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新たなる道
異世界転生
しおりを挟むふと目が覚めるとそこは懐かしい場所だった。終わって始まるあらたな場所。転生の場。
俺は辺りを見回し翔太を探す。翔太は俺から少し離れていた所で気絶していた。
「おい、翔太起きろ!」
肩を揺さぶり、声を張り翔太を起こす。何度か声を掛けると翔太は目を覚ました。
「こ、ここはどこだ?」
言うべきか、言わないべきか、一瞬迷った。そしてその一瞬で天使が現れた。
「お前らは死んだ」
天使は手っ取り早く死んだ時の映像を見せる。
その映像を見て少し翔太が心配になるが、なんか普通の顔をしていた。
「なんか、実感わかねぇなぁ」
ふと、そんな事を口から漏らした。
天使はそんな翔太の言葉を聞くとため息をし、説明をしだした。いつもと同じ説明。
魔王を倒してくれ、そのために力を与える。
「この中から選んでくれ」
天使はマジシャンの様に手からポンッと10枚程度の紙を出す。A4用紙のその紙には能力が書いてあった。リミット、デメリット。
俺はその中に1つ面白い能力を見つけた。それは―――
【強奪】
他人の能力を奪える能力。1人につき1つ奪える。しかし、奪われた人間がそれに気づいたら能力は強制的に返還される。強奪に使う魔力が多ければ多い程、レアな能力が手に入る。また、強奪した能力には期限があり、期限を過ぎると元の持ち主の元の所に返還される。期限は強奪したのと同時に頭に流れ込んでくる。
はたから見ればクソみたいな能力だが、既に複数能力を持っている俺にとっては、少し遊びがいがありそうな能力だ。
「俺は決めた。ケンお前は?」
翔太は順応力があるらしく、まるで経験者の様に冷静だった。
「俺も決めた」
短くそう答える。それを聞いて天使が転生の儀式を始める。
「なあ、ケン」
「ん?」
「これって転生と言うより転移だよな」
その言葉に俺は苦笑しながら「ああ」と答えた。
「記憶も肉体もそのままなら、転生じゃなくて、転移」
そう再び翔太が呟くと天使は反面怒った様な笑顔で俺たちを見送った。
そして転生した先は王城だった。王城に転生するのは始めてで俺は少し驚いた。
王城では俺たちは勇者扱いされた。話を聞く限り、魔王を倒すための戦力して召喚魔法を使って、何かを召喚してたらしい。そしてそこに俺たちが現れたそうだ。
俺と翔太は勇者として王城に迎えられ、そこで数日間は不自由なしの、満喫した異世界王族ライフを送った。まあ、その数日間は異世界の知識を手にいれるための、いわば情報収集の期間だった。
そしてその休日を過ごした後、俺たちは王の手によって異世界学校に転入させられた。そこは騎士を育てる学校で品位や作法、戦い以外にも沢山の事を学ばさせられた。
そういう事に全く関係のなかった俺たちは凄く苦労した。と言っても俺はずっと翔太に合わせていた。作法は前の世界で全て習った。だから、大体の物は少し修正すれば問題はなかった。しかし、そうすると翔太が困ってしまう。翔太に孤独感を与えてしまう。俺はそれが嫌でずっと翔太に合わせていた。
異世界学校に入学して2ヶ月程で翔太には彼女が出来た。それも超絶美人の。学校で10本の指に入る美女らしい。
俺はそれを見ても聞いても、特になんとも思わなかった。翔太はイケメンで頭が良い、そうはこっちに来てからも変わらない。だから、翔太に彼女が出来た所で彼女のいない俺は下らない嫉妬をしなかった。
それから1ヶ月程経って、ようやく俺たちの能力を披露する場面が出てきた。
迷宮探索。
学校でそんなイベントがあった。1週間迷宮に班でこもり、どの班があ1番最下層に行けるか。
班は翔太を中心に6人班。その内4人が女子だ。たとえ、翔太に彼女がいたとしても、この世界一夫多妻 だからそんな事を気にしない。遠慮なしに翔太に迫る。そしてその美少女の中に学校1の美女も入っていた。流石は翔太だ。
しかもこの班は美少女だけではなく、美少女でなお強いのだ。
「これは俺が出る幕なんてなさそうだな」
俺はそんな翔太パーティーを暖かい目で見ていた。
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