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1 夢かなー
しおりを挟むなんか、気がついたら森の中にいた。
(夢かなー、気を失ってるのかな。夢にしては匂いもあるし、やけにリアルだな)
とりあえず森の中の小道を歩いていると、ひときわ大きく立派な木があった。
ふと見上げると、その大木の枝の上で、淡いグレーのもふっとした毛並みの猫が、気持ち良さそうに寝そべっている。
(うお~っ! もふりてえ~~~)
猫は熟睡しているようで、時々耳と、だらりと垂れた右の後ろ足が小さくピクピクと動く。
(可愛すぎるだろ……。あの高さじゃ届かん。もふるのは無理だ。写真とっとこう)
ポケットからスマホを取り出し写真撮影……
……したら、シャッター音に驚いて目覚めた猫がバランスを崩し、枝から落ちそうになった!
猫は必死で両前足の爪を枝に引っ掛け、どちらかの後ろ足を枝に乗せようともがいてる。
でも、身体が左右に大きく揺れるばかりで枝の上には戻れそうにない。
ジタバタしているうちにぶら下がっている前足の力が尽きて、今はぎりぎり右前足一本でぶらりと宙吊りになっている。
(猫だから、ある程度は高いところから飛び降りても器用に着地するかもしれないけど、2メートル以上、中間着地点無しって高すぎるんじゃないか!?)
それに、自分で飛び降りるのと準備もなく落ちるのとではだいぶ違う。
(猫の身体能力にもそれぞれ差があって、生まれつき足腰が弱い子は低い所から飛び降りてもケガをするって聞いたこともあるしな……)
グレーの猫が枝から滑り落ちた瞬間に、そんな猫情報が頭をサッとよぎり、俺は猫が地面に落ちる前に受け止めようと、枝の下に駆け寄って両腕を広げ身構えた。
「大丈夫! 受け止めるから降りておいで!」
宙吊りになってる猫に声をかけるが、猫のパニックは止まらないらしく、激しく左前足と後ろ両足をばたつかせ続ける。
「うう、言ってもわからないよなあ…、俺が驚かせたからこんな事に……」
(あんなにもがいてたら落ちた時、枝に引っ掛けている右前足の爪が引っこ抜けてしまうかも!)
猫は爪に血管が通っている。人間でも爪がひっこぬけたら痛いに決まってるけど、猫はもっと痛いんじゃないだろうか。
「頼むから手を、いや、前足を枝から離して降りてきてくれ! 俺を信じて!!」
必死でそう叫ぶと、グレーの猫はピタッとバタつくのを止めて俺を見下ろした。
(うわあ、宝石みたいな淡い緑の目……)
見たこと無いけど翡翠ってこんな色かなあ、と俺はぼんやりしてしまう。
「絶対に?」
その緑の瞳の猫が俺に尋ねた。
「え?」
俺は間抜けな声で返答した。
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