私の色を決めないで

黒鐘夜奈

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一章 私は子供

8,セイのお願い

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 一気に喋ったせいかは分からないが、セイはポンッと紅茶の入ったカップを私と自身の前に出し、喉を潤していた。私は、まだカップを持つことが出来なかったためストローが刺さっており、そこから紅茶を飲んだ。
 セイは一呼吸置き、落ち着いたのかまた話し始めた。
 「実は、ユカリナ様にはあることをお願いしたくて・・・。」
 (あること?何?)
 私が真剣な顔で尋ねると、セイは私を真っ直ぐ見てこう言った。
 「貴女に、邪神を倒してきて欲しいのです。」
 「あいはい?」
 私は突然の事で何を言われているのか分からなかった。
 (は?邪神?魔王じゃなくって?てかそもそも私にそんな力は無いんだが・・・まだ0歳の赤ちゃんだよ?)
 私が自分にはそんな力はないと考えていると、セイが私の疑問に答えてくれた。
 「力でしたら大丈夫ですよ。貴女には地球の世界神と私の加護がついてます。転生する時に色々と弄りましたから地上で貴女に勝てる生物はいません。それに、今倒しに行けと言っているのではありません。邪神が復活するのが6年後ですから、それに間に合えばいいのです。」
 その事を聞いてまた私はえ?という顔になった。
 (地球の世界神と異世界の世界神の加護・・・地上で私に勝てる生物がいないって、それもうチートってやつでは・・・。それに、6年後でも私は6歳の幼女なんですけど。)
 頭でそんなことを考えて、諦め半分私はふとまだ聞いてないことを聞いてみた。
 (それで?何で私が邪神を倒さないといけないの?私に頼むよりセイがやれば早いでしょ。世界神なんだし。)
 そう私が聞くと、セイは悔しそうな?表情を浮かべてこう言った。
 「残念ですが、それは無理なのです。私は地上に直接干渉は出来ません。もう既に地上に降りて復活の時を待っている邪神をほふることは出来ないのです。」
 (へー、神様も大変なんだね。じゃあさ、私がやらなきゃいけない理由を教えてくれるかな?それだったら私じゃなくても他の人に加護でも何でも与えてやらせればいいじゃない。)
 すると、セイは首を横に振ってそれは無理だと言った。
 「私が加護を与えることが出来ても、それでは足りないのです。弱すぎるのです。ですが、貴女は私の加護だけではなく地球の世界神の加護もを与えられた特別な方なのです。地球からはたくさんの魂が転生してきますが、世界神の加護を与えられた魂がこちらに来るのはとても珍しい事なのです。ですから、この期を逃すと邪神を倒すことが出来なくなるのです。」
 私はセイの話を聞いて一応は納得した。

 (邪神ねぇ。どうしようかな?)
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