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プロローグ 巻き戻されたけど…
ある日神が来たんですが…
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「お疲れ様~」
「おっつー」
「お疲れ様でしたー」
夕方の5時。仕事が定時に終わり帰宅する俺。
今日は特に何もない水曜日。ここまでは短く感じるのに、次の土曜日までは結構長く感じるのはなんでだろう?
とりあえずいつものコンビニでメシ買って帰ろう。
2
「いらっしゃいませ……あ、恵一くん!」
「どうも丸川さん。」
「また夜ご飯?」
「えぇ…そんなところです。」
俺…花無恵一は今工場に勤めている25歳。このコンビニは高校時代にバイトしていたところ。
丸川さんはその時の先輩で、今でも何かコンビニに用事があれば少し駄弁る仲だ。
「ならこの弁当取り置きしておいたよ~」
「ありがとうございます。助かります。」
同じ工業系の人や、夜勤の人達などで弁当の争奪戦が激しい。なので丸川さんに取り置きしてもらって何とか食料確保している。
健康に悪いプラス、セコい。
「あ、花無くんだ。久しぶり!」
「店長!今日は来てたんですね。」
「いつも居ないみたいな言い方しないでよ。」
「いや事実だから。」
この店長、用事がない日は店に来ない。
いい意味で店員を信頼している。悪く言えばサボり魔である。
「そういえば花無くんはもう25歳になったんだっけ?」
「はい。先月誕生日でしたので。何かください。」
「あげるものがないから無理。ところで彼女はできたの?」
「か、彼女…ですか……」
この店長。痛いところついてきやがった。
俺の長年の悩み。それは彼女ができないと言うこと。
高校卒業して、すぐ就職して20歳で一人暮らし。そこまでは完璧だったのだが、そこから一向に成長する気配はない。
「会社の合コンとかはないの?」
「ある訳ないじゃないですか。あんな陰キャの職場で。」
嫌味みたいに言うものの、そこまで関係がギクシャクしているわけじゃない。
簡単に言えば、俺と同類な奴らが一緒に働いている。俺が合コンを開かない=誰も開かないと言うこと。悲しいね。
ちなみに恋愛に関しては大人のお店の話題ばっかり。もっと悲しいね。
「ま、私ですら結婚できたから何とかなるって。」
丸川さんはお世辞でも美人とは言えない。正直学生の頃は店長も俺も、他の従業員ですら丸川さんは一生独身だと思った。
ところがどっこい、去年急に婚約発表をしてそのまま結婚式に招待された。ちなみに相手は常連客。もうこの世の中何が起こるか分かったもんじゃねぇ。
そして今も幸せに暮らしている…と思われる。
「だから恵一くんはカッコイイほうだから心配しなくても誰か釣れるって。」
「カッコイイほうって……なんか微妙ですね。」
「だってイケメンじゃないし……イケメンだったら私が狙ったからね。」
「え、そうなんですか……」
「でも丸川さんの結婚はホントビックリしたよ。発表を聞いた時はエイプリルフールだと勘違いしたし、明日の天気は大雪かと思ったし……」
「店長?私バイト辞めたっていいんですよ?」
「マジでごめんなさい調子に乗りました許してください何でもしますから…」
店長がこの世で一番恐れていること。それは丸川さんの口から「辞めます。」を聞くこと。
彼女なしではシフトをまわすことができないほど人手不足ではないが、新人教育や、発注。店の顔としての存在もあるため、辞められたら困るのだ。
店長が代わりに出れば解決することなんだが、サボり魔の店長にとっては死ぬことよりも恐れている案件だ。
「なら店長の奢りでアイス買って。」
「承知しました。」
「ついでに恵一くんの誕生日プレゼントも買いなさい。」
「……………承知しました。」
何故か最後間が合ったのは気にしないことにして、思わぬデザートがついたところでコンビニを後にした。
2
「はぁ~疲れた~」
アパートに戻って来るや否や、すぐ弁当を温める。
それにしても俺に彼女ね~
「今さら無理だよなぁ。こんな取り柄のない男。」
自分でも半ば諦めているので吹っ切れるのは早い。しかしいらないと言ったら嘘になる。
最初は憧れていた一人暮らしも慣れれば寂しいものになる。たまに友人を招いて飲み会を開くのだが、異性を連れてきたことは一度もない。
それどころか中学卒業してから異性と話したことはないかもしれない。もちろんコンビニでの接客は除く。
いっそう出会い系サイトを使えば気が楽になるかもしれないが、もし詐欺に遭ったら惨めな思いが広がるだけだ。
なら最初からやらなければいいというのが俺の考え方なのだが、その消極的な性格からできないのだろうか?
「いいやもう。早く飯食って寝よ。」
テレビをつけて、適当なチャンネルに合わせる。もう夜の九時を回っているので、どのチャンネルもニュースしかやっていなくて面白くない。
ピンポーン
「誰だこんな時間に?宗教の勧誘かぁ?」
どーせ独り身の悲しい男に、「神様を信じませんか?」という口実でお金を吸い取るつもりだろ。
神様を信じたら彼女ができるならいくらでも貢ぐが、そんなの迷信にすぎない。
放っておけば諦めてくれるだろう。
ピンポーン…ピンポーン…ピポピポピポ
だーうるさい!!
「クッソが、適当に話を聞いて受け流せばいいか。」
あまりにもしつこければ警察を呼べばいい。
ガチャ
「はーい。どちら様ですかね?」
「神様ですよ~」
バタン
ついつい閉めてしまった。
いやいやでも「どちら様?」と聞かれて「神様。」なんて答えるか?
普通「○○と申し訳ますが~」みたいに名前を名乗るのが常識でしょ?お客様は神様主義のクズ客もビックリですよ!?
いくら常識外れとはいえ、無言で閉めるのは失礼にもほどがある。そもそも夜に人の家に訪ねるほうが失礼だけどね!
パタッ
「もう!なんで閉めるの!?」
「なんでって予想外の返答が来たからだよ。」
というかこの人なんでタメ口なの?
ピンポン連打した人は、黒髪のセミロングで、巫女装束を着ている。
マジで知らない人なんですが…
「ところでホントに誰?」
「だから神様って言ってるでしょ!」
俺はあなたを崇めたつもりはない。けどこのままだと埒が明かない。もう神様(仮)でいいや。
「俺はデリヘル呼んでないですけど。間違いじゃないですか?」
「私をあんな女の人と一緒にしないで!?」
ちなみにデリヘルとは、可愛い女の子が指定の場所に来て、慰めを手伝ってもらうサービスだ。良い子は調べるなよ。
まぁ大人のお店は置いといて、この衣装はどう見てもコスプレでしょそれ。
「あの人たちはピンクだけど、私は白いですよ!」
「見りゃ分かるわ。」
「服のことじゃない!私は正真正銘の神様ですよ!恋愛の神様の1人。」
もうここまで言ってるから神様でいいや。
ん?恋愛の神様の1人って……
「恋愛の神様はあんた以外にもいるのか?」
「はい。それは数え切れないぐらい。だから津々浦々○○のご利益がある神社があるわけですよ。」
「なるほどな。正直巫女さんにしか見えないが…」
「神様も色んな人がいますから。普通の洋服もいれば、パリピな格好の人も、全裸の神様もいますよ。」
全裸の神様って何?なんのご利益がある?ってレベルよりもご利益なんてあるの?ってレベルだよ。
「会うこともできますよ?」
「結構です。」
これが女性の神様なら是非見たいところ。しかし大抵男性というオチがあるので、常に理性は働かせないといけない。
それにしても神様には色々な方がいるなぁと実感。そもそも神様ってどんな人と聞かれたら、白い髭に白い服の爺さんのイメージしか出てこない。
だから女性の神様はどんな人と聞かれても率直に答えられない。
結局神様に定義なんてなかったんだね。
「で?自称恋愛の神様がなんの用?」
「そうでしたそうでした。あなたに用事があってきました。」
「だろうね。」
用がなくて来たらぶっ飛ばしてたぞ。後から祟られそうだけど。
「あなたは花無恵一さんですよね?」
「そうですけど。」
これで違いますと聞いたらどうなるのか?
「単刀直入に聞きます!彼女いますか!?」
「いねぇよ。」
「ですよね~クスクス」
「お前知ってて聞いただろ?」
マジで殴りたいこの笑顔!
「神様に『お前』は不適切ですよ~。せっかく私が来たというのに。」
「別にあんたの神社にいってお参りしたことねぇから来る義理はないけどな。」
「私専用の神社なんてないですが何か?」
「なんかゴメン。」
神はリビングに入り、食べかけの弁当の周りをグルグルまわる。それ儀式か何かなの?
「まぁ恋愛の神様なので、民の恋愛事情は全て把握してます。」
「なかなか性格悪いんだね君。」
「神様の特権なので問題ナッシングです~それで花無恵一さんは、ここ15年以上は彼女なし。最初に付き合ったのは小学校5年生の春で、これが最後ですね~」
「人の過去を楽しそうに語るな。」
「お付き合いと言っても遊び程度。軽く土日に会うだけで自然破局。今の小学生でももっと進んでいますよ?」
「違う違う。小学生はあれで充分だ。今の小学生が過激過ぎるんだよ。」
なんなら初体験が小学生というやべぇやつもおるんだぜ。おっそろしい!
もう保健体育実技授業必須科目不可避じゃね?⥿問題発言
「まぁ彼女いない歴=年齢よりはマシとはいえ、マウントなんて取れませんからね。同レベルです。」
「それは否定できない。けど童貞だって卒業迎えました~」
「なら友人達に卒業の流れを話してみては?」
「ごめんなさい。恥ずかしくてできません。」
「それならくだらない見栄なんてはらないでください。」
「ハイ……すみません。」
恥ずかしくて言えない。それは正当な卒業じゃないから。
え?じゃあどうやって卒業した?ご想像にお任せするよ!
「というわけで、満足に人生楽しめず、社会に貢献できてない恵一さんに朗報です!」
「俺ニート違うぞ?」
「あなたはもうすぐお亡くなりになります。」
「なぜ朗報だと思ったのか教えていただきたい。」
「私的に。」
「ひどいなおい。」
俺が死ぬことによって喜ぶ神様がいるみたいです。
「ちなみに死因は?」
「通り魔に刺されてバイバイ。」
「穏やかじゃないね。」
聞くと、寿命の神様が運命的にそろそろこの世から消えるだとか。
「もうすぐ死ぬのは分かった。けど寿命と恋愛は関係ないと思うけど。」
「関係ありますよ。だって彼女なしのまま死ぬんですよ?可愛いそうだと思いません?」
「余計なお世話だ!」
「だから私が何とかしようとしたのです。待望の彼女ができる恵一さん。少子化で悩む社会に貢献できる!win-winじゃないですか~。」
「win-winだねー」
正直俺よりも社会に貢献していない人いると思うけど、まぁ俺にとっておいしい話だからいいや。
「なら早く俺に紹介してくれなす。」
「私は婚活パーティーの司会者じゃないですよ?」
「え、どゆこと?」
「恵一さんの努力次第では彼女はできません。」
「そうなんだ……」
てっきり可愛い女の子を連れてきて、「この娘と結婚しなさい。」と言われると思った。
そんなおいしい話があるわけないか。
「ならどうするの?」
「今の恵一さんには恋愛運はみじんもありません。なのでやり直す必要があります。」
「つまりラノベでありがちな、異世界転生や、生まれ変わりがあるということか!」
「何言ってますの?異世界転生したらこの世界に貢献できないし、生まれ変わってスペックがよくなると他の方が羨ましがります。」
この地点で羨ましいと言われますが……
あと異世界転生はできるんだガチで。否定してないから多分だけど。
「ならどうするのさ。」
「実は運命には分岐点があります。恵一さんは彼女ができる分岐点まで人生を巻き戻させていただきます。」
「なるほど。ちなみにどれぐらいまで?」
「高校生ですね。そこからやり直しです。名前や親御さん。住んでいるところや、それまでの友人関係に一切いじりはありませんのでご安心ください。」
「意外に戻らない…」
「あと彼女が出来ずに卒業すると、同じ運命を辿ることになりますのでご注意を。」
「つまり25歳で通り魔に襲われて死ぬと。」
「その通りです~」
なかなかハードだな。ゲームでいう選択肢を間違えばそのまま同じ未来に……いや、この場合は間違った選択をしなければいけないのか。正しい選択=過去と一緒ということになるだろう。
何かとあれ、過去とは違うことをすれば、かのピッピを手に入れるチャンスがあるということだ!
「一応亡くなったらあなたの来世は選ぶことはできますけどね。」
「どういうこと?」
「理不尽な死にかたをしてしまう方への救済処置です。そのまま幽霊になって天国で暮らすか、好きな世界へ転生するなどあります。」
「なるほどね~」
「アニメの世界や、全く知らない異世界。更にはタイムスリップもできますよ。さすがに歴史が壊れない程度ですけど。」
最悪彼女が出来なくても暗い話はない感じで良さそうだ。
「異世界に転生したいからわざと彼女を作らないはなしですよ?」
「分かってる。転生したところで彼女ができる保証なんてないし。」
「これで説明は終わりですね!早速今夜から取り掛かりますよ!」
もうやるんだ………ちょっと待って?
「俺に選択権はないの?」
「はい。強制ですよ。」
嫌でも巻き戻される運命なんだ……
反対する理由ないからいいけどさぁ。
「今から何か儀式みたいのをやるの?」
「そんな大掛かりなものはないです。普通に寝るだけで結構です。その間に私が過去へ巻き戻しますので。」
「意外とシンプル。」
「あと分からないことはいつでも呼び出してください。極力すぐに姿を現すようにしますので。」
「極力かい!そういえば名前を聞いていなかったな。名前はなんて言うの?」
「そういえば名前なんてなかったですね。」
おい………
「下級神様に名前なんてないですよ。ただでさえ私専用の神社がないのに……」
「ゴメンって……いじけるなよ。なら普通に神様って呼べばいいんだな?」
「それだと区別がつかないので、神様のかーちゃんでいいですよ。」
「大して変わらないし、母的な意味があるから紛らわしい!」
「もうすべこべ言わずに早く寝る!」
「ちょっ……まだ風呂に入ってない。」
「気にしない。おやすみ!」
「フゴォ!」
神様に強制的にベッドに押し倒される俺。さすがに襲われることはなかった……と思う。
仕事の疲れからすぐに意識はなくなった。特に変な夢も見ることなく安眠できたかな?
3
ゴーン……ゴーン……ゴーン……
「…………ん~?ここは……?」
目を開けると、目の前には教科書や参考書、ノートが広がっていた。
「確か神様に強制的に寝かされて……過去に戻ったのか?」
恐らく勉強中に寝落ちして夜になったのだろう。
「ここは……俺の部屋だ。」
数年前まで使っていた実家の部屋だ。物の配置もあの時と変わらない。
「そういえば、時間はいつに戻るか聞いてなかったな。」
目の前のスマホで日にちを調べる。
「ちょうど12月31日から、1月1日になったばかりかぁ。」
つまりお正月。だから付近のお寺の鐘が鳴っているわけだ。
「結構経ったなぁ。高校生の3分の1はもう終わっている……あれ?」
勉強好きではない俺は、高校生活でお正月の時に勉強をしていた記憶がない。
そして目の前には、必死に勉強をやっていた痕跡が残っている。
「まさか……」
急いでクローゼットを開ける。中には高校の制服はなく、中学生の学ランが掛けてあった。
つまり今は中3の冬。受験生だ。
「あのバカ神様!受験からやり直せってことか!!」
さすがにそれは聞いてない。高校生からやり直すということだから、てっきり入学式あたりからだと思った。
それが人生の1位2位を争う試練でもある入試をもう1回やるとは……
「尋問せねば……神様、神様!!」
しかし神様は出てくる気配がない。
これ本当にかーちゃんと呼ばないといけないの?
「かーちゃん。かーちゃん!」
「呼んだかい?夜食でも欲しいの?」
「ごめんなんでもない。」
やっぱりお母さんが応答しちゃったよ。
ていうか俺は、お母さん呼びだから少しぐらい違和感は持ってよ。
とりあえず外に出たほうが良さそうだ。
「ちょっと散歩してくる。」
「はーい。気をつけて!」
こんな時間に学生がぶらついちゃダメだが、今日はお正月なので、特別に許される。
外はいつでも変わらない。肌を刺すような寒気が続いている。
この街は西湊市といい、文字通り海に面している一般の街だ。
俺の住んでいる南の地域は、いくつかのお寺が建っている。さすがに京都にはかなわないが、大晦日はあちこちから鐘の音色が聞こえる。
満月の今夜は街が明るく、お寺がいい感じのシルエットができている。道路の先には発電所が見え、煙突からは白い煙がモクモクとたっている。
俺は、近くの公園に行って、神様を呼ぶ。
「かーちゃん。いるなら出てきて!」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「あ、やっと来た。」
この神様には色々申したいことがある。
「まず聞きたいことがある。」
「はいなんでしょう?」
「なぜ受験までやり直さないといけないのだ?」
結構圧をかけて聞く。しかし神様はケロりとした顔で答える。
「だってあの高校だともう詰みですから。」
あの高校とは、自分が通っていた西湊工業高校だ。
「あの高校に入学した地点でもう彼女はできません。なので高校選びからのやり直しです。」
「そんな悲しい未来を辿っていたのかよ…」
確かに西湊工業高校は共学とはいえほとんど男子。そこから男臭い職場に就職だから、恋愛イベントのれの文字もない。
なら一応これ神様の善意なんだ。
「それでどの高校に入学すればいいの?」
「その辺の普通高校でいいですよ。」
結構大雑把だな。
「この高校に入れば彼女ができる率が高いとかはありますが、詳しくは言えません。」
「そっか。神様の助言で過ごしちゃ意味がないのか。」
「はい。人生の選択助言はこれが最後ですので。」
「厳しいけど仕方ないか。」
中3の冬からスタートは納得できた。
あともう1つ、変えて欲しいことが……
「かーちゃん呼びはやめていい?」
「なんでですか?」
「母親と混同してややこしいんだよ!」
現に間違って反応したし!
うちの母親は天然要素が入っているから余計にかーちゃん呼びしたくない。お母さん呼びだけど。
「確かにややこしいですね~」
「なんで予期してないの!?」
バカなの?アホなの?アザトイの?
だから神社がないんだよ……って言うのはやめとこう。意外にそれコンプレックスなんだよあの娘。
「じゃあどうしましょう?」
「どうしましょう……」
「もう恵一さんが名付けてください。そっちのほうが早いですし、しっくりくるでしょう。」
いいのかよ俺が名付けて。仮にも神だぞあんた。
「俺神にふさわしい名前なんて知らないけど。」
「大丈夫ですよ。上司みたいに漢字いっぱいの肩苦しい名前じゃなくても。」
「地味に失礼なこと言うなよ……」
どうしようなぁ。一応女の子らしい名前がいいかな?
恋愛の神様……れんあいのかみさま……れんあい、かみ……………
「れみはどうだ?」
「れみ……ステキです!」
どうやら気に入ったようだ。
「じゃあこれからよろしくれみ…さん?」
「呼び捨てでいいですよ!こちらこそよろしくお願いします恵一さん。頑張って彼女さん作りましょう!」
こうして二度と味わないと思っていた青春(来るとは言ってない)は、彼女作りという名目でもう一度楽しめることに。
これ大丈夫なのかなぁ……
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