ユメ。売買

淡宵

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??・Ⅶ

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 以前来た時の出来事、ユメナシに襲われた時のことを先程よりも鮮明に思い出した。
人間というものは身の危険を感じると判断力が低下するらしい。現に、私はあの店を飛び出した。まだ来て数回のこの場所に行く先などないのに。
周りにはユメナシが大勢いる。せめて、建物の中に入れれば。しばらく走った先に周りの建物とは違う、ごく普通の馴染み深い家があった。
「誰かいませんか。」
ノックをしても声はかえってこない。少しだけ、少しだけだから。幸い鍵はかかってなく、中はごく普通のインテリア。この世界にもまともな人はいるのか。
「ナー」
ふと、頭の上から声がした。
「ナー」
見上げるとそこには猫のような生き物。
言葉が通じるかはわからないけど、一応
「ごめんね。少しだけ置いてくれるかな」
「ナァ」
良い。ということでいいだろうか。
「ねぇ猫さん。猫さんも変か。猫か分からないし。えっとじゃあ、ごめんね今だけ君は”もち”になって」
「ナァ」
良い。だよねこれ。
「もち、君の主はどんな人?私がいても怒らないかな。」
「ナォ」
ダメ。なのかな
「ここって法律とかあるのかな、」
「ないよ。今のところはね」
真横から声がした。今聞こえるはずのない声。
居場所なんてわかりもしないのに。あの売買人が隣にいた。いつから。どうしてここが。わからない。
「んふふ。また興味深い顔をしているね。好きだよそんな感じの顔。楽しいからね」
「なんでわかったの」
「いや、ここ私の家だし。良かったねぇ。呑まれることなく生きていられて。でも…不法侵入は…ね。」
まさかこの人の家なんて、知らなかったし知りたくもなかった。何されるか分からない。まだ素性も知らないのに。
「安心してくれ。何も悪いことはしないさ。さ、店に戻ろう。話はそこで」
とだけ言うとそそくさと玄関へと歩き始めた。仮面のせいで目が見えない、マントのせいで姿勢もよく分からない、口調のせいで感情が読み取りにくい。ただ、絶対怒っていることだけはわかる。文の読み取りが苦手な私は、その分相手を見ることで生きてきた。声を聞き、顔を見て、態度を見て。
「あの、ごめんなさい」
売買人は足を止めた。沈黙が流れる。風の音も呼吸の音も何も無い。無の時間。
「いや、いいんだ。怒ってるわけじゃない。少しも」
嘘だ。
「嘘じゃないよ。本当さ。早く戻ろういく僕の力で記憶をいじれたとしてもそれほど長く持つわけじゃない。あまりいじりすぎると君に支障が出る。」
それは困る。ただでさえ浮いてるのにこれ以上頭のおかしい子だとは思われたくない。しかたなく売買人について行くことにした。
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