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早速イチャコラ

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「思ったんだけど、その服じゃあ絶対に貴族に思われるよね」

 エレナが着ているのは綺麗な水色を基調としたヒラヒラがついているワンピースで、どこからどう見ても貴族にしか思われないだろう。
 だからエレナが貴族とバレないためにも、どこかで服を買う必要がある。
 幸いにもハウルがお金を持っているということで、服を買うこと自体は可能だ。
 ただ、問題は服を買うなら街に行かないといけず、エレナのことがバレてしまう恐れがある。

「そうですね。ハウルもですけど」

 ハウルはエレナの使用人ということで執事服を着ており、彼の分も服を買わないといけない。
 今のままでは完全に主と使用人だ。

「では、服を買いに行きますよ。今なら王都から離れた街であれば問題ないでしょう」

 エレナは転移魔法を発動させ、服が帰る街まで向かった。

☆ ☆ ☆

「ここなら大丈夫でしょう」

 二人が転移した場所は王都から大分離れた街で、ほとんど貴族がいない。
 転移魔法は一度訪れた場所しか行くことが出来ず、エレナがバレないと思ったのはこの街しかなかった。
 それでも国内ということもあり、急いで服を買う必要があるのだけど。

「ハウルが私の服を選んでください」
「私が……?」
「ええ。彼女の服を選ぶのも彼氏の大切なお仕事です」

 これも彼氏彼女に見せるための演技ですよ、という視線をエレナはハウルに向けると、それを汲み取ったように彼は頷いた。

「皆こっちを見ちゃってるな……」

 平民が多い街ではエレナのような格好は目立つ。
 しかも天使様と呼ばれるほどの美貌の持ち主ということで、エレナに向けられる視線はほとんど男の人だ。

「エレナ、ちゃんと恋人同士に見せないといけないから」
「あ……はい」

 ハウルは恋人同士がするような指を絡めるようにエレナと手を繋ぐ。
 こんな風に触れ合うのは子供の時以来で、二人は若干顔が赤くなっている。

「これでエレナに近づく男か減るな」
「……それはこっちの台詞ですよ」

 エレナが言うように辺りにいる女性はハウルに見惚れており、それだけで少し彼女は不機嫌になる。
 幼い頃から密かに想い続けていたのだから当たり前のことだ。
 他の女性にハウルのことを見てほしくない。
 それはハウルも同様のようで、エレナのことを引き寄せてから彼女の頭を撫でた。

「こんな目立つことは……」
「今は俺が彼氏なんだから、俺だけを見て」

 明らかにハウルは嫉妬していた。
 今エレナのことを見ている男性にもだが、一番は婚約者がいたということだろう。
 ずっと一緒にいた幼馴染みのような関係であるエレナに、婚約者が出来ては複雑な心境になるはずだから。

「大丈夫です。だって私が好きなのは……」

 ここでエレナは言葉が詰まってしまう。
 ハウルのことが好きと言うだけなのだが、それがエレナには恥ずかしかった。
 今は国から追われる立場で、主従関係なんてないようなもの。
 エレナが望めばハウルは答えてくれるだろうが、自分の気持ちを打ち明けるのはしばらく時間がかかるだろう。

「好きなのは?」
「な、何でもありません。それより早く服を買いますよ」

 エレナは自分の気持ちを誤魔化すように、ハウルを連れて歩き出した。

☆ ☆ ☆

「似合っていますか?」

 服を買い終え、エレナはハウルに感想を求めた。
 白いブラウスにチェックのハイウエストのミニスカート、黒のタイツ。これも少し裕福に見えるかもしれないが、さっきよりかはマシだろう。

「似合っているよ」
「良かったです。ハウルも似合ってますよ」
「あ、ありがとう」

 エレナに褒められたことにより、ハウスは顔を赤くしながら頬をポリポリとかく。
 完全に照れ隠しで、それがエレナをキュンってさせてしまい、彼女も顔を赤くする。
 まるで付き合いたての初々しいカップルのようで、周りの人を近づけさせないかの雰囲気を醸し出していた。

「ん? エレナこっちに」
「え? きゃ……」

 ハウルはエレナを連れて物影に隠れ、気配を完全に殺す。

「いたか?」
「いや……」

 武装した兵士数名が現れ、この様子からするとエレナのことを探しているように思える。

「急いで探すんだ。これは王子直々の命令だ」
「はい」

 指揮を執っていると思われる上官が部下指示を出している。
 王子直々の命令ということは、エレナのことを探しているということ。

「助かりました。やはりハウルを連れてきて正解でした」
「それは光栄にございます」
「だから敬語は禁止」
「う……ごめん」

 長年の癖が中々抜けなくて、ハウルは敬語になってしまう。

「それよりここから離れよう。一日くらいは大丈夫だと思ったのが甘かった」
「はい」

 エレナは転移魔法でここから離れ、先ほどの森まで戻った。
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