余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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83話 3日目

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  一つの大きな山を乗り越えて迎えた三日目。

  昨日屋上で話をしたおかげか、那乃との距離感が前よりも心地の良い位置に戻った気がする。

  瑠魅との距離感は初日と昨日で少しは近付いたと思うし、前までは出来なかったようなことも出来るようになってきた。

  今日は瑠魅と放課後デートなるものをしようと思っている。

  というのも、二日前は三人、昨日は瑠魅が那乃と話したいことがあると言って一人で帰った。

  今までも何度か瑠魅と一緒に帰った事はあるけど、その時は買い物か直帰だったから、今回はもっと楽しいことをしてみたい。

  明日からは休みに入る。そうなると放課後デートが出来る機会も減ってしまう。

  放課後まで残り一時間程度。この六時間目が終われば掃除とSHRをして放課。それまでにはある程度の内容を考えておかないと。

「──となるわけだ。と言うことだから、この問題を……千堂、解いてみろ」

「……えっ?」

~~~~

「はぁ………」

  最後の授業なのに散々な目にあった。まさか最後に指されるなんてな。

  幸先が悪いとしか思えない。このあとは何も無いと良いんだけどな。

「さて、さっさと帰るか」

  SHRも終わり教室内が騒がしくなる。部活に行く者もいるし帰宅する者もいる。

  何気ない景色なのに、なぜかそれらが遠く感じたのは、俺がもうそろそろ死ぬからだろうか。

「蓮翔、どうしたの?」

  ボォッとしていると、いつの間にか俺の席まで来ていた瑠魅に呼ばれた。

「少し考え事をしてたんだ。それよりも、瑠魅はこの後時間ある?」

「あるけど……なんで?」

「今日はちょっと寄り道して行かない?」

~~~~

「私、こんな雰囲気の良いお店初めて」

「そう?気に入ってくれた?」

「もちろんだよ。雰囲気が落ち着いてて居心地が良いのもあるけど、ここのコーヒー、とっても美味しい」

  俺と瑠魅が来たのは駅から少し離れた場所にあるカフェだ。老舗といった雰囲気で店内に流れる音楽も静かなもので、ゆったりとした時間を過ごせる。

  気に入ってもらえるか不安だったけど、こんなにも楽しそうにしている瑠魅を見られたのだから、冒険してよかったと心の底から思える。

  でも、この放課後デートについては、この後の事は特に考えない。そもそも田舎だから行ける場所も少ないのだけど、一番は俺も瑠魅もそこまで はしゃぐタイプではないからだ。

  こういう場所でゆったり過ごすのが一番落ち着く。

「瑠魅」

「……ん?どうしたの?」

  コーヒーを堪能するようにゆっくりと飲んでいる瑠魅。やはりこんな何気ない光景でも瑠魅は様になっている。可愛いと言うよりもキレイ、と言う言葉が実に似合う絵面だ。

  ……っと。惚気けてる場合じゃないな。明日の予定を伝えておかないと。

「明日、映画を見に行かない?隣町のさ」

  デートと言えばって考えた時に思いついたのがせいぜい遊園地とか水族館とか映画とか、その辺だった。その上お手軽に行ける場所にあるとなると、映画くらいだ。

  今上映中の映画はある程度把握している。瑠魅の好きな物があると良いのだが……。水族館の可能性も視野に入れておこう。

「良いよ。私、ちょうど見たい映画があるんだけど、良いかな?」

「ホント?なら良かった。俺は特に見たいのもないから全然良いよ」

  やっぱり人を誘うって言うのは緊張するな。その相手が好きな人……瑠魅だと更に緊張する。その分、今はこの上ないくらい嬉しい。

「じゃあ、明日もよろしく」

「うん。こちらこそよろしくね」
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