするのはあまり良くないんだよ」
「うーんわかったのじゃ!悠の頼みだから聞いてやるのじゃ!おいそこの坊主、妾が鍛えてあげるのじゃ!最低でも鷹島や空島よりは強くならなきゃ許さないのじゃ!では先ずは悠の世界を案内するのじゃ!」
「観光も良いけど、星龍は力を使い過ぎたらダメだよ?星龍の力は世界そのものを壊しかねないんだから。あちらとこちらは違うからね、じゃあ晴明君星龍をよろしくね?一つ伝言を頼みたいんだ。土御門頭首にさ、借りは必ず返すってね」
月城悠は酷く悲しげな眼をしていた。
「借り?えっあはい、伝えますけど」
「晴明君、気をつけるんだよ。闇はいつ何処にでも現れる。僕が簡単に土御門に入れたみたいにね?」
「はい、あの悠さんは一体」
「君は葛の葉に選ばれた、僕は別の人に選ばれた。ただそれだけだよ」
そう言うと月城悠の横に黒い穴が空きその中に消えていった。
「のじゃ!それじゃ、先ずは坊主起きるのじゃ!」
「起きるって起きてるけど」
「違うのじゃ!あーめんどくさいのじゃ!せいっ!」
星龍の頭突きに寄り、一撃で意識を失う晴明。
「坊主は石頭なのじゃあああああ!」
索敵があれば、奇襲や、敵の把握がわかる。
霊的濃度の違いが分かればもう少し危なげなく戦えるはず、実際爺が居なければやられていたし、晴明はあの男の子の力がわからなかったから尚の事焦っていた。
晴明はあの後土御門家にある蔵書を読み漁っていた。
「うーん都合良く新しい術何か手に入らないし、朱夏先生や爺はとりあえずインドラ様の術を極めろしか言わないしなあ、一芸に秀でるのは素晴らしいけど、僕は弱いから手札は欲しいよなあ」
パラパラと捲るが解決策は一向に見つからない。
ふと棚の隙間に一冊の本を見つける。
「何だろ?こんなのあったかな?」
その本はかなり古く、埃を被っていた。晴明は本の表紙の埃を払う。
「くちかな?この1番上の字?何だろ魔物の事でも書いてあるのかな?」
本を捲り中を読もうとするが、読めない、全く読めない。
「なんじゃこりゃ?蚯蚓が這ったような字だなあ。達筆とかの次元じゃないぞこれ」
本を閉じようとしてぐらりと視界が歪む
「ちょ・・これ、やばっ」
♢
真っ白い空間に晴明はいた。
「やあ初めまして、晴明君」
黒髪の男の子がいた。僕より年下の様に見えるのに物凄い威圧感を感じる。
「あの?此処は一体?」
「此処は現世と異界の狭間、次元界って処だよ、僕が君を呼んだんだよ。こないだはお話出来なかったからね」
「こないだ?ってまさかあの時の子!?いつのまに土御門の中に!?」
「あはは、怒らないでよ。あの時だって悪さする気は無かったんだよ、葛の葉が選んだ子である君が面白い運命を背負ってたから君を見に来たんだよ」
「葛の葉さんを知ってる?」
「ああ知ってるよ、安倍晴明の母であり君の守護者。数多の術を使う白狐。まあ、簡単に言えば伝説の存在だよね。それに君自身の中に有る巫力は並大抵の物じゃない、あの時の僕以上だよ。だけど術はインドラの物しか使えない、歪だよ」
「いっ歪かあ。インドラ様の術しか教わってないしなあ」
晴明は軽くショックを受けた。
「真言は君の胸の中にある」
胸を打つ、少年の言葉。
「えっ?」
「今はわからなくてもいつか分かるよ。君の悩みを解決できる素晴らしいアイデアがあるんだけど、聞く?」
「お願いします・・」
「素直なのは良いけど、君警戒心持とうね?まあそれは置いとくとして、自己紹介がまだだったね。僕の名前
月城悠、かつて異界に行った地球人さ」
「えっ!?あの異界って」
「んとねー鷹島さんが確か僕に言ってたんだよな、異世界転生、俺tueeeeee状態だったかな。話がそれたね僕と同行した魂がね、あー名前は言っちゃダメらしいんだけど君に興味?共感?があるみたいでさ。僕が来たって訳、今はまだあんまり干渉しない方が僕は良いと思うんだけどね」
「あっあの!爺が貴方を知ってたみたいなんだけど」
空気が一変し刺す様な痛さを覚える
「随分と懐かしいなあ。まあだけど今は関係ない。
早死にたくないなら僕の前であいつの話はやめろ。
君は今巫力を持て余して垂れ流してるだけだ。君の魂に巫術の使い方を刻んであげる。だけどいっぺんには力を使えないからね、君自身が強くならなきゃ意味がない。今回は君の指導役件お目付役を渡そうと思ってね」
「えっ?」
「土御門の連中に任せるだけじゃ、君の成長は望めないからね。来るべき日に僕と逢うまでに、君は生き残らなきゃいけない。さあおいで星龍」
月城悠の横の空間が歪み、銀色の髪、銀色の眼、白いワンピースを着た幼女が現れた。
「悠ー!!あっちに居なくなったと思ったらこっちに居たのじゃ!探したのじゃ!」
「ははは、ごめんね?空島さん達も心配してるよね?星龍にお願いがあるんだけど。晴明君を鍛えて欲しいんだよね」
星龍は晴明を観察し始める
「どれどれ~変な魂の奴が居るのじゃ!巫力に対して器が小さ過ぎるのじゃ?狐の神紋があるのじゃ、狐に教わればいいのに。何で妾なのじゃ?」
「こちらとあちらを行き来出来るのは僕より君の方が良いんだよ。それはわかるよね?僕はこちらでは居ない存在、居ない存在である僕が自由にするのはあまり良くないんだよ」
「うーんわかったのじゃ!悠の頼みだから聞いてやるのじゃ!おいそこの坊主、妾が鍛えてあげるのじゃ!最低でも鷹島や空島よりは強くならなきゃ許さないのじゃ!では先ずは悠の世界を案内するのじゃ!」
「観光も良いけど、星龍は力を使い過ぎたらダメだよ?星龍の力は世界そのものを壊しかねないんだから。あちらとこちらは違うからね、じゃあ晴明君星龍をよろしくね?一つ伝言を頼みたいんだ。土御門頭首にさ、借りは必ず返すってね」
月城悠は酷く悲しげな眼をしていた。
「借り?えっあはい、伝えますけど」
「晴明君、気をつけるんだよ。闇はいつ何処にでも現れる。僕が簡単に土御門に入れたみたいにね?」
「はい、あの悠さんは一体」
「君は葛の葉に選ばれた、僕は別の人に選ばれた。ただそれだけだよ」
そう言うと月城悠の横に黒い穴が空きその中に消えていった。
「のじゃ!それじゃ、先ずは坊主起きるのじゃ!」
「起きるって起きてるけど」
「違うのじゃ!あーめんどくさいのじゃ!せいっ!」
星龍の頭突きに寄り、一撃で意識を失う晴明。
「坊主は石頭なのじゃあああああ!」
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