私の色を決めないで

黒鐘夜奈

文字の大きさ
上 下
8 / 33
一章 私は子供

7,私が死んだ理由

しおりを挟む
 あれから私がしばらく放心していると、セイが私の方を向いて頭?を下げてきた。
 「ユカリナさん・・・いえ、ユカリナ様!この度は、誠に申し訳ございませんでした!」
 そうしていきなり謝られたことにより現実へと引き戻された私は、セイの様子に目を見開いて驚いた。
 (え?急にどうしたの?)
 私はそう脳内で聞きながら、(あ・・・これは面倒な事に巻き込まれたやつだな)と直感していた。
 その考えに気づいているのかは分からないが、物凄く緊張した面持ちでセイは語り始めた。
 
 ─それは、前世で私が死ぬ前のお話─
 
 私を刺した女の子・・・美月には、地球の美の女神が気まぐれを起こしたために美の加護が与えられていたらしい。その気まぐれを起こした女神は、美しすぎる彼女が恋人を作ることを心底嫌ったそうだ。
 そして、彼女が好いてきた男達は(理由は様々だが)全員美月と別れることになった。
 その事を見ていた愛の女神は、美の女神にこんなことはやめるようにと告げたらしい。もともとあまり仲の良くなかった美の女神と愛の女神はその事で喧嘩を始めてしまった。終いには、愛の女神もある男に加護を与え、美の女神と競い始めた。
 そのある男というのが、私の前世の彼氏である。幸か不幸か美月とその男は既に出会っていた。その事を利用して、二柱の神はルールを設け賭けをした。美月が男を落としたら美の女神の勝ち。男が美月以外に真に愛する人を見つけて結ばれたら愛の女神の勝ち。
 そんなルールで始められた賭けは、最初は美の女神が優勢で、男と美月は付き合い始めた。(とは言っても、美月の強烈なアタックに面倒になった男が適当に返事をしてしまったためであるが・・・。)そんな中、途中で男と私が出会ってしまい、男の方が私に惚れ、交際を申し込んできた。近々男が美月と別れることにしたというのを聞くやいなや、美の女神は美月を使い男を殺して無理やりものにすることにした。
 そのことに気づいた愛の女神も男の命を助けようとしたところ・・・私が巻き込まれて代わりに私が死んでしまったらしい。
 その事をずっと見守っていた地球の世界神様が、私を哀れんでお詫びも込めて転生させてくれたらしい。
 (あの時聞こえた『ごめんね』ってもしかして・・・。)
 私はこっそりと地球の世界神様に向かって感謝を述べた。
 そしたら私の頭の中で誰かが返事を返してくれた・・・ような気がする。
 (さて、私が死んだ理由はだいたい分かったけど・・・何でこの世界にしたのか、絶対他にも面倒な事に巻き込まれたよね?じゃなきゃ最初にセイが謝る意味は無い。)
 私が黒い笑顔をセイに向けると、ヒッと少し声を上げて震えてた。
しおりを挟む

処理中です...