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最終話 1年後
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そよ風で綺麗に染まった花びらを揺らす桜……千年桜の下で地べたに直接寝そべった俺と瑠魅はただボォッと満天に輝く星を眺めていた。
地面はひんやりしていて頬を撫でる風は気持ちが良い。
俺は片腕を上げて瑠魅に貰った腕に目をやった。今の時間は11時55分。あと5分で………。
胸が強く締め付けられた。もしここに誰も居なければこの辛さを紛らわすために泣いていたかもしれない。
俺は空から視線を逸らして横目で瑠魅の方を見た。
「…………」
瑠魅は目を瞑って気持ち良さそうに微笑んでいた。ここに来るまでたくさん話した。そして、名残惜しさを減らすためにここでの会話を禁止した。
「………蓮翔」
「……どうかした?」
まさか話し掛けられるとは思っていなかったので反応が遅れた。
瑠魅の声色は普段通りのようにも聞こえたが、やはり少し悲しそうな声だった。
「今まで楽しかったね」
「そうだな。懐かしいよ」
俺はそう言ってあの日……瑠魅に告白した日のことを思い出した。
「修学旅行の時さ。私たち神様のせいで行けなかったよね」
「あぁ、そうだったな。いつも上から目線なのに修学旅行で京都に行くってなったら、必死に俺らが京都に行けないようにしてたもんな」
結局修学旅行には行けずに瑠魅と一週間イチャイチャして終わった。たまに誰もいない教室に入って二人だけで駄弁ってた時もあったな。
「でも1番大変だったのは結局、俺の両親に瑠魅の事を説明する時だったな」
「アハハッ、あったね。でも、楽しかったよ」
「俺はあれから両親に変な目で見られるようになったけれどな」
詳しい事情が説明できない分、大変だった記憶がある。今では瑠魅とも親しいが、当初は訝しげな目で見てたからな。
「クリス………初詣も楽しかったな。人がいっぱい居て瑠魅が迷子になって」
「もう……しょうがないじゃん、蓮翔が手を繋いでくれないんだもん」
俺は恥ずかしさで顔が変に熱くなった。良い思い出ではあるし、嬉しい日でもあった。でも、今クリスマスの話は俺にはちょっと重い。初体験がクリスマスって言うのはちょっとオシャレだけど。
「瑠魅はどうだった。この1年間」
俺はこの気まずさを振り払うように話題を変えた。
「楽しかったよ、ホントに……」
「…………」
「いつも考えてたんだ。もし私が人として産まれてたら、こんな風にはならなかったじゃないかって」
「…………」
「…………もっと蓮翔と一緒に居たかったよ……!」
「瑠魅……」
瑠魅はそう言って俺の腕を抱き締めてきた。俺ができるはせいぜい頭を撫でるくらいだ。
啜り泣く声が聞こえて俺も無性に人生が恋しくなった。涙が込み上げて来て目尻が熱くなるのを感じた。
「蓮翔……最後にチューしよ」
「………えっ?」
「お願い……最後のワガママだから」
「そんなん言われたら断れないだろ」
俺は軽く体を起こして瑠魅に顔を見た。片手でそっと瑠魅の顔に触れる。
その時俺は自分の腕時計の時間が目に入った。──残り1分。
「今までありがとう、瑠魅」
「私の方こそ。本当に楽しかった」
そして俺と瑠魅は最後のキスをした──俺達の命が尽きるその瞬間まで。
~~~~~~~~~~~~~~~~
これにて、『余命1年の君に恋をした』完結となります!
ここまで読んでいただき、本当に本当にありがとうございます!
作者としては初の小説という事で大変な事が多々ありました。自分の語彙の無さや内容の薄さ、展開の滅茶苦茶さには作者自身で自分の実力を改めて痛感しました。あれほど面白く小説を作る事の大変さを身を持って実感しました。
しかし、そんな中で多少強引かつ早足となりましたが、この小説を完結することが出来たのは間違いなく読者の皆様のおかげです。
不定期更新や長い間隔での更新多々あり、魔が差したこともありましたが、ある程度作者が納得のいく形で完結する事ができました。本当に感謝してもしきれません。
この小説を無事完結させることが出来たこと、本当に嬉しく思います!
1年と約9ヶ月と長くも短い投稿となりましたが、ここまで本当にありがとうございました!機会がありましたら、また違う作品で会いましょう!
[完]
地面はひんやりしていて頬を撫でる風は気持ちが良い。
俺は片腕を上げて瑠魅に貰った腕に目をやった。今の時間は11時55分。あと5分で………。
胸が強く締め付けられた。もしここに誰も居なければこの辛さを紛らわすために泣いていたかもしれない。
俺は空から視線を逸らして横目で瑠魅の方を見た。
「…………」
瑠魅は目を瞑って気持ち良さそうに微笑んでいた。ここに来るまでたくさん話した。そして、名残惜しさを減らすためにここでの会話を禁止した。
「………蓮翔」
「……どうかした?」
まさか話し掛けられるとは思っていなかったので反応が遅れた。
瑠魅の声色は普段通りのようにも聞こえたが、やはり少し悲しそうな声だった。
「今まで楽しかったね」
「そうだな。懐かしいよ」
俺はそう言ってあの日……瑠魅に告白した日のことを思い出した。
「修学旅行の時さ。私たち神様のせいで行けなかったよね」
「あぁ、そうだったな。いつも上から目線なのに修学旅行で京都に行くってなったら、必死に俺らが京都に行けないようにしてたもんな」
結局修学旅行には行けずに瑠魅と一週間イチャイチャして終わった。たまに誰もいない教室に入って二人だけで駄弁ってた時もあったな。
「でも1番大変だったのは結局、俺の両親に瑠魅の事を説明する時だったな」
「アハハッ、あったね。でも、楽しかったよ」
「俺はあれから両親に変な目で見られるようになったけれどな」
詳しい事情が説明できない分、大変だった記憶がある。今では瑠魅とも親しいが、当初は訝しげな目で見てたからな。
「クリス………初詣も楽しかったな。人がいっぱい居て瑠魅が迷子になって」
「もう……しょうがないじゃん、蓮翔が手を繋いでくれないんだもん」
俺は恥ずかしさで顔が変に熱くなった。良い思い出ではあるし、嬉しい日でもあった。でも、今クリスマスの話は俺にはちょっと重い。初体験がクリスマスって言うのはちょっとオシャレだけど。
「瑠魅はどうだった。この1年間」
俺はこの気まずさを振り払うように話題を変えた。
「楽しかったよ、ホントに……」
「…………」
「いつも考えてたんだ。もし私が人として産まれてたら、こんな風にはならなかったじゃないかって」
「…………」
「…………もっと蓮翔と一緒に居たかったよ……!」
「瑠魅……」
瑠魅はそう言って俺の腕を抱き締めてきた。俺ができるはせいぜい頭を撫でるくらいだ。
啜り泣く声が聞こえて俺も無性に人生が恋しくなった。涙が込み上げて来て目尻が熱くなるのを感じた。
「蓮翔……最後にチューしよ」
「………えっ?」
「お願い……最後のワガママだから」
「そんなん言われたら断れないだろ」
俺は軽く体を起こして瑠魅に顔を見た。片手でそっと瑠魅の顔に触れる。
その時俺は自分の腕時計の時間が目に入った。──残り1分。
「今までありがとう、瑠魅」
「私の方こそ。本当に楽しかった」
そして俺と瑠魅は最後のキスをした──俺達の命が尽きるその瞬間まで。
~~~~~~~~~~~~~~~~
これにて、『余命1年の君に恋をした』完結となります!
ここまで読んでいただき、本当に本当にありがとうございます!
作者としては初の小説という事で大変な事が多々ありました。自分の語彙の無さや内容の薄さ、展開の滅茶苦茶さには作者自身で自分の実力を改めて痛感しました。あれほど面白く小説を作る事の大変さを身を持って実感しました。
しかし、そんな中で多少強引かつ早足となりましたが、この小説を完結することが出来たのは間違いなく読者の皆様のおかげです。
不定期更新や長い間隔での更新多々あり、魔が差したこともありましたが、ある程度作者が納得のいく形で完結する事ができました。本当に感謝してもしきれません。
この小説を無事完結させることが出来たこと、本当に嬉しく思います!
1年と約9ヶ月と長くも短い投稿となりましたが、ここまで本当にありがとうございました!機会がありましたら、また違う作品で会いましょう!
[完]
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