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8話 放課後
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「はぁ……」
机にぐでぇと力無く、いや半分溶けたような状態になって倒れ込む俺。昼休みだけでなくほかの小休憩の時間も質問攻めに受けた。
適当にはぐらかして置いた。取り敢えず、昨日道案内をしたと言う体にしておいた。
まぁ、実際は家に上げて、あまつさえ瑠魅の父親と口論じみた事やってたけど。
「お前、本当に暇だな」
「まぁな。言うて今日は冬華のところでバイトあるけどな」
如月 冬華。和菓子屋の看板娘とでも言っておこう。
誰とでも話せるコミュ力お化けってのも付け加えとくか。
あの店で働いてるのは何も、海斗だけじゃない。先輩も居れば後輩、同級生もいる。
ほとんど知人しか居ない町で高校生がバイトしてると言うならば、先輩か同級生か後輩しか居ないだろう。
「じゃあ帰ることを推奨するよ」
「そうしたいのは山々なんだがな?」
俺は体を起こして教室をぐるりを見渡した。
「誰も帰ってないな」
「そうなんだよ。理由は……分かるだろ?」
「はぁ……こういう時だけはすごい結束力だな」
時々コチラをチラッと見てくるあたり、俺の読みは当たってると思う。
チラチラとこっちを見てくる人達に敢えて視線を合わせる。
そうすると体をビクつかせて何も無かったかのように友達と会話し始めんだよ。
バレてないと思ってんだろ?バレバレなんですよ、はい!
件の瑠魅は、なんだかソワソワしていた。休み時間の時はあっちから来ていたからな。
俺が行った方が良いの?この視線の中で?
「バイトあんだろ?さっさと帰ってろ」
俺は重い腰をゆっくりと持ち上げて瑠魅の居る窓側に向かった。
ただ歩いてるだけなのに、すごい視線を感じるんだが?これが有名人の日常なのか?悪くねぇや。
「なぁ、瑠魅」
俺は瑠魅の机の前に立った。瑠魅も俺の視線に合わせようと顔を上げた。
「行くぞ、学校案内」
これ、気恥ずかしいったらありゃしねぇ。恥ずかしすぎてぶっきらぼうな言い方になっちまったし、顔が徐々に熱を帯びてきていやがる。
みんなの視線が集まるのが肌で感じる。これ、公衆の前で告白してる場面にそっくりだ。
まぁ、そんな度胸俺はないから実際はどうかは知らんけど。
「もっと早く来て欲しかったわ」
「っ……!」
そ、それは卑怯だろ!
俺の今の顔は、真っ赤なリンゴと遜色ないほど赤く染っていた、と思う。
だって、想像してみ。拗ねたように頬を少し膨らませて上目遣い。目もちょっと潤んでるんよ?
控えめに言って心臓が破裂する衝撃があった。
「じゃあ、行きましょ?」
「は、はい……」
スっと立ち上がって俺の手を引きながら瑠魅と俺は教室を出た。
俺が案内する側だよね?される側の絵図なんだけど?
「ちょぉおと待とか、瑠魅」
「ん?どうしたの?」
「これは、流石にさ。ね?」
さっきサラッと流したけどさ。俺、瑠魅と手繋いでたよ。こんなんで学校案内してたら、明日俺マジで殺されかねないぞ。
「嫌なの?」
「………嫌じゃないです、決して、はい」
俺の意気地なしがぁああ!!ん?でもよ。よく考えたら、最高やんけ!死ぬ前の褒美みたいに考えればさ!
「アホかっ!」
「っ!」
俺は壁に思い切り頭をぶつけた。別にドMとかじゃないからね?本当だよ?気持ち良かったとか、思ってないんだからね!
「さすがにダメだ。俺が死ぬ」
「…………そうなの?」
そんな悲しそうな目せんでよ。どうにかしてあげたくなっちゃうじゃんか!
「けど、良いわ。蓮翔が居ないと意味ないからね」
「ん?そうだろ?」
なんか知らないけど、丸く収まったようだ。………収まってるよね?
「じゃあ、気を取り直して学校案内をしようか」
「うん、お願い」
世間話をしながら学校を案内して行った。今日はまだ部活動が始まってないので、用事がない生徒以外は居ないので、あまり人とすれ違わなかった。
特になんの問題もなく学校案内は進んだ。と言うか、学校案内って言ってもどこにどんな教室があるとかぐらいしか無いからすぐに終わった。
「だいたい案内したし、今日はもう帰ろっか」
「そうね」
俺は自転車で通っているので駐輪場に移動した。
「瑠魅も自転車なの?」
「じてん、しゃ?」
「…………」
もう驚かないぞ。若干ズレているのは出会った時から知っていただろ。今更一回や二回常識が通用しなくても驚く必要は無い。
「えぇとね……自力で走る必要のある乗り物だよ」
「…………辛そうね」
何を想像したのかは分からないけど、ゾッとした様子だった。ありのままで伝えたんだけどな。
「乗ってみる?」
「………そうね。じゃあ失礼するわ」
「ん?そう?」
チラっと自転車の方を見てから意図の分からないことを言った。
多分乗りたいのだろうけど。
バッグに手を突っ込んで鍵を取り出す。何やかんやで鍵を抜くのが癖になっている。
鍵を取った俺は視線を瑠魅の居た場所に戻すも居なかった。次に自転車の方に視線を向ける。
すると、そこに瑠魅は居た。
「何をしてらっしゃるので?」
「ん?乗ってるのよ?」
「それは分かる。なぜ俺のチャリの荷台に?」
「効率的でしょ?」
あぁ……もう良いかな。多分、俺の常識を押し付ける事が烏滸がましいんだ。
こんな田舎なら二人乗りも許されるだろ。
「じゃあ、行こうか」
半分諦めた俺はチャリに跨って漕いだ。
机にぐでぇと力無く、いや半分溶けたような状態になって倒れ込む俺。昼休みだけでなくほかの小休憩の時間も質問攻めに受けた。
適当にはぐらかして置いた。取り敢えず、昨日道案内をしたと言う体にしておいた。
まぁ、実際は家に上げて、あまつさえ瑠魅の父親と口論じみた事やってたけど。
「お前、本当に暇だな」
「まぁな。言うて今日は冬華のところでバイトあるけどな」
如月 冬華。和菓子屋の看板娘とでも言っておこう。
誰とでも話せるコミュ力お化けってのも付け加えとくか。
あの店で働いてるのは何も、海斗だけじゃない。先輩も居れば後輩、同級生もいる。
ほとんど知人しか居ない町で高校生がバイトしてると言うならば、先輩か同級生か後輩しか居ないだろう。
「じゃあ帰ることを推奨するよ」
「そうしたいのは山々なんだがな?」
俺は体を起こして教室をぐるりを見渡した。
「誰も帰ってないな」
「そうなんだよ。理由は……分かるだろ?」
「はぁ……こういう時だけはすごい結束力だな」
時々コチラをチラッと見てくるあたり、俺の読みは当たってると思う。
チラチラとこっちを見てくる人達に敢えて視線を合わせる。
そうすると体をビクつかせて何も無かったかのように友達と会話し始めんだよ。
バレてないと思ってんだろ?バレバレなんですよ、はい!
件の瑠魅は、なんだかソワソワしていた。休み時間の時はあっちから来ていたからな。
俺が行った方が良いの?この視線の中で?
「バイトあんだろ?さっさと帰ってろ」
俺は重い腰をゆっくりと持ち上げて瑠魅の居る窓側に向かった。
ただ歩いてるだけなのに、すごい視線を感じるんだが?これが有名人の日常なのか?悪くねぇや。
「なぁ、瑠魅」
俺は瑠魅の机の前に立った。瑠魅も俺の視線に合わせようと顔を上げた。
「行くぞ、学校案内」
これ、気恥ずかしいったらありゃしねぇ。恥ずかしすぎてぶっきらぼうな言い方になっちまったし、顔が徐々に熱を帯びてきていやがる。
みんなの視線が集まるのが肌で感じる。これ、公衆の前で告白してる場面にそっくりだ。
まぁ、そんな度胸俺はないから実際はどうかは知らんけど。
「もっと早く来て欲しかったわ」
「っ……!」
そ、それは卑怯だろ!
俺の今の顔は、真っ赤なリンゴと遜色ないほど赤く染っていた、と思う。
だって、想像してみ。拗ねたように頬を少し膨らませて上目遣い。目もちょっと潤んでるんよ?
控えめに言って心臓が破裂する衝撃があった。
「じゃあ、行きましょ?」
「は、はい……」
スっと立ち上がって俺の手を引きながら瑠魅と俺は教室を出た。
俺が案内する側だよね?される側の絵図なんだけど?
「ちょぉおと待とか、瑠魅」
「ん?どうしたの?」
「これは、流石にさ。ね?」
さっきサラッと流したけどさ。俺、瑠魅と手繋いでたよ。こんなんで学校案内してたら、明日俺マジで殺されかねないぞ。
「嫌なの?」
「………嫌じゃないです、決して、はい」
俺の意気地なしがぁああ!!ん?でもよ。よく考えたら、最高やんけ!死ぬ前の褒美みたいに考えればさ!
「アホかっ!」
「っ!」
俺は壁に思い切り頭をぶつけた。別にドMとかじゃないからね?本当だよ?気持ち良かったとか、思ってないんだからね!
「さすがにダメだ。俺が死ぬ」
「…………そうなの?」
そんな悲しそうな目せんでよ。どうにかしてあげたくなっちゃうじゃんか!
「けど、良いわ。蓮翔が居ないと意味ないからね」
「ん?そうだろ?」
なんか知らないけど、丸く収まったようだ。………収まってるよね?
「じゃあ、気を取り直して学校案内をしようか」
「うん、お願い」
世間話をしながら学校を案内して行った。今日はまだ部活動が始まってないので、用事がない生徒以外は居ないので、あまり人とすれ違わなかった。
特になんの問題もなく学校案内は進んだ。と言うか、学校案内って言ってもどこにどんな教室があるとかぐらいしか無いからすぐに終わった。
「だいたい案内したし、今日はもう帰ろっか」
「そうね」
俺は自転車で通っているので駐輪場に移動した。
「瑠魅も自転車なの?」
「じてん、しゃ?」
「…………」
もう驚かないぞ。若干ズレているのは出会った時から知っていただろ。今更一回や二回常識が通用しなくても驚く必要は無い。
「えぇとね……自力で走る必要のある乗り物だよ」
「…………辛そうね」
何を想像したのかは分からないけど、ゾッとした様子だった。ありのままで伝えたんだけどな。
「乗ってみる?」
「………そうね。じゃあ失礼するわ」
「ん?そう?」
チラっと自転車の方を見てから意図の分からないことを言った。
多分乗りたいのだろうけど。
バッグに手を突っ込んで鍵を取り出す。何やかんやで鍵を抜くのが癖になっている。
鍵を取った俺は視線を瑠魅の居た場所に戻すも居なかった。次に自転車の方に視線を向ける。
すると、そこに瑠魅は居た。
「何をしてらっしゃるので?」
「ん?乗ってるのよ?」
「それは分かる。なぜ俺のチャリの荷台に?」
「効率的でしょ?」
あぁ……もう良いかな。多分、俺の常識を押し付ける事が烏滸がましいんだ。
こんな田舎なら二人乗りも許されるだろ。
「じゃあ、行こうか」
半分諦めた俺はチャリに跨って漕いだ。
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