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第十二話 亜空
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意識を取り戻すとそこには、爺と楼閣がいた。爺は何故か弱々しい眼光を晴明に向けていた。
「戻って来たんやね、悠にあったんやろ?」
「あっはい、悠さんが土御門に借りは必ず返すって言ってました。僕には何の事かわからなかったけど」
それを聞いた楼閣の顔は酷く儚げだった。
「楼閣久々なのじゃ!」
突如星龍が晴明の側から飛び出した。
「これは星龍様、久々やねえ。どうしてこちらに?悠の差し金何やろうけど」
「妾は知らん!狐に任せるか、御主に直に鍛えさせればそれで足りる気がするのじゃ!だからこそ悠は妾に護れって事じゃな、意味はわかるじゃろ?」
楼閣と星龍が睨み合う。両者の間にバチバチと火花が散る。
「ーー晴明様、悠はその私を怨んでいましたか?」
爺は声を振り絞りながら聞いた。
「へっ?爺を?何で?「黙るのじゃ坊主それより先は踏み入る事を許さん、月城家のゴミが悠を語る事も許さん。然るべき裁きの時までそうして地に這いずっておれ」
星龍が冷たく言い放ち、爺を巨大な圧力で地面に押し倒していた。殺さんばかりの勢いで。
「ちょ!何を!」
晴明は慌てて爺の側へ行こうとするが、何か壁のような物に阻まれ近寄る事ができない。
楼閣は深くため息をついた。
「ふ~星龍様あんまり虐めんといてや。爺は下がらせるし、私の権限で爺には今後悠の事を話す事や、聞く事を禁ずる。これでええやろ?ほんま堪忍してや」
かけられた力が消えよろよろと立ち上がり、一度星龍に頭を下げて部屋を後にし去って行く爺を晴明は眺める事しか出来なかった。
「あっあのさ、僕には朱夏先生が居るし、爺にも鍛えて貰ってるから、お引き取りして頂けたらなんて」
晴明は小さい声で呟いた。
「ん~不満だと言うのか坊主の癖に。でもダメじゃ、御主の意思や意見は聞かぬ。その朱夏とやらを慕っているなら消しても良いんじゃぞ?」
ギロリと晴明を睨む。
「堪忍やって言うたやろ?今は星龍様や悠と事を構えたないねん。晴明君、これは大人の事情って奴や。勿論今まで通り、朱夏や爺に師事して構わんよ?それプラス星龍様に鍛えられる、これならええやろ?」
晴明と星龍の間に楼閣が割って入る。
「ダメダメじゃな。良しもう色々面倒じゃ、落ちよ」
星龍がそう言いパチンと指を鳴らすと晴明の足元に大きな穴が空き、重力に従い落ちて行く。
♢
楼閣は星龍の短絡的な行動を叱咤した。
「なっ!星龍様あんた何しとんのや!あの子は悠と会って自覚があるかはわからんが、かなり魂は消耗しとんのやで!?それを亜空に落とすなんて!何考えとんのや!」
「ええーだって妾鍛えるとかようわからんのじゃ、彼処で生き残るなら使える、死ぬならそこまでじゃ。妾に詳しく説明もせん悠が悪いのじゃ、でも怒られたくないから監督位はするのじゃ」
プクーッと頬を膨らます星龍
「いや監督って、もう亜空に落ちてしまったら私じゃ何もできんしなあ。何かあったら朱夏にどやされるなあ、あの子に怨まれるん私やん。」
朱夏に何と説明するかを頭の隅で考えつつ、星龍に質問をした。
「星龍様一つだけ教えて欲しいんですが、**様は今悠と共に?」
星龍の眉がピクリと動く
「それを聞いてどうするのじゃ?恋しくなったか?」
顔を赤くする楼閣
「ちっ違います!悠はこちらに戻って来るんですか?」
「どうじゃろうなあ、今回力を使い過ぎたからなあ。無理に顕現したり式神を使ったり、彼奴が力を貸して居るとは言え無茶し過ぎじゃ。身体にも魂にも相当な負荷がかかったはずじゃからな」
「そうです・・よね。世界をひょいひょい超えるなんて非常識な事出来るのは1人しかいませんよね」
「あの英雄なら簡単に出来るじゃろうな。知ってるか?あの英雄今は弟子が2人も居るらしいのじゃ!驚くじゃろ?」
「あの人の弟子なんて考えるだけで恐ろしいですね」
「楼閣御主だって妾が最後に見た時はちんまい御主がオネショを隠そうとあれこれしてたからの」
「ちょ!星龍様まだ覚えてたんですか!?」
「妾にとってはついこないだの出来事じゃ」
カラカラと笑う星龍、2人の間には先程までの緊迫感は無く、昔ながらの知己の様な雰囲気が漂う。
「異界の魔物がこちらに必要以上に溢れ始めているのは何故じゃ?」
「それは私にもわかりませんよ、何度星読みしても答えはでてきませんし」
「それは少し調べないといけな「晴明ー!飯だぞー!あり楼閣様じゃん!なんだこのチビ?」
「チッチビ!?妾をチビじゃと!?」
星龍がワナワナと肩を震わしている。
「悪い悪い、気に障ったかな?お嬢ちゃん、それで晴明は何処に」
「お前も落ちろおお!!クソガキいいい!!」
独を晴明と同じ亜空に叩き落とす星龍
「星龍様何ブチ切れとるん!?あの子まだ修行中も修行中の子やで!」
「五月蝿いのじゃ!無礼なクソガキは死んだら良いのじゃ!坊主に会いたいんじゃろ!?なら一石二鳥じゃろ!」
プリプリと怒る星龍に楼閣は呆れてしまう。
「はあ、変わりませんね。星龍様、何とか生き残るんやで2人共」
楼閣は亜空に落ちた2人の無事を祈る。
「戻って来たんやね、悠にあったんやろ?」
「あっはい、悠さんが土御門に借りは必ず返すって言ってました。僕には何の事かわからなかったけど」
それを聞いた楼閣の顔は酷く儚げだった。
「楼閣久々なのじゃ!」
突如星龍が晴明の側から飛び出した。
「これは星龍様、久々やねえ。どうしてこちらに?悠の差し金何やろうけど」
「妾は知らん!狐に任せるか、御主に直に鍛えさせればそれで足りる気がするのじゃ!だからこそ悠は妾に護れって事じゃな、意味はわかるじゃろ?」
楼閣と星龍が睨み合う。両者の間にバチバチと火花が散る。
「ーー晴明様、悠はその私を怨んでいましたか?」
爺は声を振り絞りながら聞いた。
「へっ?爺を?何で?「黙るのじゃ坊主それより先は踏み入る事を許さん、月城家のゴミが悠を語る事も許さん。然るべき裁きの時までそうして地に這いずっておれ」
星龍が冷たく言い放ち、爺を巨大な圧力で地面に押し倒していた。殺さんばかりの勢いで。
「ちょ!何を!」
晴明は慌てて爺の側へ行こうとするが、何か壁のような物に阻まれ近寄る事ができない。
楼閣は深くため息をついた。
「ふ~星龍様あんまり虐めんといてや。爺は下がらせるし、私の権限で爺には今後悠の事を話す事や、聞く事を禁ずる。これでええやろ?ほんま堪忍してや」
かけられた力が消えよろよろと立ち上がり、一度星龍に頭を下げて部屋を後にし去って行く爺を晴明は眺める事しか出来なかった。
「あっあのさ、僕には朱夏先生が居るし、爺にも鍛えて貰ってるから、お引き取りして頂けたらなんて」
晴明は小さい声で呟いた。
「ん~不満だと言うのか坊主の癖に。でもダメじゃ、御主の意思や意見は聞かぬ。その朱夏とやらを慕っているなら消しても良いんじゃぞ?」
ギロリと晴明を睨む。
「堪忍やって言うたやろ?今は星龍様や悠と事を構えたないねん。晴明君、これは大人の事情って奴や。勿論今まで通り、朱夏や爺に師事して構わんよ?それプラス星龍様に鍛えられる、これならええやろ?」
晴明と星龍の間に楼閣が割って入る。
「ダメダメじゃな。良しもう色々面倒じゃ、落ちよ」
星龍がそう言いパチンと指を鳴らすと晴明の足元に大きな穴が空き、重力に従い落ちて行く。
♢
楼閣は星龍の短絡的な行動を叱咤した。
「なっ!星龍様あんた何しとんのや!あの子は悠と会って自覚があるかはわからんが、かなり魂は消耗しとんのやで!?それを亜空に落とすなんて!何考えとんのや!」
「ええーだって妾鍛えるとかようわからんのじゃ、彼処で生き残るなら使える、死ぬならそこまでじゃ。妾に詳しく説明もせん悠が悪いのじゃ、でも怒られたくないから監督位はするのじゃ」
プクーッと頬を膨らます星龍
「いや監督って、もう亜空に落ちてしまったら私じゃ何もできんしなあ。何かあったら朱夏にどやされるなあ、あの子に怨まれるん私やん。」
朱夏に何と説明するかを頭の隅で考えつつ、星龍に質問をした。
「星龍様一つだけ教えて欲しいんですが、**様は今悠と共に?」
星龍の眉がピクリと動く
「それを聞いてどうするのじゃ?恋しくなったか?」
顔を赤くする楼閣
「ちっ違います!悠はこちらに戻って来るんですか?」
「どうじゃろうなあ、今回力を使い過ぎたからなあ。無理に顕現したり式神を使ったり、彼奴が力を貸して居るとは言え無茶し過ぎじゃ。身体にも魂にも相当な負荷がかかったはずじゃからな」
「そうです・・よね。世界をひょいひょい超えるなんて非常識な事出来るのは1人しかいませんよね」
「あの英雄なら簡単に出来るじゃろうな。知ってるか?あの英雄今は弟子が2人も居るらしいのじゃ!驚くじゃろ?」
「あの人の弟子なんて考えるだけで恐ろしいですね」
「楼閣御主だって妾が最後に見た時はちんまい御主がオネショを隠そうとあれこれしてたからの」
「ちょ!星龍様まだ覚えてたんですか!?」
「妾にとってはついこないだの出来事じゃ」
カラカラと笑う星龍、2人の間には先程までの緊迫感は無く、昔ながらの知己の様な雰囲気が漂う。
「異界の魔物がこちらに必要以上に溢れ始めているのは何故じゃ?」
「それは私にもわかりませんよ、何度星読みしても答えはでてきませんし」
「それは少し調べないといけな「晴明ー!飯だぞー!あり楼閣様じゃん!なんだこのチビ?」
「チッチビ!?妾をチビじゃと!?」
星龍がワナワナと肩を震わしている。
「悪い悪い、気に障ったかな?お嬢ちゃん、それで晴明は何処に」
「お前も落ちろおお!!クソガキいいい!!」
独を晴明と同じ亜空に叩き落とす星龍
「星龍様何ブチ切れとるん!?あの子まだ修行中も修行中の子やで!」
「五月蝿いのじゃ!無礼なクソガキは死んだら良いのじゃ!坊主に会いたいんじゃろ!?なら一石二鳥じゃろ!」
プリプリと怒る星龍に楼閣は呆れてしまう。
「はあ、変わりませんね。星龍様、何とか生き残るんやで2人共」
楼閣は亜空に落ちた2人の無事を祈る。
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