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不妊を責められ出て行けと言われたけどタネなしはそちらでしょ

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「エリーゼさん、あなたたちがもう結婚して3年になるのよ?子どもはどうなってるの!」

結婚してから毎年毎年、姑にこう言われてきた。子どもを作れ子どもを作れと暇さえあれば唾を飛ばしながら言われる。

「お義母様。ですが子どもは授かり物ですから…」

「ふん!毎回毎回そう言ってはぐらかすじゃないの。エリーゼさん。あんた、不妊なんじゃないのかい?」

「あら…お義母様。そんなこと言われたら私も傷付きますわ」

私はそう言って夫に目配せした。このくだらない追求をやめさせるため話題を変えろと目で訴える。
しかし夫のエーレンフリートはこう言った。

「そ、そうだぞ!お前は不妊なんじゃないか?いくら試してもこれまでダメだったんだからな」

「え…?あなた、なんてことを言うの?」

「お、お、お前が不妊だからいつまでも子が出来ないんだぞ!だ、だから、ほら、俺たちは離婚しようじゃないかっ!」

「ええ…?よろしいんですの?」

「え!?」

「わかりました。お義母様とあなたがそこまでおっしゃるのなら、私は出て行きますわ!」

夫は目の玉が飛び出しそうな勢いでびっくりしていた。

「え、そんな…エリーゼ?嘘だよな?」

「おほほほ!エリーゼさん、なかなか物分かりが良いじゃない。とっとと、荷物をまとめて出てお行き!」

「私ももう我慢の限界でした。それに私も子どもが欲しいので喜んで離婚に応じます!もうあなたが離婚すると言ったのを聞きましたからね。お義母様も出て行けとおっしゃいましたからね!取り消せませんよ!」

義母がちょっと訝しげな顔をした。

「どう言う意味です、エリーゼさん?」

「ああ、私は不妊ではありませんよ」

「え!?」

「不妊の原因はエーレンフリート様ですわ!」

「な、な、なんですって!?」

「ちゃんとお医者様に診ていただいたんです、私たち2人とも。そしたら私の体には問題ありませんでした」

「や、やめろ!エリーゼ言うな!」

「で、問題有りなのはエーレンフリート様の方でした。つまり彼は種無しなんですの」

「まぁ!なんてはしたないことを言うの!もう顔も見たくないわ。出て行きなさい!」

「ありがとうございます…お二人ともお元気で!」

私は荷物をまとめてとっとと辛気臭い家を出た。
せいせいしたわ…!

そしてその後出会った新しい夫と子宝に恵まれ、今では3児の母となった。



END
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