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第7話 一強連戦
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二十六階――闘技場。というか、コロッセオのように石積みがされているって感じか。そして、目の前には二足歩行のサイ。人型っぽいが人語は理解できそうにないな。
「こいつは?」
「ライナバックス、ですね」
「強いのか?」
「強いです。ですが、それはそのままネイルの強さに比例するので、私達に出番はないと思います」
「にゃっははっ! 一対一にゃらボクの独壇場にゃ」
これまでもネイルが戦っているところは何度か見たが、こうやってちゃんと見るのは初めてだな。
突っ込んでくるライナバックスを避け、横っ腹に掌底を打ち込めば吹き飛んでいった。すげー力だな。足運びは武術っぽさがあったけど、それだけで出せるパワーじゃない。ヨミと違って目に見えるものではないが、確実に能力が作用しているんだろう。
「なぁ、ヨミ。ネイルの能力は肉体的な強さの差なのか、それとも能力的な差で力を増しているのか、どっちなんだ?」
「どっちも、ではないでしょうか。曰く――レベル差、だとか」
「レベルって概念があるのか?」
「ありません」
無ぇのか。その振り落ちでズッコケそうになったぞ。
「じゃあ、どういう意味だ?」
「肉体の強度や能力の練度、それらを総合したものがネイルにはレベルとして見えているんだそうです」
「へぇ。ちなみにネイルのレベルは?」
「確か、七? と言っていました」
「ヨミは?」
「……五、だったと思います」
「ふ~ん」
肉体的な強度と能力の練度なら、つまりモンスターを倒したところでレベルが上がるわけではないのか? 経験値とか……ああ、でも戦闘を繰り返せばそれだけ体の使い方とか動きは洗練されていくはずだから、蓄積されていくものではあるか。気になるのは俺のレベルだが、能力も無いわけだし大して高いはずもない。
「そろそろ終わりますよ」
その言葉にネイルに視線を向ければ、今まさに構えた拳を見たライナバックスが後退りをしたところだった。
わかる。見えていなくても感じることが出来る。ネイルの拳に集まる威圧感に肌がヒリついて、ゾワッと背筋が震えた。
「にゃ~にゃんっ!」
おそらくはただのパンチ。だが、それを受けたライナバックスの頭は跡形も無く吹き飛んだ。
「エグイなぁ……」
しかし、不思議と受け入れている俺がいる。元々グロ系の映画とかは普通に観れていたけど、意外と現実も大丈夫だった。
「にゃっはっはぁ!」
高笑いをするネイルの下に歩み寄っていけばヨミはその横を通り過ぎて倒れたライナバックスの近くで本を取り出し、肉片を食べさせ始めた。
「ネイル、ライナバックスのレベルは?」
「十九だったにゃ」
「それはなんだ? レベル差によって能力の上がり方が変わるのか?」
「そうにゃ~。ボクがレベル七で、ライナバックスがレベル十九。差の十二を五割増しにした力がボクの力に乗っかるにゃ」
そもそも俺の知っているレベルの概念とは違うが、まぁ大体のことはわかった。
「じゃあ、ライナバックスと戦っている時のネイルはレベル二十五だったってわけか。ちなみに俺のレベルは?」
「フドーは一にゃ」
「……最低か?」
「にゃん。にゃのに大蜘蛛を倒したから驚いたんにゃ」
「まぁ、そりゃあそうだよな」
ドリフターってことが理由なのか、それともそもそもの潜在能力なのか。まぁ、別に弱いのは今に始まったことでは無い。
「お二方、もう大丈夫です。先を急ぎましょう」
「どんな力だった?」
「防御力の付与です。珍しいものでも無いですね」
「そうか。残念だったな」
「いえ、そうでもありません。こういう付与系の力は私自身ではなく他の人に付与できるので。この先、ネイルやフドーさんの助けにもなると思います」
「そうか。そりゃあ有り難い」
戦うつもりは無いけど、とは言わない。
そして、階段を上って二十七階へ。
そこは霧深い森の中だった。
「こういう場所にゃらフドーの出番にゃ!」
「そう言われてもね……ん~……モンスターはいる。地を這うような……デカい奴だな」
「近いですか?」
「いや、すぐに襲ってくるような距離じゃないな。多分」
「では、気にせずに行きましょう」
周囲を警戒しながら木々の間を抜けていけば、不意にぬるっと近付いてくる気配にヨミの襟を掴んで横に跳び退いた。
「あれは――ネイル! 大蛇です!」
「にゃはっ!」
振り下ろしたネイルの拳は大蛇に当たらず、するすると木々の間に消えていった。
「ヨミ、風を起こして霧を晴らせるか?」
「この付近だけなら出来るはずです。《空白の目録》」
取り出した本が捲られると、巻き起こった風が周囲の霧を晴らし、警戒するように頭を上げた大蛇とネイルが向かい合った。
「にゃはっ! ボクの獲物にゃ!」
蛇を前に退かない猫――ハブとマングースみたいな構図だな。
「……というか、もう全部ネイルに任せておけば頂上まで行けるんじゃないか?」
「いえ、そういうわけにもいきません」
「どうしてだ? あんだけチートみたいな能力を持っているなら負けることは無いだろ」
「それは……大蜘蛛と戦わなかったこと、が理由です」
そう言えばそうだ。あれだけ強いのにどうして大蜘蛛との戦いを避けていたんだ? レベルの差が少なければ少ないほど《大物喰らい》の効果は小さくなるようだが、それでも相手よりは確実に強くなれる。つまり、それ以外の……ああ、そういうことか。
「つまり、力は強くなるが肉体的な優位性――大蜘蛛であれば糸を出したり、牙や脚の本数は変えられない。そういう物理的な部分で負ける可能性があるってことか」
「あとは技術などですね。ネイルが言うにはレベルの差から計算されたエネルギーが全身を覆い、それを脚に溜めたり腕に溜めたりすることで、素早く動いたり強く殴ったりすることが出来るらしいですが、相手の技を使えるわけでは無いので、あくまでも自分が研鑽したもので戦うことになる、と」
小難しいことを言っているが、要はそれほどチートでも無いってことだ。
とはいえ、ワンパンで大蛇を倒すことは出来るんだな。まぁ、ピラリアの時やその前の狼の時にもわかっていたが、単純に多対一の状況が弱いんだろう。だからこそ、ヨミと一緒に行動しているのだろうが……だとすれば腑に落ちない点が出てくる。
大蛇を食べさせに行ったヨミの後ろ姿を眺めながら戻ってきたネイルが横に並んだ。
「ふにゃ~。まぁ、そこそこだったにゃ」
「……素朴な疑問なんだが、ネイルとヨミはチーム? なんだよな?」
「そうにゃん。ボクが前衛、ヨミが後衛にゃ」
「なのに、別々に行動していた理由は?」
「んにゃ~……説明が難しいにゃ。別に特別にゃ理由があるわけじゃにゃんいんにゃけど……詳しくはヨミ本人に訊くにゃ」
「まぁ、別にそこまで興味があるわけでも無いんだが」
「何の話ですか?」
いつの間にか戻ってきていたヨミが目の前に居た。
「フドーはヨミが先に進んでいた理由を知りたいみたいにゃ」
なんの躊躇いも無い、というかネイルは何も考えていないんだろうな。
「理由、ですか……簡単に言えば、いなくなった父を探すため――独断専行をしてしまったというだけです。先を急ぎましょう」
こちらが何を言うまでも無く、話を切られてしまった。
「父親か……このダンジョンにいるわけじゃないんだろ?」
「にゃん。いるのは多分、中央都市にゃ。そこに行くために、ボクらはこの回廊を攻略しなきゃいけにゃいにゃん」
「……なるほど」
中央都市に何があるのか、とか、ヨミの父親が何者なのか、とか――色々と訊きたいこともあるが、やっぱりそれも今ここで掘り下げることでも無い。いや、興味はあるけどね。それでもこの二人とどれだけ付き合っていくのかわからないし、ヨミのあの感じは追及してほしくないってことだろう。
話したくないことは訊かない。空気を読むっていうのは何も物理的なことだけじゃない。心の距離、は言い過ぎだな。なんとなく空気を読むってのは日本人の特徴みたいなものだ。……嫌な特徴だな。
「こいつは?」
「ライナバックス、ですね」
「強いのか?」
「強いです。ですが、それはそのままネイルの強さに比例するので、私達に出番はないと思います」
「にゃっははっ! 一対一にゃらボクの独壇場にゃ」
これまでもネイルが戦っているところは何度か見たが、こうやってちゃんと見るのは初めてだな。
突っ込んでくるライナバックスを避け、横っ腹に掌底を打ち込めば吹き飛んでいった。すげー力だな。足運びは武術っぽさがあったけど、それだけで出せるパワーじゃない。ヨミと違って目に見えるものではないが、確実に能力が作用しているんだろう。
「なぁ、ヨミ。ネイルの能力は肉体的な強さの差なのか、それとも能力的な差で力を増しているのか、どっちなんだ?」
「どっちも、ではないでしょうか。曰く――レベル差、だとか」
「レベルって概念があるのか?」
「ありません」
無ぇのか。その振り落ちでズッコケそうになったぞ。
「じゃあ、どういう意味だ?」
「肉体の強度や能力の練度、それらを総合したものがネイルにはレベルとして見えているんだそうです」
「へぇ。ちなみにネイルのレベルは?」
「確か、七? と言っていました」
「ヨミは?」
「……五、だったと思います」
「ふ~ん」
肉体的な強度と能力の練度なら、つまりモンスターを倒したところでレベルが上がるわけではないのか? 経験値とか……ああ、でも戦闘を繰り返せばそれだけ体の使い方とか動きは洗練されていくはずだから、蓄積されていくものではあるか。気になるのは俺のレベルだが、能力も無いわけだし大して高いはずもない。
「そろそろ終わりますよ」
その言葉にネイルに視線を向ければ、今まさに構えた拳を見たライナバックスが後退りをしたところだった。
わかる。見えていなくても感じることが出来る。ネイルの拳に集まる威圧感に肌がヒリついて、ゾワッと背筋が震えた。
「にゃ~にゃんっ!」
おそらくはただのパンチ。だが、それを受けたライナバックスの頭は跡形も無く吹き飛んだ。
「エグイなぁ……」
しかし、不思議と受け入れている俺がいる。元々グロ系の映画とかは普通に観れていたけど、意外と現実も大丈夫だった。
「にゃっはっはぁ!」
高笑いをするネイルの下に歩み寄っていけばヨミはその横を通り過ぎて倒れたライナバックスの近くで本を取り出し、肉片を食べさせ始めた。
「ネイル、ライナバックスのレベルは?」
「十九だったにゃ」
「それはなんだ? レベル差によって能力の上がり方が変わるのか?」
「そうにゃ~。ボクがレベル七で、ライナバックスがレベル十九。差の十二を五割増しにした力がボクの力に乗っかるにゃ」
そもそも俺の知っているレベルの概念とは違うが、まぁ大体のことはわかった。
「じゃあ、ライナバックスと戦っている時のネイルはレベル二十五だったってわけか。ちなみに俺のレベルは?」
「フドーは一にゃ」
「……最低か?」
「にゃん。にゃのに大蜘蛛を倒したから驚いたんにゃ」
「まぁ、そりゃあそうだよな」
ドリフターってことが理由なのか、それともそもそもの潜在能力なのか。まぁ、別に弱いのは今に始まったことでは無い。
「お二方、もう大丈夫です。先を急ぎましょう」
「どんな力だった?」
「防御力の付与です。珍しいものでも無いですね」
「そうか。残念だったな」
「いえ、そうでもありません。こういう付与系の力は私自身ではなく他の人に付与できるので。この先、ネイルやフドーさんの助けにもなると思います」
「そうか。そりゃあ有り難い」
戦うつもりは無いけど、とは言わない。
そして、階段を上って二十七階へ。
そこは霧深い森の中だった。
「こういう場所にゃらフドーの出番にゃ!」
「そう言われてもね……ん~……モンスターはいる。地を這うような……デカい奴だな」
「近いですか?」
「いや、すぐに襲ってくるような距離じゃないな。多分」
「では、気にせずに行きましょう」
周囲を警戒しながら木々の間を抜けていけば、不意にぬるっと近付いてくる気配にヨミの襟を掴んで横に跳び退いた。
「あれは――ネイル! 大蛇です!」
「にゃはっ!」
振り下ろしたネイルの拳は大蛇に当たらず、するすると木々の間に消えていった。
「ヨミ、風を起こして霧を晴らせるか?」
「この付近だけなら出来るはずです。《空白の目録》」
取り出した本が捲られると、巻き起こった風が周囲の霧を晴らし、警戒するように頭を上げた大蛇とネイルが向かい合った。
「にゃはっ! ボクの獲物にゃ!」
蛇を前に退かない猫――ハブとマングースみたいな構図だな。
「……というか、もう全部ネイルに任せておけば頂上まで行けるんじゃないか?」
「いえ、そういうわけにもいきません」
「どうしてだ? あんだけチートみたいな能力を持っているなら負けることは無いだろ」
「それは……大蜘蛛と戦わなかったこと、が理由です」
そう言えばそうだ。あれだけ強いのにどうして大蜘蛛との戦いを避けていたんだ? レベルの差が少なければ少ないほど《大物喰らい》の効果は小さくなるようだが、それでも相手よりは確実に強くなれる。つまり、それ以外の……ああ、そういうことか。
「つまり、力は強くなるが肉体的な優位性――大蜘蛛であれば糸を出したり、牙や脚の本数は変えられない。そういう物理的な部分で負ける可能性があるってことか」
「あとは技術などですね。ネイルが言うにはレベルの差から計算されたエネルギーが全身を覆い、それを脚に溜めたり腕に溜めたりすることで、素早く動いたり強く殴ったりすることが出来るらしいですが、相手の技を使えるわけでは無いので、あくまでも自分が研鑽したもので戦うことになる、と」
小難しいことを言っているが、要はそれほどチートでも無いってことだ。
とはいえ、ワンパンで大蛇を倒すことは出来るんだな。まぁ、ピラリアの時やその前の狼の時にもわかっていたが、単純に多対一の状況が弱いんだろう。だからこそ、ヨミと一緒に行動しているのだろうが……だとすれば腑に落ちない点が出てくる。
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「ふにゃ~。まぁ、そこそこだったにゃ」
「……素朴な疑問なんだが、ネイルとヨミはチーム? なんだよな?」
「そうにゃん。ボクが前衛、ヨミが後衛にゃ」
「なのに、別々に行動していた理由は?」
「んにゃ~……説明が難しいにゃ。別に特別にゃ理由があるわけじゃにゃんいんにゃけど……詳しくはヨミ本人に訊くにゃ」
「まぁ、別にそこまで興味があるわけでも無いんだが」
「何の話ですか?」
いつの間にか戻ってきていたヨミが目の前に居た。
「フドーはヨミが先に進んでいた理由を知りたいみたいにゃ」
なんの躊躇いも無い、というかネイルは何も考えていないんだろうな。
「理由、ですか……簡単に言えば、いなくなった父を探すため――独断専行をしてしまったというだけです。先を急ぎましょう」
こちらが何を言うまでも無く、話を切られてしまった。
「父親か……このダンジョンにいるわけじゃないんだろ?」
「にゃん。いるのは多分、中央都市にゃ。そこに行くために、ボクらはこの回廊を攻略しなきゃいけにゃいにゃん」
「……なるほど」
中央都市に何があるのか、とか、ヨミの父親が何者なのか、とか――色々と訊きたいこともあるが、やっぱりそれも今ここで掘り下げることでも無い。いや、興味はあるけどね。それでもこの二人とどれだけ付き合っていくのかわからないし、ヨミのあの感じは追及してほしくないってことだろう。
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