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第一世界 ロージェン(さあ、魔王討伐だ!)
第二十二話 屋敷と船
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「ようこそ我が主、お待ちしておりました」
燕尾服の執事が片手を胸に添えて流麗なお辞儀をする。老齢の男性だが背筋はピンと伸びており、永年勤め上げて来たプロとしての貫禄が滲みでいていた。まあ、それ以外の何かも感じるが。
「悪いがまだ見に来ただけだ。ここを買うとは決めていない」
「いえいえ、主は必ずや買ってくださいます」
そう言って自らの後ろを指し示す。屋敷の前に使用人がずらりと勢ぞろいしていた。俺は何も言っていないのにもかかわらず、一人一人自己紹介を始めた。料理長に副料理長、メイド長と四人のメイド、庭師、そして二人の警備員。元締めの執事を合わせると総勢十一名の大所帯だ。
「使用人たちも路頭に迷わずに済んだことを、本当に喜んでいます」
旦那様ありがとうございます、とみな口を揃えて頭を下げる。おい、外堀を固めるな。そこまでされたら断りにくいじゃないか。
「なんだかんだ言って、カイトは甘いからにゃ~」
「そうね。でもそこがいいんだけどね」
「あれ~。とうとうルシアっちがデレた~?」
「なっ!? そんなんじゃないわよ!」
どうでもいいけど、キッと俺を睨むのは止めてくれ。言ったのはララだからな。でもそうだよな。こんな馬鹿でかい屋敷だ。確かに使用人が必要だよな。庭なんて広すぎて屋敷がどこにあるのかわからなかったくらいだ。逆に庭師一人で管理できるのだろうか。
「まあ、とにかく中を見せてくれ」
「畏まりました」
「うわぁぁあ、すごい!」
「これ、王族並みのしつらえにゃ」
うん、とっても広くて内装が豪華。すまん。こんな豪邸に住んだどころか足を踏み入れたこともないのでうまく表現できない。華美な煌びやかさはなく落ち着いた空間だ。しかし実はどれもこれも高級品だったというオチだろう。そんな気がする。
「この絵っていくら?」
試しに壁に掛かっている一枚の絵画の値段を聞いてみた。
「ええ、そちらは以前に故あってこの屋敷に暫くご滞在した旅の画家が描かれたものでございます。ですから値段はあってないようなものです。あえてつけるとしたら、そうですね……。五十万ジェンほどでございましょうか」
ほお、安くはないけど。そこまででもないか。いや待て。絵画に五百万日本円相当か。十分に高いな。なんか金銭感覚が麻痺してきているな。
「ちなみにその額縁は一角竜の鱗を削って作られたもので二千万ジェンの値打ちがございます」
額縁の方が遥かに高かった!? しかも他の絵も同じような額縁に飾られている。
「おい、おかしいだろ。ここの家財を全て足すと屋敷の値段はもっと高くなるんじゃないか」
「いえいえ、美術品の類はわたくし個人の所有物です。前の旦那様に許可を頂いて飾らしてもらっていたのです。ただのわたくしの趣味でございます」
やはりこいつはただ者ではなかったか。執事も完全に趣味でやっているだけだな。
「しかし、ここまで凄い屋敷とは想定外だったな」
「うん。これで二億ジェンなら買いよ!」
「ララも賛成~。部屋は三階の真南でいいにゃ。お昼寝、気持ち良さそうにゃ」
「別にどこを使っても問題ないだろう。寧ろ部屋が多すぎて迷いそうだ」
あれ、いま普通にララが住むことを受け入れていた。やばい、洗脳されてきたかも。
部屋の総数は四十を超えていた。しかも一つ一つの部屋がスイートルームなみの広さと豪華さだ。まるで避暑地の高級ホテルのようだ。しかも地下まであったよ。地下一階は倉庫、食材保管庫、ワイナリー。そして地下二階は闘技場……。エレベータも二つは見かけたぞ。この屋敷にはもう突っ込むのは止そう。見ているだけで疲れてきた。ちなみにダイニングはいわゆる貴族式の長テーブルだった。
「オラは猛烈に感動してるダ! 毎日こんなに美味しいものが食べられるなんて夢みたいダ!」
オーグよ、さっきから全然見かけないと思ったら、ここで餌付けされていたのか。
「料理長は以前、王都の高級レストランで総料理長をされていました」
公爵家の別荘といえど、なんでそんな大層なシェフがこんな所で隠居しているんだよ。
「私はプリスマの料理の虜になってしまいまして。この街に店を構えても良かったのですが……」
「彼は料理にはストイックでしてコストは度外視なのです。確かに料理は大変素晴らしい出来なのですが、いかんせん高級すぎてこの街では商売としては成り立たないのです」
あーいるよねー、そういう人。芸術家肌ってやつだな。公爵家ならいくら高くても問題がなかったと。
「どうだ。いい物件だろ。絶対に買いだぞ」
ああ、禿のオッサンの存在も忘れていた。こいつ付き添いで来ていたんだっけか。
「でもこれ維持費が相当かかるんじゃね?」
「うっ! そ、それは……」
「まず、人件費が年間二千万ジェンでございます。それに屋敷の補修費や光熱費、消耗品の類などの補充費でおおよそ五百万ジェンといったところでございましょうか。それ以外に食事代がかかりますが、これは主様のリクエストによって大きく変動します。なお、使用人の食事や私服は彼らの給与から支払われることになっております」
「まあ、そらそうだよな。食事をただにして好き勝手に飲み食いされたら破産してしまうわ」
しかし……。屋敷を維持するだけで年間二千五百万ジェン。やはり物凄い金食い虫だった。相続時に手放すのも納得だ。
「さすがにこれは買えないか」
「なにぃい!? おい、そんなこといわずにだな」
ギルマスが焦りだして手揉みをし始めた。いや、俺が居ればなんとかなるとは思うんだ。問題はいなくなった後だ。屋敷を無理に維持しようとして難易度の高いダンジョンや魔物に突っ込んでルシアたちが大怪我でもしたら目も当てられない。
「魔王を討伐すれば大丈夫にゃ」
「へ? そのこころは?」
「討伐を達成したパーティには年金が支給されるにゃ。それも年間一億ジェンにゃ。これで老後も安泰なのにゃ」
死ぬまで優雅な生活が保障されるようだ。日本円にすると一人頭で十億円相当だぞ。とんでもない金額だな。でもよくよく考えるとその程度は全然ありなのかもしれない。地球世界でも何処ぞの国はオリンピックで金メダルを取ると一生遊んで暮らせるというし。この世界を滅亡から救った救世主に対してなら安い出費なのかもしれない。
よし、これで俺の心は決まった。魔王さえ倒せばルシア達でも十分に維持ができるのだ。
「わかった。この屋敷を買おう」
「ほんとか!?」
「我が主、ご英断ありがとうございます」
「お前には後で色々と問いただしたいことがあるからな」
「よし、時間もないから次は船を見せてくれ。あ、でもここから海は離れているよな。もしかして今日は無理か?」
「問題ないぞ。船はここの湖に停泊させてあるからな。ちなみに湖から流れ出す大河を下っていけば海に出れる」
ああ、そういうことだったのね。
◇◇◇◇
「これが魔導船だ!」
「これまたでけーなおい」
桟橋に停泊している船舶の中で一二を争う大きさだった。モーターボートレベルを想像してたら、小型フェリーが来ちゃったよ。
「一個小隊が余裕で搭乗可能だからな。まーとにかく試乗してみてくれ!」
全員が乗り込むと船がゆっくりと動き出した。
「おー、駆動音がほとんど聞こえないな。揺れもほとんど感じないぞ」
「魔力が原動力だからだ。振動も魔道具で吸収している」
異世界って便利だよな。不都合は全て魔法が解決してくれる。
「で? どの程度までスピードが出るんだ?」
「お前らはルチオの街まで行くんだよな」
「ああそうだ」
「通常の乗り合いの船だとルチオまで四十日はかかる。高速船で二十日ってところだ。この魔道船は付属の魔石だけで高速船と同等のスピードが出るぞ。魔石をさらに買い足せばもっと速くなる。魔力を籠めてもいいがお薦めはしない」
「なぜだ?」
「例えばルチオの街まで二週間程度にまで短縮するとなると一日あたりMPを五百消費する。十日に短縮するとなると千だ。英雄レベルの魔法使いが交代で魔力を注ぎ込まない限り無理だな」
ほう、そうすると基本の魔石の魔力がMP千相当ということか、なら三千も補充すれば五日にまで短縮できるのか。俺は試しに魔力を少し籠めてみた。
「うぎゃぁあああ!?」
ギルマスがうるさい。あ、他の連中も悲鳴をあげていた。フェリーがモーターボートのようにウィリーして爆進したのだ。うーん、端からみたらすごい光景だろうな。
「うわぁぁあああ!」
あ、オーグが甲板から放り出されて湖に落ちた。そういえば豚って泳げたっけ? まあそんなことはどうでもいいか。さて、もう少し魔力を籠めてみようか。どうなるかな~。
「おー、風が気持ちいいなー」
「し、信じられん……」
「私達は驚かないよねー」
「カイトっちの非常識にはもう慣れたにゃ」
船が湖上を軽快に進む。いやー浮いちゃいました。あとそこ、失礼な事言わない。常識に囚われていたらイノベーションは生まれないぞ!
「しかし、これはもう船じゃなくて飛空艇と呼んだ方が良さそうだな」
水の抵抗が無くなったから一気にスピードも上がった。
「これなら一日もあれば目的地に着くにゃ。ルチオの街に寄る必要すらないにゃ」
確かに最短ルートで陸上を飛べるな。
「よし、この船も買った!」
「わ、わかったから……。さっさと降ろしてくれぇえええ!!」
ギルドマスターが甲板の手すりに必死に掴まりながら叫ぶ。両足はぶらんぶらんと揺れていた。
「おお、悪いね」
つい悪ノリしてしまった。船を水面に直角にして空高く飛ばしていたのだ。もはやロケット船だな。さてと、あとは屋敷に戻って契約書にサインか。いい買い物をした。
「だ、誰か! た、助けてけれぇええ!」
水面でバタバタと豚がもがいていた。やっべ、オーグのことすっかり忘れてたよ。今日はオフの日で良かった。装備をつけていたら今頃は湖底から大好物のプリスマの泳ぐ姿を見あげていたことだろう。
燕尾服の執事が片手を胸に添えて流麗なお辞儀をする。老齢の男性だが背筋はピンと伸びており、永年勤め上げて来たプロとしての貫禄が滲みでいていた。まあ、それ以外の何かも感じるが。
「悪いがまだ見に来ただけだ。ここを買うとは決めていない」
「いえいえ、主は必ずや買ってくださいます」
そう言って自らの後ろを指し示す。屋敷の前に使用人がずらりと勢ぞろいしていた。俺は何も言っていないのにもかかわらず、一人一人自己紹介を始めた。料理長に副料理長、メイド長と四人のメイド、庭師、そして二人の警備員。元締めの執事を合わせると総勢十一名の大所帯だ。
「使用人たちも路頭に迷わずに済んだことを、本当に喜んでいます」
旦那様ありがとうございます、とみな口を揃えて頭を下げる。おい、外堀を固めるな。そこまでされたら断りにくいじゃないか。
「なんだかんだ言って、カイトは甘いからにゃ~」
「そうね。でもそこがいいんだけどね」
「あれ~。とうとうルシアっちがデレた~?」
「なっ!? そんなんじゃないわよ!」
どうでもいいけど、キッと俺を睨むのは止めてくれ。言ったのはララだからな。でもそうだよな。こんな馬鹿でかい屋敷だ。確かに使用人が必要だよな。庭なんて広すぎて屋敷がどこにあるのかわからなかったくらいだ。逆に庭師一人で管理できるのだろうか。
「まあ、とにかく中を見せてくれ」
「畏まりました」
「うわぁぁあ、すごい!」
「これ、王族並みのしつらえにゃ」
うん、とっても広くて内装が豪華。すまん。こんな豪邸に住んだどころか足を踏み入れたこともないのでうまく表現できない。華美な煌びやかさはなく落ち着いた空間だ。しかし実はどれもこれも高級品だったというオチだろう。そんな気がする。
「この絵っていくら?」
試しに壁に掛かっている一枚の絵画の値段を聞いてみた。
「ええ、そちらは以前に故あってこの屋敷に暫くご滞在した旅の画家が描かれたものでございます。ですから値段はあってないようなものです。あえてつけるとしたら、そうですね……。五十万ジェンほどでございましょうか」
ほお、安くはないけど。そこまででもないか。いや待て。絵画に五百万日本円相当か。十分に高いな。なんか金銭感覚が麻痺してきているな。
「ちなみにその額縁は一角竜の鱗を削って作られたもので二千万ジェンの値打ちがございます」
額縁の方が遥かに高かった!? しかも他の絵も同じような額縁に飾られている。
「おい、おかしいだろ。ここの家財を全て足すと屋敷の値段はもっと高くなるんじゃないか」
「いえいえ、美術品の類はわたくし個人の所有物です。前の旦那様に許可を頂いて飾らしてもらっていたのです。ただのわたくしの趣味でございます」
やはりこいつはただ者ではなかったか。執事も完全に趣味でやっているだけだな。
「しかし、ここまで凄い屋敷とは想定外だったな」
「うん。これで二億ジェンなら買いよ!」
「ララも賛成~。部屋は三階の真南でいいにゃ。お昼寝、気持ち良さそうにゃ」
「別にどこを使っても問題ないだろう。寧ろ部屋が多すぎて迷いそうだ」
あれ、いま普通にララが住むことを受け入れていた。やばい、洗脳されてきたかも。
部屋の総数は四十を超えていた。しかも一つ一つの部屋がスイートルームなみの広さと豪華さだ。まるで避暑地の高級ホテルのようだ。しかも地下まであったよ。地下一階は倉庫、食材保管庫、ワイナリー。そして地下二階は闘技場……。エレベータも二つは見かけたぞ。この屋敷にはもう突っ込むのは止そう。見ているだけで疲れてきた。ちなみにダイニングはいわゆる貴族式の長テーブルだった。
「オラは猛烈に感動してるダ! 毎日こんなに美味しいものが食べられるなんて夢みたいダ!」
オーグよ、さっきから全然見かけないと思ったら、ここで餌付けされていたのか。
「料理長は以前、王都の高級レストランで総料理長をされていました」
公爵家の別荘といえど、なんでそんな大層なシェフがこんな所で隠居しているんだよ。
「私はプリスマの料理の虜になってしまいまして。この街に店を構えても良かったのですが……」
「彼は料理にはストイックでしてコストは度外視なのです。確かに料理は大変素晴らしい出来なのですが、いかんせん高級すぎてこの街では商売としては成り立たないのです」
あーいるよねー、そういう人。芸術家肌ってやつだな。公爵家ならいくら高くても問題がなかったと。
「どうだ。いい物件だろ。絶対に買いだぞ」
ああ、禿のオッサンの存在も忘れていた。こいつ付き添いで来ていたんだっけか。
「でもこれ維持費が相当かかるんじゃね?」
「うっ! そ、それは……」
「まず、人件費が年間二千万ジェンでございます。それに屋敷の補修費や光熱費、消耗品の類などの補充費でおおよそ五百万ジェンといったところでございましょうか。それ以外に食事代がかかりますが、これは主様のリクエストによって大きく変動します。なお、使用人の食事や私服は彼らの給与から支払われることになっております」
「まあ、そらそうだよな。食事をただにして好き勝手に飲み食いされたら破産してしまうわ」
しかし……。屋敷を維持するだけで年間二千五百万ジェン。やはり物凄い金食い虫だった。相続時に手放すのも納得だ。
「さすがにこれは買えないか」
「なにぃい!? おい、そんなこといわずにだな」
ギルマスが焦りだして手揉みをし始めた。いや、俺が居ればなんとかなるとは思うんだ。問題はいなくなった後だ。屋敷を無理に維持しようとして難易度の高いダンジョンや魔物に突っ込んでルシアたちが大怪我でもしたら目も当てられない。
「魔王を討伐すれば大丈夫にゃ」
「へ? そのこころは?」
「討伐を達成したパーティには年金が支給されるにゃ。それも年間一億ジェンにゃ。これで老後も安泰なのにゃ」
死ぬまで優雅な生活が保障されるようだ。日本円にすると一人頭で十億円相当だぞ。とんでもない金額だな。でもよくよく考えるとその程度は全然ありなのかもしれない。地球世界でも何処ぞの国はオリンピックで金メダルを取ると一生遊んで暮らせるというし。この世界を滅亡から救った救世主に対してなら安い出費なのかもしれない。
よし、これで俺の心は決まった。魔王さえ倒せばルシア達でも十分に維持ができるのだ。
「わかった。この屋敷を買おう」
「ほんとか!?」
「我が主、ご英断ありがとうございます」
「お前には後で色々と問いただしたいことがあるからな」
「よし、時間もないから次は船を見せてくれ。あ、でもここから海は離れているよな。もしかして今日は無理か?」
「問題ないぞ。船はここの湖に停泊させてあるからな。ちなみに湖から流れ出す大河を下っていけば海に出れる」
ああ、そういうことだったのね。
◇◇◇◇
「これが魔導船だ!」
「これまたでけーなおい」
桟橋に停泊している船舶の中で一二を争う大きさだった。モーターボートレベルを想像してたら、小型フェリーが来ちゃったよ。
「一個小隊が余裕で搭乗可能だからな。まーとにかく試乗してみてくれ!」
全員が乗り込むと船がゆっくりと動き出した。
「おー、駆動音がほとんど聞こえないな。揺れもほとんど感じないぞ」
「魔力が原動力だからだ。振動も魔道具で吸収している」
異世界って便利だよな。不都合は全て魔法が解決してくれる。
「で? どの程度までスピードが出るんだ?」
「お前らはルチオの街まで行くんだよな」
「ああそうだ」
「通常の乗り合いの船だとルチオまで四十日はかかる。高速船で二十日ってところだ。この魔道船は付属の魔石だけで高速船と同等のスピードが出るぞ。魔石をさらに買い足せばもっと速くなる。魔力を籠めてもいいがお薦めはしない」
「なぜだ?」
「例えばルチオの街まで二週間程度にまで短縮するとなると一日あたりMPを五百消費する。十日に短縮するとなると千だ。英雄レベルの魔法使いが交代で魔力を注ぎ込まない限り無理だな」
ほう、そうすると基本の魔石の魔力がMP千相当ということか、なら三千も補充すれば五日にまで短縮できるのか。俺は試しに魔力を少し籠めてみた。
「うぎゃぁあああ!?」
ギルマスがうるさい。あ、他の連中も悲鳴をあげていた。フェリーがモーターボートのようにウィリーして爆進したのだ。うーん、端からみたらすごい光景だろうな。
「うわぁぁあああ!」
あ、オーグが甲板から放り出されて湖に落ちた。そういえば豚って泳げたっけ? まあそんなことはどうでもいいか。さて、もう少し魔力を籠めてみようか。どうなるかな~。
「おー、風が気持ちいいなー」
「し、信じられん……」
「私達は驚かないよねー」
「カイトっちの非常識にはもう慣れたにゃ」
船が湖上を軽快に進む。いやー浮いちゃいました。あとそこ、失礼な事言わない。常識に囚われていたらイノベーションは生まれないぞ!
「しかし、これはもう船じゃなくて飛空艇と呼んだ方が良さそうだな」
水の抵抗が無くなったから一気にスピードも上がった。
「これなら一日もあれば目的地に着くにゃ。ルチオの街に寄る必要すらないにゃ」
確かに最短ルートで陸上を飛べるな。
「よし、この船も買った!」
「わ、わかったから……。さっさと降ろしてくれぇえええ!!」
ギルドマスターが甲板の手すりに必死に掴まりながら叫ぶ。両足はぶらんぶらんと揺れていた。
「おお、悪いね」
つい悪ノリしてしまった。船を水面に直角にして空高く飛ばしていたのだ。もはやロケット船だな。さてと、あとは屋敷に戻って契約書にサインか。いい買い物をした。
「だ、誰か! た、助けてけれぇええ!」
水面でバタバタと豚がもがいていた。やっべ、オーグのことすっかり忘れてたよ。今日はオフの日で良かった。装備をつけていたら今頃は湖底から大好物のプリスマの泳ぐ姿を見あげていたことだろう。
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絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
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