神紋が紡ぐ異界録

貝人

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第二十話 閻魔

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  阿鼻地獄又の名を無間地獄にたどり着くと、高さ8万由旬・8億キロメートルの七重の鉄の城に辿り着く。

「これが阿鼻地獄です。」

   城の周りは、7重に鉄条網で取り囲まれ、その周りに刀の林があり、四隅には、400キロメートル級の銅の番犬が居る。牙は剣、歯は刀の山、舌は鉄のムチ、すべての毛孔から猛火と臭い煙を噴き出して、鋭い眼光で亡者達を見張っている。

「獄卒は、全部で18人居ます」

  獄卒は64の眼を持ち、鍵のように曲がったむき出しの牙が生えている。
 
 「あの城に閻魔がいるの? 」

「閻魔様はあちらにいらっしゃいますが、先ずは獄卒達と戦わねばなりません、幸いにも番犬とは戦わなくて良いそうなので良かったですね」

「顕現 フツノミタマ」

「なっ⁉︎  晴明さん貴方一体何をする気何ですか⁉︎ 」

「武技 覇潰 」

  晴明は顕現させた、フツノミタマにありったけの巫力を注ぎ肥大化させ、「覇潰」と唱え一気に鉄の城目掛けて振り下ろした

  激震

  ついで轟音が辺りに響く

「何て事を! 」

  晴明は鉄城を叩き斬った。中に居る獄卒諸共に。

「ふう、ふう、閻魔は倒せなかった・・・・・・

  晴明はその場に倒れた。

「恐ろしい子供だ、悠様を彷彿させる。無茶苦茶な所がそっくりだ」

「彼が晴明か、いきなり城に挨拶も無く布都御魂で斬りつけるとはワシでも死ぬかと思ったぞ」

  晴明を肩に担ぎ笑う閻魔

「閻魔様! 」

「式鬼よ、かしこまらんで良いわ。三王めやたらに力をやりおってからに」

「閻魔様、私はどうしたら?」

「とりあえずワシの城に行くか」

「城は先程・・・・」

「直したわい、ワシの生活する場所だからな」

  城は既に元どおりになっていた。

「すっ凄い一瞬で元どおりだ・・・・」

  城の中には鉄のはたほこがあり、矛から旗が垂れて、炎がほとばしり、城内に満ちあふれていた。

  更に室内には、8万4千の鉄の蜂と大蛇が毒と火を吐いている。百千の雷のように咆哮し、鉄の雨を降らせてる。

「おい、晴明起きんか」

「こっここは・・・・」

「お前が潰した城の中じゃよ」

「じゃあ貴方が閻魔様? 」

「幼き身に数多の力を宿し、身体が耐えきれなくなっとるわい。悠の様に別の世界で身体が作り変えられた訳ではないから当然じゃがな」

「悠さんは身体を作り変えられているんですか? 」

「知らんかったのか?  悠は一度地球で死んでいる。その際物好きな異世界の神が、悠と後三人程異世界に連れて行っておる。本来輪廻の輪から外れる行いは認められないんだが、まあ特例じゃな」

「僕はどうして、こちらに? 」

「本当に何も説明せんかったのか、お前はその身を異界の神に狙われている。葛の葉の神紋を宿しておる。虹色の術や三王の力は本来過分な力じゃ」

「いかいのかみ? 」

「悠の行った世界とは異なる場所の神じゃ、混沌を是としているワシからしたら地獄よりも酷い世界じゃ」

「何故そんな神様が僕を・・・・」

「それはわからぬ、贄として欲しっているのか単純に好奇心か、ワシにはわからぬ。悠はここで力と心を鍛え、来るべき日に抗える様にしようとしてるみたいだがな」

「はっはあ」

「混沌とは恐ろしいものだ。晴明よ気をつけるんじゃ。どうしても儘ならぬ事があれば英雄を頼ると良い、この笛を吹けば一度だけ奴に助力を願える」

「英雄ですか?」

「そう英雄じゃ、英雄の力を持ってしても混沌に抗えるかはワシにもわからぬがな」

「ありがとうございます・・・」




「また亜空かよ!  悠さんもちゃんと説明くらいしてくれよなあ、いきなりなんだもんなあ」

「ふはははははは!  待っていたぞ!  我が弟子、独よ! 」

  黒髪ロングのスタイル抜群の和服の女性が刀を振り回しながら笑っていた。

「あっあの貴女は? 」

「空島華!  お前が待ち焦がれた師匠だ! 」

  奇妙なポーズをしながら刀を独に突き付けた。

「はじめまして?  空島さん・・」

「馬鹿者おおお!! 」

  空島華は独の頭を鞘で引っ叩いた。

「いてえ!  何するんですか、いきなり」

「私の事は師匠と呼びなさい」

  「はっはい・・・」

  それから独は、基礎体力を測ると言われ、ひたすら走らされていた。

「ひっひい、ひい」

「ペース上げてー!  ペース上げないとウルフに尻を噛まれるぞー! 」
 
  独の後ろには腹を空かせたウルフが居る。止まれば即ガブリ、だから必死で逃げていた。

「噛まれてたまるかあああああ」

「走り終わったら次は筋トレだからな! 一に体力、二に体力、三、四が無くて五に体力だ! 」
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