家のしきたりが兄妹でイチャつけなのでクーデレ義妹とイチャコラしている内に惚れられていた

ひゃみる

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家のしきたりで兄妹であってもイチャイチャすべし

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「聖雪、おはよう」

 制服を来た橋本遼はしもとりょうは朝ご飯を食べるためにリビングまで来た。
 テーブルには既にトーストやハムエッグなどが並んでおり、遼は早く食べたそうにして椅子に座る。

「兄さん、おはようございます」

 朝ご飯を用意したのは妹である橋本聖雪はしもといぶで、共働きの両親の代わりに彼女がほとんどの家事を担当している。
 もう両親は仕事で家におらず、今は二人きりだ。

「……何か慣れませんね」
「そうだな」

 聖雪は少し頬を赤く染めていて、苦笑してしまう。
 慣れないと言ったのには理由があり、二人は一週間前まで単なるクラスメイトだった。
 両親の再婚でクラスメイトから義理の兄妹の関係になったのだ。
 同じ年であるが、誕生日が早い遼が兄になった。
 クラスメイトが自分の兄になるという特殊なことに違和感があり、聖雪はしばらく緊張するだろう。

「でも、俺は凄く嬉しいけどな。可愛い義理の妹が出来るとかまるでアニメのような展開じゃないか」

 可愛い義理の妹がいるというのはラブコメアニメでは良くあること。
 しかも、聖雪は超絶美少女であるため、ラブコメアニメ好きな遼が喜ばないわけがない。
 きちんと手入れされているサラサラな銀色のストレートヘアー、長いまつ毛に宝石を思わせるような大きな藍色の瞳、潤いのある唇、透き通るような白い肌は誰もが見惚れてしまうほどだ。
 容姿端麗、品行方正、丁寧な言葉遣いで聖雪は凄くモテ、告白された話を遼は良く聞いている。
 ただ、誰とも付き合う気はないようで、今のところ全て断っているとのこと。

「アニメとかはあまり観ないからわかりませんよ。私は橋本家のしきたりというのに驚きましたが……」
「そうか。今日から開始になるな」
「これからするとなると物凄く恥ずかしくなります」

 することを想像したようで、聖雪の顔がどんどんと紅潮していく。
 先週は家に慣れてもらうためにしなかったが、月曜の今日から二人はしきたりに従わなければならない。

「まあ、しきたりが兄妹でイチャつけなんて変わってるよな」
「変わってるというか普通はありえません」

 橋本家に昔からあるしきたり……それは『兄妹(姉弟)は異性に慣れるためにイチャイチャすべし』というものだ。
 恋人が出来た時に恥ずかしくて奥手になってしまわないようにとのことらしい。
 もちろん兄妹で身体の関係を持つわけではなく、手を繋いだり軽く触れ合ったりと、仲の良い兄妹であれば出来ること。
 ただ、つい先日まで赤の他人だったため、聖雪にいきなりイチャイチャしろと言われても恥ずかしいだろう。

「早速しようかな」

 どちらかが求めた時点で、相手は応じなければならないというルールがある。
 もちろん抱かせてなどの無茶なお願いは禁止。

「うう~……兄さんは恥ずかしくてないんですか?」
「シスコンの俺が妹とイチャつけるんだから嬉しいだけに決まっているだろう」
「姉や妹がいなかったのに何でシスコンなんですか?」
「さあ? いなかったからじゃないかな」

 両親が再婚するまで一人っ子だったために、遼は昔から妹が欲しいと思っていた。
 でも、遼が産まれて間もない頃に母親が病死してしまい、念願の妹が出来ることはなかったのだ。

「多分、小さい頃に妹がいたらシスコンにはなってない。たとえ義妹だったとしても。高校生になって出来たからシスコンなのだ」

 欲しいとは思っていても、昔から妹がいたらシスコンになるなんてことはなかっただろう。
 妹が欲しいという憧れや、妹物のアニメの影響を受けて遼はシスコンになってしまったのだ。
 そんな遼に妹が出来た……嬉しくてしょうがない。

「シスコンの兄さんが妹の私に襲いかかってこないか心配なんですが……」
「妹に欲情するとか変態じゃないか」
「シスコンってだけでも変態だと思います。ドン引きですよ」

 そう言って、聖雪は遼から少し距離を取る。
 学校では優等生の聖雪だが、家では毒舌を吐く。

「でも、今まで赤の他人だったのに、私に対して愛情を向けるのはシスコンと言えるのですかね? もしかして私とイチャイチャしたいからシスコンと言ってるだけでは?」

 白い目を向ける聖雪。

「確かに可愛いのは大事であるが、聖雪が妹というのが一番」
「そうなのですか? では、私に彼氏が出来たらどうします?」
「相手の足をコンクリートで固めて海に沈める」
「さらっと怖いこと言わないでください。兄妹で恋愛感情を持ったらしきたりの意味がないかと思います」

 あくまでもしきたりは異性に慣れるためであって、兄妹で愛し合えというわけではない。

「シスコンの兄は恋愛感情がなくても、妹に彼氏が出来るのを許さない生き物なんだ」
「うわぁ~……この兄面倒くさいです」

 聖雪の視線が汚物を見るかのようなのに変わる。

「まあ、彼氏なんて欲しいと思っていませんが……」
「良かった。彼氏作る気ないなら一緒にお風呂に入る仲だって言ってブラコンってことにしとくか?」
「や、一緒にお風呂に入ってるわけじゃないですから、事実無根なことは言わないでください」
「今日から一緒に入るか?」
「嫌ですよ。一緒に入ったら本当にブラコンじゃないですか」

 遼の言葉に呆れたのか、聖雪は大きめのため息をつく。
 二人が親の再婚によって兄妹になったことはクラスメイトも知っており、仲良くしてたらシスコン、ブラコン兄妹と言われるだろう。

「まあ、橋本家になったのだししきたりは守ってもらうけど」
「あ……」

 重度のシスコンである遼は聖雪の手を掴んで自身に引き寄せた。
 右手は恋人がする指を絡め合うように手を繋ぎ、左手は聖雪の背中に回す。
 こういったことに慣れてないのだろう、一瞬にして聖雪の顔が真っ赤に染まる。

「意外と嫌がらないんだな」

 少しは抵抗を見せてもおかしくないのだが、聖雪は一切の抵抗をしない。

「せっかくお母さんが幸せになれたのですから、私がそれを壊すわけにはいきません」
「親想いなんだな」
「お母さんはずっと私を女手一つで育ててくれたのですから、母の幸せを願うのは当たり前のことです」

 遼は「そうか」と頷いてから聖雪の頭を撫でる。
 撫でられるのは嬉しいのか、聖雪からは少しの笑みがこぼれた。
 父親は聖雪が産まれる前に亡くなっているし、母親は仕事でほとんど構ってあげられなかったようだ。
 でも、今は新しい家族である遼に頭を撫でられ、その温もりを気に入ったとしてもおかしくない。

「さて、ご飯でも食べるか」
「あ……」

 遼が離れると、聖雪は少し寂しそうな顔をした。

「どうした?」
「いえ、何でもありません。早くご飯を食べましょう」

 二人はご飯を食べるのだった。
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