余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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47話 泥沼

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「今日はいつもよりもひでぇ顔だな」

  姫乃との騒動が終わり、ついに月曜日を迎えた。だが、俺の心は異常なほどに沈んでいる。もちろん、今週テストがあるのもあるし、今が月曜日ってのもあるが……やはり、姫乃の件はかなり堪えた。

「朝から茶化すな。こっちはテスト以上に高い壁にぶち当たってんだよ」

「あら?もしかして、昨日の亮の言葉は真実だったのか?」

「ちげぇよ」

  土曜日は姫乃達との勉強をやり、日曜日には海斗と亮と陽斗の四人で勉強会をすると言うハードスケジュールだった。

  なんであんなに頑張ったんだよ、俺……。

「えぇ……てっきり蓮翔にも春が来たと思ったのによ」

「………有り得ねぇよ」

  咄嗟に否定しようとして姫乃の言葉がフラッシュバックする。姫乃のあの言葉が、あの顔が、あの想いが……あの時のことを思い出すと俺の心にさらに深く刺さり、更に抉られるような感覚さえある。

「今の間は、と聞きたいところだが、その深刻そうな顔を見るとかなり酷い状況にでも立たされてるのか?」

「そう、なのかもな……。俺が弱いからなのかもしれんな」

「まぁ、確かに蓮斗の記憶能力は貧弱だな」

「それは触れないでくれ」

「あ……ごめん」

  俺は海斗がこんなにも申し訳なさそうに謝るのを見たのは久しぶりだ。昔一度だけあった……気がするが、思い出せない。やはり俺の記憶能力は終わってるみたいだ。

「そろそろホームルーム始まるぞ?」

「あ、あぁ。そうだな」

  なんとも歯切れの悪い返事だ。なんでそんなにあんな事で気にするのか分からないが、もしかして俺の言い方がキツかったのかもしれない。後で一応謝った方が良いかもしれない。

「ふぅ……ハゲそう」

  ストレスの蓄積、一度に色んなことが起きてキャパオーバー寸前、自分に対する苛立ち。

  やることが多い分には良いが、多すぎるとやる気が無くなる。はっきり言って考える気力すら湧かない。

  若くしてハゲるのは嫌だが、こればかりはもうどうしようもない。

  こういう時は優先順位を決めてコツコツやる方が良い。

  ひとまずテストは置いておこう。あれは今更足掻いてどうにかなる品物じゃない。考えるだけ時間の無駄だ。まぁ、そもそもストレスの原因もキャパオーバー寸前なのも自分への苛立ちも全てあの一件が深く関わってるんだ。

「はぁ……言えるわけねぇだろ」

  俺は瑠魅のことが好きだ。恋は盲目と言うからかもしれないが、瑠魅の容姿も性格も能力も全てが俺のに最も近い。大袈裟に言うならば理想通り、というやつだ。もちろん、瑠魅が俺のことをそういう対象として見れない、と言うのであればこの恋は儚く散ることになるが……。

  ここで問題なのは姫乃の存在だ。俺的に姫乃は良き友人、親友と言っても過言では無い。だが、結局は友達だ。それ以上でも以下でもない。姫乃は俺の幼なじみで唯一の女の親友。

  もし、俺のたった一言でこの関係が崩れるかもしれない……と考えるとどうしても言葉にならなかった。あの場で、あの時ハッキリと言うと決めたのに、俺は逃げチキった。あの笑顔をもう二度と見れないかもしれない、姫乃と疎遠になるかもしれない……そう思うと口は開かなかった。喉にすら言葉は届かず、脳内で反復して消えていった。

  俺には瑠魅に俺の気持ちを伝える覚悟も、姫乃を突き放す覚悟もない。

「どうすれば良い……どうすれば解決できるんだ」

  姫乃との関係を壊さずに、姫乃自ら俺と付き合うことを望まなくなる状況をつくる……。

  無理ゲーにも程がある。もちろん、俺の本音を言ってこのままの関係でいられるかもしれない。でも、それは姫乃に全てがかかっている。つまり、姫乃依存の計画で俺の理想で……ただの押し付けだ。これじゃダメなんだ。これじゃ……俺らがちゃんと収まらないと……。俺視点からでも確実性が確保できる案……。

  そんな事を考えていると、ついに魔が差したのかは分からないが、俺の脳裏に最悪とも言える案が浮かぶ。

  ………そうか。姫乃が俺以外の誰かと付き合えば良いんだ。

~~~~~~~~~~~~~~

  ギリギリでしたが何とか間に合いました。

  今回47話を執筆中に気が付いたのですが、主人公の名前の漢字が蓮斗になっていました。実際は蓮翔です。

  読む分には気にならないと思いますが、気になる誤字などがあれば報告等して頂けると幸いです。

  拙い部分はありますが、これからもよろしくお願いします!
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