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1章
6話:特別な人(10)
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入る時に体は流すが、綺麗に洗ったわけではない。ここの風呂場には高価な石鹸も常備されていて、匂いもとても良かった。
だというのに、ルークは無造作に泡立ててガシガシ洗い始めるのを見て、クリスは咄嗟に止めてしまった。
「どうした?」
「雑過ぎるだろう!」
もうなんていうか……溜息しか出なかった。
ルークの後ろに回り、丁寧に石鹸を泡立てならが洗っていく。地肌に爪を立てないように、頭皮を揉むようにして。
「あっ、そこ気持ちいい」
「ここ?」
こめかみの辺りに指を丸く当て、揉み込むと気の抜けた声が聞こえてくる。そしてしきりに「気持ちいい」を繰り返している。
なんとうか……ドキドキする。別にそんな意味ではないし、むしろ気の抜けた声だ。なのになんというか、意識はしてしまっている。微妙に悔しい。
髪の毛も先まで汚れを泡で包むようにして洗い流すと、それだけで綺麗な黒髪になる。普段、どんだけ適当に洗っていたんだ。
「……背中も流すか?」
「頼む」
嬉しそうな顔をしながら言われたら、ちょっと嬉しいじゃないか。
タオルを泡立てて背中を流していく。そこは、少し傷が多い気もする。この人の事だ、逃げ傷じゃないだろう。そうなると、誰かを庇ったか。
「傷だらけだろ? 格好悪いよな」
「え?」
苦笑が聞こえるが、生憎顔は見えない。でも雰囲気で、少し落ち込んでいる気がする。
「別に、格好悪くはないだろ」
「背中だぞ」
「誰庇ったんだ? あんたでも背中で庇うしかできないような強いのがいたんだな」
呆れて言えば驚いた顔で振り向かれる。それをマジマジと見ていると、ふにゃっとルークは笑った。
「冒険者時代のだ。殿下は放っておいてもよかったんだが、ヒーラーが鈍くさくてな。しょっちゅう小脇に抱えて逃げる事になった」
「あんたのパーティなら、優秀だったんだろ?」
「補助と回復と結界に関しては超一流だった。鈍くさくてドジで大事な場面ですっ転ぶ悪癖がなきゃな」
「あ……」
それは、傷も増えるというものだ。
ルークは楽しそうに笑っている。きっと、いい思い出なのだろう。そんな彼の過去を羨むのは、狭量が過ぎるだろうか。
不意に手が伸びて、頬に触れる。目が合った、その後は吸い込まれるようにルークが動いて、唇を奪われていた。
「寂しそうにするな。お前とは、これからだろ?」
「……心が狭いかな?」
「恋人の嫉妬は過剰じゃなけりゃ嬉しいものだろ?」
「過剰かもよ」
「残念、多分俺もだ。クリス、宿舎でも俺の髪洗ってくれ。お前の髪は俺が洗う」
「はぁ!」
流石にそれは恥ずかしい! この人、惚気とかいうレベルじゃない事を要求してきた。
火照ったのとは違う熱に頬が上気するクリスを、ルークは鋭く見つめてくる。指先が首筋から胸元、そして臍の辺りまでツ……と滑っていくのを意識してしまう。
「お前は俺のだって、誰にでも分かる形で伝えないと俺が安心できないしな。同じ隊の中でドロドロの恋愛劇なんざ望まない」
「それはそうだけど……恥ずかしいな」
見せつけと分かってイチャコラするのはなんというか……大分恥ずかしい。でもルークの言う事も分かる。クリスも言い寄られるなんて嫌だ。
だから、まあ……。
「いい、よ。分かった。俺の髪も洗ってくれよな」
「任せろ」
この時のルークの顔は、どこか幼くてとても嬉しそうだった。
◇◆◇
部屋に戻ってくると、室内には冷やされたワインとチーズがあり、周囲は人払いされたように静かだった。
軽く窓を開けてもそれ程寒くは感じない。日中の熱気は失っているが、まだ夏だ。
「飲むか?」
「少しだけ」
互いにガウンのままカウチに座り、ルークがワインを開ける。グラスに注がれる液体は深い赤ではなく、可愛らしいピンク色だった。
「珍しい色だな」
マジマジと見てしまうと、ルークは嬉しそうにしている。お気に入りか?
「ロゼワインだ。赤の渋みがないんだ」
「そうなのか?」
ワインは渋いほどいいという貴族社会の風潮に浸食されていたから、そうではないと聞くと興味をそそられる。何より初めて見るものに期待してしまう。
軽くグラスを掲げるルークに合わせ、クリスもグラスを持ち上げる。そうして軽い乾杯をして、飲み込んだ。
軽い口当たりにフルーティーな香りとほんのりとした甘さ。水のよう、とは言わないが飲みやすくて驚いてしまった。
「ふはっ、驚いただろ? 俺の領地で作ってるやつで、今のところ家族と周辺で消費する分くらいしかないんだ」
「そんな貴重なもの! でも、美味しい」
思わずもう一口。まるで果実のような瑞々しさで酒が進む。
そんなクリスを見て、ルークは嬉しそうに笑った。
「そんなのを回してくれるくらい、父上も母上も俺が本気の相手を見つけたって事を喜んでるんだろうな」
「え?」
今、なんと?
冷静になってオロオロした。ルークの父は公爵であり、王の側近中の側近。そんな人に、知られている?
「……反対とか」
「はぁ? ないない。むしろ歓迎してるだろ」
「俺、お育ちが」
「お育ちのいい俺の出来がこれだが?」
「それ、自分で言って悲しくないか?」
自身を指差し当然のように宣った人を半目で見てしまう。プライドないよな、この人。
それでもルークは気にした様子もない。苦笑だけだ。
「元々、俺は結婚するつもりはなかったんだよ。両親にも伝えてあるし、兄弟にも宣言している」
「どうしてそんなこと。嫌なのか?」
「……俺には家を継ぐに相応しい兄が三人、姉が一人に妹が一人。その中で俺は剣を握る事が好きだった。戦う事が好きだった。領地経営だ、国政だなんてものに一切興味がなかった。だから、好きな事をするかわりに兄弟の敵になることはしないと決めた」
「それって……」
考えると、なんだか残酷な事だ。
兄弟が多いと家督の問題が出てくる。家族の中では纏まっていても、周囲が横やりを入れることはある。
ルークは結婚せず、子供を作らない事で他の兄弟を守るつもりだったんだろう。
馬鹿な事だ。
「いいのか? 俺と恋人になって」
「むしろ家族には喜ばれたよ。馬鹿な選択を正せてよかった。幸せならそれでいいと」
マクレラン公爵家は、とても温かいところなんだろうと思えた。
「それにもう一つ、俺は戦う事を多分最後まで止めないだろう。それは同時に、必ず帰るという約束ができない事でもある。そんな奴と結婚して、待たせておくってのも酷だろ」
そう言った人は寂しげだ。そしてこれは、クリスも痛いほど分かる。
戦うなら、死も覚悟しなければならない。騎士ならばみな同じだ。それを待つ人は、待たされる時間の長さだけ不安を抱え、祈るような気持ちでいるだろう。いつ、儚く逝ってしまうかという思いを常に持たなければならない。
「……俺はあんたの隣にいるんだ。そんな心配、しなくていいな」
気付けばそう言っていた。
驚いたルークがこちらを見て、泣きそうな目で笑う。そしてくしゃくしゃとクリスの頭を撫でた。
だというのに、ルークは無造作に泡立ててガシガシ洗い始めるのを見て、クリスは咄嗟に止めてしまった。
「どうした?」
「雑過ぎるだろう!」
もうなんていうか……溜息しか出なかった。
ルークの後ろに回り、丁寧に石鹸を泡立てならが洗っていく。地肌に爪を立てないように、頭皮を揉むようにして。
「あっ、そこ気持ちいい」
「ここ?」
こめかみの辺りに指を丸く当て、揉み込むと気の抜けた声が聞こえてくる。そしてしきりに「気持ちいい」を繰り返している。
なんとうか……ドキドキする。別にそんな意味ではないし、むしろ気の抜けた声だ。なのになんというか、意識はしてしまっている。微妙に悔しい。
髪の毛も先まで汚れを泡で包むようにして洗い流すと、それだけで綺麗な黒髪になる。普段、どんだけ適当に洗っていたんだ。
「……背中も流すか?」
「頼む」
嬉しそうな顔をしながら言われたら、ちょっと嬉しいじゃないか。
タオルを泡立てて背中を流していく。そこは、少し傷が多い気もする。この人の事だ、逃げ傷じゃないだろう。そうなると、誰かを庇ったか。
「傷だらけだろ? 格好悪いよな」
「え?」
苦笑が聞こえるが、生憎顔は見えない。でも雰囲気で、少し落ち込んでいる気がする。
「別に、格好悪くはないだろ」
「背中だぞ」
「誰庇ったんだ? あんたでも背中で庇うしかできないような強いのがいたんだな」
呆れて言えば驚いた顔で振り向かれる。それをマジマジと見ていると、ふにゃっとルークは笑った。
「冒険者時代のだ。殿下は放っておいてもよかったんだが、ヒーラーが鈍くさくてな。しょっちゅう小脇に抱えて逃げる事になった」
「あんたのパーティなら、優秀だったんだろ?」
「補助と回復と結界に関しては超一流だった。鈍くさくてドジで大事な場面ですっ転ぶ悪癖がなきゃな」
「あ……」
それは、傷も増えるというものだ。
ルークは楽しそうに笑っている。きっと、いい思い出なのだろう。そんな彼の過去を羨むのは、狭量が過ぎるだろうか。
不意に手が伸びて、頬に触れる。目が合った、その後は吸い込まれるようにルークが動いて、唇を奪われていた。
「寂しそうにするな。お前とは、これからだろ?」
「……心が狭いかな?」
「恋人の嫉妬は過剰じゃなけりゃ嬉しいものだろ?」
「過剰かもよ」
「残念、多分俺もだ。クリス、宿舎でも俺の髪洗ってくれ。お前の髪は俺が洗う」
「はぁ!」
流石にそれは恥ずかしい! この人、惚気とかいうレベルじゃない事を要求してきた。
火照ったのとは違う熱に頬が上気するクリスを、ルークは鋭く見つめてくる。指先が首筋から胸元、そして臍の辺りまでツ……と滑っていくのを意識してしまう。
「お前は俺のだって、誰にでも分かる形で伝えないと俺が安心できないしな。同じ隊の中でドロドロの恋愛劇なんざ望まない」
「それはそうだけど……恥ずかしいな」
見せつけと分かってイチャコラするのはなんというか……大分恥ずかしい。でもルークの言う事も分かる。クリスも言い寄られるなんて嫌だ。
だから、まあ……。
「いい、よ。分かった。俺の髪も洗ってくれよな」
「任せろ」
この時のルークの顔は、どこか幼くてとても嬉しそうだった。
◇◆◇
部屋に戻ってくると、室内には冷やされたワインとチーズがあり、周囲は人払いされたように静かだった。
軽く窓を開けてもそれ程寒くは感じない。日中の熱気は失っているが、まだ夏だ。
「飲むか?」
「少しだけ」
互いにガウンのままカウチに座り、ルークがワインを開ける。グラスに注がれる液体は深い赤ではなく、可愛らしいピンク色だった。
「珍しい色だな」
マジマジと見てしまうと、ルークは嬉しそうにしている。お気に入りか?
「ロゼワインだ。赤の渋みがないんだ」
「そうなのか?」
ワインは渋いほどいいという貴族社会の風潮に浸食されていたから、そうではないと聞くと興味をそそられる。何より初めて見るものに期待してしまう。
軽くグラスを掲げるルークに合わせ、クリスもグラスを持ち上げる。そうして軽い乾杯をして、飲み込んだ。
軽い口当たりにフルーティーな香りとほんのりとした甘さ。水のよう、とは言わないが飲みやすくて驚いてしまった。
「ふはっ、驚いただろ? 俺の領地で作ってるやつで、今のところ家族と周辺で消費する分くらいしかないんだ」
「そんな貴重なもの! でも、美味しい」
思わずもう一口。まるで果実のような瑞々しさで酒が進む。
そんなクリスを見て、ルークは嬉しそうに笑った。
「そんなのを回してくれるくらい、父上も母上も俺が本気の相手を見つけたって事を喜んでるんだろうな」
「え?」
今、なんと?
冷静になってオロオロした。ルークの父は公爵であり、王の側近中の側近。そんな人に、知られている?
「……反対とか」
「はぁ? ないない。むしろ歓迎してるだろ」
「俺、お育ちが」
「お育ちのいい俺の出来がこれだが?」
「それ、自分で言って悲しくないか?」
自身を指差し当然のように宣った人を半目で見てしまう。プライドないよな、この人。
それでもルークは気にした様子もない。苦笑だけだ。
「元々、俺は結婚するつもりはなかったんだよ。両親にも伝えてあるし、兄弟にも宣言している」
「どうしてそんなこと。嫌なのか?」
「……俺には家を継ぐに相応しい兄が三人、姉が一人に妹が一人。その中で俺は剣を握る事が好きだった。戦う事が好きだった。領地経営だ、国政だなんてものに一切興味がなかった。だから、好きな事をするかわりに兄弟の敵になることはしないと決めた」
「それって……」
考えると、なんだか残酷な事だ。
兄弟が多いと家督の問題が出てくる。家族の中では纏まっていても、周囲が横やりを入れることはある。
ルークは結婚せず、子供を作らない事で他の兄弟を守るつもりだったんだろう。
馬鹿な事だ。
「いいのか? 俺と恋人になって」
「むしろ家族には喜ばれたよ。馬鹿な選択を正せてよかった。幸せならそれでいいと」
マクレラン公爵家は、とても温かいところなんだろうと思えた。
「それにもう一つ、俺は戦う事を多分最後まで止めないだろう。それは同時に、必ず帰るという約束ができない事でもある。そんな奴と結婚して、待たせておくってのも酷だろ」
そう言った人は寂しげだ。そしてこれは、クリスも痛いほど分かる。
戦うなら、死も覚悟しなければならない。騎士ならばみな同じだ。それを待つ人は、待たされる時間の長さだけ不安を抱え、祈るような気持ちでいるだろう。いつ、儚く逝ってしまうかという思いを常に持たなければならない。
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