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39 アダムと息子
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ティエラ母さんと、ユリウス父さんの第二子として生を受けて14年。
モニカ姉さんの幸せそうな結婚式が終わると、僕が帝都に行く日が近付いていた。
僕が皇太子となるために行くんだ。
その理由は、アダムおじさん、つまり、皇帝陛下には子供がいないし、今後も生まれてくる予定が全くないためだ。
最終的に決めたのは、僕の意思だ。
この決断をした時、ティエラ母さんには心配をかけたと思う。
でも、何故だかあの人を一人にしてはダメだと、ずっと思っていた。
ティエラ母さんも、ユリウス父さんも、ちゃんと僕の大切な両親なのだけど、アダムおじさんのことも両親と同じように思っていた。
その日はありがたいことに、僕を心配してくれたユリウス父さんが帝都まで一緒に来てくれることになった。
それには感謝しているのだけど、ティエラ母さんにこっそりと伝えた事はあった。
「父さんがいなくなる今のうちに、モニカ姉さんと義兄さんにゆっくり過ごさせてあげて」
新婚のお二人を邪魔する気満々だったから、すぐに母さんの雷が落ちることは目に見えていた。
数日かけて帝都入りし、皇宮では大勢の人の出迎えを受けて、いよいよだと気を引き締める。
父さんは“息がつまる”と騎士団の訓練所に行き、僕だけが初代皇帝アダムおじさんの執務室へ通されると、
「よく来たね、ルーファス」
御本人に穏やかな声で出迎えられた。
出会った時からずっと、既視感はあった。
アダムおじさんも、目を細め、懐かしむように僕の事を見ている。
「疲れているだろうけど、まずは、私の相棒を紹介させてほしい」
アダムおじさんの隣には、白くて大きな犬がいた。
執務室に犬?とは思ったけど、大人しく、かしこそうな印象ではある。
「この子の名前は、ジン。今は三歳だ。よければ、忙しい私の代わりに君がパートナーになってあげてくれないかな?」
ジンは、ゆっくりとした足取りで僕の横に立った。
そこは、左足の横側で、何故だか安心する立ち位置だった。
アダムおじさんに会った時と同じような既視感がある。
「よろしくね、ジン」
声をかけると、僕を見上げて、フサフサの尻尾をパタリと振った。
「チェロは好き?」
しばらくジンを眺めていると、再びアダムおじさんから声をかけられた。
おじさんは、僕と話したくて堪らないといった様子だ。
「はい。勉強の合間の息抜きに演奏する程度ですが、やめられそうにはありません」
「私が贈った物を、ずっと使ってくれているそうだね」
「はい。僕の宝物です」
「ありがとう。これから、学ばなければならない事は山ほどあるけど、それでも君にはここで自由に過ごしてほしいと思っているよ。あまり窮屈な生活は強いたくはない。大人になれば、嫌でも色んなことを背負わなければならないのだから」
「お気遣い、ありがとうございます。でも、自分で決めたことですから」
僕の言葉に、おじさんは眩しいものを見るように、微笑を浮かべて目を細めていた。
「君の部屋に案内しよう。ジンも好きな場所で過ごさせていいよ」
「では、一度下がらせていただきます」
ジンが案内するように動き出すから、後を追う。
今日、僕の人生の歯車が、大きく動きだす。
この先の人生で、僕が帝国を背負っていくことになるのだけど、皇太子時代は離れていても父さんと母さんが僕を守ろうとしてくれたし、アダムおじさんがいつも見守ってくれていたから心強かった。
両親、アダムおじさんが亡き後は、モニカ姉さんとジョシュア義兄さんが僕の力になってくれた。
そして、僕の横にはいつもジンが。
ジンとは、何度も巡り会うことができた。
大きな責任を負っていたとしても、僕の生涯は満ち足りた、とても幸せなものとなっていた。
──────────────────
これで完結です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
設定の補足:『月白物語』(全部消えてしまってます)の第18話の内容で説明があったのですが、アダムが契約した神との制約のせいで、ローザンド帝国皇帝の実子が生まれてこないので、養子を迎える必要があります。その最初の養子となる子供がルーファスで、今後何代にも渡って、ユリウスとティエラの子孫が皇帝になります。
『オレがヒトになりたいと願ったワケは』でルゥとルミとジンの話を公開中ですので、よければどうぞ。
アダムと息子の意味は9話10話参照です。
わかりにくい話ですみません。
「私を処刑しようと~」→「逃走中~」→「狂王の娘」って言う流れの話が繋がってなさそうで、微妙に繋がっています。
それぞれは一応独立した話です。
モニカ姉さんの幸せそうな結婚式が終わると、僕が帝都に行く日が近付いていた。
僕が皇太子となるために行くんだ。
その理由は、アダムおじさん、つまり、皇帝陛下には子供がいないし、今後も生まれてくる予定が全くないためだ。
最終的に決めたのは、僕の意思だ。
この決断をした時、ティエラ母さんには心配をかけたと思う。
でも、何故だかあの人を一人にしてはダメだと、ずっと思っていた。
ティエラ母さんも、ユリウス父さんも、ちゃんと僕の大切な両親なのだけど、アダムおじさんのことも両親と同じように思っていた。
その日はありがたいことに、僕を心配してくれたユリウス父さんが帝都まで一緒に来てくれることになった。
それには感謝しているのだけど、ティエラ母さんにこっそりと伝えた事はあった。
「父さんがいなくなる今のうちに、モニカ姉さんと義兄さんにゆっくり過ごさせてあげて」
新婚のお二人を邪魔する気満々だったから、すぐに母さんの雷が落ちることは目に見えていた。
数日かけて帝都入りし、皇宮では大勢の人の出迎えを受けて、いよいよだと気を引き締める。
父さんは“息がつまる”と騎士団の訓練所に行き、僕だけが初代皇帝アダムおじさんの執務室へ通されると、
「よく来たね、ルーファス」
御本人に穏やかな声で出迎えられた。
出会った時からずっと、既視感はあった。
アダムおじさんも、目を細め、懐かしむように僕の事を見ている。
「疲れているだろうけど、まずは、私の相棒を紹介させてほしい」
アダムおじさんの隣には、白くて大きな犬がいた。
執務室に犬?とは思ったけど、大人しく、かしこそうな印象ではある。
「この子の名前は、ジン。今は三歳だ。よければ、忙しい私の代わりに君がパートナーになってあげてくれないかな?」
ジンは、ゆっくりとした足取りで僕の横に立った。
そこは、左足の横側で、何故だか安心する立ち位置だった。
アダムおじさんに会った時と同じような既視感がある。
「よろしくね、ジン」
声をかけると、僕を見上げて、フサフサの尻尾をパタリと振った。
「チェロは好き?」
しばらくジンを眺めていると、再びアダムおじさんから声をかけられた。
おじさんは、僕と話したくて堪らないといった様子だ。
「はい。勉強の合間の息抜きに演奏する程度ですが、やめられそうにはありません」
「私が贈った物を、ずっと使ってくれているそうだね」
「はい。僕の宝物です」
「ありがとう。これから、学ばなければならない事は山ほどあるけど、それでも君にはここで自由に過ごしてほしいと思っているよ。あまり窮屈な生活は強いたくはない。大人になれば、嫌でも色んなことを背負わなければならないのだから」
「お気遣い、ありがとうございます。でも、自分で決めたことですから」
僕の言葉に、おじさんは眩しいものを見るように、微笑を浮かべて目を細めていた。
「君の部屋に案内しよう。ジンも好きな場所で過ごさせていいよ」
「では、一度下がらせていただきます」
ジンが案内するように動き出すから、後を追う。
今日、僕の人生の歯車が、大きく動きだす。
この先の人生で、僕が帝国を背負っていくことになるのだけど、皇太子時代は離れていても父さんと母さんが僕を守ろうとしてくれたし、アダムおじさんがいつも見守ってくれていたから心強かった。
両親、アダムおじさんが亡き後は、モニカ姉さんとジョシュア義兄さんが僕の力になってくれた。
そして、僕の横にはいつもジンが。
ジンとは、何度も巡り会うことができた。
大きな責任を負っていたとしても、僕の生涯は満ち足りた、とても幸せなものとなっていた。
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これで完結です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
設定の補足:『月白物語』(全部消えてしまってます)の第18話の内容で説明があったのですが、アダムが契約した神との制約のせいで、ローザンド帝国皇帝の実子が生まれてこないので、養子を迎える必要があります。その最初の養子となる子供がルーファスで、今後何代にも渡って、ユリウスとティエラの子孫が皇帝になります。
『オレがヒトになりたいと願ったワケは』でルゥとルミとジンの話を公開中ですので、よければどうぞ。
アダムと息子の意味は9話10話参照です。
わかりにくい話ですみません。
「私を処刑しようと~」→「逃走中~」→「狂王の娘」って言う流れの話が繋がってなさそうで、微妙に繋がっています。
それぞれは一応独立した話です。
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