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第四章
39話*
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39話*
「まって…ギルっお願いっ…。」
もう何時間こうしているんだろう。帰ってきてからずっと彼の腕の中にいる。
「お願いだから…休ませてっ…んんっ。」
うつ伏せになった私の背中を彼の舌がなぞる。ギルが今どんな顔で私を抱いているのか分からないのが怖い。
「ごめん、なさっい…。許してっ…。」
魔王城に帰ってくるまで声をかけてもくれなかった。言い訳だと分かっていても、話さずにはいられない私に相槌すら打ってくれない。
「あぁっ…!んんっ、イヤっ…!」
もう何度目かも分からない、彼が私を貫く感覚。快感に仰け反る私に休むことなく腰を打ちつける。
「ギルっ、もうムリっ…んんっあぁっ!」
絶頂を迎えたまま、私は意識を失った。
* * *
目覚めると外はもう明るかった。ギルの寝室のベッドに寝ているのは私だけ。部屋には誰もいない。
ジャラッジャラッ…
裸のまま起きあがると手首の冷たい感覚と耳障りな音に驚いた。
「なにこれ?」
両手首には手錠似た枷が付いている。その鎖は長くベッドサイドの柱に繋がれていた。私の力ではびくともしない。
「失礼いたします。」
久しぶりに見るリリーさんの顔に安心感で涙が出てきた。
「リリーさん、ごめんなさい…私。」
「綾様…。本当にご無事で良かった。」
リリーさんの目もうるうると潤んでいた。嬉しさを噛みしめている間も、私が動くたびにジャラジャラと音が響く。
「あの…これなんなんですか?」
「魔王陛下の指示でございます。綾様はこの部屋から出ることはできません。お食事は私がお持ちします。洗面所までギリギリ届く長さですので、ご不便はないかと思います。」
「えっ?そんな…わざわざこんなことしなくても…。」
「申し訳ございません。こちらを外す鍵は陛下がお持ちですので、私にはどうすることも…。」
どうして何も云ってくれないんだろう。私に呆れてしまったのだろうか。
「ギルは怒ってますか?」
見たこともない冷たい顔を思い出す。なにを言っても、目を見てもくれなかった。
「陛下はほとんど寝ずに綾様を探しておられました。本当に心配しておいででした。」
彼の信頼を裏切ってしまったこと、心配をかけたこと、何度でも謝りたい。また涙が溢れてきた。
「どうか今はお休みください。少ししたらお食事をお持ちいたします。」
ひとりぼっちの部屋で私は横になった。手枷のせいで服を着ることすらできない。冷たい感覚がそのまま彼を裏切ってしまった証みたいだ。
「ごめんなさい。ギルの声が聞きたいよ。」
* * *
「綾様が目を覚まされました。」
聞きたかったはずの報告を聞いても、ギルは顔色ひとつ変えない。頷きを返しただけで、その顔は昔の奴に戻ったみたいだ。
「会いにいかねーのか?」
俺の言葉を無視して、黙々と書類を片付けていく。またアイツのせいで仕事の山ができた。いつもならそんなもの全部後回しにして飛んでいくくせに。
「今回はさすがに愛想が尽きたか?」
瞬間、部屋の温度が下がった気がした。最近ギルの魔力は絶好調だ。そこらへんの奴ならこの威圧感だけで倒れるかもしれない。
「ちょっと前までいつもそんな感じだったな。何をそんなにイライラしてるのか知らねーが、俺にキレても仕方ないだろ?」
「うるさい。」
空気がピリピリと肌に刺さる。アイツはギルのこんな顔知らないんだろう。どれだけコイツの性格が丸くなったかよくわかる。
「ローゼンフェルドじゃないが、そんなに嫌ならずっと鎖で繋いどけばいい。俺たちの手間も減る。」
「黙れ!」
窓ガラスにバリバリとヒビが入った。田中にまた怒られる。
「わかったよ…、さっさと仲直りでもなんでもしろ。いまのお前相当カッコ悪りぃぜ?」
「うるさい!そのくらい分かっている!」
あーあ、コイツが惚れた女に対してこんなにめんどくさい奴だとは知らなかった。
「まって…ギルっお願いっ…。」
もう何時間こうしているんだろう。帰ってきてからずっと彼の腕の中にいる。
「お願いだから…休ませてっ…んんっ。」
うつ伏せになった私の背中を彼の舌がなぞる。ギルが今どんな顔で私を抱いているのか分からないのが怖い。
「ごめん、なさっい…。許してっ…。」
魔王城に帰ってくるまで声をかけてもくれなかった。言い訳だと分かっていても、話さずにはいられない私に相槌すら打ってくれない。
「あぁっ…!んんっ、イヤっ…!」
もう何度目かも分からない、彼が私を貫く感覚。快感に仰け反る私に休むことなく腰を打ちつける。
「ギルっ、もうムリっ…んんっあぁっ!」
絶頂を迎えたまま、私は意識を失った。
* * *
目覚めると外はもう明るかった。ギルの寝室のベッドに寝ているのは私だけ。部屋には誰もいない。
ジャラッジャラッ…
裸のまま起きあがると手首の冷たい感覚と耳障りな音に驚いた。
「なにこれ?」
両手首には手錠似た枷が付いている。その鎖は長くベッドサイドの柱に繋がれていた。私の力ではびくともしない。
「失礼いたします。」
久しぶりに見るリリーさんの顔に安心感で涙が出てきた。
「リリーさん、ごめんなさい…私。」
「綾様…。本当にご無事で良かった。」
リリーさんの目もうるうると潤んでいた。嬉しさを噛みしめている間も、私が動くたびにジャラジャラと音が響く。
「あの…これなんなんですか?」
「魔王陛下の指示でございます。綾様はこの部屋から出ることはできません。お食事は私がお持ちします。洗面所までギリギリ届く長さですので、ご不便はないかと思います。」
「えっ?そんな…わざわざこんなことしなくても…。」
「申し訳ございません。こちらを外す鍵は陛下がお持ちですので、私にはどうすることも…。」
どうして何も云ってくれないんだろう。私に呆れてしまったのだろうか。
「ギルは怒ってますか?」
見たこともない冷たい顔を思い出す。なにを言っても、目を見てもくれなかった。
「陛下はほとんど寝ずに綾様を探しておられました。本当に心配しておいででした。」
彼の信頼を裏切ってしまったこと、心配をかけたこと、何度でも謝りたい。また涙が溢れてきた。
「どうか今はお休みください。少ししたらお食事をお持ちいたします。」
ひとりぼっちの部屋で私は横になった。手枷のせいで服を着ることすらできない。冷たい感覚がそのまま彼を裏切ってしまった証みたいだ。
「ごめんなさい。ギルの声が聞きたいよ。」
* * *
「綾様が目を覚まされました。」
聞きたかったはずの報告を聞いても、ギルは顔色ひとつ変えない。頷きを返しただけで、その顔は昔の奴に戻ったみたいだ。
「会いにいかねーのか?」
俺の言葉を無視して、黙々と書類を片付けていく。またアイツのせいで仕事の山ができた。いつもならそんなもの全部後回しにして飛んでいくくせに。
「今回はさすがに愛想が尽きたか?」
瞬間、部屋の温度が下がった気がした。最近ギルの魔力は絶好調だ。そこらへんの奴ならこの威圧感だけで倒れるかもしれない。
「ちょっと前までいつもそんな感じだったな。何をそんなにイライラしてるのか知らねーが、俺にキレても仕方ないだろ?」
「うるさい。」
空気がピリピリと肌に刺さる。アイツはギルのこんな顔知らないんだろう。どれだけコイツの性格が丸くなったかよくわかる。
「ローゼンフェルドじゃないが、そんなに嫌ならずっと鎖で繋いどけばいい。俺たちの手間も減る。」
「黙れ!」
窓ガラスにバリバリとヒビが入った。田中にまた怒られる。
「わかったよ…、さっさと仲直りでもなんでもしろ。いまのお前相当カッコ悪りぃぜ?」
「うるさい!そのくらい分かっている!」
あーあ、コイツが惚れた女に対してこんなにめんどくさい奴だとは知らなかった。
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