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66話 怠惰
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「プールかぁ……」
スマホのカレンダーを眺めながら俺は二日後のイベントに胸を踊らせていた。
去年は色々あって楽しさよりも驚愕の方が大きかった出来事が沢山あった。
プールならばそうそう変なイベントは起きないし、起きてもどうにかなる範疇だ。
「………フラグにならないことを祈ろう」
冷房の恩恵を心から感じるこの頃。もはや部屋から出ることすら億劫だ。ずっと冷房の効いた部屋に閉じこもっていたい。出来ることなら一生出たくない。
でも、ベッドの上と言うのも飽きるものなのだ。ゲームもそろそろ飽きてきて、ついにやることが無くなった。
まぁ、宿題はあるが、まだお盆前。故に時間はまだ全然あるわけだ。お盆前に終わらせられれば良い、今年はそう決めている。だからまだ焦る時間じゃない。
「蓮翔……?」
「瑠魅?どうかしたのか?」
心配そうな顔をして顔を覗かせる瑠魅。あの小動物感が良い!っと、このままじゃ危ないヤツになっちまう。収まれ、俺の中の危ないヤツよ。
「寒くないの?ここだけ極寒だよ?」
「このぐらいが調度良いのさ」
「そう?実はさ、お願いがあるんだけど……良い?」
「お願い?」
「うん。明日、買い物に付き合って欲しいの」
そんな目で俺を見つめないでくれ。貧弱メンタルな俺は、そんなふうに見られるだけでコロッと落ちてしまうのだ。
「わかった。明日は暇だし行こっか」
「ありがと」
そう言って瑠魅は去っていった。
たまに思うけど、瑠魅はかなり変わったと思う。
初めて出会った時はどこか弱々しくて自信のなさそうな子だった。でも、最近は明るくなってきて、性格もだいぶ変わってきている。
まぁ、俺もだいぶ変わったし、人のことは言えないけど。
「明日、瑠魅との買い物……これ、デート?」
俺はクローゼットを勢いよく開けた。残念なことにほとんど服は入っていない。昨日、天気が良いからと調子に乗ってほとんどの衣類は洗濯に出していた。
洗濯物を取り込むのは夕方前になるだろうけど、俺は今すぐに明日着ていく服を決めたい。
俺は勢いよく扉を開けて外へと一歩踏み出した。
「あっつ。溶けるわ」
俺は一歩だけ踏み出し、すぐに部屋に帰還した。
玄関までそう距離はない。安全を確保しつつのダッシュでも十秒程度だろう。
だが、その間に溶けないという保証は無いのだ。こんなに暑いのに出なければならないなんて……。
「まさか……冷房のせいなのか!?」
やられた……!冷房は初めからこれを狙っていたのか!俺をこの部屋に閉じ込めて出れないようにするために!
「こんなモヤモヤしたままひたすらに時間を待つしかないのか?なにか方法は……」
俺の脳にある方法が思いつく。俺はすぐさま窓を覗いた。
「くぅ……見えそうで見えないぞ!」
もう少しで洗濯物が見えそうだが、どうもギリギリ隠れてしまっている。
やる気があるうちにこういうのをやっておきたいタイプの俺としては、この時間は苦痛だ。
取り込んだ後、もしやる気がなくなっていたら、いつものような適当な服になってしまう。那乃との買い物の時のように最低限一緒に居て恥ずかしくないような服装はしたい。
「記憶に頼るしかない」
神との一件で人並みの記憶力を手に入れた俺に不可能は無い。さぁ、思い出せ。
俺はベッドの上に座り込んで、目をつぶり、頭を抱えながらどんな服があったかを思い浮かべていく。
~~~~
「はっ……!」
頭が少し痛い。記憶も曖昧だ。
「うそ、だろ……」
時計は午後一時を差していた。考え始めたのが十時程度。つまり、三時間も寝ていたことになる。
夏休みの弊害だ。ついつい寝てしまう。このまま惰眠を貪るのは宜しくないぞ。
頭痛のせいか、はたまた時間経過のせいか、服を選ぶ気力がもうない。
「そうだな。人並みの記憶力があるならファッションセンスだって人並みにあるだろ。洗濯物を取り込んでからでも遅くは無いだろ」
スマホを取り出して昨日見ていたアニメの続きをかけた。所詮まだ一時。三時ぐらいから宿題はやれば良い。
「あぁ……夏休みって良いな」
スマホのカレンダーを眺めながら俺は二日後のイベントに胸を踊らせていた。
去年は色々あって楽しさよりも驚愕の方が大きかった出来事が沢山あった。
プールならばそうそう変なイベントは起きないし、起きてもどうにかなる範疇だ。
「………フラグにならないことを祈ろう」
冷房の恩恵を心から感じるこの頃。もはや部屋から出ることすら億劫だ。ずっと冷房の効いた部屋に閉じこもっていたい。出来ることなら一生出たくない。
でも、ベッドの上と言うのも飽きるものなのだ。ゲームもそろそろ飽きてきて、ついにやることが無くなった。
まぁ、宿題はあるが、まだお盆前。故に時間はまだ全然あるわけだ。お盆前に終わらせられれば良い、今年はそう決めている。だからまだ焦る時間じゃない。
「蓮翔……?」
「瑠魅?どうかしたのか?」
心配そうな顔をして顔を覗かせる瑠魅。あの小動物感が良い!っと、このままじゃ危ないヤツになっちまう。収まれ、俺の中の危ないヤツよ。
「寒くないの?ここだけ極寒だよ?」
「このぐらいが調度良いのさ」
「そう?実はさ、お願いがあるんだけど……良い?」
「お願い?」
「うん。明日、買い物に付き合って欲しいの」
そんな目で俺を見つめないでくれ。貧弱メンタルな俺は、そんなふうに見られるだけでコロッと落ちてしまうのだ。
「わかった。明日は暇だし行こっか」
「ありがと」
そう言って瑠魅は去っていった。
たまに思うけど、瑠魅はかなり変わったと思う。
初めて出会った時はどこか弱々しくて自信のなさそうな子だった。でも、最近は明るくなってきて、性格もだいぶ変わってきている。
まぁ、俺もだいぶ変わったし、人のことは言えないけど。
「明日、瑠魅との買い物……これ、デート?」
俺はクローゼットを勢いよく開けた。残念なことにほとんど服は入っていない。昨日、天気が良いからと調子に乗ってほとんどの衣類は洗濯に出していた。
洗濯物を取り込むのは夕方前になるだろうけど、俺は今すぐに明日着ていく服を決めたい。
俺は勢いよく扉を開けて外へと一歩踏み出した。
「あっつ。溶けるわ」
俺は一歩だけ踏み出し、すぐに部屋に帰還した。
玄関までそう距離はない。安全を確保しつつのダッシュでも十秒程度だろう。
だが、その間に溶けないという保証は無いのだ。こんなに暑いのに出なければならないなんて……。
「まさか……冷房のせいなのか!?」
やられた……!冷房は初めからこれを狙っていたのか!俺をこの部屋に閉じ込めて出れないようにするために!
「こんなモヤモヤしたままひたすらに時間を待つしかないのか?なにか方法は……」
俺の脳にある方法が思いつく。俺はすぐさま窓を覗いた。
「くぅ……見えそうで見えないぞ!」
もう少しで洗濯物が見えそうだが、どうもギリギリ隠れてしまっている。
やる気があるうちにこういうのをやっておきたいタイプの俺としては、この時間は苦痛だ。
取り込んだ後、もしやる気がなくなっていたら、いつものような適当な服になってしまう。那乃との買い物の時のように最低限一緒に居て恥ずかしくないような服装はしたい。
「記憶に頼るしかない」
神との一件で人並みの記憶力を手に入れた俺に不可能は無い。さぁ、思い出せ。
俺はベッドの上に座り込んで、目をつぶり、頭を抱えながらどんな服があったかを思い浮かべていく。
~~~~
「はっ……!」
頭が少し痛い。記憶も曖昧だ。
「うそ、だろ……」
時計は午後一時を差していた。考え始めたのが十時程度。つまり、三時間も寝ていたことになる。
夏休みの弊害だ。ついつい寝てしまう。このまま惰眠を貪るのは宜しくないぞ。
頭痛のせいか、はたまた時間経過のせいか、服を選ぶ気力がもうない。
「そうだな。人並みの記憶力があるならファッションセンスだって人並みにあるだろ。洗濯物を取り込んでからでも遅くは無いだろ」
スマホを取り出して昨日見ていたアニメの続きをかけた。所詮まだ一時。三時ぐらいから宿題はやれば良い。
「あぁ……夏休みって良いな」
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