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3章:温泉ラブラブ大作戦
4話:嫉妬
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翌日朝から、ランバートは昇格試験を行っていた。そして、思った以上の不甲斐なさに憤慨していた。
「お前等……もう少し根性出せ!」
「はいぃ!」
乱取りだけでもうかなりの数をやっているが、誰一人ランバートを倒す事ができない。一対複数なのにだ。
乱取りは剣を使わない肉弾戦で、主に投げ飛ばす事が多い。引き倒し、腕を固めて捕縛する初歩。殴る蹴るとはまた違う感じだ。
通常は一対複数となるとかなり手こずる。事実これを同期組でやると三〇分もたないのが普通だ。
だが、既にランバートは一人で数十回投げ飛ばし、捻りあげ、転がしている。
それでも褒められる事もある。弱いが、何回投げられても闘志が萎えない者が意外といる。必死にくいついていこうとしている。そういう隊員は育てればどうにかなるかもしれない。何も戦うばかりが騎士団ではないのだ。
ただその中で五人、ランバートの疲弊を待っているような奴等がいる。
明らかに育ちがよさそうで、投げられている隊員を見て馬鹿にしたように笑っている。確信を持ってこいつらが問題行動を起こしている奴等だ。
「お前達、サボるな!」
ランバートが睨み付けて声をかけて、ようやくといった感じで出てきた彼らが強いわけがない。それぞれ簡単に転がされ、睨み付けてそのまま下がっていく。明らかにやる気がない。
これは、誰であっても腹が立つだろう。
「よし、そこまで!」
ファウストの声で全員が止まり、服を土まみれにした隊員は頭を下げて「有り難うございました!」と大きな声で言う。これにはランバートも嬉しくて、嫌な事は忘れられた。
ギルバートの執務室に戻って評価をつける。問題のある五人が、やはりやる気無しだ。
「こいつらには除隊勧告を出す。嫌なら明日、俺と組ませる」
「ファウストが出るのか? 団長自らとはご苦労なこった」
「どうせ来ないだろうがな。これで俺とやりあえるっていうなら、多少認めてやる」
腕を組んだファウストの言葉に、ギルバートもアレクセンも苦笑する。
王都の騎士団なら喜んでファウストと手合わせしたがる人物が多い。滅多にできないし、強い奴と戦う事が楽しい者が多いのだ。
最近、コンラッドやレイバン、ゼロスも手合わせを願い出るようになった。そしてトレヴァーも強くなるんだと言いながらよく転がされている。ボロボロだがやりがいがあるらしい。
チェスターもウェインに手合わせを願い出て、もの凄い勢いでボロボロになる。どうやらウェインの怪我が彼なりに響いているようで、力を付けたいと思っているそうだ。
そんなチェスターの思いを汲んでいるウェインも嬉しいらしく、訓練が苛烈している。
「それにしても補佐官殿、あんた強いな!」
「ここのが弱いんだと思いますが。まぁ、でも彼らの目は死んでないので、嫌いじゃないです」
伝えると、ギルバートは少し嬉しそうな顔でそっぽを向いた。
「午後からは訓練が入っていますが、一部の隊員からはランバートくんにお願いしたいと申し出がありました。どうしますか?」
「俺?」
自分を指さしながら、僅かに頬が緩むのが分かる。ご指名とは嬉しい事だ。
「私もつきますが、如何でしょう?」
「俺でよければ」
「では、お願いできますか? いい刺激になりますし」
アレクセンの申し出にランバートは快く応じる。だがその隣で、ファウストは難しい顔をしていた。
結局昨日はあの後一言も交わさなかった。何となく何を言っていいか分からなかったし、ランバートとしては謝るのは違う気がした。
だからといって謝って欲しいわけでも、言い訳が聞きたいわけでもない。本当に、感情だけの話なんだと思う。
拗らせるつもりなんてなかった。ファウストから話して欲しかった。
けれど互いに声をかけそこなって、そのままな様子があって胸に支えていた。
昼食を軽く取った後に訓練を見て回ったが、やる気だけは王都騎士にも負けていない。なのにそこに実力が伴わないのがもどかしい事だった。
「そこ、目を瞑らない! その瞬間に斬られるぞ!」
「はい!」
小柄な隊員が剣を怖がり目を瞑っているのを見て檄を飛ばし、勢いで攻めようとしている若い隊員に「突出するな」と声をかけ。
素直に従おうとしている。そういう部分はやっぱり評価できる。それぞれ個別に構え方を直し、声をかけ、時には手合わせをしていく。
そのうちに休憩となり、ランバートも少し離れて腰を下ろす。そこにアレクセンが来てそっと水を手渡してくれた。
「的確な指導を有り難うございます」
「礼を言われるような事はしてません。やる気はあるので、それにこちらも応えたいなと思うだけなんで」
「有り難うございます。本来はギルバートの仕事なのですが」
そう言ったアレクセンは苦笑して、次には寂しそうな顔をする。どことなく落ち込んだ様子だ。
「何か、ありましたか?」
「え? あぁ……そのように思いますか?」
「まぁ」
憂いという様子が見て取れる苦笑に、ランバートは何となく同じ臭いを感じている。もしかしたらこれが、ギルバートの抱えている問題のようにも思えた。
「実は、一ヶ月ほど前に喧嘩をしてしまいましてね。もう理由も覚えていないような、くだらないものなんだと思います。ただ、謝る切っ掛けを逃してしまったんですよ」
「謝る切っ掛け……」
丁度昨日、逃したばかりだ。
「っていうか、それって……」
「あぁ。一応は付き合っているはず、なのですがね。あの通りつかみ所もなく、据え膳は食べてしまう人なので細かな喧嘩は絶えなくて。いい加減、それに疲れてきてしまっているのですよね」
「別れるのですか?」
「それも考えていたのですが……やはり難しいですね。惚れてしまったので、気付けば彼の事を考えて腹を立て、後悔をしている自分がいます。それを含めてあの人の事が好きなのでしょう。遊び歩く事を辛いと感じるくらいには」
本当に困ったように笑うアレクセンを見ると、ランバートも苦しくなる。
もしもファウストと別れる事になったら? そんな未来、考えられない。側を離れる事を考えていない。二人でいることを疑ってすらいないのだ。
意地になったことを謝らなければ。探るようにしてしまった事を謝らなければ。既に過去なんだし、そもそも出会ってすらいない時代の事だ。それにランバートだって遊んでいたじゃないか。ファウストを責める資格なんてない。
何より、今はファウストもランバートも互いだけを大事にしている。それは何よりも感じられる確かな事なんだ。
「ランバートくんも、喧嘩したのですか?」
「え?」
「様子がお互いに違ったので。申し訳ありません、ギルバートとファウスト様の事を聞いていたのに、呼んでしまった事が間違いでした」
「あぁ、いや」
素直に頭を下げられて、ランバートの方が慌ててしまう。
何よりここにくる事を提案したのはランバートだった。ファウストは最初から難色を示していたのだ。きっと、こういう関係があったからだ。
押し切ったのはランバート。意地になっているのも、ランバートだ。
「俺が青臭いんですよきっと。変に意地を張って、子供みたいだ」
ドンドン落ち込んでいく。大人の対応ができれば、笑って過去の事だからと言えたのに。今回は変に拘っている気がする。
けれどアレクセンは苦笑して、肩を叩いてくれた。
「好いた惚れたの世界に、大人も子供もありませんよ。世慣れたと思っている人も不意に、バカみたいな事に拘ったりするものです。意地になったり、素直じゃなかったり。天使みたいな人は、そうはいないのだと思います」
「そうですか?」
「えぇ、そうですよ。特に相手がファウスト様みたいないい男では、不意に不安になるでしょ?」
「……かも、しれません」
変な部分を言い当てられて赤面する。絶対に言わない事なんだ。
ファウストはモテる。それは男女共にそうなんだと思う。貴族のパーティーの護衛でも、騎士団の中でも、ファウストの存在はとても目立つ。それを少し離れて見ると不意にこみ上げる感情がある。「この人は俺のだ」という、子供っぽい独占欲だ。
それを口にしないのは、言えば困らせるしファウストにその気がないから。だから大丈夫、そう思って見ないふりをする。
けれどその度、何かが溜まっていたのかもしれない。口にしない小さなモヤモヤが、今不意に出てきたのだろうか。
「謝るべき部分は謝って、話をするのが多分いいですよ」
「そう、ですね」
「……私も、もう一度ちゃんと向き合わなければいけませんね。少なくとも今のままではいられません」
何かを決意したらしいアレクセンの横顔を見て、ランバートも今夜話をしようと決意した。
何よりこの後、彼の誕生日を祝うのだ。こんな気持ちでは一緒に祝うなんて、とても出来ないのだから。
その夜、ランバートは食堂で他の隊員達に囲まれていた。訓練を付けたことで壁が薄くなったようだ。
人懐っこい隊員が多い。それに好奇心も強い。王都の様子やジェームダルの戦の話を聞きたがって、ランバートもそれに応じている間にちょっと時間が遅くなった。
一時間も食事に費やして、少し急いで食堂を出る。そうして部屋に戻る途中で、突然「うわぁぁ!」という悲鳴を聞いて立ち止まった。
「どうした!」
声をかけても返事はない。声のした方へと足早に向かうと、日中訓練をつけていた隊員が一人、頭部付近から血を流して倒れていた。
「大丈夫か!」
「うっ」
後ろから殴られたのだろう隊員を抱き上げると、薄ら目を開ける。意識はあるみたいだ。
「何があったんだ」
「わから、ないです。突然、殴られ……」
そう言って見上げた隊員が、不意に目を大きく開いて「危ない!」と口にする。だがその警告が届くよりも前に、ランバートは後頭部に鈍い痛みを感じて倒れ込んだ。そこに追い打ちをかけるように何かを口元に押し当てられる。
薬の臭いと、徐々に薄れていく意識の中でいくつかの足が見えたのが最後だった。
気付いた時、ランバートは手も足も縛られた状態で暗い狭い部屋に押し込まれていた。口には猿ぐつわを嵌められている。
そして、体がおかしい。熱くて、ゾワゾワと疼いて、妙な焦燥感があって気持ちが乱れてしまう。
「お目覚めだぜ」
嘲笑うような声に視線を上げると、知っている顔がある。問題のある五人がそこにいて、ニヤニヤと笑ってランバートを見下ろしていた。
「いい姿じゃん、補佐官殿。これから自分がどうなるか、分かる?」
もの凄く嫌な感じで言われ、目を見開いた。この感覚は、きっと何かの薬を使われたんだろう。でもまだ完全に効いてはいない。理性が残っているし、逆らおうとしている。
それもいつまでだろう。体に感じる熱や疼き、胸の苦しさや言いようのない寂しさや不安は増していく。このままじゃ、理性が切れる。
「んぅ!!」
「暴れても無駄だって。まぁ、俺達は男の相手なんてしないけれどな」
「よくも恥をかかせたな。その分しっかり、恥ずかしい思いをしてもらうか」
下卑た笑いが不愉快だが、動けない。後ろ手にキツく縛られた手首が擦れて痛い。怖いのはその痛みすら痺れるような快楽になりそうな予感だ。
「男色趣味の奴を呼んでるけど、遅いな」
一人がそんな事を言って辺りを見回す。その時軋むようにドアが開いて、その戸口に人影が立った。
「っ!」
呆れた様子のギルバートの登場に、驚いたのはランバートだけじゃない。他の五人も驚いて、途端にしどろもどろになった。
「お前等……いい加減にしないと庇いきれないぞ。そいつが誰の恋人か、お前等わかってんのか」
「恋、人?」
「軍神の恋人に手を出して、ただで済むと思ってんのかって聞いてんだよ」
「軍神!」
途端に慌てた彼らがバタバタ動き出し、口々に「やばい!」「死にたくねぇよ!」と言っている。そしてバタバタとその場から逃げていった。
入ってきたギルバートはランバートの後ろに回り、真っ先に猿ぐつわを外してくれた。跡が薄ら残るくらいしっかり縛られていた口元が楽になったが、溢れたのは甘い声だった。
「あっ、んぅ……」
「どうした」
「体、おかしい……」
同じくしっかりと縛られた手の拘束を解こうとしているギルバートが声をかける。それに、吐息混じりに答える事しかできない。
感覚が鋭くなって、他人の熱にすら反応してしまいそうだ。触れられるそこからジクジクと疼いて、快楽を知る体が反応している。
「あいつら、薬まで使ったのか。ったく、隠しようがないぞ」
「あぁ! いっ、あっ」
「我慢しろ。このままじゃ血が止まる」
出来るだけ触れないように、でも手早く縄を解いてくれたギルバートが足を縛る縄も解く。その間に体は熱く火照り、どうしようもない疼きに身動きが取れなくなっていた。
「強いの使われたな。まぁ、効果は持続しないだろ」
「ふぅ……ぅ」
「色っぽい顔するなっての。これでもあいつの物には手を出したくないんだ」
苦々しい表情で言ったギルバートは側にあった毛布をランバートの頭からすっぽりと被せて包み、抱き上げる。
膝裏、脇に触れた熱にビクンと反応する。切ない感覚に頭の中がおかしくなりそうだ。
それでも求めるのはたった一人。他の誰かなんて一切浮かんでこない。
「ファウ、スト……っ」
「医務室運ぶ。この時間なら誰もいないからな。すぐに呼んでやるから、頑張れ」
「んっ……」
唇を噛み締めて耐えた。その間にギルバートは出来るだけ足早に、ランバートを無人の医務室へと運び入れてくれた。
ベッドに寝かされ、布団にくるまっても熱は薄れない。切なさや不安、足の震えはより増していく。心臓が苦しくなって、押し潰されるように涙がこぼれた。
「ランバート!」
バタンとドアが開いて、慌てたようにファウストが駆け込んで来る。その姿を見ただけでダメだった。声だけで、ダメだった。
ベッド脇まできたファウストの首に抱きついたランバートはそのまま彼の名を呼んで泣いていた。「助けて」と、頼りなく口にした。
少し遅れてアレクセンも来て、この様子に眉を寄せる。離れていたギルバートも、何とも言えない様子だった。
「何があったんだ」
「廊下に血が撒かれてるのに気付いて探したら、近くの使ってない物置に怪我をした隊員を見つけた。そいつが、ランバート拉致を知らせてくれたんだ。アレクセンや他の隊員も探して、怪しい動きをしている隊員を見つけて尋問すると場所を吐いた。俺が行ったら、既にこの状態だ」
「……犯人は」
「言わずもがなだな。ただし、殺しはなしだぞ」
睨み付けるファウストの体から、怖いくらいの殺気が放たれる。肌や気配まで尖ったように敏感だからそれを強く感じて、ランバートは余計にしがみついた。
「こ、わい。ファウスト、いや……」
「っ! 悪い、怖がらせた。大丈夫だ、側にいるから」
「くる、しい」
訴えると抱きしめてくれる。辛いけれど安心出来る臭いと体温を感じて、ランバートは甘く声をあげた。
「アレクセンが既に捕まえて全員牢にぶち込んだ。とりあえずそいつ、どうにかしてやれ」
「悪いな」
「元々は俺の面倒をそいつが被ったんだ、謝んのはこっちだ。悪かったな」
力ないギルバートの声に反応して、ランバートは首を横に振る。彼が悪いんじゃないと思う。多分、恨みを買ったんだ。
「後の事はこっちでやっとく。明日には処理できるようにしとくさ」
「私も側について、ちゃんと仕事させます。ファウスト様はどうかランバートくんを」
「すまない」
ふわりと体が浮く。その浮遊感すらも反応する。体に毛布を巻いて顔を隠すようにして連れて行かれる間もずっと、ランバートの切なさは増していく感じがした。
「お前等……もう少し根性出せ!」
「はいぃ!」
乱取りだけでもうかなりの数をやっているが、誰一人ランバートを倒す事ができない。一対複数なのにだ。
乱取りは剣を使わない肉弾戦で、主に投げ飛ばす事が多い。引き倒し、腕を固めて捕縛する初歩。殴る蹴るとはまた違う感じだ。
通常は一対複数となるとかなり手こずる。事実これを同期組でやると三〇分もたないのが普通だ。
だが、既にランバートは一人で数十回投げ飛ばし、捻りあげ、転がしている。
それでも褒められる事もある。弱いが、何回投げられても闘志が萎えない者が意外といる。必死にくいついていこうとしている。そういう隊員は育てればどうにかなるかもしれない。何も戦うばかりが騎士団ではないのだ。
ただその中で五人、ランバートの疲弊を待っているような奴等がいる。
明らかに育ちがよさそうで、投げられている隊員を見て馬鹿にしたように笑っている。確信を持ってこいつらが問題行動を起こしている奴等だ。
「お前達、サボるな!」
ランバートが睨み付けて声をかけて、ようやくといった感じで出てきた彼らが強いわけがない。それぞれ簡単に転がされ、睨み付けてそのまま下がっていく。明らかにやる気がない。
これは、誰であっても腹が立つだろう。
「よし、そこまで!」
ファウストの声で全員が止まり、服を土まみれにした隊員は頭を下げて「有り難うございました!」と大きな声で言う。これにはランバートも嬉しくて、嫌な事は忘れられた。
ギルバートの執務室に戻って評価をつける。問題のある五人が、やはりやる気無しだ。
「こいつらには除隊勧告を出す。嫌なら明日、俺と組ませる」
「ファウストが出るのか? 団長自らとはご苦労なこった」
「どうせ来ないだろうがな。これで俺とやりあえるっていうなら、多少認めてやる」
腕を組んだファウストの言葉に、ギルバートもアレクセンも苦笑する。
王都の騎士団なら喜んでファウストと手合わせしたがる人物が多い。滅多にできないし、強い奴と戦う事が楽しい者が多いのだ。
最近、コンラッドやレイバン、ゼロスも手合わせを願い出るようになった。そしてトレヴァーも強くなるんだと言いながらよく転がされている。ボロボロだがやりがいがあるらしい。
チェスターもウェインに手合わせを願い出て、もの凄い勢いでボロボロになる。どうやらウェインの怪我が彼なりに響いているようで、力を付けたいと思っているそうだ。
そんなチェスターの思いを汲んでいるウェインも嬉しいらしく、訓練が苛烈している。
「それにしても補佐官殿、あんた強いな!」
「ここのが弱いんだと思いますが。まぁ、でも彼らの目は死んでないので、嫌いじゃないです」
伝えると、ギルバートは少し嬉しそうな顔でそっぽを向いた。
「午後からは訓練が入っていますが、一部の隊員からはランバートくんにお願いしたいと申し出がありました。どうしますか?」
「俺?」
自分を指さしながら、僅かに頬が緩むのが分かる。ご指名とは嬉しい事だ。
「私もつきますが、如何でしょう?」
「俺でよければ」
「では、お願いできますか? いい刺激になりますし」
アレクセンの申し出にランバートは快く応じる。だがその隣で、ファウストは難しい顔をしていた。
結局昨日はあの後一言も交わさなかった。何となく何を言っていいか分からなかったし、ランバートとしては謝るのは違う気がした。
だからといって謝って欲しいわけでも、言い訳が聞きたいわけでもない。本当に、感情だけの話なんだと思う。
拗らせるつもりなんてなかった。ファウストから話して欲しかった。
けれど互いに声をかけそこなって、そのままな様子があって胸に支えていた。
昼食を軽く取った後に訓練を見て回ったが、やる気だけは王都騎士にも負けていない。なのにそこに実力が伴わないのがもどかしい事だった。
「そこ、目を瞑らない! その瞬間に斬られるぞ!」
「はい!」
小柄な隊員が剣を怖がり目を瞑っているのを見て檄を飛ばし、勢いで攻めようとしている若い隊員に「突出するな」と声をかけ。
素直に従おうとしている。そういう部分はやっぱり評価できる。それぞれ個別に構え方を直し、声をかけ、時には手合わせをしていく。
そのうちに休憩となり、ランバートも少し離れて腰を下ろす。そこにアレクセンが来てそっと水を手渡してくれた。
「的確な指導を有り難うございます」
「礼を言われるような事はしてません。やる気はあるので、それにこちらも応えたいなと思うだけなんで」
「有り難うございます。本来はギルバートの仕事なのですが」
そう言ったアレクセンは苦笑して、次には寂しそうな顔をする。どことなく落ち込んだ様子だ。
「何か、ありましたか?」
「え? あぁ……そのように思いますか?」
「まぁ」
憂いという様子が見て取れる苦笑に、ランバートは何となく同じ臭いを感じている。もしかしたらこれが、ギルバートの抱えている問題のようにも思えた。
「実は、一ヶ月ほど前に喧嘩をしてしまいましてね。もう理由も覚えていないような、くだらないものなんだと思います。ただ、謝る切っ掛けを逃してしまったんですよ」
「謝る切っ掛け……」
丁度昨日、逃したばかりだ。
「っていうか、それって……」
「あぁ。一応は付き合っているはず、なのですがね。あの通りつかみ所もなく、据え膳は食べてしまう人なので細かな喧嘩は絶えなくて。いい加減、それに疲れてきてしまっているのですよね」
「別れるのですか?」
「それも考えていたのですが……やはり難しいですね。惚れてしまったので、気付けば彼の事を考えて腹を立て、後悔をしている自分がいます。それを含めてあの人の事が好きなのでしょう。遊び歩く事を辛いと感じるくらいには」
本当に困ったように笑うアレクセンを見ると、ランバートも苦しくなる。
もしもファウストと別れる事になったら? そんな未来、考えられない。側を離れる事を考えていない。二人でいることを疑ってすらいないのだ。
意地になったことを謝らなければ。探るようにしてしまった事を謝らなければ。既に過去なんだし、そもそも出会ってすらいない時代の事だ。それにランバートだって遊んでいたじゃないか。ファウストを責める資格なんてない。
何より、今はファウストもランバートも互いだけを大事にしている。それは何よりも感じられる確かな事なんだ。
「ランバートくんも、喧嘩したのですか?」
「え?」
「様子がお互いに違ったので。申し訳ありません、ギルバートとファウスト様の事を聞いていたのに、呼んでしまった事が間違いでした」
「あぁ、いや」
素直に頭を下げられて、ランバートの方が慌ててしまう。
何よりここにくる事を提案したのはランバートだった。ファウストは最初から難色を示していたのだ。きっと、こういう関係があったからだ。
押し切ったのはランバート。意地になっているのも、ランバートだ。
「俺が青臭いんですよきっと。変に意地を張って、子供みたいだ」
ドンドン落ち込んでいく。大人の対応ができれば、笑って過去の事だからと言えたのに。今回は変に拘っている気がする。
けれどアレクセンは苦笑して、肩を叩いてくれた。
「好いた惚れたの世界に、大人も子供もありませんよ。世慣れたと思っている人も不意に、バカみたいな事に拘ったりするものです。意地になったり、素直じゃなかったり。天使みたいな人は、そうはいないのだと思います」
「そうですか?」
「えぇ、そうですよ。特に相手がファウスト様みたいないい男では、不意に不安になるでしょ?」
「……かも、しれません」
変な部分を言い当てられて赤面する。絶対に言わない事なんだ。
ファウストはモテる。それは男女共にそうなんだと思う。貴族のパーティーの護衛でも、騎士団の中でも、ファウストの存在はとても目立つ。それを少し離れて見ると不意にこみ上げる感情がある。「この人は俺のだ」という、子供っぽい独占欲だ。
それを口にしないのは、言えば困らせるしファウストにその気がないから。だから大丈夫、そう思って見ないふりをする。
けれどその度、何かが溜まっていたのかもしれない。口にしない小さなモヤモヤが、今不意に出てきたのだろうか。
「謝るべき部分は謝って、話をするのが多分いいですよ」
「そう、ですね」
「……私も、もう一度ちゃんと向き合わなければいけませんね。少なくとも今のままではいられません」
何かを決意したらしいアレクセンの横顔を見て、ランバートも今夜話をしようと決意した。
何よりこの後、彼の誕生日を祝うのだ。こんな気持ちでは一緒に祝うなんて、とても出来ないのだから。
その夜、ランバートは食堂で他の隊員達に囲まれていた。訓練を付けたことで壁が薄くなったようだ。
人懐っこい隊員が多い。それに好奇心も強い。王都の様子やジェームダルの戦の話を聞きたがって、ランバートもそれに応じている間にちょっと時間が遅くなった。
一時間も食事に費やして、少し急いで食堂を出る。そうして部屋に戻る途中で、突然「うわぁぁ!」という悲鳴を聞いて立ち止まった。
「どうした!」
声をかけても返事はない。声のした方へと足早に向かうと、日中訓練をつけていた隊員が一人、頭部付近から血を流して倒れていた。
「大丈夫か!」
「うっ」
後ろから殴られたのだろう隊員を抱き上げると、薄ら目を開ける。意識はあるみたいだ。
「何があったんだ」
「わから、ないです。突然、殴られ……」
そう言って見上げた隊員が、不意に目を大きく開いて「危ない!」と口にする。だがその警告が届くよりも前に、ランバートは後頭部に鈍い痛みを感じて倒れ込んだ。そこに追い打ちをかけるように何かを口元に押し当てられる。
薬の臭いと、徐々に薄れていく意識の中でいくつかの足が見えたのが最後だった。
気付いた時、ランバートは手も足も縛られた状態で暗い狭い部屋に押し込まれていた。口には猿ぐつわを嵌められている。
そして、体がおかしい。熱くて、ゾワゾワと疼いて、妙な焦燥感があって気持ちが乱れてしまう。
「お目覚めだぜ」
嘲笑うような声に視線を上げると、知っている顔がある。問題のある五人がそこにいて、ニヤニヤと笑ってランバートを見下ろしていた。
「いい姿じゃん、補佐官殿。これから自分がどうなるか、分かる?」
もの凄く嫌な感じで言われ、目を見開いた。この感覚は、きっと何かの薬を使われたんだろう。でもまだ完全に効いてはいない。理性が残っているし、逆らおうとしている。
それもいつまでだろう。体に感じる熱や疼き、胸の苦しさや言いようのない寂しさや不安は増していく。このままじゃ、理性が切れる。
「んぅ!!」
「暴れても無駄だって。まぁ、俺達は男の相手なんてしないけれどな」
「よくも恥をかかせたな。その分しっかり、恥ずかしい思いをしてもらうか」
下卑た笑いが不愉快だが、動けない。後ろ手にキツく縛られた手首が擦れて痛い。怖いのはその痛みすら痺れるような快楽になりそうな予感だ。
「男色趣味の奴を呼んでるけど、遅いな」
一人がそんな事を言って辺りを見回す。その時軋むようにドアが開いて、その戸口に人影が立った。
「っ!」
呆れた様子のギルバートの登場に、驚いたのはランバートだけじゃない。他の五人も驚いて、途端にしどろもどろになった。
「お前等……いい加減にしないと庇いきれないぞ。そいつが誰の恋人か、お前等わかってんのか」
「恋、人?」
「軍神の恋人に手を出して、ただで済むと思ってんのかって聞いてんだよ」
「軍神!」
途端に慌てた彼らがバタバタ動き出し、口々に「やばい!」「死にたくねぇよ!」と言っている。そしてバタバタとその場から逃げていった。
入ってきたギルバートはランバートの後ろに回り、真っ先に猿ぐつわを外してくれた。跡が薄ら残るくらいしっかり縛られていた口元が楽になったが、溢れたのは甘い声だった。
「あっ、んぅ……」
「どうした」
「体、おかしい……」
同じくしっかりと縛られた手の拘束を解こうとしているギルバートが声をかける。それに、吐息混じりに答える事しかできない。
感覚が鋭くなって、他人の熱にすら反応してしまいそうだ。触れられるそこからジクジクと疼いて、快楽を知る体が反応している。
「あいつら、薬まで使ったのか。ったく、隠しようがないぞ」
「あぁ! いっ、あっ」
「我慢しろ。このままじゃ血が止まる」
出来るだけ触れないように、でも手早く縄を解いてくれたギルバートが足を縛る縄も解く。その間に体は熱く火照り、どうしようもない疼きに身動きが取れなくなっていた。
「強いの使われたな。まぁ、効果は持続しないだろ」
「ふぅ……ぅ」
「色っぽい顔するなっての。これでもあいつの物には手を出したくないんだ」
苦々しい表情で言ったギルバートは側にあった毛布をランバートの頭からすっぽりと被せて包み、抱き上げる。
膝裏、脇に触れた熱にビクンと反応する。切ない感覚に頭の中がおかしくなりそうだ。
それでも求めるのはたった一人。他の誰かなんて一切浮かんでこない。
「ファウ、スト……っ」
「医務室運ぶ。この時間なら誰もいないからな。すぐに呼んでやるから、頑張れ」
「んっ……」
唇を噛み締めて耐えた。その間にギルバートは出来るだけ足早に、ランバートを無人の医務室へと運び入れてくれた。
ベッドに寝かされ、布団にくるまっても熱は薄れない。切なさや不安、足の震えはより増していく。心臓が苦しくなって、押し潰されるように涙がこぼれた。
「ランバート!」
バタンとドアが開いて、慌てたようにファウストが駆け込んで来る。その姿を見ただけでダメだった。声だけで、ダメだった。
ベッド脇まできたファウストの首に抱きついたランバートはそのまま彼の名を呼んで泣いていた。「助けて」と、頼りなく口にした。
少し遅れてアレクセンも来て、この様子に眉を寄せる。離れていたギルバートも、何とも言えない様子だった。
「何があったんだ」
「廊下に血が撒かれてるのに気付いて探したら、近くの使ってない物置に怪我をした隊員を見つけた。そいつが、ランバート拉致を知らせてくれたんだ。アレクセンや他の隊員も探して、怪しい動きをしている隊員を見つけて尋問すると場所を吐いた。俺が行ったら、既にこの状態だ」
「……犯人は」
「言わずもがなだな。ただし、殺しはなしだぞ」
睨み付けるファウストの体から、怖いくらいの殺気が放たれる。肌や気配まで尖ったように敏感だからそれを強く感じて、ランバートは余計にしがみついた。
「こ、わい。ファウスト、いや……」
「っ! 悪い、怖がらせた。大丈夫だ、側にいるから」
「くる、しい」
訴えると抱きしめてくれる。辛いけれど安心出来る臭いと体温を感じて、ランバートは甘く声をあげた。
「アレクセンが既に捕まえて全員牢にぶち込んだ。とりあえずそいつ、どうにかしてやれ」
「悪いな」
「元々は俺の面倒をそいつが被ったんだ、謝んのはこっちだ。悪かったな」
力ないギルバートの声に反応して、ランバートは首を横に振る。彼が悪いんじゃないと思う。多分、恨みを買ったんだ。
「後の事はこっちでやっとく。明日には処理できるようにしとくさ」
「私も側について、ちゃんと仕事させます。ファウスト様はどうかランバートくんを」
「すまない」
ふわりと体が浮く。その浮遊感すらも反応する。体に毛布を巻いて顔を隠すようにして連れて行かれる間もずっと、ランバートの切なさは増していく感じがした。
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「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
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※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
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