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十一話 スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない
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ユーリスさんに連れられてきたのは海外の教会風の荘厳な建物だった。これはこれで尻込みだ。部外者が入っていいのだろうか。
手を引かれて行くと、中は案外人が多い。神の像の前で祈り、そのままの足で椅子に座って雑談している人も多い。案外気軽な寄り合い所のような感じなのかもしれない。
連れられて奥へ行くと、個室がいくつも並ぶ場所がある。扉の前には明らかにシスターという出で立ちの女の人達がいて、ニコニコと訪れる人を招いていた。
「こんにちは! スキルのチェックですか?」
「え? あの」
「頼む。彼は異世界人でさっき住民登録を済ませたばかりなんだ」
「まぁ!」
まだ二十代っぽい女の人が驚いた顔をしている。そしてとてもにこやかに俺を部屋の中へと招いてくれた。
ここは俺一人らしく、ユーリスさんは外にいると言った。オドオドしながら中に入ると、薄明るい部屋に人の頭くらいありそうな水晶が一つ、その上に透明なガラス板のような物があった。
「まずはお掛け下さい。心配しなくても大丈夫ですよ。リラックスしてください」
「あっ、はい」
俺の緊張を見抜いたシスターさんは柔らかく笑っている。俺もそれに笑い返して、水晶の前にある椅子に腰を下ろした。
「まずはこの水晶に手を触れてください」
「えっと……こう?」
かざして下さいじゃなくて触れて下さいだ。俺は躊躇いながらも水晶の上に手を置いた。
「はい、それで大丈夫ですよ。まずは戦士スキルをチェックしますね」
俺の目の前に降りて来たガラス板の中を、もの凄い勢いで文字が通り過ぎていく。
剣士、魔法剣士、槍使い、弓使い、メイス、ペガサスナイト、ドラゴンスレイヤー、暗殺者、斧戦士…………。
「あれ?」
画面から全ての文字が消えていく。何も残らない。
「どうやら、戦士スキルはお持ちではないようですね」
「はははっ」
ですよね。だって、ステータスへっぽこ過ぎるし。
「次は魔道スキルを見てみます」
さっきと同じように文字が流れていく。
炎魔道士、水魔道士、風魔道士、土魔道士、光魔道士、闇魔道士、召喚師、支援魔道士…………。
「あ……」
やっぱり何も残らない。俺には戦う才能はないんだ。
「まだ大丈夫です! 冒険者でなくても手に職はつくんですよ。次は職業スキルを見てみましょう」
薬剤師、アイテム生成、獣使い、防具生成、武器生成、体内スキャン、導き…………。
「……」
以下同文である。
シスターさんは明らかにオロオロし始める。つまり俺って、もの凄く役立たずなわけだ。分かってる、元の世界でだって何の取り柄もない平凡な人間だった。全てにおいて真ん中辺りだ。分かっているさ、こんな結果。
畜生、涙が出る。
「あの、お気を落とさずに! まだ何か……何かありますから!」
「あの、平気です。スキルなくても地道に地味に生きていければ」
「そんな! あの、待って下さい。他にも……あ!」
シスターさんの目が僅かに輝く。そして腰を浮かせていた俺をもう一度座らせて、水晶に手を置くように促した。
「普段はあまり調べないのですが、特殊スキルの項目があるのです。それを試してみましょう!」
「特殊スキルって」
俺にそんな一発逆転なものってあると思うのか?
「特殊スキルは持っている事があまりに稀で、調べるだけ無駄って感じの項目です」
「そんなの俺には」
「異世界から渡ってこられた方に出現する可能性が高いですし、特化スキルですので他のスキルにまったく掠りもしなかった方が持っている可能性があります! 諦めてはいけません!」
お姉さん、これで結果同じだったら俺立ち直れないんだけどな。
とにかくやることになって、俺もこうなればと思って付き合う。手を乗せると、さっきとは違う光が俺を包んだ。金色の光が俺を包んで水晶の中に吸い込まれていく。ガラス板のモニターに、また文字が流れた。
変化、悪魔召喚、空間転移………………
数少ない文字が流れていくが、どれも引っかからない。諦めて溜息をついたが、最後の最後で何かが光った。
『スキル安産 Lv100』
「安産スキル?」
て、なに……。
俺はもの凄く疑問だ。ついでに悪い予感しかない。これ、女の人なら喜ばしいスキルなんじゃないのか? でも男の俺じゃ……この世界男も子供産めるんだ!
「素晴らしいですわ!」
シスターさんが歓喜の声を上げ、頬を紅潮させている。このテンションの落差に俺は驚き思わずガタンと椅子ごと下がった。
「スキル安産なんて初めて見ました! 貴方は多くの絶滅危惧種族の救世主になる方ですわ!」
「え? あの……」
「詳しく付属スキルを見てみましょう!」
お姉さんがガラス板に触れると、そこからズラズラ下に出てきた。どれも見慣れないものだ。
「あの、まず説明してください。この安産スキルって何ですか?」
「あぁ、そうですね」
興奮のあまり忘れていた。そんな様子でシスターさんは笑った。
「安産スキルはそのまま、妊娠出産に関わるスキルです。これを持っていると子を授かりづらい種族との間でも子を授かり安全に産む確率が上がるのです。どのくらい上がるかはレベルによりますが、貴方のレベルはMAXの100です」
それはつまり、考えたくないけれど?
「つまり、そういう事したら100%妊娠……」
「はい!」
喜ばしい顔をするシスターさんに言いたい。これ、そんなに素晴らしいスキルじゃない!
「付属スキルも見ますね」
「付属スキル?」
「安産スキルの中に多くのスキルがあるのです。それも大事なんですよ」
俺の目の前に映し出されているものがそれなのか。
受精、定着スキル Lv98
衝撃吸収スキル Lv99
拡張適応スキル Lv88
周期加速スキル Lv90
苦痛耐性スキル Lv85
自己治癒スキル Lv80
腹部伸縮スキル Lv90
なに、この怖い文字の羅列。なに、俺そんなに子沢山望んでないよ? しかも産む方でしょ? 俺死ぬよ!
「素晴らしい結果ですわね。本当に惚れ惚れします」
「あの」
「まずは説明しますわ」
俺の戸惑いや動揺や逃げは無視だ。置いて行かれてるんだけど、結構。
「受精、定着スキルはそのままです。薬を飲んで愛し合い、中に受けた場合98%の確率で受精し、着床します。つまり、ほぼ間違いなく子供を授かります」
うん、それについては俺も「そうだろうな~」とか思ったよ。目を逸らしただけだよ。
「衝撃吸収スキルは、子を授かった時に体に受ける外的な衝撃を吸収遮断する能力ですわ。転んだりしても流産しにくく、内側から蹴られても痛みを受けづらくなります」
「内側?」
それって、つまり?
「ほら、元気な赤ちゃんはお腹の中で蹴りますから。竜人や獣人の赤ん坊となるとその蹴りも威力があって、その衝撃に吐き気を起こすこともあります」
やっぱりそういうことか。てか、吐き気がするほど中から蹴り上げられるってどんな苦痛だよ!
「続いて拡張適応スキルですね。これはそのまま、愛し合う時に有効なスキルです。竜人族や獣人族はあそこが大きくて、交わるだけで苦痛を感じる事が多いのですが貴方は大丈夫! どんな大きなものも安全に受け入れられます。多少の苦痛はあるかもしれませんが、決して傷ついたりする事はありません」
いらないよそんなの! そんな凄いの受け入れる予定なよ!
「周期加速スキルは、お腹の中の赤ちゃんの成長に関するスキルです。貴方のお腹の中の赤ちゃんは本来の妊娠周期よりも早く健康に育ちます。また、一般の赤ちゃんよりも良い栄養状態で育ちますよ」
さっさと育ってさっさと産んでまた次って事なんじゃ……。
「これに関わってくるのが腹部伸縮スキルですね。加速的に赤ちゃんが成長するとお腹が急速に膨らみます。伸縮スキルがないと内側からの圧迫に皮膚や筋肉が耐えられずに裂けてしまう事もあります。このスキルがあれば急速に大きくなるお腹の張りも大丈夫! 程よい張りを保ってお腹を固定、安定させてくれますよ」
いや、加速スキルついてるのに伸縮スキルない人ってタダの地獄だよね! なに、内側から皮膚や筋肉引きちぎれるって! 怖すぎるから!
「苦痛耐性スキルは出産時に役立ちます。出産はもの凄く辛いそうですし、子供が大きいと耐えられない事もあるのです。このスキルがあれば苦痛はかなり軽減されるはずです。そして自己治癒スキル。出産時の体のダメージを急速に治してくれます」
そこまでアフターケアされてるって、ある意味怖いなこの「安産」スキル。
俺は思いきり脱力した。このスキル、発動する機会ってあるんだろうか。生計立てられるようなスキルじゃない。ヒモか? ヒモになって子供産みまくれって事なのか!
「あの、本当に素晴らしいスキルなのですよ?」
「俺にはそんなようには……。俺の元の世界では男が妊娠出産ってこと自体があり得ない世界なので」
「まぁ。それでは戸惑うばかりですね」
シスターさんまで困った顔。俺が一番泣きたいですけれど、一緒に困っても先に進みません。
「あの、貴方は本当に一部の種族からは神様のような方なのです。それはこの世界では確かな事ですよ」
静かな声でシスターさんが言ってくる。俺はそれをぼんやり聞いた。
「竜人族や魔人族、天人族は子が生まれずに困っています。このままでは一族が滅ぶかもしれないと本当に悩んでおります。貴方はこうした方達を救い、家族を与える事ができるのです」
ふと、ユーリスさんの顔が浮かんだ。竜人族の王子様で、子供ができないと血が絶えてしまうという彼はとても困っている様子だった。
トクトクと心臓が鳴る。それに戸惑ってしまう。
「あの、でも多くの種族って言われても。子供作るって事は、結婚しようって話にもなると思うし、そうなれば結婚相手の子供ばかり産むって事で」
「沢山の伴侶を持てばよいのですよ」
「……ん?」
沢山の伴侶とか申しましたか、この人?
「あの」
「伴侶が一人でなければならないなんてことはありません。複数の伴侶を持つ人なんて沢山いますよ。それに、伴侶を持たずにお金で求められるままに子を産む人もいます。そうした人はとても裕福ですよ」
「えっと……」
ダメだ、本格的に思考がついていかない。なにか? この世界は一夫多妻とか多夫一妻が認められているのか? 他にも通い婚とか内縁とか職業妻みたいなのもいるのか!
「安産スキルを持っている方の中には、求められるままに子を産んでお金をもらう人もいるそうです。大きな屋敷に住んで優雅に暮らしているそうですよ」
俺にはその倫理がついていけないです。
「もしもこうした職業を始める気がないのでしたら、このスキルのことは人に話さない方がいいですよ」
ヒソヒソとシスターさんが言う。それに、俺はもう何度目か分からないほどに首を傾げた。
「貴方のような高レベルのスキルの方は本当に見た事がありません。前述の人達もスキルがあるという程度で、レベル自体は低かったと記録されています。だから、絶滅危惧種族の方でも容易に子は授かれなかったようです。ですが、貴方はほぼ100%です。知られれば攫われて、いいようにされてしまう可能性も」
俺の全身から血の気が引けた。俺は自分を守るにはあまりに弱い。唯一縋るべきスキルが逆に俺を危険にするんだ。攫われたって抵抗できず、いいように嬲られて子をなんて……。
震えが走る。これ、俺にはタダの呪いだよ。
「信頼できる、子を産んでもいいと思えるような方だけに教えた方がいいですわ。できれば絶滅危惧種族の方がいいですよ。彼らは皆お金を持っていますから、子の一人でも成せば優しく養ってもらえます」
俺の震えに同情したのか、シスターさんは気遣わしげにそう言って俺の手を握ってくれた。
◆◇◆
教会からフラフラと出てくると、外でユーリスさんが待っていた。心配するような目をして近づいてきてくれたのだ。
「どうだった?」
黒い瞳を見る。優しくて強くて、穏やかな人。この人もまた、子供が出来ずに困っている人だ。
多分だけど、俺は今唯一この人の事は受け入れられる。あの夜の事を思い出しても嫌悪なんてない。だから時間をかけて慣れてしまえば平気。何より俺はこの人の事がけっこう好きだ。
それでも、違う恐怖がある。俺のスキルを知ったユーリスさんが、途端に俺をそういう風に見るかもしれないってこと。子を産める道具のように見られたらどうしよう。必死に懇願されて、産んでくれと頼まれて、そういう商売の人のように見られたら俺は辛い。
今が壊れてしまう。俺の価値がこのスキルのみになってしまったらどうしよう。そんなの、気持ちがついていかない。俺だって人間で、道具ではなくて、心があって、甘っちょろいから割り切れなくて。
「マコト?」
「……スキルも、なかったんだ。一生懸命調べてくれたんだけど、ダメで。なんかの間違いじゃないかって、何度か調べ直してももらって。それでも、ダメだったんだ」
隠そう。俺はそう決めた。俺はまだこの世界に馴染めていない。分からない事、怖いことが多すぎる。
俯いた俺の肩を優しく叩いたユーリスさんが、俺の顔を見て笑う。気遣わしい笑みだったけれど、労ってくれるようで安心する。
「そんなに落ち込む事はない。まずは宿に行って休もう。一度に沢山あったから疲れたんだ」
「はい」
ごめんなさい。俺は心の中で何度か謝った。お世話になっている人に恩を返す事ができる。この人の望むものを与えてあげられる。本来ならば温かくて喜ばしい事じゃないか、子供が出来て家族が増えるなんて。でも、意気地無しだから言えない。
俯いて歩く俺の頭を撫でながら、ユーリスさんは側にいてくれた。
王都一日目が静かに過ぎる。宿屋の一階で食事をして、お酒を飲んだ。それでも俺の気持ちは晴れやかじゃない。今後の事があまりに重くのしかかってくる。
俺のスキルは就職には適さない。しかも隠さなくちゃいけない。ユーリスさんはここまで連れてきてくれたけれど、これ以上は甘えられない。何より俺はこの人の側にいても役に立たない。足手まといになる。
「マコト、そんなに落ち込む事はない」
「でも……」
ここは贅沢なんて言っていられない。明日もう一度役所のお姉さんを訪ねて、住み込みで働ける場所を探そう。料理店の住み込みの話も前向きに検討しないと。
「マコト」
「あっ、はい?」
肩を叩かれて俺はユーリスさんを見た。何度か呼ばれていたのかもしれない。とても心配そうな顔をしていた。
「マコト、今後の話なんだが」
「あ……」
「もしよければ、もうしばらく俺と一緒に旅に出ないか?」
「え?」
でもそれは、ユーリスさんに利がない。俺なんか養って、気遣っての旅なんてしなくてもいいだろう。この人は強くて、基盤もちゃんとしてて、足手まといと一緒よりも一人の方が動けるのに。
「でも、俺」
「スキルやステータスが全てじゃない。何よりマコトは愛らしいし、自然と皆に好かれる雰囲気がある。数字が全てではないんだから、そんなに落ち込む事はない」
優しいな、本当に。こんなに優しくてイケメンなんて、ずるいな。しかも強くて王子様だ。
「実は、マコトが教会にいる間に冒険者ギルドに行ってきたんだが、いいクエストがなくてな。そこで、一度国に戻ろうかと思っているんだ」
「国って」
竜人の国。名前は確かジェームベルトだったっけ。ユーリスさんの故郷か。
「ここからだと徒歩で二十日ほどだ。国境を越えて隣の国だから」
「あの、それなら余計に俺なんて」
王都までは五日程度。それでも迷惑を掛けてしまったのに、次は二十日。俺の体力と足だともっとかかるんじゃないだろうか。心配になっていると、ユーリスさんは穏やかに笑った。
「今後の生活、迷ってるんだろ?」
「それは、そうですが」
「それなら、焦って決めない方がいい。マコトはまだ若いし、迷っても大丈夫だ。それに、俺としても助かる。マコトの料理は美味しいし、俺は家事能力がない。旅の間の料理なんかをしてもらえると助かる」
穏やかに笑って言うこの人はなんていい人なんだろう。あんまりいい人だから心配になる。それに俺も、甘えっぱなしでいいんだろうかと不安だ。
「それに、竜人の国では人族は需要がある」
「需要?」
「竜人族はあまり器用じゃないんだ。人族は器用な者が多いし、他を威圧しないから接客業にも定評がある。実際、宿屋や飲食店などでは多く働いている。ここで仕事を探すよりも、選択肢が多いんじゃないかと思ってな」
種族によって得意不得意があるんだな。それに、そういう事ならいいかもしれない。
俺は考えて考えて、結局ユーリスさんのお誘いに有り難く乗っかる事にした。
手を引かれて行くと、中は案外人が多い。神の像の前で祈り、そのままの足で椅子に座って雑談している人も多い。案外気軽な寄り合い所のような感じなのかもしれない。
連れられて奥へ行くと、個室がいくつも並ぶ場所がある。扉の前には明らかにシスターという出で立ちの女の人達がいて、ニコニコと訪れる人を招いていた。
「こんにちは! スキルのチェックですか?」
「え? あの」
「頼む。彼は異世界人でさっき住民登録を済ませたばかりなんだ」
「まぁ!」
まだ二十代っぽい女の人が驚いた顔をしている。そしてとてもにこやかに俺を部屋の中へと招いてくれた。
ここは俺一人らしく、ユーリスさんは外にいると言った。オドオドしながら中に入ると、薄明るい部屋に人の頭くらいありそうな水晶が一つ、その上に透明なガラス板のような物があった。
「まずはお掛け下さい。心配しなくても大丈夫ですよ。リラックスしてください」
「あっ、はい」
俺の緊張を見抜いたシスターさんは柔らかく笑っている。俺もそれに笑い返して、水晶の前にある椅子に腰を下ろした。
「まずはこの水晶に手を触れてください」
「えっと……こう?」
かざして下さいじゃなくて触れて下さいだ。俺は躊躇いながらも水晶の上に手を置いた。
「はい、それで大丈夫ですよ。まずは戦士スキルをチェックしますね」
俺の目の前に降りて来たガラス板の中を、もの凄い勢いで文字が通り過ぎていく。
剣士、魔法剣士、槍使い、弓使い、メイス、ペガサスナイト、ドラゴンスレイヤー、暗殺者、斧戦士…………。
「あれ?」
画面から全ての文字が消えていく。何も残らない。
「どうやら、戦士スキルはお持ちではないようですね」
「はははっ」
ですよね。だって、ステータスへっぽこ過ぎるし。
「次は魔道スキルを見てみます」
さっきと同じように文字が流れていく。
炎魔道士、水魔道士、風魔道士、土魔道士、光魔道士、闇魔道士、召喚師、支援魔道士…………。
「あ……」
やっぱり何も残らない。俺には戦う才能はないんだ。
「まだ大丈夫です! 冒険者でなくても手に職はつくんですよ。次は職業スキルを見てみましょう」
薬剤師、アイテム生成、獣使い、防具生成、武器生成、体内スキャン、導き…………。
「……」
以下同文である。
シスターさんは明らかにオロオロし始める。つまり俺って、もの凄く役立たずなわけだ。分かってる、元の世界でだって何の取り柄もない平凡な人間だった。全てにおいて真ん中辺りだ。分かっているさ、こんな結果。
畜生、涙が出る。
「あの、お気を落とさずに! まだ何か……何かありますから!」
「あの、平気です。スキルなくても地道に地味に生きていければ」
「そんな! あの、待って下さい。他にも……あ!」
シスターさんの目が僅かに輝く。そして腰を浮かせていた俺をもう一度座らせて、水晶に手を置くように促した。
「普段はあまり調べないのですが、特殊スキルの項目があるのです。それを試してみましょう!」
「特殊スキルって」
俺にそんな一発逆転なものってあると思うのか?
「特殊スキルは持っている事があまりに稀で、調べるだけ無駄って感じの項目です」
「そんなの俺には」
「異世界から渡ってこられた方に出現する可能性が高いですし、特化スキルですので他のスキルにまったく掠りもしなかった方が持っている可能性があります! 諦めてはいけません!」
お姉さん、これで結果同じだったら俺立ち直れないんだけどな。
とにかくやることになって、俺もこうなればと思って付き合う。手を乗せると、さっきとは違う光が俺を包んだ。金色の光が俺を包んで水晶の中に吸い込まれていく。ガラス板のモニターに、また文字が流れた。
変化、悪魔召喚、空間転移………………
数少ない文字が流れていくが、どれも引っかからない。諦めて溜息をついたが、最後の最後で何かが光った。
『スキル安産 Lv100』
「安産スキル?」
て、なに……。
俺はもの凄く疑問だ。ついでに悪い予感しかない。これ、女の人なら喜ばしいスキルなんじゃないのか? でも男の俺じゃ……この世界男も子供産めるんだ!
「素晴らしいですわ!」
シスターさんが歓喜の声を上げ、頬を紅潮させている。このテンションの落差に俺は驚き思わずガタンと椅子ごと下がった。
「スキル安産なんて初めて見ました! 貴方は多くの絶滅危惧種族の救世主になる方ですわ!」
「え? あの……」
「詳しく付属スキルを見てみましょう!」
お姉さんがガラス板に触れると、そこからズラズラ下に出てきた。どれも見慣れないものだ。
「あの、まず説明してください。この安産スキルって何ですか?」
「あぁ、そうですね」
興奮のあまり忘れていた。そんな様子でシスターさんは笑った。
「安産スキルはそのまま、妊娠出産に関わるスキルです。これを持っていると子を授かりづらい種族との間でも子を授かり安全に産む確率が上がるのです。どのくらい上がるかはレベルによりますが、貴方のレベルはMAXの100です」
それはつまり、考えたくないけれど?
「つまり、そういう事したら100%妊娠……」
「はい!」
喜ばしい顔をするシスターさんに言いたい。これ、そんなに素晴らしいスキルじゃない!
「付属スキルも見ますね」
「付属スキル?」
「安産スキルの中に多くのスキルがあるのです。それも大事なんですよ」
俺の目の前に映し出されているものがそれなのか。
受精、定着スキル Lv98
衝撃吸収スキル Lv99
拡張適応スキル Lv88
周期加速スキル Lv90
苦痛耐性スキル Lv85
自己治癒スキル Lv80
腹部伸縮スキル Lv90
なに、この怖い文字の羅列。なに、俺そんなに子沢山望んでないよ? しかも産む方でしょ? 俺死ぬよ!
「素晴らしい結果ですわね。本当に惚れ惚れします」
「あの」
「まずは説明しますわ」
俺の戸惑いや動揺や逃げは無視だ。置いて行かれてるんだけど、結構。
「受精、定着スキルはそのままです。薬を飲んで愛し合い、中に受けた場合98%の確率で受精し、着床します。つまり、ほぼ間違いなく子供を授かります」
うん、それについては俺も「そうだろうな~」とか思ったよ。目を逸らしただけだよ。
「衝撃吸収スキルは、子を授かった時に体に受ける外的な衝撃を吸収遮断する能力ですわ。転んだりしても流産しにくく、内側から蹴られても痛みを受けづらくなります」
「内側?」
それって、つまり?
「ほら、元気な赤ちゃんはお腹の中で蹴りますから。竜人や獣人の赤ん坊となるとその蹴りも威力があって、その衝撃に吐き気を起こすこともあります」
やっぱりそういうことか。てか、吐き気がするほど中から蹴り上げられるってどんな苦痛だよ!
「続いて拡張適応スキルですね。これはそのまま、愛し合う時に有効なスキルです。竜人族や獣人族はあそこが大きくて、交わるだけで苦痛を感じる事が多いのですが貴方は大丈夫! どんな大きなものも安全に受け入れられます。多少の苦痛はあるかもしれませんが、決して傷ついたりする事はありません」
いらないよそんなの! そんな凄いの受け入れる予定なよ!
「周期加速スキルは、お腹の中の赤ちゃんの成長に関するスキルです。貴方のお腹の中の赤ちゃんは本来の妊娠周期よりも早く健康に育ちます。また、一般の赤ちゃんよりも良い栄養状態で育ちますよ」
さっさと育ってさっさと産んでまた次って事なんじゃ……。
「これに関わってくるのが腹部伸縮スキルですね。加速的に赤ちゃんが成長するとお腹が急速に膨らみます。伸縮スキルがないと内側からの圧迫に皮膚や筋肉が耐えられずに裂けてしまう事もあります。このスキルがあれば急速に大きくなるお腹の張りも大丈夫! 程よい張りを保ってお腹を固定、安定させてくれますよ」
いや、加速スキルついてるのに伸縮スキルない人ってタダの地獄だよね! なに、内側から皮膚や筋肉引きちぎれるって! 怖すぎるから!
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そこまでアフターケアされてるって、ある意味怖いなこの「安産」スキル。
俺は思いきり脱力した。このスキル、発動する機会ってあるんだろうか。生計立てられるようなスキルじゃない。ヒモか? ヒモになって子供産みまくれって事なのか!
「あの、本当に素晴らしいスキルなのですよ?」
「俺にはそんなようには……。俺の元の世界では男が妊娠出産ってこと自体があり得ない世界なので」
「まぁ。それでは戸惑うばかりですね」
シスターさんまで困った顔。俺が一番泣きたいですけれど、一緒に困っても先に進みません。
「あの、貴方は本当に一部の種族からは神様のような方なのです。それはこの世界では確かな事ですよ」
静かな声でシスターさんが言ってくる。俺はそれをぼんやり聞いた。
「竜人族や魔人族、天人族は子が生まれずに困っています。このままでは一族が滅ぶかもしれないと本当に悩んでおります。貴方はこうした方達を救い、家族を与える事ができるのです」
ふと、ユーリスさんの顔が浮かんだ。竜人族の王子様で、子供ができないと血が絶えてしまうという彼はとても困っている様子だった。
トクトクと心臓が鳴る。それに戸惑ってしまう。
「あの、でも多くの種族って言われても。子供作るって事は、結婚しようって話にもなると思うし、そうなれば結婚相手の子供ばかり産むって事で」
「沢山の伴侶を持てばよいのですよ」
「……ん?」
沢山の伴侶とか申しましたか、この人?
「あの」
「伴侶が一人でなければならないなんてことはありません。複数の伴侶を持つ人なんて沢山いますよ。それに、伴侶を持たずにお金で求められるままに子を産む人もいます。そうした人はとても裕福ですよ」
「えっと……」
ダメだ、本格的に思考がついていかない。なにか? この世界は一夫多妻とか多夫一妻が認められているのか? 他にも通い婚とか内縁とか職業妻みたいなのもいるのか!
「安産スキルを持っている方の中には、求められるままに子を産んでお金をもらう人もいるそうです。大きな屋敷に住んで優雅に暮らしているそうですよ」
俺にはその倫理がついていけないです。
「もしもこうした職業を始める気がないのでしたら、このスキルのことは人に話さない方がいいですよ」
ヒソヒソとシスターさんが言う。それに、俺はもう何度目か分からないほどに首を傾げた。
「貴方のような高レベルのスキルの方は本当に見た事がありません。前述の人達もスキルがあるという程度で、レベル自体は低かったと記録されています。だから、絶滅危惧種族の方でも容易に子は授かれなかったようです。ですが、貴方はほぼ100%です。知られれば攫われて、いいようにされてしまう可能性も」
俺の全身から血の気が引けた。俺は自分を守るにはあまりに弱い。唯一縋るべきスキルが逆に俺を危険にするんだ。攫われたって抵抗できず、いいように嬲られて子をなんて……。
震えが走る。これ、俺にはタダの呪いだよ。
「信頼できる、子を産んでもいいと思えるような方だけに教えた方がいいですわ。できれば絶滅危惧種族の方がいいですよ。彼らは皆お金を持っていますから、子の一人でも成せば優しく養ってもらえます」
俺の震えに同情したのか、シスターさんは気遣わしげにそう言って俺の手を握ってくれた。
◆◇◆
教会からフラフラと出てくると、外でユーリスさんが待っていた。心配するような目をして近づいてきてくれたのだ。
「どうだった?」
黒い瞳を見る。優しくて強くて、穏やかな人。この人もまた、子供が出来ずに困っている人だ。
多分だけど、俺は今唯一この人の事は受け入れられる。あの夜の事を思い出しても嫌悪なんてない。だから時間をかけて慣れてしまえば平気。何より俺はこの人の事がけっこう好きだ。
それでも、違う恐怖がある。俺のスキルを知ったユーリスさんが、途端に俺をそういう風に見るかもしれないってこと。子を産める道具のように見られたらどうしよう。必死に懇願されて、産んでくれと頼まれて、そういう商売の人のように見られたら俺は辛い。
今が壊れてしまう。俺の価値がこのスキルのみになってしまったらどうしよう。そんなの、気持ちがついていかない。俺だって人間で、道具ではなくて、心があって、甘っちょろいから割り切れなくて。
「マコト?」
「……スキルも、なかったんだ。一生懸命調べてくれたんだけど、ダメで。なんかの間違いじゃないかって、何度か調べ直してももらって。それでも、ダメだったんだ」
隠そう。俺はそう決めた。俺はまだこの世界に馴染めていない。分からない事、怖いことが多すぎる。
俯いた俺の肩を優しく叩いたユーリスさんが、俺の顔を見て笑う。気遣わしい笑みだったけれど、労ってくれるようで安心する。
「そんなに落ち込む事はない。まずは宿に行って休もう。一度に沢山あったから疲れたんだ」
「はい」
ごめんなさい。俺は心の中で何度か謝った。お世話になっている人に恩を返す事ができる。この人の望むものを与えてあげられる。本来ならば温かくて喜ばしい事じゃないか、子供が出来て家族が増えるなんて。でも、意気地無しだから言えない。
俯いて歩く俺の頭を撫でながら、ユーリスさんは側にいてくれた。
王都一日目が静かに過ぎる。宿屋の一階で食事をして、お酒を飲んだ。それでも俺の気持ちは晴れやかじゃない。今後の事があまりに重くのしかかってくる。
俺のスキルは就職には適さない。しかも隠さなくちゃいけない。ユーリスさんはここまで連れてきてくれたけれど、これ以上は甘えられない。何より俺はこの人の側にいても役に立たない。足手まといになる。
「マコト、そんなに落ち込む事はない」
「でも……」
ここは贅沢なんて言っていられない。明日もう一度役所のお姉さんを訪ねて、住み込みで働ける場所を探そう。料理店の住み込みの話も前向きに検討しないと。
「マコト」
「あっ、はい?」
肩を叩かれて俺はユーリスさんを見た。何度か呼ばれていたのかもしれない。とても心配そうな顔をしていた。
「マコト、今後の話なんだが」
「あ……」
「もしよければ、もうしばらく俺と一緒に旅に出ないか?」
「え?」
でもそれは、ユーリスさんに利がない。俺なんか養って、気遣っての旅なんてしなくてもいいだろう。この人は強くて、基盤もちゃんとしてて、足手まといと一緒よりも一人の方が動けるのに。
「でも、俺」
「スキルやステータスが全てじゃない。何よりマコトは愛らしいし、自然と皆に好かれる雰囲気がある。数字が全てではないんだから、そんなに落ち込む事はない」
優しいな、本当に。こんなに優しくてイケメンなんて、ずるいな。しかも強くて王子様だ。
「実は、マコトが教会にいる間に冒険者ギルドに行ってきたんだが、いいクエストがなくてな。そこで、一度国に戻ろうかと思っているんだ」
「国って」
竜人の国。名前は確かジェームベルトだったっけ。ユーリスさんの故郷か。
「ここからだと徒歩で二十日ほどだ。国境を越えて隣の国だから」
「あの、それなら余計に俺なんて」
王都までは五日程度。それでも迷惑を掛けてしまったのに、次は二十日。俺の体力と足だともっとかかるんじゃないだろうか。心配になっていると、ユーリスさんは穏やかに笑った。
「今後の生活、迷ってるんだろ?」
「それは、そうですが」
「それなら、焦って決めない方がいい。マコトはまだ若いし、迷っても大丈夫だ。それに、俺としても助かる。マコトの料理は美味しいし、俺は家事能力がない。旅の間の料理なんかをしてもらえると助かる」
穏やかに笑って言うこの人はなんていい人なんだろう。あんまりいい人だから心配になる。それに俺も、甘えっぱなしでいいんだろうかと不安だ。
「それに、竜人の国では人族は需要がある」
「需要?」
「竜人族はあまり器用じゃないんだ。人族は器用な者が多いし、他を威圧しないから接客業にも定評がある。実際、宿屋や飲食店などでは多く働いている。ここで仕事を探すよりも、選択肢が多いんじゃないかと思ってな」
種族によって得意不得意があるんだな。それに、そういう事ならいいかもしれない。
俺は考えて考えて、結局ユーリスさんのお誘いに有り難く乗っかる事にした。
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2023/04/06 後日談追加
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
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明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
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