6 / 45
第一章
5話
しおりを挟む
5話
月が変わり、1日になった。毎月この日は全従業員参加のミーティングが行われる。そこで先月の売上の上位3人が発表された。1位は変わらずアリサ、そして私が2位になっていた。先月まで長い間2位をキープしていたユリは、あの暴力沙汰がお客様の間で噂になり売上をだいぶ落としたようだ。まぁ自業自得だから仕方ないけど。
売上の上位3人にはオーナーから特別ボーナスがもらえる。3位の時ももらっていたが、3位と2位ではだいぶ金額がちがうのだ。今からなにに使おうか、そればかり考えていたら、あっという間にミーティングは終わっていた。
開店準備のために控え室に向かう途中、アリサが声をかけてきた。
「おめでとう。アヤ頑張ってたもんね。」
「ありがとうございます。いつも1位のアリサに言われると複雑だけどw」
「アヤが本気出したら、ユリなんてすぐに追い抜けるのにってずっと思ってたよ。」
(自分を追い抜けるって言わないところがアリサのいいところで悪いところだよね。)
でも、強気のナンバーワンが私は結構好きだ。ユリのように男に媚びてお金を使わせるのではなく、男が自分からお金を使いたくなる女。彼女にはそんな強さがある。
「今月も頑張ろうね。」
「はい、がんばります。」
……そうは言っても、先月の売上が良かったのは毎週来てくれていたギルさんのおかげもあるだろう。それが期待できない今月はどうなるかは分からない。控え室でさっそく馴染みのお客様に売上2位になれた報告とこれからもよろしくと連絡を入れていく。
そういえばギルさんにもらった名刺ってどうしたっけ。名刺入れをあさると1つだけ英語で書かれたものを見つけた。でも、名前と会社名のようなものが書いてあるだけで、連絡先は書かれていなかった。
(まぁ連絡先が分かったところで、私から連絡されても嬉しくもないか。)
前回の来店の時、だいぶ大胆なことをしてしまった。さぞ下品な女だと思われているだろう。まぁそれを楽しんでしまった自分が悪いのだが。
開店の時間になり、次々と女の子たちがホールへ向かう。私も名刺をしまい、みんなの後につづいた。
1日は売上順位の発表があるとお客様も知っているので、それぞれの女の子たちの馴染みのお客様の来店が多い。私のお客様もたくさん来てくれて、おめでとうをたくさんいただいた。忙しくテーブルの間を行き来し、あっという間に閉店の時間が迫る。
馴染みのお客様をタクシーに乗せ、店の前で見送り、ふと振り返ると高級そうな外車がすぐ近くに止まった。見ると運転しているのはギルさんの運転手の佐々木さんだ。ということは…
すぐに扉が開き、ギルさんが降りてきた。今日は高そうなスーツをピシッと着こなしている。しかし、なんとなくいつもと様子がちがう。
「ギルさんいらっしゃいませ。今日はずいぶん遅い時間なんですね。」
するとギルさんではなく、一緒に後部座席から降りてきた秘書の田中さんが答えた。
「こんな遅くにすみません。どうしてもこちらに行きたいと社長がおっしゃるもので…。」
そう言いながら、時計をチラチラと確認している。私も時間を確認するともう閉店の時間を過ぎていた。
「そうだったんですか、でもすみません。時間が……。」
言いかけた私の手をギルさんが握る。
「アヤさんはアフターできますか?」
「アフターですか?このあと?」
アフターとはいわゆる店外デートのことだ。閉店後にキャバ嬢とお客様がカラオケに行ったり、さらに他のお店でお酒を飲んだり…。でもまたどうして私と?
見るとギルさんは、またあの犬のような瞳で私をみつめていた。
その顔が可愛いのは分かるんだけど……。
「私でいいんですか?」
「はい!アヤさんがいいんです!」
ここまで言われたら断る理由なんて思い浮かびません。
「わかりました。準備してくるので少しだけ待っててもらっていいですか?」
「はい、ずっと待ってます!」
なんか会うたびに犬っぽく見えてくる気がするのは、私の気のせいだろうか。彼の後ろに左右に揺れる尻尾がありそうだった。
店に戻り、準備を整えて戻ると、さっきと同じ場所にギルさんは立っていた。本当に飼い主を待つ犬みたいだ。
「じゃあ、行きましょうか。」
そう言う彼と一緒に車に乗り込んだ。
月が変わり、1日になった。毎月この日は全従業員参加のミーティングが行われる。そこで先月の売上の上位3人が発表された。1位は変わらずアリサ、そして私が2位になっていた。先月まで長い間2位をキープしていたユリは、あの暴力沙汰がお客様の間で噂になり売上をだいぶ落としたようだ。まぁ自業自得だから仕方ないけど。
売上の上位3人にはオーナーから特別ボーナスがもらえる。3位の時ももらっていたが、3位と2位ではだいぶ金額がちがうのだ。今からなにに使おうか、そればかり考えていたら、あっという間にミーティングは終わっていた。
開店準備のために控え室に向かう途中、アリサが声をかけてきた。
「おめでとう。アヤ頑張ってたもんね。」
「ありがとうございます。いつも1位のアリサに言われると複雑だけどw」
「アヤが本気出したら、ユリなんてすぐに追い抜けるのにってずっと思ってたよ。」
(自分を追い抜けるって言わないところがアリサのいいところで悪いところだよね。)
でも、強気のナンバーワンが私は結構好きだ。ユリのように男に媚びてお金を使わせるのではなく、男が自分からお金を使いたくなる女。彼女にはそんな強さがある。
「今月も頑張ろうね。」
「はい、がんばります。」
……そうは言っても、先月の売上が良かったのは毎週来てくれていたギルさんのおかげもあるだろう。それが期待できない今月はどうなるかは分からない。控え室でさっそく馴染みのお客様に売上2位になれた報告とこれからもよろしくと連絡を入れていく。
そういえばギルさんにもらった名刺ってどうしたっけ。名刺入れをあさると1つだけ英語で書かれたものを見つけた。でも、名前と会社名のようなものが書いてあるだけで、連絡先は書かれていなかった。
(まぁ連絡先が分かったところで、私から連絡されても嬉しくもないか。)
前回の来店の時、だいぶ大胆なことをしてしまった。さぞ下品な女だと思われているだろう。まぁそれを楽しんでしまった自分が悪いのだが。
開店の時間になり、次々と女の子たちがホールへ向かう。私も名刺をしまい、みんなの後につづいた。
1日は売上順位の発表があるとお客様も知っているので、それぞれの女の子たちの馴染みのお客様の来店が多い。私のお客様もたくさん来てくれて、おめでとうをたくさんいただいた。忙しくテーブルの間を行き来し、あっという間に閉店の時間が迫る。
馴染みのお客様をタクシーに乗せ、店の前で見送り、ふと振り返ると高級そうな外車がすぐ近くに止まった。見ると運転しているのはギルさんの運転手の佐々木さんだ。ということは…
すぐに扉が開き、ギルさんが降りてきた。今日は高そうなスーツをピシッと着こなしている。しかし、なんとなくいつもと様子がちがう。
「ギルさんいらっしゃいませ。今日はずいぶん遅い時間なんですね。」
するとギルさんではなく、一緒に後部座席から降りてきた秘書の田中さんが答えた。
「こんな遅くにすみません。どうしてもこちらに行きたいと社長がおっしゃるもので…。」
そう言いながら、時計をチラチラと確認している。私も時間を確認するともう閉店の時間を過ぎていた。
「そうだったんですか、でもすみません。時間が……。」
言いかけた私の手をギルさんが握る。
「アヤさんはアフターできますか?」
「アフターですか?このあと?」
アフターとはいわゆる店外デートのことだ。閉店後にキャバ嬢とお客様がカラオケに行ったり、さらに他のお店でお酒を飲んだり…。でもまたどうして私と?
見るとギルさんは、またあの犬のような瞳で私をみつめていた。
その顔が可愛いのは分かるんだけど……。
「私でいいんですか?」
「はい!アヤさんがいいんです!」
ここまで言われたら断る理由なんて思い浮かびません。
「わかりました。準備してくるので少しだけ待っててもらっていいですか?」
「はい、ずっと待ってます!」
なんか会うたびに犬っぽく見えてくる気がするのは、私の気のせいだろうか。彼の後ろに左右に揺れる尻尾がありそうだった。
店に戻り、準備を整えて戻ると、さっきと同じ場所にギルさんは立っていた。本当に飼い主を待つ犬みたいだ。
「じゃあ、行きましょうか。」
そう言う彼と一緒に車に乗り込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件
こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる