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1章 もうこの先不安なのですけど…
ゴールデンウィークは楽しい予定だったはずですが…
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1
「いいじゃねぇかバイトぐらい!」
「ダメです。コンビニなんて青春できないじゃないですか!」
「そもそもなんであんた助言しているんだ!?」
「本当に確率ゼロはシャレにならないですから!」
「コンビニにしただけで可能性ゼロかよ!」
好調?に走り出した4月の半ば。俺は早速バイトをしようと考えていたのだ。
前の時は工業高校だからそこまで勉強がハードではなかったから親の許可がもらえた。なので普通科に入ったからてっきり禁止させるものかと思ったが、「小遣いは自分で稼げ」主義は変わらず、難なく許可はもらえたのだ。
それであのコンビニにバイトしようと履歴書を書いていたが、無名な恋愛の神様……通称れみが突然現れたというわけだ。
ちなみに工業高校の勉強がハードではないのは量なだけで、内容はめちゃくちゃ濃いよ。
「なんでコンビニなのよ?時給少ないし、ほとんどの休みは仕事でしょ?」
「人がそこそこだから入りたい時に入れるからだ。それに慣れているほうが楽だからだよ。」
どんな仕事でも慣れるのは楽じゃない。少しでも過去の記憶があるなら、例え体がついていけなくなってもそれは時間の問題で終わる。
「でも彼女できなくなるのは迷うな。」
「迷うな……じゃなくて選ばないでください!」
そもそも1つの選択で彼女できなくなるなんてほぼ詰みゲーな気がするんですが…
「ならバイトはしないほうがいいのか?」
「う~ん。でもお小遣いは必要ですからね。」
そりゃそうだ。これから出かける時や、ものを買う時には間違いなくいるもの。
「親からは絶対もらえないから出来れば働きたい。」
「結構厳しい親御さんなのですね。」
「そうか?逆に自分のものは自分で使えるから俺はそっちのほうがいい。」
親から月いくらもらえるのももちろんいいが、タダでもらえるのは申し訳ないと感じる。
自分で働く苦労と、計画的に貯金させるのが親の狙いらしい。
「それなら大手飲食店はどうですか?」
「悪くないけどなぁ…」
明らかにシフト量は減る。もちろん時給制なのでその分のお小遣いは減る。
「この辺りなら……ドックか?」
「いいですね~」
ドックは世界的有名なハンバーガーファストフード店、ドクトクバーガーの通称。学生には人気なバイト先だ。
「働けるならどこでもいいや。」
「そこなら私も文句ありません。ただ働きすぎはよくないですからね!」
「わかっているって。」
この心配は単純に俺の身体の心配をしてくれているのか、それとも彼女作りの面かはわからないけど。
「そういえばあんたはなんで助言しているんだ?もうしないって言わなかったっけ?」
「確かに言いましたが、確率がゼロになるのは私も困ります。なので助言しているんです!」
本来はダメですけどと言いながらため息をはくれみ。
そう嫌味たっぷり言われても仕方ないものは仕方ない。俺だって好きでゼロパーセントにしようとしているわけじゃないからな?
「なら極端な話、YESかNOで彼女できる率が1%になりそうでも、逆にグンっと高くなりそうがあんたは口出しできないと。」
「そうですね。天からモニタリングして落胆の声をあげるか歓喜の声をあげることしかできませんから。」
「ちょっと待て。あんた俺の生活の監視できるのかよ!」
「そりゃ監視しないと今回みたいなこと起きかねないですから。」
「うっそやろ……なら俺がいつ何したか筒抜けなのか!?」
「さすがにずっと監視はできませんが、記録は残ってますよ。それに危ない選択をするとアラームが鳴る設定です。」
「それなら聞くぞ?昨日の夜11時俺何してたかわかるか?」
「えーっと……18歳未満のくせに巨乳お姉さんの動画を見ながらオn……」
「やめてくれ!それ以上言わないでくれ!聞いた俺がバカだった!!」
「でも安心してください。趣味で見ているだけじゃありませんから。」
「説得力皆無ですが!?」
「自惚れないでくださいね?誰が好きで恵一さんの私生活を監視すると言うのですか。そんな仕事を受け持っているこっちの身にもなれよというわけですよ。」
「なんでだろう?安心するはずなのになんか悲しくなってきた。」
「さっきの話に戻りますと、恵一さん単独の時だけ助言しに行けるだけで、誰かと話している時はさすがに無理ですよ。」
「てことはれみは他の人にも見えるのか?」
「さぁ?幽霊と同じで見える人には見えると思いますよ?」
「幽霊と神様を同じ扱いしていいのか?」
「幽霊も丁寧に言ったら仏様なので変わりありませんよ。」
「えぇ……神様が言うならいいのか…」
この理論でいくと、俺はれみが見える体質なのか。
「そろそろ私は帰りますね。くれぐれもコンビニにバイト面接に行かないように!」
「わかったから安心して。」
「じゃあまたいつか。」
れみはそのまま窓から出て行った。
そういえば神様なら空から舞い降りてくる感じじゃないのかな?普通に出たり入ったりしているけど。
かと言って、部屋は2階だから普通の人間みたいに歩いているとは到底思えない。
「神様って謎だな……」
ちなみに面接はあっさりと終わった。次のゴールデンウィークに来てくれと。
ドックの店長的に、人が多いほどシフトに穴が開きにくくなるからいつでもアルバイト募集中らしい。全国のブラック企業は見習って欲しいものだ(何様)。
2
さて授業も本格的に始まり、学校の仕組みも大まかにわかってきたこの頃。世間は土日の他に、憲法記念日、みどりの日、こどもの日を加えた大型連休…言わゆる『ゴールデンウィーク』が待っている。
ほとんどの学生と一部の社会人はやっふぃな週間。
しかし俺はまだ予定をたてていない。
別にずっと家で引きこもるということではない。そんな何泊もして旅行に行くわけではないから、前もって計画する必要がない。
家族でどこか行く予定もないし、行きたいイベントや目的地も特にないので、適当に外出しようと考えていた。
お小遣いはどうするのって?最後の最後に親から3万円もらいました。正直多すぎます。
最後の最後というのは、ゴールデンウィークからバイトを始めるので、6月からのお小遣いは自分で何とかしろよというメッセージでもあるのだ。
だからと言って多く渡す親がどこにおるのだ。今まで月5000円だったぞこら。
まぁこの3万円プラス今までの残りを有意義に使わなければならないので、地味にやりくりが難しい。
もちろん使い切るなんてもってのほか。けどせっかくくれたものを一銭も使わないのはそれはそれで失礼だと思うので、少しはパーッと使おうと思います!
ではでは早速予定をたてましょう。
今年のゴールデンウィークは、水曜日から始まって、日曜日で終わる。WOW!なんてキリがいい。
「日曜日はバイト初日だから遊びに行けないと……土曜日も家でゆっくりしたほうが良さそうだ。」
水、木、金で街に遊びに行ってもいいかもしれない。
「恵一はいるでゴワっすか?」
「いますぜ、どしたジロー?」
今は始業前。教室にぞろぞろと人が入り始めたころだ。
「次のゴールデンウィーク、ジローが野球部の試合があるから観に行こうやという話だけど、恵一はどうや?」
「もう試合あるのか、早いね。」
そもそもジローはホントに野球部入ったのか。
「憲法記念日に、近くの球場でやります~。一緒にどうですか~?」
「いいよ。暇だったから。」
それにしてももう試合があるのか。
「なんか大会でもあるのか?春季大会…にしては遅いと思うけど……」
「違うでゴワっす。やるのは練習試合で、相手は高城東高校でゴワっす。」
練習試合で球場?っと思ったら、どうやら伝統的な一戦らしい。
理由は分からないが、毎年憲法記念日に高城東高校と試合をやるそう。
表向きは親睦を深めましょうという目的なので、勝ち負けは関係ない。
しかし長年やると、やはりライバル視してくるもので、どちらもガチなメンバーで挑んでくるらしい。
応援も本気で、夏の予選よりも気合いが入っているみたい。
ちなみに高城は川を挟んだ反対の市。高城東の学力は愛浜とはあまり変わらない。
もしかしてこれって底辺の争いじゃないだろうな?
「恵一も行くとわかったら気合いが入るでゴワっす。」
ちょうどチャイムがなった。
「じゃあ楽しみにするでゴワっす!」
「お、おうわかった。」
あれ?そんな大事な試合ならジローはスタメンどころか、ベンチすら入れないんじゃ……
1年生がベンチの座を獲得するのはほぼ不可能な気が…
「おいおい。その顔は大丈夫かよって顔やな。」
「バ、バレた?」
「大丈夫だよ~ジローの言う通り期待してもいいから~」
「ま、当日のお楽しみというや!」
「そう?そこまで言うなら?」
きっと途中で交代して出れる…って感じかな?
早速ゴールデンウィークの1日目は友達の部活の試合を観に行くことになった。
3
「けーいち!」
「なんだ美矢か。」
今日も特に何もなく、本当に何もなく1日が終わった。これからさぁ下校しようとする連中を見逃しながら、俺は残り2日分の予定を自席で考えていた。
「ゴールデンウィーク暇ぁ?」
「え、えーっと…ゴメン!もう予定埋まっちゃったんだ~」
半分嘘で、半分本当である。
確かにみどりの日とこどもの日は今のところ予定はない。しかし何もしないと決めたわけじゃないから、実質予定は埋まったもんだ。
「嘘でしょ。携帯の予定表は『暇』って書いてあるじゃん!」
俺のスマホのカレンダーは確かに暇って書いてある。しくじった……
「なんで勝手に見るの変態!」
「えぇ~それ変態扱いになるの!?」
「美矢のエッチ!変態!でんでん虫!」
「ゴメンでんでん虫の意味がよくわからない。」
バレたのは仕方ない。
「実はみどりの日とこどもの日はまだどこに行くか決めてないから暇って書いてあるんだ。」
「そうだったんだ。なら私と区名屋に行かない?」
区名屋とは、県一の街だ。日本の三大都市にも含まれている。
「区名屋で何するの?」
「色々なお店に付き合って欲しいの。」
「色々なお店ねぇ…」
正直乗る気がしない。
「なんか嫌々だね?」
「別に嫌じゃありませんよ!喜んでお付き合いいたしますよ!」
「そう?じゃあみどりの日に9時に西湊駅集合ね~」
「りょ、了解!」
あ~あ。自ら墓穴掘っちまったよ。
別に美矢とのお出かけも、行くと思うお店も、区名屋に行きたくないというわけじゃない。ただこの3セット組み合わせるとろくな事が起きない。
何が起きるかって?それは当日のお楽しみ(じゃない)だ。
「じゃあ帰ろ。」
「ちょっと待ってて。」
いつの間にか美矢と帰るのが日課になっている。
これマジで周りからカップルと見られる気がする。まぁ気にしないからいいけど。
まとめると、ゴールデンウィーク初日はジローの野球観戦、2日目は美矢と区名屋に行く。5日目はバイト初日となった。
3日目は適当に出掛けよ。
「いいじゃねぇかバイトぐらい!」
「ダメです。コンビニなんて青春できないじゃないですか!」
「そもそもなんであんた助言しているんだ!?」
「本当に確率ゼロはシャレにならないですから!」
「コンビニにしただけで可能性ゼロかよ!」
好調?に走り出した4月の半ば。俺は早速バイトをしようと考えていたのだ。
前の時は工業高校だからそこまで勉強がハードではなかったから親の許可がもらえた。なので普通科に入ったからてっきり禁止させるものかと思ったが、「小遣いは自分で稼げ」主義は変わらず、難なく許可はもらえたのだ。
それであのコンビニにバイトしようと履歴書を書いていたが、無名な恋愛の神様……通称れみが突然現れたというわけだ。
ちなみに工業高校の勉強がハードではないのは量なだけで、内容はめちゃくちゃ濃いよ。
「なんでコンビニなのよ?時給少ないし、ほとんどの休みは仕事でしょ?」
「人がそこそこだから入りたい時に入れるからだ。それに慣れているほうが楽だからだよ。」
どんな仕事でも慣れるのは楽じゃない。少しでも過去の記憶があるなら、例え体がついていけなくなってもそれは時間の問題で終わる。
「でも彼女できなくなるのは迷うな。」
「迷うな……じゃなくて選ばないでください!」
そもそも1つの選択で彼女できなくなるなんてほぼ詰みゲーな気がするんですが…
「ならバイトはしないほうがいいのか?」
「う~ん。でもお小遣いは必要ですからね。」
そりゃそうだ。これから出かける時や、ものを買う時には間違いなくいるもの。
「親からは絶対もらえないから出来れば働きたい。」
「結構厳しい親御さんなのですね。」
「そうか?逆に自分のものは自分で使えるから俺はそっちのほうがいい。」
親から月いくらもらえるのももちろんいいが、タダでもらえるのは申し訳ないと感じる。
自分で働く苦労と、計画的に貯金させるのが親の狙いらしい。
「それなら大手飲食店はどうですか?」
「悪くないけどなぁ…」
明らかにシフト量は減る。もちろん時給制なのでその分のお小遣いは減る。
「この辺りなら……ドックか?」
「いいですね~」
ドックは世界的有名なハンバーガーファストフード店、ドクトクバーガーの通称。学生には人気なバイト先だ。
「働けるならどこでもいいや。」
「そこなら私も文句ありません。ただ働きすぎはよくないですからね!」
「わかっているって。」
この心配は単純に俺の身体の心配をしてくれているのか、それとも彼女作りの面かはわからないけど。
「そういえばあんたはなんで助言しているんだ?もうしないって言わなかったっけ?」
「確かに言いましたが、確率がゼロになるのは私も困ります。なので助言しているんです!」
本来はダメですけどと言いながらため息をはくれみ。
そう嫌味たっぷり言われても仕方ないものは仕方ない。俺だって好きでゼロパーセントにしようとしているわけじゃないからな?
「なら極端な話、YESかNOで彼女できる率が1%になりそうでも、逆にグンっと高くなりそうがあんたは口出しできないと。」
「そうですね。天からモニタリングして落胆の声をあげるか歓喜の声をあげることしかできませんから。」
「ちょっと待て。あんた俺の生活の監視できるのかよ!」
「そりゃ監視しないと今回みたいなこと起きかねないですから。」
「うっそやろ……なら俺がいつ何したか筒抜けなのか!?」
「さすがにずっと監視はできませんが、記録は残ってますよ。それに危ない選択をするとアラームが鳴る設定です。」
「それなら聞くぞ?昨日の夜11時俺何してたかわかるか?」
「えーっと……18歳未満のくせに巨乳お姉さんの動画を見ながらオn……」
「やめてくれ!それ以上言わないでくれ!聞いた俺がバカだった!!」
「でも安心してください。趣味で見ているだけじゃありませんから。」
「説得力皆無ですが!?」
「自惚れないでくださいね?誰が好きで恵一さんの私生活を監視すると言うのですか。そんな仕事を受け持っているこっちの身にもなれよというわけですよ。」
「なんでだろう?安心するはずなのになんか悲しくなってきた。」
「さっきの話に戻りますと、恵一さん単独の時だけ助言しに行けるだけで、誰かと話している時はさすがに無理ですよ。」
「てことはれみは他の人にも見えるのか?」
「さぁ?幽霊と同じで見える人には見えると思いますよ?」
「幽霊と神様を同じ扱いしていいのか?」
「幽霊も丁寧に言ったら仏様なので変わりありませんよ。」
「えぇ……神様が言うならいいのか…」
この理論でいくと、俺はれみが見える体質なのか。
「そろそろ私は帰りますね。くれぐれもコンビニにバイト面接に行かないように!」
「わかったから安心して。」
「じゃあまたいつか。」
れみはそのまま窓から出て行った。
そういえば神様なら空から舞い降りてくる感じじゃないのかな?普通に出たり入ったりしているけど。
かと言って、部屋は2階だから普通の人間みたいに歩いているとは到底思えない。
「神様って謎だな……」
ちなみに面接はあっさりと終わった。次のゴールデンウィークに来てくれと。
ドックの店長的に、人が多いほどシフトに穴が開きにくくなるからいつでもアルバイト募集中らしい。全国のブラック企業は見習って欲しいものだ(何様)。
2
さて授業も本格的に始まり、学校の仕組みも大まかにわかってきたこの頃。世間は土日の他に、憲法記念日、みどりの日、こどもの日を加えた大型連休…言わゆる『ゴールデンウィーク』が待っている。
ほとんどの学生と一部の社会人はやっふぃな週間。
しかし俺はまだ予定をたてていない。
別にずっと家で引きこもるということではない。そんな何泊もして旅行に行くわけではないから、前もって計画する必要がない。
家族でどこか行く予定もないし、行きたいイベントや目的地も特にないので、適当に外出しようと考えていた。
お小遣いはどうするのって?最後の最後に親から3万円もらいました。正直多すぎます。
最後の最後というのは、ゴールデンウィークからバイトを始めるので、6月からのお小遣いは自分で何とかしろよというメッセージでもあるのだ。
だからと言って多く渡す親がどこにおるのだ。今まで月5000円だったぞこら。
まぁこの3万円プラス今までの残りを有意義に使わなければならないので、地味にやりくりが難しい。
もちろん使い切るなんてもってのほか。けどせっかくくれたものを一銭も使わないのはそれはそれで失礼だと思うので、少しはパーッと使おうと思います!
ではでは早速予定をたてましょう。
今年のゴールデンウィークは、水曜日から始まって、日曜日で終わる。WOW!なんてキリがいい。
「日曜日はバイト初日だから遊びに行けないと……土曜日も家でゆっくりしたほうが良さそうだ。」
水、木、金で街に遊びに行ってもいいかもしれない。
「恵一はいるでゴワっすか?」
「いますぜ、どしたジロー?」
今は始業前。教室にぞろぞろと人が入り始めたころだ。
「次のゴールデンウィーク、ジローが野球部の試合があるから観に行こうやという話だけど、恵一はどうや?」
「もう試合あるのか、早いね。」
そもそもジローはホントに野球部入ったのか。
「憲法記念日に、近くの球場でやります~。一緒にどうですか~?」
「いいよ。暇だったから。」
それにしてももう試合があるのか。
「なんか大会でもあるのか?春季大会…にしては遅いと思うけど……」
「違うでゴワっす。やるのは練習試合で、相手は高城東高校でゴワっす。」
練習試合で球場?っと思ったら、どうやら伝統的な一戦らしい。
理由は分からないが、毎年憲法記念日に高城東高校と試合をやるそう。
表向きは親睦を深めましょうという目的なので、勝ち負けは関係ない。
しかし長年やると、やはりライバル視してくるもので、どちらもガチなメンバーで挑んでくるらしい。
応援も本気で、夏の予選よりも気合いが入っているみたい。
ちなみに高城は川を挟んだ反対の市。高城東の学力は愛浜とはあまり変わらない。
もしかしてこれって底辺の争いじゃないだろうな?
「恵一も行くとわかったら気合いが入るでゴワっす。」
ちょうどチャイムがなった。
「じゃあ楽しみにするでゴワっす!」
「お、おうわかった。」
あれ?そんな大事な試合ならジローはスタメンどころか、ベンチすら入れないんじゃ……
1年生がベンチの座を獲得するのはほぼ不可能な気が…
「おいおい。その顔は大丈夫かよって顔やな。」
「バ、バレた?」
「大丈夫だよ~ジローの言う通り期待してもいいから~」
「ま、当日のお楽しみというや!」
「そう?そこまで言うなら?」
きっと途中で交代して出れる…って感じかな?
早速ゴールデンウィークの1日目は友達の部活の試合を観に行くことになった。
3
「けーいち!」
「なんだ美矢か。」
今日も特に何もなく、本当に何もなく1日が終わった。これからさぁ下校しようとする連中を見逃しながら、俺は残り2日分の予定を自席で考えていた。
「ゴールデンウィーク暇ぁ?」
「え、えーっと…ゴメン!もう予定埋まっちゃったんだ~」
半分嘘で、半分本当である。
確かにみどりの日とこどもの日は今のところ予定はない。しかし何もしないと決めたわけじゃないから、実質予定は埋まったもんだ。
「嘘でしょ。携帯の予定表は『暇』って書いてあるじゃん!」
俺のスマホのカレンダーは確かに暇って書いてある。しくじった……
「なんで勝手に見るの変態!」
「えぇ~それ変態扱いになるの!?」
「美矢のエッチ!変態!でんでん虫!」
「ゴメンでんでん虫の意味がよくわからない。」
バレたのは仕方ない。
「実はみどりの日とこどもの日はまだどこに行くか決めてないから暇って書いてあるんだ。」
「そうだったんだ。なら私と区名屋に行かない?」
区名屋とは、県一の街だ。日本の三大都市にも含まれている。
「区名屋で何するの?」
「色々なお店に付き合って欲しいの。」
「色々なお店ねぇ…」
正直乗る気がしない。
「なんか嫌々だね?」
「別に嫌じゃありませんよ!喜んでお付き合いいたしますよ!」
「そう?じゃあみどりの日に9時に西湊駅集合ね~」
「りょ、了解!」
あ~あ。自ら墓穴掘っちまったよ。
別に美矢とのお出かけも、行くと思うお店も、区名屋に行きたくないというわけじゃない。ただこの3セット組み合わせるとろくな事が起きない。
何が起きるかって?それは当日のお楽しみ(じゃない)だ。
「じゃあ帰ろ。」
「ちょっと待ってて。」
いつの間にか美矢と帰るのが日課になっている。
これマジで周りからカップルと見られる気がする。まぁ気にしないからいいけど。
まとめると、ゴールデンウィーク初日はジローの野球観戦、2日目は美矢と区名屋に行く。5日目はバイト初日となった。
3日目は適当に出掛けよ。
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