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37話 頭痛
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「瑠魅はもう慣れてきた?この生活にさ」
「うん」
俺はいつも通り、瑠魅を荷台に乗せてチャリを漕いでいる。
もちろん、荷台がそのままだと痛いだろうから、クッションみたいなのを付けてはいる。
俺が器用ならもっと座り心地の良い荷台を作れるのかもしれないが、現状はこれが限界だった。
「あ、そうだ」
俺がそんなことを思っていると、後ろから声がする。どうやらなにか思い出したようだ。
「どうした?」
「今日、買い物」
「あ、確かに。でも、今朝冷蔵庫確認してないから何が無くて、何があるのかわかんねぇ」
俺らは週一で買い物をしている。親は基本的に家に居らず、金を置いて仕事に行ってるからな。
まぁ、もちろんの事だが親は俺が瑠魅と一緒に過ごしているのを知っている。最初は付き合ってるかどうかとか色々聞かれたが、事情を話した途端にそんな事を一切言わなくなった。
「写真撮ってあるから、大丈夫」
「お、ナイス」
俺はそれから少しだけスピード上げて、いつものスーパーへと向かった。
余談だが、俺がスピードを上げると瑠魅が更に俺と密着して来るので、何がとは言わないが当たるのだ。それはもう、ほんとに、はい。
役得?いえいえ、ただひたすらに最高なだけです。
…………………はぁ、俺って最低なヤツだな、おい。こんな無邪気な子相手になんてこと考えてんだよ……。一回死んだ方が良いかな?
「蓮翔、すぎてるわ」
「え?!ヤッバ!」
瑠魅が言ってくれなければ、あのまま家に直行していたぜ。
考え事をしていると周りが見えなくなるの、直した方が良いな。
「ありがと、瑠魅。考え事してて気付かなかった」
だが、何について考えてたのか、なんて言う質問は受け付けない、絶対にな。
「大丈夫?私で良ければ相談にのるけれど……」
「あ、全然全然。気にしないで良いよ」
あなたが当ててきているものについて考えてました、なんて言える度胸が俺にあるとでも?
そんなくだらないことを考えながら俺らはスーパーで買い物をすました。
~~~~
「暑くなってきたな……」
今はもう六月下旬だ。あと一週間で七月だ。しかし、来週には期末テストとか言うふざけたイベントも待っている。
「そう言えば……瑠魅って頭良いのか?」
都会から転校してきたと聞いたから勉強に関しては俺らよりも若干進んでいると勝手に思ってるんだが……実際はどうなんだろうな?
中間テストの時は点数を教えてくれなかったからな。先生に当てられた時はちゃんと答えられるから基礎知識はしっかりしているとは思うんだけど……あわよくば一緒に勉強したい。
同じ屋根の下に居るから、何馬鹿げたことをって思うかもだが、やはり勉強会って言うイベントにはそれ相応のハプニングがあると思うんだ。
あれ……そもそも瑠魅って中間テストの時から居たか………?
「うっ……!」
「ど、どうしたの!?」
俺がそんな事を考えた途端、急に頭に激痛が走る。
その痛みがあまりにも酷く、思わず座り込んでしまった。瑠魅にも心配をかけてしまったみたいだ。でも、そんな事を考えていられないほどに痛い。これはどう頑張っても耐えれそうにない程の痛みだ。
「頭が……かち割れそうだ……」
「………ごめん、なさい。本当に……ごめんなさい」
瑠魅が何か言った気がしたが俺はそんな事を気にする余裕すらなかった。俺はただひたすらにこの拷問のような頭痛を耐えるのに必死だった。気を抜いたら本当に死んでしまいそうな気がして……何とか意識を保つことだけに集中した。
そんな頭痛を受け続けるなか、俺の心を大切な何かが無くなったかのような虚無感が襲った。大事なものが抜け落ちていっているような気がして、不安や恐怖が俺の心を支配する。
「…………瑠、魅?」
「もう、無理しないで……」
「…………」
瑠魅が俺の頭を抱えるように抱きついてくる。
瑠魅のその一言は震えていたように聞こえた。
そんな事を考えていると、俺の頭の痛みはいつの間にか引いていた。少しクラクラするものの、さっきに比べれば断然楽だ。
ただ、一つだけ問題がある。それは瑠魅の胸が頭に当たっているという事だ。ついさっきまでは痛みとかで感じなかったその感触が伝わってくる。
「る、瑠魅。俺はもう大丈夫だからさ。一旦離れよ?な?」
「………もう少しだけ……ダメ?」
「…………好きなだけどうぞ」
そんな事を言われたらこういうしかないだろ?まぁ、俺的にも嬉しいところはあるんだが……。
俺は瑠魅のことが好きだ。だからこの恋心が暴走して変なことをしないようにと願うばかりだな。
……………この状況、かなり辛い闘いになりそうだぜ。
「うん」
俺はいつも通り、瑠魅を荷台に乗せてチャリを漕いでいる。
もちろん、荷台がそのままだと痛いだろうから、クッションみたいなのを付けてはいる。
俺が器用ならもっと座り心地の良い荷台を作れるのかもしれないが、現状はこれが限界だった。
「あ、そうだ」
俺がそんなことを思っていると、後ろから声がする。どうやらなにか思い出したようだ。
「どうした?」
「今日、買い物」
「あ、確かに。でも、今朝冷蔵庫確認してないから何が無くて、何があるのかわかんねぇ」
俺らは週一で買い物をしている。親は基本的に家に居らず、金を置いて仕事に行ってるからな。
まぁ、もちろんの事だが親は俺が瑠魅と一緒に過ごしているのを知っている。最初は付き合ってるかどうかとか色々聞かれたが、事情を話した途端にそんな事を一切言わなくなった。
「写真撮ってあるから、大丈夫」
「お、ナイス」
俺はそれから少しだけスピード上げて、いつものスーパーへと向かった。
余談だが、俺がスピードを上げると瑠魅が更に俺と密着して来るので、何がとは言わないが当たるのだ。それはもう、ほんとに、はい。
役得?いえいえ、ただひたすらに最高なだけです。
…………………はぁ、俺って最低なヤツだな、おい。こんな無邪気な子相手になんてこと考えてんだよ……。一回死んだ方が良いかな?
「蓮翔、すぎてるわ」
「え?!ヤッバ!」
瑠魅が言ってくれなければ、あのまま家に直行していたぜ。
考え事をしていると周りが見えなくなるの、直した方が良いな。
「ありがと、瑠魅。考え事してて気付かなかった」
だが、何について考えてたのか、なんて言う質問は受け付けない、絶対にな。
「大丈夫?私で良ければ相談にのるけれど……」
「あ、全然全然。気にしないで良いよ」
あなたが当ててきているものについて考えてました、なんて言える度胸が俺にあるとでも?
そんなくだらないことを考えながら俺らはスーパーで買い物をすました。
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「暑くなってきたな……」
今はもう六月下旬だ。あと一週間で七月だ。しかし、来週には期末テストとか言うふざけたイベントも待っている。
「そう言えば……瑠魅って頭良いのか?」
都会から転校してきたと聞いたから勉強に関しては俺らよりも若干進んでいると勝手に思ってるんだが……実際はどうなんだろうな?
中間テストの時は点数を教えてくれなかったからな。先生に当てられた時はちゃんと答えられるから基礎知識はしっかりしているとは思うんだけど……あわよくば一緒に勉強したい。
同じ屋根の下に居るから、何馬鹿げたことをって思うかもだが、やはり勉強会って言うイベントにはそれ相応のハプニングがあると思うんだ。
あれ……そもそも瑠魅って中間テストの時から居たか………?
「うっ……!」
「ど、どうしたの!?」
俺がそんな事を考えた途端、急に頭に激痛が走る。
その痛みがあまりにも酷く、思わず座り込んでしまった。瑠魅にも心配をかけてしまったみたいだ。でも、そんな事を考えていられないほどに痛い。これはどう頑張っても耐えれそうにない程の痛みだ。
「頭が……かち割れそうだ……」
「………ごめん、なさい。本当に……ごめんなさい」
瑠魅が何か言った気がしたが俺はそんな事を気にする余裕すらなかった。俺はただひたすらにこの拷問のような頭痛を耐えるのに必死だった。気を抜いたら本当に死んでしまいそうな気がして……何とか意識を保つことだけに集中した。
そんな頭痛を受け続けるなか、俺の心を大切な何かが無くなったかのような虚無感が襲った。大事なものが抜け落ちていっているような気がして、不安や恐怖が俺の心を支配する。
「…………瑠、魅?」
「もう、無理しないで……」
「…………」
瑠魅が俺の頭を抱えるように抱きついてくる。
瑠魅のその一言は震えていたように聞こえた。
そんな事を考えていると、俺の頭の痛みはいつの間にか引いていた。少しクラクラするものの、さっきに比べれば断然楽だ。
ただ、一つだけ問題がある。それは瑠魅の胸が頭に当たっているという事だ。ついさっきまでは痛みとかで感じなかったその感触が伝わってくる。
「る、瑠魅。俺はもう大丈夫だからさ。一旦離れよ?な?」
「………もう少しだけ……ダメ?」
「…………好きなだけどうぞ」
そんな事を言われたらこういうしかないだろ?まぁ、俺的にも嬉しいところはあるんだが……。
俺は瑠魅のことが好きだ。だからこの恋心が暴走して変なことをしないようにと願うばかりだな。
……………この状況、かなり辛い闘いになりそうだぜ。
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