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第十九話 三王
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左上腕部が全く動かないが、晴明はさして気にする様子も無く汗を流しながら歩いていく。
「暑いですねえ、晴明さん忠告です。焦熱地獄、大焦熱、阿鼻地獄後3つあります。虹色は使わない方が良いですよ」
「ふうん」
「いやふうんじゃなくて・・・・左腕完璧に動かないでしょ? 残り三回で両腕や脚が使えなくなれば、閻魔様に認めて貰う前に塵になりますよ」
晴明達を見つめる三つの影
「あの子面白い! 実に面白い! 」
「肉体を持って地獄に来た魂なんて、左手は壊れてるのかしら? 気になるう! 」
「ーーー愉快」
面白いと手を叩きながら笑う祇園王。肉体に興味をもつ慈恩王。口数少なく笑う蓮華王。
「式鬼、獄卒以外誰か居るよ」
晴明は三王の神威に敏感に反応し辺りを見回す。
「えっそんな筈は? 」
「やっぱり君面白い! 良く気づいたねえ! 素晴らしい! 」
「様子見なんてしないで早く出れば良かったのよ」
「ーーーー名を教えて」
晴明は名を聞かれ一瞬悩んだが答えることにした。隠してもきっと暴かれるから。
「神宮寺晴明です」
「ーー晴明。これから宜しく」
「これから?」
晴明は訝しげに首をかしげる。
「貴方に力を貸してあげる、私達強いのよ? 」
「こっ困ります! これは閻魔様と悠様で決めた試練、三王が協力してしまったら試練の意味がなくなってしまいます! 」
式鬼が焦り三王に対し抗議をする。三王が出張ったら直ぐに終わってしまう、何よりまだ時間が早すぎるのだ。
「君を作る式の構成には興味があるが、何故邪魔をする? 何の権限で邪魔をする? 」
「ひっ祇園王様お許しください! ですがこの者を失わぬ為にも時間をかけ力をつけて頂くのが最良なのです! 」
「力ねえ巫力は有り余ってるけど、左腕もう感覚無いでしょ? 使い方がダメねえ」
慈恩王は晴明の左腕を触り、術を刻んでいく。
「これで治るわよ。だけど術にはセーフティをかけたわ。封印しても、貴方直ぐに解いちゃいそうだから」
クスリと笑う慈恩王
「ーーーまだまだ弱い。武が足りない、心が足りないだから私達が力を貸してあげる」
三王は晴明を三角形の形で囲み、経を唱える。
「はあ、閻魔様に何て説明したらいいのやら」
式鬼はその光景を溜息をつきながら見守る。
「あっぐああああああ」
三王の力が雪崩の様に身体に入っていく。
「素晴らしい! 私達の力を受けて肉体が崩壊しないなんて! 何て素晴らしいんだ! 」
「凄いわね、私達これで少しの間力を貯め直さないとだわ」
「・・・・私達の力ほとんど吸収するなんて」
晴明の身体には、新たな力が宿る。
それは武の力、癒しの力、静の力
「式鬼、私達はもう行くわ。頼んだわよ? 」
「はあ、分かりましたよ」
「・・・・また会おう晴明」
「若君何れ終焉で会いましょう」
三王が消え、晴明と式鬼だけが残される。
「さあ立って下さい、行きますよ」
「うん、行こう」
焦熱地獄を歩くと獄卒達が亡者を虐げ下卑た笑いをしていた。亡者達は舌まで焼かれているため叫び声すらでない。
「顕現、武神具 鬼切丸」
九字神刀とは違い、金色の刀を手に持つ。
「顕現、静神」
静神で高ぶる感情を殺し、思考を研ぎ澄ます。
「破っ!! 」
一閃、並み居る獄卒達だけを纏めて横薙ぎに斬り裂く。
「凄い、これが三王の力の一端・・・」
式鬼は三王の力に恐怖していた。獄卒だけをその場から移動もせずに纏めて斬り裂いき、亡者達には傷一つつけない。
亡者達は獄卒が居なくなっても苦しみその場から動けない。
「次の地獄へ行こう、向かって来ない人達に僕は何もする気は無い」
「甘いですね、その甘さはいつか命取りになりますよ。次は大焦熱地獄です」
♢
「ここの亡者達は転生待ちの方もいらっしゃるので、関わらぬ様お願いします。ここは獄卒も少なく、多分晴明さんに関わって来ませんよ」
「何故? 」
「ここがそれだけ、過酷でデリケートな場所だからです。ここに来る罪人は先の地獄より更に罪が重い方々です、それ故に獄卒達も神経をとがらせています」
「転生待ちって? 」
「それは閻魔様に聞いてください、もっとも次の阿鼻地獄を抜けれたらの話ですが」
「次が最後って事は危険も段違いって事かな? 」
「段違いで済めば良いんですけどね、くれぐれも正気を失わないでくださいよ? 三王の力が有るとはいえ、反動も凄まじいんでしょ? 身体震えてますよ」
三王の力を使ってから、体力、気力は異常に減り、更に巫力も減り、晴明は今までにない程疲弊していた。
「大丈夫、頑張るよ。もしダメならそのまま逃げて良いから」
「当たり前ですよ我が身は悠様の物ですからね、勝手に失うわけにはいかないんですから」
式鬼の軽口が少しだけ心地よかった。
「ありがとう、どうにかやってみるよ」
「暑いですねえ、晴明さん忠告です。焦熱地獄、大焦熱、阿鼻地獄後3つあります。虹色は使わない方が良いですよ」
「ふうん」
「いやふうんじゃなくて・・・・左腕完璧に動かないでしょ? 残り三回で両腕や脚が使えなくなれば、閻魔様に認めて貰う前に塵になりますよ」
晴明達を見つめる三つの影
「あの子面白い! 実に面白い! 」
「肉体を持って地獄に来た魂なんて、左手は壊れてるのかしら? 気になるう! 」
「ーーー愉快」
面白いと手を叩きながら笑う祇園王。肉体に興味をもつ慈恩王。口数少なく笑う蓮華王。
「式鬼、獄卒以外誰か居るよ」
晴明は三王の神威に敏感に反応し辺りを見回す。
「えっそんな筈は? 」
「やっぱり君面白い! 良く気づいたねえ! 素晴らしい! 」
「様子見なんてしないで早く出れば良かったのよ」
「ーーーー名を教えて」
晴明は名を聞かれ一瞬悩んだが答えることにした。隠してもきっと暴かれるから。
「神宮寺晴明です」
「ーー晴明。これから宜しく」
「これから?」
晴明は訝しげに首をかしげる。
「貴方に力を貸してあげる、私達強いのよ? 」
「こっ困ります! これは閻魔様と悠様で決めた試練、三王が協力してしまったら試練の意味がなくなってしまいます! 」
式鬼が焦り三王に対し抗議をする。三王が出張ったら直ぐに終わってしまう、何よりまだ時間が早すぎるのだ。
「君を作る式の構成には興味があるが、何故邪魔をする? 何の権限で邪魔をする? 」
「ひっ祇園王様お許しください! ですがこの者を失わぬ為にも時間をかけ力をつけて頂くのが最良なのです! 」
「力ねえ巫力は有り余ってるけど、左腕もう感覚無いでしょ? 使い方がダメねえ」
慈恩王は晴明の左腕を触り、術を刻んでいく。
「これで治るわよ。だけど術にはセーフティをかけたわ。封印しても、貴方直ぐに解いちゃいそうだから」
クスリと笑う慈恩王
「ーーーまだまだ弱い。武が足りない、心が足りないだから私達が力を貸してあげる」
三王は晴明を三角形の形で囲み、経を唱える。
「はあ、閻魔様に何て説明したらいいのやら」
式鬼はその光景を溜息をつきながら見守る。
「あっぐああああああ」
三王の力が雪崩の様に身体に入っていく。
「素晴らしい! 私達の力を受けて肉体が崩壊しないなんて! 何て素晴らしいんだ! 」
「凄いわね、私達これで少しの間力を貯め直さないとだわ」
「・・・・私達の力ほとんど吸収するなんて」
晴明の身体には、新たな力が宿る。
それは武の力、癒しの力、静の力
「式鬼、私達はもう行くわ。頼んだわよ? 」
「はあ、分かりましたよ」
「・・・・また会おう晴明」
「若君何れ終焉で会いましょう」
三王が消え、晴明と式鬼だけが残される。
「さあ立って下さい、行きますよ」
「うん、行こう」
焦熱地獄を歩くと獄卒達が亡者を虐げ下卑た笑いをしていた。亡者達は舌まで焼かれているため叫び声すらでない。
「顕現、武神具 鬼切丸」
九字神刀とは違い、金色の刀を手に持つ。
「顕現、静神」
静神で高ぶる感情を殺し、思考を研ぎ澄ます。
「破っ!! 」
一閃、並み居る獄卒達だけを纏めて横薙ぎに斬り裂く。
「凄い、これが三王の力の一端・・・」
式鬼は三王の力に恐怖していた。獄卒だけをその場から移動もせずに纏めて斬り裂いき、亡者達には傷一つつけない。
亡者達は獄卒が居なくなっても苦しみその場から動けない。
「次の地獄へ行こう、向かって来ない人達に僕は何もする気は無い」
「甘いですね、その甘さはいつか命取りになりますよ。次は大焦熱地獄です」
♢
「ここの亡者達は転生待ちの方もいらっしゃるので、関わらぬ様お願いします。ここは獄卒も少なく、多分晴明さんに関わって来ませんよ」
「何故? 」
「ここがそれだけ、過酷でデリケートな場所だからです。ここに来る罪人は先の地獄より更に罪が重い方々です、それ故に獄卒達も神経をとがらせています」
「転生待ちって? 」
「それは閻魔様に聞いてください、もっとも次の阿鼻地獄を抜けれたらの話ですが」
「次が最後って事は危険も段違いって事かな? 」
「段違いで済めば良いんですけどね、くれぐれも正気を失わないでくださいよ? 三王の力が有るとはいえ、反動も凄まじいんでしょ? 身体震えてますよ」
三王の力を使ってから、体力、気力は異常に減り、更に巫力も減り、晴明は今までにない程疲弊していた。
「大丈夫、頑張るよ。もしダメならそのまま逃げて良いから」
「当たり前ですよ我が身は悠様の物ですからね、勝手に失うわけにはいかないんですから」
式鬼の軽口が少しだけ心地よかった。
「ありがとう、どうにかやってみるよ」
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