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31章:ウエディングベルは君の為に(オリヴァー)
おまけ:思いかけない出会い(リッツ)
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思いっきり大衆酒場で三次会を決め込んだリッツとグリフィスは、もう乗っけからグダグダになっていった。
「もぉ、ランバートは幸せそうだしさぁ」
「うんうん」
「確かに友達だよぉ。でもさぁ、なーんにも連絡くれないって酷くないっすかぁ? 七歳からの付き合いっすよぉ」
「おうおう、そりゃ連れねぇなぁ。まぁ飲め」
「うっす! 頂きます!」
ジョッキに酒を並々注がれて、飲んでは少し摘まんで。そんなリッツよりもずっと、グリフィスは飲んでいるのに変わらない。
「そもそも、ランバートとはどうして友達だ?」
「絵」
「絵?」
「うん。俺もランバートも絵を描いてるんで、その関係でしょっちゅうサロンで会うようになって。んで、一緒に写生に行ったりして」
懐かしい子供の頃の思い出に笑みを浮かべる。けれど同時に寂しくなる。今日はなんだか荒れてグダグダだ。
「そんな仲なのにぃ、俺ってば騎士団に入った事すら知らなかったなんて」
「そりゃ、ランバートが薄情だな。まぁ、飲め」
「寂しいよぉ。グリフィスさん慰めてぇ」
「分かった分かった、しっかりしろ」
「うぅ、幸せいいなぁ。俺には来ないかなぁ。遊びばっかだからかぁ」
「そりゃぁ、自業自得だな」
背中をポンポンと叩かれる。子供扱いにムッとするが、同時に心地よくもある。自分が案外甘えたがりなのは自覚している。
「グリフィスさぁん」
「なんだ?」
「寂しいよぉ。キスしてぇ」
「リッツ、飲み過ぎたか?」
「介抱希望」
「まだ平気じゃねぇか」
バシッと強い力で叩かれた。騎士団の人は皆こんなに力強いのだろうか。
「グリフィスさんは、恋人いないの?」
拗ねて問いかけてみる。男らしい横顔がつまんなそうにしていた。
「いない」
「作んないの?」
「怖がんだよ、大概な。このガタイでこの顔だ、非モテ側だ」
「ふーん、みぃんな、見る目ないなぁ」
意外な言葉にリッツは驚いていた。
何せ魅力的だ。野生を感じるような強い金の瞳。男らしい肉感的な唇。少し彫りが深くて、エラのある顔をしている。
力強い体は逞しくて筋肉質で、ちょっとの事ではびくともしない。
何故こんなに男らしいセクシーな人が非モテなのだろう。それとも趣味の問題なのか?
「俺はぁ、グリフィスさんみたいな男らしい人、だぁい好きなんですけれどぉ」
「あぁ?」
「その厚ぅい唇もぉ、ゴツゴツした手もぉ、好みなんすよぉ」
更に酒を飲み込んで、気持ち良く色々ぶちまけている。船上暮らしが続いたからか欲求不満でもあったのだ。
今日は引っかけて帰ろう。そう思っていたところでグリフィスと出会った。
「お前、相当酔ってるな」
「いいじゃないっすかぁ」
「いいけどよぉ。ちゃんと起きてろよ」
そう言いながらグリフィスはずっと、酒に付き合ってくれていた。
はずなのだが……
「グリフィスさんが寝てどうすんの!」
ある一定の所に来たら途端に眠そうにして机に伏している。それがあまりに突然で驚いた。今はグリフィスの腕を引っ張ってどうにか立たせようとしている。
「大変そうだなぁ、あんちゃん」
「あの、悪いんですけど上の部屋空いてないっすか?」
ここは幸いに二階が宿泊施設になっている。ここに転がしておくわけにもいかない。
店の店主は笑って頷き、リッツに鍵を渡してくれた。
どうにかこうにか立たせて、そのまま二階の部屋に上がる。それにしても重たくて、途中何度かへこたれそうになった。
ベッドに横になったグリフィスは気持ち良さそうにしている。かたやリッツは疲れ果てた。
「もぉ、しんど……」
肩で息をしながらグリフィスを見る。そして、ゾクリと底から沸いてきた。
厚い唇がセクシーだし、筋の浮いた首筋がまたいい。酒で上気した肌がしっとりとしている。その匂いもまた好みだった。
「うわぁ、男臭い感じの匂い。俺、こういうの好み……」
人によっては嫌だと言うかもしれないが、濃いくらいのフェロモンがいい。
思わず近づいて、僅かにはだけた胸元に手を差し入れる。感じる胸筋の逞しいことったらない。それだけでドキドキする。
「……ちょっとだけ」
欲望を抑えきれず、リッツはベッドの端に腰を下ろしたまま裸の胸元に顔を寄せた。そして胸いっぱいにグリフィスの匂いを吸い込んだ。
「はぁ……ダメ、クラクラするわ」
久しぶりに好みの相手に出会った事と、他人の幸せに当てられた事で体は火照ってしまっている。酒も当然十二分にあるが、今はこの熱をどう吐き出すかが問題だ。
はだけた逞しい胸元に唇を寄せ、ほんの少し吸い付いてみた。眠っているから反応はない。それをいい事にリッツは自らの服の前を僅かに開け、自らの胸も揉んだ。
「んっ、これも気持ちいいかも」
グリフィスの胸をちゅぱちゅぱと吸って転がしながら自らの胸を揉むなんて痴態、絶対に見せられない。だがそういうのがまた、妙に燃え上がらせた。
下肢が熱くなってきた。余程欲求不満だったんだろうか、それともグリフィスのフェロモンにやられてきたのか。徐々に頭も働かなくなって、行為だけに没頭していった。
だからだろう、突然視界が回転して、ベッドに押し倒されるまで彼が起きている事に気付かなかった。
「……へ?」
「お前なぁ……。流石に目が覚めるっての」
野性的な金の瞳が見下ろしている。獲物を見るような鋭さの中に、色を含む濡れた感じがある。
あぁ、襲われたい。この目に見られながら貪られたい。一夜だけでいいから、この人に空っぽになるまで犯されたい。
「お前、そんなに俺にヤられてぇのか?」
「うん」
「……後悔しても知らねぇぞ」
言いながら前髪をかき上げるその仕草すら、リッツをゾクゾクと期待させた。
少し乱暴なくらいのキスは目眩がする。厚い唇に飲み込まれるようなそれはあっという間に体中に火をつけていく。何度も角度を変えながら、貪るような行為は否応なしに興奮した。
「はぁ、ぁ、もっと……っ」
息継ぎの合間におねだりをすれば望みはすぐに叶えられる。厚みのある舌に絡め取られ、同時に自ら開いた服の合わせ目からザラザラゴツゴツした手が潜り込み、無遠慮に乳首を押し込んだ。
「ふぅ!!」
自ら弄っただけで立ち上がっていた部分は押し込まれると余計に感じてしまう。周囲から捏ね回されると少し痛みを感じる。
飲みきれない程の唾液が離れても糸を引く。そして、肉感的な唇が硬く尖った乳首を食み、厚い舌が押し込み、舐めて、吸い上げるのにリッツは悲鳴を上げていた。
「はぁあぁぁぁ!」
ビリビリする、気持ちいい……。
背に走った電流の強さにビクビクと体を震わせていると、グリフィスは徐にベルトに手をかけ一気に引き抜く。更に上の服も脱がされた。
「ぁ……」
脱がされて見下ろす自分の体はとても浅ましく反応していた。これだけでもう完勃ちしている。
そしてグリフィスもまた、衣服の全てを脱ぎ捨てていた。
うっとりとする体だ。筋肉質で、でもしなやかで。
思わず両手を広げて迎え入れ、強請るようにキスをする。応じてくれるキスはさっきみたいな貪欲さはない。けれど確かに高められて、ビクンッ、ビクンと反応している。
節くれ立つ手がリッツの昂ぶりを握り、最初からしっかりと上下に扱く。衝撃が大きくて、グリフィスの唇の中で何度も「んっ! ふぅ!」と声にならない声を上げている。
腰が重く痺れて、ザラつく指がカリを引っかける度に脳みそを殴られるみたいな衝撃に体が跳ねる。
グチュグチュと濡れた音が摩擦の度にしていて、荒い息と自分の喘ぎと濡れた音に追い立てられていく。
「あぁ……イッ、くぅ……っ」
「おう、イケよ。たっぷり出せよ」
「んあぁ! だっ、っっ! あぁぁ!!」
ガクンと落ちるような感覚と、コントロールを失った体がガクガクと震えて熱を吐き出す。バカみたいにたっぷりと跳ね上げた白濁が腹の上に散った。
「随分たっぷりだな。溜まってたか?」
「あ、あぁ……うっ……」
「今度は俺を楽しませろよ」
グリフィスの指が腹の上に散った白濁をすくい上げ、後孔へと塗り込みゴツい指を潜り込ませる。節がボコボコと入口を擦るだけで、また内股が痙攣しそうになる。それが出入しながら捻るようにするのだからたまらない。
奥底が煮えるように熱い。欲しくてたまらない。何も知らない綺麗な体じゃないんだ。
「んぁ、あぁ、気持ちいぃ。グリフィスさん、欲しい……」
「裂けんぞ」
「いい!」
「いいわけあるか」
窘められ、慰められるように前を撫でられる。瞬間、また僅かに吐き出した。強ばるように足にも力が入る。
「船上暮らしってのは、こんなにため込むもんか?」
「そう、だよ! あぁ、もっと奥にきて! グリフィスさん!」
この人の逞しく熱いものに貫かれる。それを考えるだけで震えてくる。欲しいと何度も望んで、その思いに体が反応する。
望みを叶えるように性急にグリフィスは後ろを解した。そして十分に緩まるとピッタリと剛直を押し当て、腰を進めた。
「はぁ! うっ……ぁあぁぁぁぁ!」
薄く薄くのばされる後孔が悲鳴を上げていく。ゴツゴツとして筋が浮き、硬く熱いグリフィスの昂ぶりが限界まで広げながら入ってくる。
色に濡れ、しっとりと汗ばむ肌にしがみついて痛みをやり過ごしていく。深く息をして可能な限り力を抜いて。
そうしてみっちりと自らを埋める熱は、後には目眩がする程気持ち良かった。
腰を掴まれ、抜かれないまま押し込まれる。硬い切っ先が中を抉り出すのに思わず声が漏れる。
「すげーな、お前。俺の飲み込んだか」
「あっ、苦しぃ……んぁ!」
「だろうな」
ニヤリと笑い、唇を舐めるグリフィスの表情にゾクゾクする。
ゴツい手が腹を愛しげに撫で上げる。それだけで違和感が分かる。熱い楔が自らを串刺しにしているのを強く感じる。
「腹が膨れそうだな」
「んぁぁ、苦しいよぉ」
「ここまで入ってるか?」
「あぁ! だめ、押さないでくれよっ」
グリグリと外側から押されるだけで筋の浮く逞しい剛直が擦れる。その度、ブルブルっと震える。軽くイキっぱなしだ。
「可愛い顔しやがって。壊れんじゃねーぞ」
「はあぁぁ」
肉壁をズリズリと擦りながら抜け落ちていく剛直が、次には奥まで押し上げられる。快楽のツボを殴られるような衝撃に「かはっ」という嗚咽もこみ上げてくる。
「お前、突くだけで吐き出してるともたんぞ」
「そん! はっ、言われたって!」
止まらないんだからどうしろっていうんだ。
奥を突かれる度に勃ちっぱなしの先端から僅かに白濁した物が押し出されるように吐き出される。ビリっと痛いし苦しいのに癖になる。
「んぁあ! 止まんない!」
「くっ、締めやがる……リッツ、ちゃんと息しろよ」
腹の中を掻き回されて殴られるような衝撃に目眩を起こし吐き気まで感じながら、それでもそれを望んでいる。激しく求められる事が気持ちいい。ピッタリと隙間なく埋まった剛直が更に逞しく硬く太くなっていくのを感じて、リッツはガクガクと震えた。
「お腹、破ける……あぁ!」
「んな事しねーよ」
「あぁぁ! 気持ちいい!」
「あぁ、しっかり飲めよっ!」
最奥をガツンと殴られる感覚に、意識が一瞬飛んだ。激しく痙攣しながら受け入れている腹の中に、脈打つように熱いものが打ち付けられる。たっぷり、打ち付けられる度に頼りなく「あ……あ……」と声が漏れた。
厚い唇が労るようにキスをしてくれる。
一番奥で弾けた剛直が、ズルズルと抜けていく。
ぽっかりと開いた後孔は抜け落ちても暫く口が閉じずに物欲しげにパクパクと口を開け、そこから吐き出されたものがドロドロと溢れ出てきた。
グリフィスは吐き出しっぱなしで熱を持つリッツの前を口に含み、丁寧に優しく追い立てる。
もう出るものもなく、朦朧とした意識では「はぁ、あぁ」と虚ろに喘ぐばかりだった。
けれど熱が収まるまでそうして、絞り出すように最後の精を吐き出したら流石に力を無くしていった。
「寝とけ。後、具合悪くないか?」
「ん……」
「吐き気ないか?」
「今は平気……」
手が髪を撫でる。心地よく、まどろむと後はひたすら落ちていった。
グリフィスと別れて一人の帰り道、リッツは僅かに腰を摩った。
「流石に衝撃でかすぎるよぉ。もぉ、他で我慢できるかな?」
味わった衝撃の大きさに不安になる。特定の恋人なんて作らなかったし、作るつもりもない。旅暮らしなりに陸で楽しむには縛りが無い方がいい。
元から彼のような逞しい相手が好きで、激しく強い交わりが好きだ。幸い船員はそうした体格の人間が多く、自分の船の人間に手をださないという矜持だけは守るが他船なら問題ない。
故に港で好みの相手を誘って慰めていた。
のだが……
今回グリフィスがくれた情事は好み過ぎて凄い。あんなに乱れた事はなかった。
「あぁ、ダメダメ! 俺は旅暮らしなの!」
でも、帝国にいる間は彼が欲しくてたまらないかもしれない。
リッツは苦悩しつつも、その笑みは何処か満足そうだった。
「もぉ、ランバートは幸せそうだしさぁ」
「うんうん」
「確かに友達だよぉ。でもさぁ、なーんにも連絡くれないって酷くないっすかぁ? 七歳からの付き合いっすよぉ」
「おうおう、そりゃ連れねぇなぁ。まぁ飲め」
「うっす! 頂きます!」
ジョッキに酒を並々注がれて、飲んでは少し摘まんで。そんなリッツよりもずっと、グリフィスは飲んでいるのに変わらない。
「そもそも、ランバートとはどうして友達だ?」
「絵」
「絵?」
「うん。俺もランバートも絵を描いてるんで、その関係でしょっちゅうサロンで会うようになって。んで、一緒に写生に行ったりして」
懐かしい子供の頃の思い出に笑みを浮かべる。けれど同時に寂しくなる。今日はなんだか荒れてグダグダだ。
「そんな仲なのにぃ、俺ってば騎士団に入った事すら知らなかったなんて」
「そりゃ、ランバートが薄情だな。まぁ、飲め」
「寂しいよぉ。グリフィスさん慰めてぇ」
「分かった分かった、しっかりしろ」
「うぅ、幸せいいなぁ。俺には来ないかなぁ。遊びばっかだからかぁ」
「そりゃぁ、自業自得だな」
背中をポンポンと叩かれる。子供扱いにムッとするが、同時に心地よくもある。自分が案外甘えたがりなのは自覚している。
「グリフィスさぁん」
「なんだ?」
「寂しいよぉ。キスしてぇ」
「リッツ、飲み過ぎたか?」
「介抱希望」
「まだ平気じゃねぇか」
バシッと強い力で叩かれた。騎士団の人は皆こんなに力強いのだろうか。
「グリフィスさんは、恋人いないの?」
拗ねて問いかけてみる。男らしい横顔がつまんなそうにしていた。
「いない」
「作んないの?」
「怖がんだよ、大概な。このガタイでこの顔だ、非モテ側だ」
「ふーん、みぃんな、見る目ないなぁ」
意外な言葉にリッツは驚いていた。
何せ魅力的だ。野生を感じるような強い金の瞳。男らしい肉感的な唇。少し彫りが深くて、エラのある顔をしている。
力強い体は逞しくて筋肉質で、ちょっとの事ではびくともしない。
何故こんなに男らしいセクシーな人が非モテなのだろう。それとも趣味の問題なのか?
「俺はぁ、グリフィスさんみたいな男らしい人、だぁい好きなんですけれどぉ」
「あぁ?」
「その厚ぅい唇もぉ、ゴツゴツした手もぉ、好みなんすよぉ」
更に酒を飲み込んで、気持ち良く色々ぶちまけている。船上暮らしが続いたからか欲求不満でもあったのだ。
今日は引っかけて帰ろう。そう思っていたところでグリフィスと出会った。
「お前、相当酔ってるな」
「いいじゃないっすかぁ」
「いいけどよぉ。ちゃんと起きてろよ」
そう言いながらグリフィスはずっと、酒に付き合ってくれていた。
はずなのだが……
「グリフィスさんが寝てどうすんの!」
ある一定の所に来たら途端に眠そうにして机に伏している。それがあまりに突然で驚いた。今はグリフィスの腕を引っ張ってどうにか立たせようとしている。
「大変そうだなぁ、あんちゃん」
「あの、悪いんですけど上の部屋空いてないっすか?」
ここは幸いに二階が宿泊施設になっている。ここに転がしておくわけにもいかない。
店の店主は笑って頷き、リッツに鍵を渡してくれた。
どうにかこうにか立たせて、そのまま二階の部屋に上がる。それにしても重たくて、途中何度かへこたれそうになった。
ベッドに横になったグリフィスは気持ち良さそうにしている。かたやリッツは疲れ果てた。
「もぉ、しんど……」
肩で息をしながらグリフィスを見る。そして、ゾクリと底から沸いてきた。
厚い唇がセクシーだし、筋の浮いた首筋がまたいい。酒で上気した肌がしっとりとしている。その匂いもまた好みだった。
「うわぁ、男臭い感じの匂い。俺、こういうの好み……」
人によっては嫌だと言うかもしれないが、濃いくらいのフェロモンがいい。
思わず近づいて、僅かにはだけた胸元に手を差し入れる。感じる胸筋の逞しいことったらない。それだけでドキドキする。
「……ちょっとだけ」
欲望を抑えきれず、リッツはベッドの端に腰を下ろしたまま裸の胸元に顔を寄せた。そして胸いっぱいにグリフィスの匂いを吸い込んだ。
「はぁ……ダメ、クラクラするわ」
久しぶりに好みの相手に出会った事と、他人の幸せに当てられた事で体は火照ってしまっている。酒も当然十二分にあるが、今はこの熱をどう吐き出すかが問題だ。
はだけた逞しい胸元に唇を寄せ、ほんの少し吸い付いてみた。眠っているから反応はない。それをいい事にリッツは自らの服の前を僅かに開け、自らの胸も揉んだ。
「んっ、これも気持ちいいかも」
グリフィスの胸をちゅぱちゅぱと吸って転がしながら自らの胸を揉むなんて痴態、絶対に見せられない。だがそういうのがまた、妙に燃え上がらせた。
下肢が熱くなってきた。余程欲求不満だったんだろうか、それともグリフィスのフェロモンにやられてきたのか。徐々に頭も働かなくなって、行為だけに没頭していった。
だからだろう、突然視界が回転して、ベッドに押し倒されるまで彼が起きている事に気付かなかった。
「……へ?」
「お前なぁ……。流石に目が覚めるっての」
野性的な金の瞳が見下ろしている。獲物を見るような鋭さの中に、色を含む濡れた感じがある。
あぁ、襲われたい。この目に見られながら貪られたい。一夜だけでいいから、この人に空っぽになるまで犯されたい。
「お前、そんなに俺にヤられてぇのか?」
「うん」
「……後悔しても知らねぇぞ」
言いながら前髪をかき上げるその仕草すら、リッツをゾクゾクと期待させた。
少し乱暴なくらいのキスは目眩がする。厚い唇に飲み込まれるようなそれはあっという間に体中に火をつけていく。何度も角度を変えながら、貪るような行為は否応なしに興奮した。
「はぁ、ぁ、もっと……っ」
息継ぎの合間におねだりをすれば望みはすぐに叶えられる。厚みのある舌に絡め取られ、同時に自ら開いた服の合わせ目からザラザラゴツゴツした手が潜り込み、無遠慮に乳首を押し込んだ。
「ふぅ!!」
自ら弄っただけで立ち上がっていた部分は押し込まれると余計に感じてしまう。周囲から捏ね回されると少し痛みを感じる。
飲みきれない程の唾液が離れても糸を引く。そして、肉感的な唇が硬く尖った乳首を食み、厚い舌が押し込み、舐めて、吸い上げるのにリッツは悲鳴を上げていた。
「はぁあぁぁぁ!」
ビリビリする、気持ちいい……。
背に走った電流の強さにビクビクと体を震わせていると、グリフィスは徐にベルトに手をかけ一気に引き抜く。更に上の服も脱がされた。
「ぁ……」
脱がされて見下ろす自分の体はとても浅ましく反応していた。これだけでもう完勃ちしている。
そしてグリフィスもまた、衣服の全てを脱ぎ捨てていた。
うっとりとする体だ。筋肉質で、でもしなやかで。
思わず両手を広げて迎え入れ、強請るようにキスをする。応じてくれるキスはさっきみたいな貪欲さはない。けれど確かに高められて、ビクンッ、ビクンと反応している。
節くれ立つ手がリッツの昂ぶりを握り、最初からしっかりと上下に扱く。衝撃が大きくて、グリフィスの唇の中で何度も「んっ! ふぅ!」と声にならない声を上げている。
腰が重く痺れて、ザラつく指がカリを引っかける度に脳みそを殴られるみたいな衝撃に体が跳ねる。
グチュグチュと濡れた音が摩擦の度にしていて、荒い息と自分の喘ぎと濡れた音に追い立てられていく。
「あぁ……イッ、くぅ……っ」
「おう、イケよ。たっぷり出せよ」
「んあぁ! だっ、っっ! あぁぁ!!」
ガクンと落ちるような感覚と、コントロールを失った体がガクガクと震えて熱を吐き出す。バカみたいにたっぷりと跳ね上げた白濁が腹の上に散った。
「随分たっぷりだな。溜まってたか?」
「あ、あぁ……うっ……」
「今度は俺を楽しませろよ」
グリフィスの指が腹の上に散った白濁をすくい上げ、後孔へと塗り込みゴツい指を潜り込ませる。節がボコボコと入口を擦るだけで、また内股が痙攣しそうになる。それが出入しながら捻るようにするのだからたまらない。
奥底が煮えるように熱い。欲しくてたまらない。何も知らない綺麗な体じゃないんだ。
「んぁ、あぁ、気持ちいぃ。グリフィスさん、欲しい……」
「裂けんぞ」
「いい!」
「いいわけあるか」
窘められ、慰められるように前を撫でられる。瞬間、また僅かに吐き出した。強ばるように足にも力が入る。
「船上暮らしってのは、こんなにため込むもんか?」
「そう、だよ! あぁ、もっと奥にきて! グリフィスさん!」
この人の逞しく熱いものに貫かれる。それを考えるだけで震えてくる。欲しいと何度も望んで、その思いに体が反応する。
望みを叶えるように性急にグリフィスは後ろを解した。そして十分に緩まるとピッタリと剛直を押し当て、腰を進めた。
「はぁ! うっ……ぁあぁぁぁぁ!」
薄く薄くのばされる後孔が悲鳴を上げていく。ゴツゴツとして筋が浮き、硬く熱いグリフィスの昂ぶりが限界まで広げながら入ってくる。
色に濡れ、しっとりと汗ばむ肌にしがみついて痛みをやり過ごしていく。深く息をして可能な限り力を抜いて。
そうしてみっちりと自らを埋める熱は、後には目眩がする程気持ち良かった。
腰を掴まれ、抜かれないまま押し込まれる。硬い切っ先が中を抉り出すのに思わず声が漏れる。
「すげーな、お前。俺の飲み込んだか」
「あっ、苦しぃ……んぁ!」
「だろうな」
ニヤリと笑い、唇を舐めるグリフィスの表情にゾクゾクする。
ゴツい手が腹を愛しげに撫で上げる。それだけで違和感が分かる。熱い楔が自らを串刺しにしているのを強く感じる。
「腹が膨れそうだな」
「んぁぁ、苦しいよぉ」
「ここまで入ってるか?」
「あぁ! だめ、押さないでくれよっ」
グリグリと外側から押されるだけで筋の浮く逞しい剛直が擦れる。その度、ブルブルっと震える。軽くイキっぱなしだ。
「可愛い顔しやがって。壊れんじゃねーぞ」
「はあぁぁ」
肉壁をズリズリと擦りながら抜け落ちていく剛直が、次には奥まで押し上げられる。快楽のツボを殴られるような衝撃に「かはっ」という嗚咽もこみ上げてくる。
「お前、突くだけで吐き出してるともたんぞ」
「そん! はっ、言われたって!」
止まらないんだからどうしろっていうんだ。
奥を突かれる度に勃ちっぱなしの先端から僅かに白濁した物が押し出されるように吐き出される。ビリっと痛いし苦しいのに癖になる。
「んぁあ! 止まんない!」
「くっ、締めやがる……リッツ、ちゃんと息しろよ」
腹の中を掻き回されて殴られるような衝撃に目眩を起こし吐き気まで感じながら、それでもそれを望んでいる。激しく求められる事が気持ちいい。ピッタリと隙間なく埋まった剛直が更に逞しく硬く太くなっていくのを感じて、リッツはガクガクと震えた。
「お腹、破ける……あぁ!」
「んな事しねーよ」
「あぁぁ! 気持ちいい!」
「あぁ、しっかり飲めよっ!」
最奥をガツンと殴られる感覚に、意識が一瞬飛んだ。激しく痙攣しながら受け入れている腹の中に、脈打つように熱いものが打ち付けられる。たっぷり、打ち付けられる度に頼りなく「あ……あ……」と声が漏れた。
厚い唇が労るようにキスをしてくれる。
一番奥で弾けた剛直が、ズルズルと抜けていく。
ぽっかりと開いた後孔は抜け落ちても暫く口が閉じずに物欲しげにパクパクと口を開け、そこから吐き出されたものがドロドロと溢れ出てきた。
グリフィスは吐き出しっぱなしで熱を持つリッツの前を口に含み、丁寧に優しく追い立てる。
もう出るものもなく、朦朧とした意識では「はぁ、あぁ」と虚ろに喘ぐばかりだった。
けれど熱が収まるまでそうして、絞り出すように最後の精を吐き出したら流石に力を無くしていった。
「寝とけ。後、具合悪くないか?」
「ん……」
「吐き気ないか?」
「今は平気……」
手が髪を撫でる。心地よく、まどろむと後はひたすら落ちていった。
グリフィスと別れて一人の帰り道、リッツは僅かに腰を摩った。
「流石に衝撃でかすぎるよぉ。もぉ、他で我慢できるかな?」
味わった衝撃の大きさに不安になる。特定の恋人なんて作らなかったし、作るつもりもない。旅暮らしなりに陸で楽しむには縛りが無い方がいい。
元から彼のような逞しい相手が好きで、激しく強い交わりが好きだ。幸い船員はそうした体格の人間が多く、自分の船の人間に手をださないという矜持だけは守るが他船なら問題ない。
故に港で好みの相手を誘って慰めていた。
のだが……
今回グリフィスがくれた情事は好み過ぎて凄い。あんなに乱れた事はなかった。
「あぁ、ダメダメ! 俺は旅暮らしなの!」
でも、帝国にいる間は彼が欲しくてたまらないかもしれない。
リッツは苦悩しつつも、その笑みは何処か満足そうだった。
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彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
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BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される
水ノ瀬 あおい
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若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。
昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。
年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。
リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。
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