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1章 もうこの先不安なのですけど…
入学式から戸惑うことが多いのですが…
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1
「嘘でしょ……」
今日は晴れて入学式。
着慣れない制服での登校だ。
ちなみに進学先は地元の高校……ではなく、隣の愛浜市にある愛浜高校という普通科。
やり直した人生なので、学力はチートだろう。っと思っていたのだが、覚えているのは過去の記憶だけで、その他は全てリセットされていた。
なので、必死に3ヶ月勉強した結果、地元の西湊市の普通科高校ではなく、1つレベル下の愛浜高校を選んだということ。
それまではよかったのだが……
「なんでほとんど女子なんですかねぇ?」
それは下調べしないお前が悪い。と思った読者の皆さまに申したい。
俺はしっかりと過去の入学者は男女半々だと事前に調べました。実際入試会場も、ざっと見た感じ半分ぐらいだった。
つまりどういうか?単純に受験した男子のほとんどが俺よりもおバカさんだったということで、見事にお滑りしたと。
その結果思った以上に女子を受け入れざるを得ないということに。
これ八割は女の子ですからね?
一見ハーレムにしか見えないこの状況だが、俺は知っている。
「これ疎外感が出て逆効果なんだよ。」
男女比が五分五分、または六分四分だったらちょうどよかった。クラスないの雰囲気がちょうどいいバランスになるからだ。
それが極端に偏ると、無視する存在になるため、逆に彼女が作りにくくなるのだ。
そして何かやらかせば、多大なネットワークで情報が広まり、生徒のほとんどを敵に回してしまう。
ほんと男子が数人程度にならない限り、女子がたくさんいても意味がないのだ。
ちなみに反対の状況になると、同じ現象が起こるか、数少ない女子が色んな意味で狙われる。
2
「………………」
案の定クラスのほとんどは女子だった。
数少ない男子も全員知らない人ばっか。
そもそも愛浜高校の普通科で同じ中学校の男子はいない。入試の時に知っている顔を確認したが、全員もう1つの情報科に入った。
ちなみに情報科は普通科よりもレベルが低い。やられたね!
「………………」
そんなことははっきり言ってどうでもいい。
今この状況をなんとかしないと。高校生活開幕からボッチはシャレにならない。
(どうする?どうすればいいんだ?)
ボッチが嫌なら話しかければいい。しかし誰に話しかければいいんだ?
(れみに聞く……はダメなんだよな。)
ここからは自分の信じる選択を選ぶのみ。れみの力はもう借りれないのだ。
かと言って、ここで選択を間違えればバットエンド。この瞬間を慎重に選ばないといけない。
(まずは無難に隣の席の子に声をかける?)
そうしたらなんて声をかけよう?
いきなりの自己紹介はキモがられるか引かれるかのどっちか。
じゃあ特攻で接すれば……テンパって終わりですね。
教壇を見ると、まだ担任の先生らしき人は来ていない。
ならさりげなく何かを聞けばいい。
そして俺はグッドタイミングなことにトイレに行きたい。
「ねぇ、トイレに行って来ていいと思う?」
完璧だろ俺。
これなら不審に思われないし、これがきっかけで喋れやすい仲になりやすい。
天才だろ俺。
「行きたきゃ行ってこれば?」
【花無恵一終了のお知らせ】
(こんなに冷たく返してくるとは思わなかった!)
冷たかった。まだ氷が欲しい季節じゃないですよ、へこみますよ。自分の完璧な作戦ダメだったのもあるし、単純に傷つく。
ん?もしかして……
(この子誤解している!?)
俺は『今の時間トイレに行ってもいい時間かなぁ?』という意味で聞いた。
そして彼女は『俺実はトイレに行きたいんだよね~』という変態的な意味で捉えたんだと思う。
そして俺は『いいと思うよ。』か、『もうすぐ先生来るから後がいいんじゃない?』と返りを待っていた。
しかし現実は『勝手に行ってこいアホ』の意味も含めているあの返事………っていやいやいやいや!
(そんな誤解ある!?)
さすがに考えすぎだよね?単純にただぶっきらぼうに答えただけか。
雪みたいな白髪にぶどう色のようなツリ目。
いかにもツンツンツンツンしてそうな雰囲気なお隣さんは平然と本を読んでいる。
もしかして声かける相手間違えた!?
先程の理論から考えると、もう同学年の女子6分の1を敵にまわしたことになる。
失礼だけど、この人に人脈があまりないことを祈るしかない。
(ま、まあ詰んだわけじゃないよな。一応クラス替えがあると思うし……最悪1年生は捨ててもいいや。)
ちなみにトイレに行きたいのは本当のことなので、そそくさと席を立つ。
「隣の人の機嫌を損ねないようにしないと……」
そしてあまり声をかけないようにする。それでいいや。
3
「この学校はクラス替えないから、3年間共に過ごすことになる!みんな脱落せずに頑張って行こうな!」
これが担任の道直 進先生の話の最後。
あれから先生が来て簡単な自己紹介をし、暑ぐるしい話だなぁと思った矢先がこれだ。
フラグ回収早すぎィ!
そして今は帰り支度をする。
(そういえば、無難に男子と仲良くなればよかったな。)
クラス内では俺含めて男はたったの4人。嫌でもこのメンバーと3年間過ごすなら、友達作りをしても損はない。
「この倍率で同じクラスは奇跡やなぁ!」
「改めてよろしく~」
「一緒にバカやっていくでゴワっす。」
特徴強いし、あの人たち知り合いだったのか。
ならちょっと輪に入りずらいな。
「ぬぬぬ!あそこにも男子がいる~」
「他にもおったんか。」
「自己紹介聞いてなかったんでゴワっす。」
他にもって俺しかいない……これイジメの標的になるパターンか?
「あんたぁ名前なんて言うんや?」
「花無恵一です。」
「そっか。われどこ出身なん?」
「西湊ですが……」
「そっか。それで知らん顔やったんか。」
そしてそいつ名前を聞かれた人が、俺の肩に手をポンと置いた。
「わいは森 一郎や。こう見えて地元出身や。」
西湊や愛浜は東海地方だ。
ならなんで関西弁?
「おいらは林 ジローでゴワっす。」
「ジローってカタカナなんだ。もしかしてハーフ?」
「れっきとした日本人でゴワっす。」
「………」
彼は野球選手を目指しているらしい。正直横綱だと思ったよ。なんでかとは言わないが…
「俺は木 三朗だよ。よろしく~」
「よろしく。」
なんか普通な人が来て安心した。
「わいらは小学校から一緒やったさかい。アウェイ感あると思うけど気にしんでいこうや!」
「ありがと。正直孤立したらどうしよと思って。」
「いいでゴワっす。恐らくこれからの行事はこの4人で一緒になることが多いでゴワっす。」
「そうそう。だから早めに仲良くなったほうがいいんじゃない~」
「いいこと言ってるけど、さっきまで俺の存在忘れていたよね?」
「「「ギグっ!」」」
そう。仲間はずれは俺たちしないぜ空気が満載だったが、この3人俺の自己紹介を無視して、帰り際にやっと男がもう1人いた事に気づいたのだ。
「まぁそのことに関しては気にしてないけど。それでウッドリオはなんでここに入ったの?」
「「「ウッドリオ!!!」」」
適当につけた名前がそんなよかったのか?
「ウッドリオってどんな由来かな~」
「由来って……単純にウッドとトリオを造語しただけだよ。あんたら木がつくだろ。」
「いい響きでゴワっす!」
「あぁ……じゃあ早速!」
すると3人は打ち合わせしていたのか、それぞれ決めポーズを決め……
「1!鼻で笑いを取れる将来有望の芸人さん!森一郎!」
「2!地区本塁打王の愛浜ロマン砲の夢は、エースでノーヒットノーランでゴワっす!林ジロー!」
「3!特に何もないが、何もないが一番いい!ノーベル賞を目指せ~木三朗!」
「「「我ら3人ウッドリオ、参上!!!」」」
うわー突っ込み要素満載だ。どこから突っ込むべき?まぁまずは…
「そのセリフ今決めたの?」
「いや、昔から決めてたで。」
なのにグループ名?は今決まったのかよ。そもそも今までなかったんか!
それとそれと、
「森くんは芸能人目指しているの?」
「一郎でええで。」
「そうなの?なら一郎の夢はテレビで有名になること?」
「せや!まずはM-1グランプリに優勝するのが目標や!」
「そっか。なら鼻で笑われないようにしないと。」
「なんでや。笑い取れてるからええやん?」
鼻で笑う=すべっていることだからな?それに気づくまでどれぐらいかかるのか…
「それで相方は誰?」
「わい1人で活動や。」
M-1グランプリは漫才だから相方は必要だぞ?
まぁそのうち見つかるだろう(諦め)
それで次はジローくん。
「ジローはピッチャー目指しているの?」
「そりゃ野球の花だからカッコイイに決まっているでゴワっす!」
「否定はしない。しないけど、ホームランバッターが本当なら別の目標もいいと思うけどなぁ……」
例えばホームラン王、打点王、打率王などなど、彼が本物のスラッガーなら、狙えるタイトルはいくつもある。ピッチャーが悪いわけじゃないけど、人にはそれに合う才能があるからそれを目指すべきだと思う。
俺個人はだと、そもそも野球できるかどうかから疑っているけど。
そして三朗くん。
「あんたは取り柄ないの?」
「うんないよ~」
「自分で言うな悲しい!それでノーベル賞を目指しているのか…」
「そうだよ~」
「………まぁ頑張ってくれ。」
俺からいいところ教えてあげたいのは山々だけど、なんせ今日初めて会ったから分からない。一緒に過ごしていくうちに教えてあげよう。
ノーベル賞のほうは……これは色んな分野があるから取れないことはないでしょう。
「それで俺の立場どうするの?」
「「「あ、忘れてた!!!」」」
もう俺の存在空気になったよ。
「ならウッドリオのプロデューサーやってや。」
「嫌だわ!」
なんだよプロデューサーって。この人達夢バラバラなのに何にプロデュースすりゃいいんだよ!
それにいくら夢が一緒でもこんな馬鹿のプロデューサー嫌なんだけど。
「それで、なんでここに入学したの?」
「入れる高校がここだけやったから?」
「家から近いし~」
「女の子も多いでゴワっす!」
俺と大して理由変わらなかった……
完全な同類だった件について。
「まぁわれも女の子目当てで来たんちゃうか?」
「そ、そそそそそんなことないけど…」
「分かりやすいでゴワっす。」
「大丈夫。男の子はみんなそう思っているから~でもこんなに女子多いとは思わなかったね。」
やっぱり地元民からもこれ異常な光景なんだ。
「ならわれと同じ中学の女子紹介してや~」
「えーっと……このクラスにはいないかも?」
「なんやそうなのか。いたら紹介してもろうと思ったんやけど……いかん。わいそろそろ帰るわ!」
「え?そうなの。じゃあまた明日。」
「おいらも野球部見学に行くでゴワっす。」
「い、いってらっしゃい。」
野球は本気だったんだ。
「俺はノーベル賞の勉強してくるよ。」
「あ、はい。」
ノーベル賞の勉強ってなに!?
ノーベル賞のためじゃなくて、多分ノーベル賞のことを勉強するんだよねきっと!?
ちなみにノーベル賞のことを論文に出したからといってノーベル賞を取れるわけではない。
「この人達と関わって大丈夫なのか?」
結構おバカ集団だった。
決して悪い人達ではないけど、恐らくたくさんの女子から引かれることは間違いない。
(利用ってわけじゃないけど、彼女作り必死で友達ゼロも嫌だしな。)
しかも単純に好感は持てる。
そんなことで初めてできた高校の友達は、不思議なおバカ三人衆だった俺氏であった。
4
「やっほー恵一!」
「俺にもモテ期来た!?」
「何言ってんの急に。」
ついに俺にも女の子に声をかけられる時代がやってきた……と浮かれていたが違った。
「な~んだ美矢か。」
「なんだとはなんだ。この美少女とお話ができるだけでありがたいと思わないか!」
「そんなこと言っちゃうからダメだってことをいい加減に気づいて欲しい。」
えんじ色のポニーテールに深紅な瞳。女子にしては背が高いほうの彼女は一反田美矢。
彼女とは保育園の時からの知り合い。地味に同じクラスになる確率が高い。つまり幼なじみというやつだ。
「ほんっと男子は寄って来ないから嫌になっちゃうわ。」
「お前女子には人気があるからな。」
彼女はスポーツをやっているわけじゃないのにスタイルが良く、明るい性格からモテてもおかしくないのに、周りにいるのは女子ばっかり。
もちろん友達関係も多いが、脳が白い百合でいっぱいになっている女の子も集まる。
この前のバレンタインも下駄箱チョコでいっぱいだったと言っていたな。
美矢本人は女の子同士の愛に目覚めるつもりはないらしい。それ生まれてくる性別を間違えたんじゃない?
「あ~あ。私も彼氏欲しいな~」
「絶賛彼女募集中の俺がいますがどうでしょうか?」
「無いね。」
「知ってた。」
まぁこんな感じで、俺と美矢は腐れ縁すぎてお互い恋愛対象になっていない。はたから見たら仲がいいカップルに見えなくもないが、付き合うことはこの先ないでしょう。
「そういえば同じクラスだったんだな。」
「あんたも人の自己紹介聞いてないじゃん……」
「ウッドリオと同類だった!」
そう言えば異常にキャーキャー言っていたのは美矢の自己紹介か。
なんかうるさいなぁと思って聞き流していたから気づかなかったのだ。高校に入ってから百合度がすげぇ高くなっている。
少しぐらいその黄色い歓声俺に分けてくれてもよくない?
「美矢がいるって知っているならあの3人に紹介すればよかったな。」
「いやだよあんな男子。」
可愛そうに……
こればかりは同情するぞ。
「あんなのと付き合うなら、まだ恵一のほうがマシよ。」
「その恵一は。」
「対象外。」
この人将来結婚相談所でも苦労する未来が見えるぞ。人のこと言えねぇけど。
「それよりも一緒に帰らない?」
「いいけど俺自転車だよ。」
「私もだよ。」
「ならちょうどいいか。」
愛浜高校は隣の市とはいえ、自転車で40分ぐらいかかる距離にある。近くに電車が走っていて5駅分乗る。
電車通学の人も多いが、定期代がもったいないので、極力自転車を使っている。土砂降りの日などは電車使うけど。
「おーい。そろそろ帰れよ!」
「もうそんな時間か。」
時刻は間もなく正午。もう教室に残っているのは俺たち含めて数人しかいない。ちなみにお隣さん……通称ヒンヤリさんはとっくの昔に帰っている。(ウッドリオと話す前にはもういなかった。)
5
帰り道はそこそこの大通りを南に下って、あとはちょこまか行けば家に着く簡単なルートだ。
あんまりよくない自転車の並列走行も、周りに気をつければ大丈夫でしょう。
「そういえば、恵一はなんで愛浜に入ったの?確か工業系にするって言ってなかった?」
言えるわけがない。彼女ができないから普通科にしたと。
「お、親が普通科の高校にしなさいと言われたから。」
「そうなの?自分で言うのはあれだけど、工業系のほうが将来楽じゃない?」
確かに就職率は高いと聞く。
「ほとんどが工場で、いい労働条件とは限らないからね。安定したところに就くなら大学出たほうがいいって言われたから。」
「なるほどね。それにしては低レベルなほうの愛浜で。」
「学力の問題でここになりました……」
こればかりは嘘じゃない。
地元に西湊高校という普通科があるが、そこに入試受けると、ワンチャン落ちる可能性があると先生に言われたのだ。
「そういう美矢はなんでここに?もうちょっとレベルの高いところ狙えたと思うけど?」
「私そんな頭良くないよ。ただ余裕持ってここにしただけ。」
「あー無駄に背伸びしてついて行けなくなってもあれだしね。」
難関目指して何とか入れた受験生をテレビでも何回か見たことあるが、俺はその後を知りたい。入れたところでハイレベルな授業について行けず、留年。あるいは退学していたら元も子もない。
美矢はそこまで極端に成績がいいわけではないが、1つレベルを落として上位に立ったほうが後々いい評価を得られる。
いい高校でも成績がなぁと言われるよりは、トップだったんだすごいと言われるほうが嬉しい。
「でも制服はちょっと地味じゃない?」
「まぁ中学の制服を改造したようなもんだから。」
セーラー服は一般のものに水色の線が入ったようなもの。学ランは校章の入ったボタンに変えただけのシンプルなもの。制服目当てで入るようなところじゃない。
「まぁそれでも似合っているとは思いますけどね。どうよ?」
「どうよと聞かれても……中学の頃と変わらないし。」
「嘘でも似合っていると言って欲しかったな~」
「じゃあ似合っている。」
「ム~なんか嬉しくない!」
こういうところが俺のモテない理由だろう。まぁこの人に好感度をあげる必要はないが。
「それに最近太っちゃったからチャックキツいし…」
「はぁ?あんた採寸から数ヶ月しか経ってねーぞ!なにしたんだ?」
「………」
コイツの目論みはわかる。わかるからこそあえて言わない。これも優しさってもんよ。
冷たい睨みは効いているけど……
「どうしよう~明日はもうスカート穿けないよぉ~」
「ウソツケゼッタイフトッテナイゾ。」
「なんで棒読みなの!?」
それにしてもなんで意図的でもいいからそんなに褒めて欲しいんだ?
分かっていても嬉しいものなのかな?
「そんなに気になるなら俺が確認しようか?」
「どうやって?」
「簡単さ、つまめばいい。ほら、腹を出しな。」
「ちょうどいいところにあれがあるから寄っていく?」
美矢が指す左手の先は警察署だった。
「ゴメンなさい冗談がすぎましたぁぁぁー!!!」
「分かればよろしい!もうレディにそんなセクハラ紛いの発言をして~」
「嬉しいだるぉぉぉ?」
「嬉しくない!」
「けど俺美矢のこと女だと見ていないからなぁ~」
「ひっどい!私のことなんて思っていたの?」
「性別間違えたエセ女。」
「本気で寄るけどいいかな?」
そろそろマジで訴えられるから、からかいもそこまでにしておこう。
「冗談は置いといて、俺は気安く話せる異性の友達だと思うよ。」
「え!?そ、そうなんだ~本当にまだ友達なんだ……」
「ん?なんか言った?」
「い、いやぁ。別になにも?」
「そうか。」
それからあまり視線を合わせてくれなかった。何か気に触ることを言ったのかなぁ俺。
俺たちは踏切を通って、駅前を走る。
ここまで来たらそれぞれ別の道に進む。意外に彼女と家は近いんだ。
「じゃあまた明日だな。」
「うんまた明日。」
ちょうど春風が吹いて髪を揺らす。
「ねぇ恵一。」
「なに?」
「高校生活も楽しもうね!」
「っ!あたりまえだろ!じゃあな!」
「うん、バイバイ~」
美矢ってあんな美人だったかな?一瞬ドキッとしちゃったぜ。
あんなやつに心臓跳ねるなんて不覚だけど。
「なんだよ。もうちょっと強い風吹けばパンツ見えたのに……」
恥ずかしいさと悔しさを紛らわすために、少しサイテーなこと呟いて帰路に着いた。
「嘘でしょ……」
今日は晴れて入学式。
着慣れない制服での登校だ。
ちなみに進学先は地元の高校……ではなく、隣の愛浜市にある愛浜高校という普通科。
やり直した人生なので、学力はチートだろう。っと思っていたのだが、覚えているのは過去の記憶だけで、その他は全てリセットされていた。
なので、必死に3ヶ月勉強した結果、地元の西湊市の普通科高校ではなく、1つレベル下の愛浜高校を選んだということ。
それまではよかったのだが……
「なんでほとんど女子なんですかねぇ?」
それは下調べしないお前が悪い。と思った読者の皆さまに申したい。
俺はしっかりと過去の入学者は男女半々だと事前に調べました。実際入試会場も、ざっと見た感じ半分ぐらいだった。
つまりどういうか?単純に受験した男子のほとんどが俺よりもおバカさんだったということで、見事にお滑りしたと。
その結果思った以上に女子を受け入れざるを得ないということに。
これ八割は女の子ですからね?
一見ハーレムにしか見えないこの状況だが、俺は知っている。
「これ疎外感が出て逆効果なんだよ。」
男女比が五分五分、または六分四分だったらちょうどよかった。クラスないの雰囲気がちょうどいいバランスになるからだ。
それが極端に偏ると、無視する存在になるため、逆に彼女が作りにくくなるのだ。
そして何かやらかせば、多大なネットワークで情報が広まり、生徒のほとんどを敵に回してしまう。
ほんと男子が数人程度にならない限り、女子がたくさんいても意味がないのだ。
ちなみに反対の状況になると、同じ現象が起こるか、数少ない女子が色んな意味で狙われる。
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「………………」
案の定クラスのほとんどは女子だった。
数少ない男子も全員知らない人ばっか。
そもそも愛浜高校の普通科で同じ中学校の男子はいない。入試の時に知っている顔を確認したが、全員もう1つの情報科に入った。
ちなみに情報科は普通科よりもレベルが低い。やられたね!
「………………」
そんなことははっきり言ってどうでもいい。
今この状況をなんとかしないと。高校生活開幕からボッチはシャレにならない。
(どうする?どうすればいいんだ?)
ボッチが嫌なら話しかければいい。しかし誰に話しかければいいんだ?
(れみに聞く……はダメなんだよな。)
ここからは自分の信じる選択を選ぶのみ。れみの力はもう借りれないのだ。
かと言って、ここで選択を間違えればバットエンド。この瞬間を慎重に選ばないといけない。
(まずは無難に隣の席の子に声をかける?)
そうしたらなんて声をかけよう?
いきなりの自己紹介はキモがられるか引かれるかのどっちか。
じゃあ特攻で接すれば……テンパって終わりですね。
教壇を見ると、まだ担任の先生らしき人は来ていない。
ならさりげなく何かを聞けばいい。
そして俺はグッドタイミングなことにトイレに行きたい。
「ねぇ、トイレに行って来ていいと思う?」
完璧だろ俺。
これなら不審に思われないし、これがきっかけで喋れやすい仲になりやすい。
天才だろ俺。
「行きたきゃ行ってこれば?」
【花無恵一終了のお知らせ】
(こんなに冷たく返してくるとは思わなかった!)
冷たかった。まだ氷が欲しい季節じゃないですよ、へこみますよ。自分の完璧な作戦ダメだったのもあるし、単純に傷つく。
ん?もしかして……
(この子誤解している!?)
俺は『今の時間トイレに行ってもいい時間かなぁ?』という意味で聞いた。
そして彼女は『俺実はトイレに行きたいんだよね~』という変態的な意味で捉えたんだと思う。
そして俺は『いいと思うよ。』か、『もうすぐ先生来るから後がいいんじゃない?』と返りを待っていた。
しかし現実は『勝手に行ってこいアホ』の意味も含めているあの返事………っていやいやいやいや!
(そんな誤解ある!?)
さすがに考えすぎだよね?単純にただぶっきらぼうに答えただけか。
雪みたいな白髪にぶどう色のようなツリ目。
いかにもツンツンツンツンしてそうな雰囲気なお隣さんは平然と本を読んでいる。
もしかして声かける相手間違えた!?
先程の理論から考えると、もう同学年の女子6分の1を敵にまわしたことになる。
失礼だけど、この人に人脈があまりないことを祈るしかない。
(ま、まあ詰んだわけじゃないよな。一応クラス替えがあると思うし……最悪1年生は捨ててもいいや。)
ちなみにトイレに行きたいのは本当のことなので、そそくさと席を立つ。
「隣の人の機嫌を損ねないようにしないと……」
そしてあまり声をかけないようにする。それでいいや。
3
「この学校はクラス替えないから、3年間共に過ごすことになる!みんな脱落せずに頑張って行こうな!」
これが担任の道直 進先生の話の最後。
あれから先生が来て簡単な自己紹介をし、暑ぐるしい話だなぁと思った矢先がこれだ。
フラグ回収早すぎィ!
そして今は帰り支度をする。
(そういえば、無難に男子と仲良くなればよかったな。)
クラス内では俺含めて男はたったの4人。嫌でもこのメンバーと3年間過ごすなら、友達作りをしても損はない。
「この倍率で同じクラスは奇跡やなぁ!」
「改めてよろしく~」
「一緒にバカやっていくでゴワっす。」
特徴強いし、あの人たち知り合いだったのか。
ならちょっと輪に入りずらいな。
「ぬぬぬ!あそこにも男子がいる~」
「他にもおったんか。」
「自己紹介聞いてなかったんでゴワっす。」
他にもって俺しかいない……これイジメの標的になるパターンか?
「あんたぁ名前なんて言うんや?」
「花無恵一です。」
「そっか。われどこ出身なん?」
「西湊ですが……」
「そっか。それで知らん顔やったんか。」
そしてそいつ名前を聞かれた人が、俺の肩に手をポンと置いた。
「わいは森 一郎や。こう見えて地元出身や。」
西湊や愛浜は東海地方だ。
ならなんで関西弁?
「おいらは林 ジローでゴワっす。」
「ジローってカタカナなんだ。もしかしてハーフ?」
「れっきとした日本人でゴワっす。」
「………」
彼は野球選手を目指しているらしい。正直横綱だと思ったよ。なんでかとは言わないが…
「俺は木 三朗だよ。よろしく~」
「よろしく。」
なんか普通な人が来て安心した。
「わいらは小学校から一緒やったさかい。アウェイ感あると思うけど気にしんでいこうや!」
「ありがと。正直孤立したらどうしよと思って。」
「いいでゴワっす。恐らくこれからの行事はこの4人で一緒になることが多いでゴワっす。」
「そうそう。だから早めに仲良くなったほうがいいんじゃない~」
「いいこと言ってるけど、さっきまで俺の存在忘れていたよね?」
「「「ギグっ!」」」
そう。仲間はずれは俺たちしないぜ空気が満載だったが、この3人俺の自己紹介を無視して、帰り際にやっと男がもう1人いた事に気づいたのだ。
「まぁそのことに関しては気にしてないけど。それでウッドリオはなんでここに入ったの?」
「「「ウッドリオ!!!」」」
適当につけた名前がそんなよかったのか?
「ウッドリオってどんな由来かな~」
「由来って……単純にウッドとトリオを造語しただけだよ。あんたら木がつくだろ。」
「いい響きでゴワっす!」
「あぁ……じゃあ早速!」
すると3人は打ち合わせしていたのか、それぞれ決めポーズを決め……
「1!鼻で笑いを取れる将来有望の芸人さん!森一郎!」
「2!地区本塁打王の愛浜ロマン砲の夢は、エースでノーヒットノーランでゴワっす!林ジロー!」
「3!特に何もないが、何もないが一番いい!ノーベル賞を目指せ~木三朗!」
「「「我ら3人ウッドリオ、参上!!!」」」
うわー突っ込み要素満載だ。どこから突っ込むべき?まぁまずは…
「そのセリフ今決めたの?」
「いや、昔から決めてたで。」
なのにグループ名?は今決まったのかよ。そもそも今までなかったんか!
それとそれと、
「森くんは芸能人目指しているの?」
「一郎でええで。」
「そうなの?なら一郎の夢はテレビで有名になること?」
「せや!まずはM-1グランプリに優勝するのが目標や!」
「そっか。なら鼻で笑われないようにしないと。」
「なんでや。笑い取れてるからええやん?」
鼻で笑う=すべっていることだからな?それに気づくまでどれぐらいかかるのか…
「それで相方は誰?」
「わい1人で活動や。」
M-1グランプリは漫才だから相方は必要だぞ?
まぁそのうち見つかるだろう(諦め)
それで次はジローくん。
「ジローはピッチャー目指しているの?」
「そりゃ野球の花だからカッコイイに決まっているでゴワっす!」
「否定はしない。しないけど、ホームランバッターが本当なら別の目標もいいと思うけどなぁ……」
例えばホームラン王、打点王、打率王などなど、彼が本物のスラッガーなら、狙えるタイトルはいくつもある。ピッチャーが悪いわけじゃないけど、人にはそれに合う才能があるからそれを目指すべきだと思う。
俺個人はだと、そもそも野球できるかどうかから疑っているけど。
そして三朗くん。
「あんたは取り柄ないの?」
「うんないよ~」
「自分で言うな悲しい!それでノーベル賞を目指しているのか…」
「そうだよ~」
「………まぁ頑張ってくれ。」
俺からいいところ教えてあげたいのは山々だけど、なんせ今日初めて会ったから分からない。一緒に過ごしていくうちに教えてあげよう。
ノーベル賞のほうは……これは色んな分野があるから取れないことはないでしょう。
「それで俺の立場どうするの?」
「「「あ、忘れてた!!!」」」
もう俺の存在空気になったよ。
「ならウッドリオのプロデューサーやってや。」
「嫌だわ!」
なんだよプロデューサーって。この人達夢バラバラなのに何にプロデュースすりゃいいんだよ!
それにいくら夢が一緒でもこんな馬鹿のプロデューサー嫌なんだけど。
「それで、なんでここに入学したの?」
「入れる高校がここだけやったから?」
「家から近いし~」
「女の子も多いでゴワっす!」
俺と大して理由変わらなかった……
完全な同類だった件について。
「まぁわれも女の子目当てで来たんちゃうか?」
「そ、そそそそそんなことないけど…」
「分かりやすいでゴワっす。」
「大丈夫。男の子はみんなそう思っているから~でもこんなに女子多いとは思わなかったね。」
やっぱり地元民からもこれ異常な光景なんだ。
「ならわれと同じ中学の女子紹介してや~」
「えーっと……このクラスにはいないかも?」
「なんやそうなのか。いたら紹介してもろうと思ったんやけど……いかん。わいそろそろ帰るわ!」
「え?そうなの。じゃあまた明日。」
「おいらも野球部見学に行くでゴワっす。」
「い、いってらっしゃい。」
野球は本気だったんだ。
「俺はノーベル賞の勉強してくるよ。」
「あ、はい。」
ノーベル賞の勉強ってなに!?
ノーベル賞のためじゃなくて、多分ノーベル賞のことを勉強するんだよねきっと!?
ちなみにノーベル賞のことを論文に出したからといってノーベル賞を取れるわけではない。
「この人達と関わって大丈夫なのか?」
結構おバカ集団だった。
決して悪い人達ではないけど、恐らくたくさんの女子から引かれることは間違いない。
(利用ってわけじゃないけど、彼女作り必死で友達ゼロも嫌だしな。)
しかも単純に好感は持てる。
そんなことで初めてできた高校の友達は、不思議なおバカ三人衆だった俺氏であった。
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「やっほー恵一!」
「俺にもモテ期来た!?」
「何言ってんの急に。」
ついに俺にも女の子に声をかけられる時代がやってきた……と浮かれていたが違った。
「な~んだ美矢か。」
「なんだとはなんだ。この美少女とお話ができるだけでありがたいと思わないか!」
「そんなこと言っちゃうからダメだってことをいい加減に気づいて欲しい。」
えんじ色のポニーテールに深紅な瞳。女子にしては背が高いほうの彼女は一反田美矢。
彼女とは保育園の時からの知り合い。地味に同じクラスになる確率が高い。つまり幼なじみというやつだ。
「ほんっと男子は寄って来ないから嫌になっちゃうわ。」
「お前女子には人気があるからな。」
彼女はスポーツをやっているわけじゃないのにスタイルが良く、明るい性格からモテてもおかしくないのに、周りにいるのは女子ばっかり。
もちろん友達関係も多いが、脳が白い百合でいっぱいになっている女の子も集まる。
この前のバレンタインも下駄箱チョコでいっぱいだったと言っていたな。
美矢本人は女の子同士の愛に目覚めるつもりはないらしい。それ生まれてくる性別を間違えたんじゃない?
「あ~あ。私も彼氏欲しいな~」
「絶賛彼女募集中の俺がいますがどうでしょうか?」
「無いね。」
「知ってた。」
まぁこんな感じで、俺と美矢は腐れ縁すぎてお互い恋愛対象になっていない。はたから見たら仲がいいカップルに見えなくもないが、付き合うことはこの先ないでしょう。
「そういえば同じクラスだったんだな。」
「あんたも人の自己紹介聞いてないじゃん……」
「ウッドリオと同類だった!」
そう言えば異常にキャーキャー言っていたのは美矢の自己紹介か。
なんかうるさいなぁと思って聞き流していたから気づかなかったのだ。高校に入ってから百合度がすげぇ高くなっている。
少しぐらいその黄色い歓声俺に分けてくれてもよくない?
「美矢がいるって知っているならあの3人に紹介すればよかったな。」
「いやだよあんな男子。」
可愛そうに……
こればかりは同情するぞ。
「あんなのと付き合うなら、まだ恵一のほうがマシよ。」
「その恵一は。」
「対象外。」
この人将来結婚相談所でも苦労する未来が見えるぞ。人のこと言えねぇけど。
「それよりも一緒に帰らない?」
「いいけど俺自転車だよ。」
「私もだよ。」
「ならちょうどいいか。」
愛浜高校は隣の市とはいえ、自転車で40分ぐらいかかる距離にある。近くに電車が走っていて5駅分乗る。
電車通学の人も多いが、定期代がもったいないので、極力自転車を使っている。土砂降りの日などは電車使うけど。
「おーい。そろそろ帰れよ!」
「もうそんな時間か。」
時刻は間もなく正午。もう教室に残っているのは俺たち含めて数人しかいない。ちなみにお隣さん……通称ヒンヤリさんはとっくの昔に帰っている。(ウッドリオと話す前にはもういなかった。)
5
帰り道はそこそこの大通りを南に下って、あとはちょこまか行けば家に着く簡単なルートだ。
あんまりよくない自転車の並列走行も、周りに気をつければ大丈夫でしょう。
「そういえば、恵一はなんで愛浜に入ったの?確か工業系にするって言ってなかった?」
言えるわけがない。彼女ができないから普通科にしたと。
「お、親が普通科の高校にしなさいと言われたから。」
「そうなの?自分で言うのはあれだけど、工業系のほうが将来楽じゃない?」
確かに就職率は高いと聞く。
「ほとんどが工場で、いい労働条件とは限らないからね。安定したところに就くなら大学出たほうがいいって言われたから。」
「なるほどね。それにしては低レベルなほうの愛浜で。」
「学力の問題でここになりました……」
こればかりは嘘じゃない。
地元に西湊高校という普通科があるが、そこに入試受けると、ワンチャン落ちる可能性があると先生に言われたのだ。
「そういう美矢はなんでここに?もうちょっとレベルの高いところ狙えたと思うけど?」
「私そんな頭良くないよ。ただ余裕持ってここにしただけ。」
「あー無駄に背伸びしてついて行けなくなってもあれだしね。」
難関目指して何とか入れた受験生をテレビでも何回か見たことあるが、俺はその後を知りたい。入れたところでハイレベルな授業について行けず、留年。あるいは退学していたら元も子もない。
美矢はそこまで極端に成績がいいわけではないが、1つレベルを落として上位に立ったほうが後々いい評価を得られる。
いい高校でも成績がなぁと言われるよりは、トップだったんだすごいと言われるほうが嬉しい。
「でも制服はちょっと地味じゃない?」
「まぁ中学の制服を改造したようなもんだから。」
セーラー服は一般のものに水色の線が入ったようなもの。学ランは校章の入ったボタンに変えただけのシンプルなもの。制服目当てで入るようなところじゃない。
「まぁそれでも似合っているとは思いますけどね。どうよ?」
「どうよと聞かれても……中学の頃と変わらないし。」
「嘘でも似合っていると言って欲しかったな~」
「じゃあ似合っている。」
「ム~なんか嬉しくない!」
こういうところが俺のモテない理由だろう。まぁこの人に好感度をあげる必要はないが。
「それに最近太っちゃったからチャックキツいし…」
「はぁ?あんた採寸から数ヶ月しか経ってねーぞ!なにしたんだ?」
「………」
コイツの目論みはわかる。わかるからこそあえて言わない。これも優しさってもんよ。
冷たい睨みは効いているけど……
「どうしよう~明日はもうスカート穿けないよぉ~」
「ウソツケゼッタイフトッテナイゾ。」
「なんで棒読みなの!?」
それにしてもなんで意図的でもいいからそんなに褒めて欲しいんだ?
分かっていても嬉しいものなのかな?
「そんなに気になるなら俺が確認しようか?」
「どうやって?」
「簡単さ、つまめばいい。ほら、腹を出しな。」
「ちょうどいいところにあれがあるから寄っていく?」
美矢が指す左手の先は警察署だった。
「ゴメンなさい冗談がすぎましたぁぁぁー!!!」
「分かればよろしい!もうレディにそんなセクハラ紛いの発言をして~」
「嬉しいだるぉぉぉ?」
「嬉しくない!」
「けど俺美矢のこと女だと見ていないからなぁ~」
「ひっどい!私のことなんて思っていたの?」
「性別間違えたエセ女。」
「本気で寄るけどいいかな?」
そろそろマジで訴えられるから、からかいもそこまでにしておこう。
「冗談は置いといて、俺は気安く話せる異性の友達だと思うよ。」
「え!?そ、そうなんだ~本当にまだ友達なんだ……」
「ん?なんか言った?」
「い、いやぁ。別になにも?」
「そうか。」
それからあまり視線を合わせてくれなかった。何か気に触ることを言ったのかなぁ俺。
俺たちは踏切を通って、駅前を走る。
ここまで来たらそれぞれ別の道に進む。意外に彼女と家は近いんだ。
「じゃあまた明日だな。」
「うんまた明日。」
ちょうど春風が吹いて髪を揺らす。
「ねぇ恵一。」
「なに?」
「高校生活も楽しもうね!」
「っ!あたりまえだろ!じゃあな!」
「うん、バイバイ~」
美矢ってあんな美人だったかな?一瞬ドキッとしちゃったぜ。
あんなやつに心臓跳ねるなんて不覚だけど。
「なんだよ。もうちょっと強い風吹けばパンツ見えたのに……」
恥ずかしいさと悔しさを紛らわすために、少しサイテーなこと呟いて帰路に着いた。
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