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第一章
5話
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5話
月が変わり、1日になった。毎月この日は全従業員参加のミーティングが行われる。そこで先月の売上の上位3人が発表された。1位は変わらずアリサ、そして私が2位になっていた。先月まで長い間2位をキープしていたユリは、あの暴力沙汰がお客様の間で噂になり売上をだいぶ落としたようだ。まぁ自業自得だから仕方ないけど。
売上の上位3人にはオーナーから特別ボーナスがもらえる。3位の時ももらっていたが、3位と2位ではだいぶ金額がちがうのだ。今からなにに使おうか、そればかり考えていたら、あっという間にミーティングは終わっていた。
開店準備のために控え室に向かう途中、アリサが声をかけてきた。
「おめでとう。アヤ頑張ってたもんね。」
「ありがとうございます。いつも1位のアリサに言われると複雑だけどw」
「アヤが本気出したら、ユリなんてすぐに追い抜けるのにってずっと思ってたよ。」
(自分を追い抜けるって言わないところがアリサのいいところで悪いところだよね。)
でも、強気のナンバーワンが私は結構好きだ。ユリのように男に媚びてお金を使わせるのではなく、男が自分からお金を使いたくなる女。彼女にはそんな強さがある。
「今月も頑張ろうね。」
「はい、がんばります。」
……そうは言っても、先月の売上が良かったのは毎週来てくれていたギルさんのおかげもあるだろう。それが期待できない今月はどうなるかは分からない。控え室でさっそく馴染みのお客様に売上2位になれた報告とこれからもよろしくと連絡を入れていく。
そういえばギルさんにもらった名刺ってどうしたっけ。名刺入れをあさると1つだけ英語で書かれたものを見つけた。でも、名前と会社名のようなものが書いてあるだけで、連絡先は書かれていなかった。
(まぁ連絡先が分かったところで、私から連絡されても嬉しくもないか。)
前回の来店の時、だいぶ大胆なことをしてしまった。さぞ下品な女だと思われているだろう。まぁそれを楽しんでしまった自分が悪いのだが。
開店の時間になり、次々と女の子たちがホールへ向かう。私も名刺をしまい、みんなの後につづいた。
1日は売上順位の発表があるとお客様も知っているので、それぞれの女の子たちの馴染みのお客様の来店が多い。私のお客様もたくさん来てくれて、おめでとうをたくさんいただいた。忙しくテーブルの間を行き来し、あっという間に閉店の時間が迫る。
馴染みのお客様をタクシーに乗せ、店の前で見送り、ふと振り返ると高級そうな外車がすぐ近くに止まった。見ると運転しているのはギルさんの運転手の佐々木さんだ。ということは…
すぐに扉が開き、ギルさんが降りてきた。今日は高そうなスーツをピシッと着こなしている。しかし、なんとなくいつもと様子がちがう。
「ギルさんいらっしゃいませ。今日はずいぶん遅い時間なんですね。」
するとギルさんではなく、一緒に後部座席から降りてきた秘書の田中さんが答えた。
「こんな遅くにすみません。どうしてもこちらに行きたいと社長がおっしゃるもので…。」
そう言いながら、時計をチラチラと確認している。私も時間を確認するともう閉店の時間を過ぎていた。
「そうだったんですか、でもすみません。時間が……。」
言いかけた私の手をギルさんが握る。
「アヤさんはアフターできますか?」
「アフターですか?このあと?」
アフターとはいわゆる店外デートのことだ。閉店後にキャバ嬢とお客様がカラオケに行ったり、さらに他のお店でお酒を飲んだり…。でもまたどうして私と?
見るとギルさんは、またあの犬のような瞳で私をみつめていた。
その顔が可愛いのは分かるんだけど……。
「私でいいんですか?」
「はい!アヤさんがいいんです!」
ここまで言われたら断る理由なんて思い浮かびません。
「わかりました。準備してくるので少しだけ待っててもらっていいですか?」
「はい、ずっと待ってます!」
なんか会うたびに犬っぽく見えてくる気がするのは、私の気のせいだろうか。彼の後ろに左右に揺れる尻尾がありそうだった。
店に戻り、準備を整えて戻ると、さっきと同じ場所にギルさんは立っていた。本当に飼い主を待つ犬みたいだ。
「じゃあ、行きましょうか。」
そう言う彼と一緒に車に乗り込んだ。
月が変わり、1日になった。毎月この日は全従業員参加のミーティングが行われる。そこで先月の売上の上位3人が発表された。1位は変わらずアリサ、そして私が2位になっていた。先月まで長い間2位をキープしていたユリは、あの暴力沙汰がお客様の間で噂になり売上をだいぶ落としたようだ。まぁ自業自得だから仕方ないけど。
売上の上位3人にはオーナーから特別ボーナスがもらえる。3位の時ももらっていたが、3位と2位ではだいぶ金額がちがうのだ。今からなにに使おうか、そればかり考えていたら、あっという間にミーティングは終わっていた。
開店準備のために控え室に向かう途中、アリサが声をかけてきた。
「おめでとう。アヤ頑張ってたもんね。」
「ありがとうございます。いつも1位のアリサに言われると複雑だけどw」
「アヤが本気出したら、ユリなんてすぐに追い抜けるのにってずっと思ってたよ。」
(自分を追い抜けるって言わないところがアリサのいいところで悪いところだよね。)
でも、強気のナンバーワンが私は結構好きだ。ユリのように男に媚びてお金を使わせるのではなく、男が自分からお金を使いたくなる女。彼女にはそんな強さがある。
「今月も頑張ろうね。」
「はい、がんばります。」
……そうは言っても、先月の売上が良かったのは毎週来てくれていたギルさんのおかげもあるだろう。それが期待できない今月はどうなるかは分からない。控え室でさっそく馴染みのお客様に売上2位になれた報告とこれからもよろしくと連絡を入れていく。
そういえばギルさんにもらった名刺ってどうしたっけ。名刺入れをあさると1つだけ英語で書かれたものを見つけた。でも、名前と会社名のようなものが書いてあるだけで、連絡先は書かれていなかった。
(まぁ連絡先が分かったところで、私から連絡されても嬉しくもないか。)
前回の来店の時、だいぶ大胆なことをしてしまった。さぞ下品な女だと思われているだろう。まぁそれを楽しんでしまった自分が悪いのだが。
開店の時間になり、次々と女の子たちがホールへ向かう。私も名刺をしまい、みんなの後につづいた。
1日は売上順位の発表があるとお客様も知っているので、それぞれの女の子たちの馴染みのお客様の来店が多い。私のお客様もたくさん来てくれて、おめでとうをたくさんいただいた。忙しくテーブルの間を行き来し、あっという間に閉店の時間が迫る。
馴染みのお客様をタクシーに乗せ、店の前で見送り、ふと振り返ると高級そうな外車がすぐ近くに止まった。見ると運転しているのはギルさんの運転手の佐々木さんだ。ということは…
すぐに扉が開き、ギルさんが降りてきた。今日は高そうなスーツをピシッと着こなしている。しかし、なんとなくいつもと様子がちがう。
「ギルさんいらっしゃいませ。今日はずいぶん遅い時間なんですね。」
するとギルさんではなく、一緒に後部座席から降りてきた秘書の田中さんが答えた。
「こんな遅くにすみません。どうしてもこちらに行きたいと社長がおっしゃるもので…。」
そう言いながら、時計をチラチラと確認している。私も時間を確認するともう閉店の時間を過ぎていた。
「そうだったんですか、でもすみません。時間が……。」
言いかけた私の手をギルさんが握る。
「アヤさんはアフターできますか?」
「アフターですか?このあと?」
アフターとはいわゆる店外デートのことだ。閉店後にキャバ嬢とお客様がカラオケに行ったり、さらに他のお店でお酒を飲んだり…。でもまたどうして私と?
見るとギルさんは、またあの犬のような瞳で私をみつめていた。
その顔が可愛いのは分かるんだけど……。
「私でいいんですか?」
「はい!アヤさんがいいんです!」
ここまで言われたら断る理由なんて思い浮かびません。
「わかりました。準備してくるので少しだけ待っててもらっていいですか?」
「はい、ずっと待ってます!」
なんか会うたびに犬っぽく見えてくる気がするのは、私の気のせいだろうか。彼の後ろに左右に揺れる尻尾がありそうだった。
店に戻り、準備を整えて戻ると、さっきと同じ場所にギルさんは立っていた。本当に飼い主を待つ犬みたいだ。
「じゃあ、行きましょうか。」
そう言う彼と一緒に車に乗り込んだ。
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