異世界 de ソウルコレクター

白水 翔太

文字の大きさ
2 / 72
プロローグ

神様たち?

しおりを挟む
「カイトさ――。いえ、獅童海人しどうかいとさんですよね?」

 なんだ。ここはどこだ? 俺は死んだんだよな。周りを見渡す。部屋の所々に白みがかった石造りの太い円柱があった。天井を見あげる。石造りのドーム状だ。細まった中央部から眩い光が降り注ぎ、俺にスポットライトを当てていた。
 ここは神殿か? 形からするとまるでギリシアのパンテオン神殿のようだな。まー行ったことないから適当だけど。

「あのー。聞いていますか?」

 どうやら俺は神殿の中央に立っているようだ。しかし、視線が……視線が痛いよ。なんせ十二人の人?に取り囲まれている。みなさん全身がキラキラと発光していて顔がよく見えないな。囲まれると学生時代の嫌な記憶を思い出すから止めてくれ。

「ここはどこ? あなたたちは誰?」

「ああ、良かった。我々はそうですね……。一般的には神と呼ばれる存在ですかね。ちなみに私の事はヴァルとお呼びください」

 十二人、いや十二神か。その中の一人が一歩前に出て俺に話しかける。神様の代表なのかな?

「そうですか。ヴァルさんね」
「驚かないんですね」

 淡白な俺の返事に神様の方が驚いていた。そりゃまあ、死んだのは理解しているし。

「そうするとここは天国?」
「いえ違います」

「地獄って思っていたのと違うな。そこのキラキラしている人達って神なんですよね。神って実は鬼だったとかいうオチですか?」

「し、失礼な!」
「アーリー! あなたは控えなさい」
「くっ……」

 一際ガタイの良いキラキラさんが声を荒げて俺に近づこうとした。が、ヴァル神が手を上げて制する。

「ここは地獄でもありません。神々の集う神域とでも呼べばいいでしょうか」
「神様の集会場ってところね」

「ま、まあそうですね。それと海人さん、あなたは死んではいません」
「えっ――。そうなの? なら何で俺はこんな所に」

「もうあの世界、地球ですか。そこに居る必要が無くなったからです」
「ほえ? 仰る意味が全く分かりません」

「うーん。なんと説明したら理解してもらえるでしょうか。そうですねえ、貴方には魂があります」
「まあ、そうだろうね」

 じゃないと肉体を失ったいまもここにいる理由が説明できないし。

「ただ、今の魂はとても不完全で小さいんですね」
「はあ」

 魂に大小なんてあったんだ。

「あなたの魂の核が砕けて、色々な世界に飛び散ってしまっているのです」
「え――。それって普通なの!?」

「いえ残念ながらとっても異常な事です。通常はその世界で全てが完結します。死んだら同じ世界で生まれ変わるだけです。何に生まれ変わるかは前世の行いによって決まります。神々が考課し処遇を決めています」

「天国と地獄には行かないということ? というか存在しない?」
「いや存在しますし、稀にあります。ただ、善悪どちらかに突き抜けている場合です」

 学生でいうと飛び級か落第みたいなもの? 若しくは会社のS判定とF判定みたいなものか。

「とりあえず、それについては置いておきましょう。いまは貴方の話ですからね」
「まあ、そうだよな。それで何で俺の魂の核が飛び散ってしまったんだ?」

「まあ、それも置いておいて話を進めましょう」
「置いておけるか!?」
 
 なんで魂とか砕けているんだよ。そこかなり重要なんですけど。個人的に。

「う……。じ、実はその理由は我々にもよくわかっていないのです」
「それでも神なの?」

「か、神だって格上の――」
「ヴァル!?」
 
 長身の神様がヴァル神を諫める。あれ? このヴァル神が一番偉いってわけでもないのかな。

「あ、いえ……。とりあえず話を戻しましょう。貴方は地球で魂の核の一部を取り戻すことに成功しました」
「なんすかそれ?」

 あ、いま気づいたけど俺って神様に対してタメ口きいてたよ。あまりの驚きに素になってたから忘れてました。しかもよく考えると神様が敬語だったりする。なんて罰あたりな。よく怒られないな。神様なので寛容なのかな。いまさら口調を変えても変だし、これで貫こう。

「どうやら御神木に宿っていたようですね。小さな赤い宝石のようなものが貴方の体に取り込まれたかと思います」
「ああ、あれがそうなのか。っていうか御神木だったのね、あのブナの木」

「ええ、お蔭で我々も貴方を見つけることができました」
「え? 俺を探していたの?」

「そうなのです。ずっと探していたのですが……。どの世界にいるのかさえわかりませんでした。それが今回、魂の核の欠片を初めて取り込まれことで我々にも感知できたのです」
「え、そうするとそれまでの俺の魂は? もしかして核が一切無かったとか?」

「そうまさに抜け殻とでもいうべきか――」
「俺の人生に対して失礼じゃね!?」

 大した人生じゃなかったけど、俺なりに精一杯生きてたのに。酷い。

「そ、それで貴方には別世界に転生して頂き、御自身の魂の核を全て回収してもらいたいのです」

「なぜそんなことをわざわざしなければ――」
「迷惑なんです」

 いま、そこだけ十二神全員が口を揃えなかったか?

「な、なにが?」

「貴方の核の欠片が憑りつくと莫大な力を得ることができます。しかし、ほとんどの者がその力を制御することができません。地球は御神木だったので本当に運が良かったのです。他の世界では憑りついた対象が暴走して大変なことになっているのです」

 今度は、ヴァル神の言葉に周りの神様たちがしきりに頷いていた。

「憑依した化け物みたいな扱いは止めて欲しいんだが。一応、俺の魂そのものなんだろ」

「ということで、次の世界に飛ばしますね」
「待て待て待て待て!!」

「はい? なんでしょう?」

 ヴァル神が不思議そうに首を傾げる。

「俺は最終的に何回異世界に転生しないといけないんだ」
「さあ、魂の欠片の数ですかね。その世界につき恐らく一つだと思いますが」

「んでその欠片は全部で幾つなんだ?」
「さあ、砕け散った大きさによっても変わりますし」

「それを全部集めると俺はどうなるんだ?」
「さあ、あなたのことはあなたにしかわからないです」

「ちょっと無責任すぎやしねーか!? それに異世界に行ってすぐに死んだらどうするんだ!」
「それは大丈夫だと思うのですが……」

「異世界に転生するんだよな。赤子なんだよな? 獣にでも襲われたらあっという間に死ぬと思うが」
「獣ごときじゃ大丈夫かと。あ、でもドラゴンとかに喰われると不味いかもしれないですね」

「おい待てよ!? 何だよその危険な世界は!」
「仕方ないですね。では幾つかスキルを授けましょう」

「儂は加護を授けてやろう」「俺も」「では私も」

 気づいたら神様に囲まれて体のあちこちを弄られていた。

「止めろよ! くすぐったいだろ! おい!? お前どさくさに紛れてどこ触っているんだよ!」

 神様にもゲイはいるのかよ。俺はそいつを睨みつける。

「失礼だな。俺はバイだ」
「黙れっ! いいからやめろぉおおお!」

「それでは検討を祈ります」
「え!?」

 ヴァル神は眩しいほどの笑顔だった。というかそもそも全身がキラキラしていたんだった。
 ああ、意識が薄らいでいく。くっ、それをいいことに奴が俺の股間を――。
 こうして俺は次の世界に転移した。


 海人が旅立った天界には再び静謐が戻っていた。

「なあ、全員の加護は流石に不味くなかったじゃろうか」

 長身の神様がぼそっと呟いた。他の神たちが「あっ」と小さく呟き、目を彷徨わせる。

「ま、まあ、彼だからいいんじゃないですか」

 ヴァル神が大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせていた。しかし、その額にはびっしりと汗を掻いていた。

「そ、そうじゃな……」

 神たちは必死に頷いていた。我々は悪くないと――。
 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...