ユメ。売買

淡宵

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??・Ⅲ

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 どれくらいだっただろうか。まだぼやけている視界で辺りを見渡す。
「なんなの。ここ。」
私の目に入ったのはヨーロッパに近い街並み。ただ、目が眩むほどの鮮やかな色。他の色を一切受け付けないような黒など様々な色。これらが建物だけでなく人や木々まで染め上げている。おそらく、ここは現実世界ではないのだろうとすぐに理解したのはこの色が原因なのか。いずれにせよ帰る道を探さないと。
「やぁやぁ!やっと見つけたよ。かなり探したのだからね?ほら!」
いきなり何だ。この人は。私を見つけるなり駆け寄ってきたこの人はいきなり私の手首を掴んで歩き始めた。
「え。あの、ちょっと、」
「ほらほら!早くしないと呑まれるよ」
呑まれる?一体何に?しばらくすると1軒の家のような、お店のような建物に着いた。不思議な人は私を部屋に入れるなり
「やっぱり。キミ危なかったね!いやぁ良かった良かった。」
などと言い始めた。
「あの。さっきから何ですか。呑まれるとか。危ないとか。」
そもそもここはなんなのか。この人はなんなのか。
「うーん。そうだねぇ。ここの人たちからしたら、キミはご馳走だったのかもねぇ。」
着ていたコートをラックにかけながら言った。
「ここはなんですか」
「不思議の国だと思ってくれてかまわないよ。むしろその方がいいんじゃないかな?下手に説明するよりも」
本当はめんどくさいだけなのでは無いかと思うが、確かに、不思議なところだということには違いない。
「あなたは一体?あなたからしても私はご馳走ですか」
少し困った目をしているのが目元だけの仮面越しにつたわってくる。
「私はここの店主さ。少し変わった商売でね。キミも一応、客として連れてきたんだけど。」
「少し変わった商売?」
「あぁ。僕はね。ユメ売買人をしているんだ。この世界はユメを持っていない人しかいない。その人たちのために他の世界から客を連れてきてユメを買う。そしてそれをこの世界の人に売るのさ。もちろん、キミみたいな他の国の人にユメを売ることもあるけれど。」
ユメ売買人。そう名乗る彼はひと呼吸置いたあと私に訪ねた。
「ねぇ。工藤 泉くん。ユメ。僕に売ってくれないかい??」
急に変なことを聞いてくるこの人に、私は少しだけ、
ほんの少しだけ、周りの大人とは違うかもしれないという期待をしてしまった。それは多分。月明かりに照らされているこの人がとても美しく思えたからだろうか。
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