絶望人生にさようなら、人間にして魔王に転ず。

御歳 逢生

文字の大きさ
11 / 37
第一章 フリネラアルペン

第十一話 2人の帰還

しおりを挟む
翌日。『ミナカ』と『アシカビ』が1つのお札が無数に貼ってある球体と黒い棺桶をを持って帰ってきた。

「主よ、ご所望のヤマを柊様から預かって参りました。」

「2人ともよく戻ったね。これが、ヤマかい?」

「はい。柊様曰く、魂の状態とのことで重々大事にとのことです。それで、器が必要だと。こちらの棺桶にその器が入っておるようです。」

「僕と同じパターンか。なんの器だろうか。とりあえず魂を入れてみようか。ありがとう、君たちは下がっていいよ。」

「御意。」

「『復せよ』。」

そう唱えると、黒い棺桶から一体の鬼人が現れた。元はなんの体かは分からないが、とりあえず魂を入れてみることにした。

「『入れ』。」

ヤマの魂は、その球体のお札が徐々に剝がれていき、赤色の魂があらわになった。そしてすーっとその鬼人の体に入っていった。成功だろうか。

「ヤマ、目を開けよ。」

「ここは・・・。私は・・・。死んだはず。」

「やぁ初めまして。僕はオべリス。君はヤマだね。」

「これは一体どういう状況なのでしょう?」

「柊さんが僕によこしてくれたんだよ。どうやら君は生まれ変わった。死んだことは覚えているようだからね。死んだ後のことは覚えているかい?」

「柊殿が・・・。確か・・・寺で罪人を裁いていたような、そんな仕事をしていたような・・・。すみません、記憶が曖昧で。」

「まぁしょうがないよ。たぶん、その記憶は確かだよ。君は一度死んで、冥界で罪人を裁く仕事をしていた。それは間違いないと思う。今度はその力を僕のために使ってほしいんだ。頼めるかな。」

「柊殿の頼みとあらば。オべリス殿が主人でよろしいか?」

「うん。僕が主人だ。僕も柊さんからここに転生させられた身だよ。」

「なんと!?同じ境遇だとは。それならば貴方に使えましょう。」

それからこの世界のことをヤマに説明し、人間を裁くという任を与えた。

「がしかし、ここはなんとも珍妙な場所ですなぁ。以前いた世界とは全く違う。」

「まぁ異世界だからね。あ、そういえば前居た頃の力は使えるかい?」

「やってみましょう。『出てこい、お前達』。」

というと3つの物体が現れた。それは僕が聞いたことのある物と同様の物だった。

「紹介します。これが私の仕事道具たちです。檀荼幢だんだどう浄玻璃鏡じょうはりきょう業秤ごうのはかりでございます。」

「これが噂の!実物見るとなかなかなものだね。」

実際に見る道具はなかなかの一品だった。浄玻璃鏡を覗いてみると、前世の僕が映し出されていた。間違いない。噂通りの物だ。

「道具もよし。あとは君の体だね。鬼人の体を柊さんは用意してくれたみたい。どうだい?」

「なぜか以前の者よりもしっくりきております。有り難き幸せでございます。」

「力は?魔力とか?どう?」

僕はヤマの力に興味津々だった。

「冥界にいた10人分の力が私に凝縮されているようです。それから、以前の召使いを使えるようで。」

「10人分ってことは1人でこなせるってことか。柊さんもえげつないことするなぁ。召使いって召喚ってことかな?」

「左様で。私の仕事仲間とも言うべき存在でございます。」

「それは知らなかった。また今度紹介してね。」

「勿論でございます。それで、あのぅ、オべリス殿。私が働く場所はどこでしょう?」

「あぁそれがまだなんだよ。いずれはこの魔王城を立て直す予定なんだけど、ヤマの仕事場、どこがいいかな?」

「私が決めていいので?」

「仕事場くらい決めさせてあげるよ。まぁそこはホワイトに!」

「有り難き幸せでございます。それでは新しくなる魔王城の地下をお借りしたく。」

「地下か。そうだね、そうしよう!まぁ魔王城をどんな風にするかまだ決まっていないんだけどね。ヤマの案もまた今度教えてよ。」

「御意に。」

「それから、この世界の仲間を紹介しないとね。」

僕はルーデンとゴブリン達、3種族を集めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

処理中です...