マイナス転生〜国一番の醜女、実は敵国の天女でした!?〜

塔野明里

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「リコリス…私が死んだら…お前はこの家を出なさい。きっとお前を大切にしてくれる人が現れるから…。私のことなんか忘れていいんだからね。」

 この国で、いや、この世界で。私の唯一の家族。大切なお祖母様の最後の言葉を聞いたのは私だけだった。

 私の血の繋がっている家族はお祖母様だけじゃない。本家の屋敷には父も兄も姉もいる。しかし、本当の意味で私の家族と呼べるのはお祖母様だけだった。そのお祖母様の危篤の報せを受けても、屋敷からは誰もやって来ない。

 はじめから期待なんてしていなかったけど…。私の失望はまたひとつ深くなっていく。

 ここはアスタリオ島国と呼ばれる小さな島国。資源の豊かなこの島国で一、ニを争う大貴族であるバーミリオン公爵家。
 この屋敷はそのバーミリオン公爵家の広大な屋敷…の裏山と呼ばれる山の中に隠されるように建つ別邸と呼ばれる小さな小さな屋敷。

 本来ならバーミリオン公爵家の先代婦人であるはずのお祖母様は私ひとりに見送られるなかで息を引き取った。

 その髪は75歳で亡くなるこのときまで、黒く美しい輝きを放っていた。

 * * *

 この国では、美人の基準がものすごく明確に決まっている。

 まず、髪は美しい金髪であること。金髪は太陽の祝福を受けてる証、さらに実った小麦の穂を思わせるような波打つ金髪ならなお良し。

 瞳の色は青。空と海の祝福の証であり、髪の色が多少くすんでいても、美しい碧眼なら両親は大喜びだ。

 そして最後に豊満な体。胸が大きくてお尻も大きいこと、それがこの国の理想の女性像。

 肌が綺麗だとか、声が美しいとか、そんなのは正直どうでもいい。この三つが揃っていたら、平民だって貴族に嫁ぐことも夢じゃない。なんて分かりやすい基準なんだろう。

 私は鏡にうつった自分の姿を眺める。太陽の祝福なんて欠片もない漆黒の髪。三つ編みをして寝てもほどいた途端に真っ直ぐに戻る直毛だ。

 瞳は真っ赤な暖炉の火種のような深紅。そして貧乳。肌は綺麗だけど、もう生まれてから17年間屋敷からほとんど出てないんだから当然だ。


 私、リコリス・バーミリオンはこの国で一番の醜女だ。多分。
 でも私はこの黒髪が好き。だってこれは大好きなお祖母様から譲り受けたもの。お祖母様が私の家族である証だから。

 それに…私はこの黒髪が懐かしい。違和感なんてない。
 だって私は日本人だったから。いきなり金髪に生まれ変わったら驚きと戸惑いしかなかったはず。

 私はこの国一番の醜女、そして前世の記憶を持つ転生者だ。
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