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第九話
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「そんなことが…陰陽省も大変だな」
史郎が気の毒そうにそう呟いた。
数日後。
ようやく休みをとることが出来た晴明は先日起こった肝試しの話を史郎にしていた。
午後三時。おやつの時間である。
縁側で晴明と史郎は話をしていた。天気は快晴。心地良い日差しが二人にふり注いでいる。
料理人の一人である香が作ったわらび餅を史郎と晴明は緑茶を啜りながら食べていた。
「今は警視庁のおかげで騒ぎはストップしてるけど、多分続くと思う…だから…」
「そう暗い顔すんな。俺は平気だ。…まぁ、寂しくないと言えば嘘になるけどな」
晴明が言葉を言い終える前に、遮るように史郎が言った。
本音を言えば彼が言った通りに寂しい気持ちはある。
仕事よりも自分との時間を大切にしてほしいという気持ちはある。
でも、史郎の妻にはやらなければならない使命がある。
彼女にしか出来ないことがたくさんある。
それを邪魔するつもりはない。
男としても、ぬらりひょんとしても、彼はそう思っていた。
「晴明。俺のことは気にせずお前は仕事に専念しろ」
「…うん。わかった。ありがとう」
史郎の優しさに晴明は救われていた。
本来なら文句を言ってもいいはずのことなのだ。
晴明は妻として、史郎に何もしてあげることが出来ていない。
忙しさが妻としての務めというべきものを妨げてしまっている。
だが史郎は文句すら言わない。
それどころか理解を示そうと努力をしてくれている。
夫として理想とも言うべき姿であった。
「だけど忙しくなるって言うなら今日くらい充電させてもらうか」
「へ?」
「ほら、こっち来いよ」
そう言って史郎が指差したのは彼の膝の上。
晴明は言っていることの意味が分かり、頬を林檎のように赤らめた。
彼女はあくまでも弟分のように史郎のことを思ってはいるが、妻としての自覚はある。
夫婦がするような行為は、自覚がある分彼女には恥ずかしさがあった。
けれど晴明は妻である。ここで逃げ出すわけにはいくまい。
女は度胸、と思いながら彼女はすっぽりとはまるように史郎の膝の上に座った。
体格差がある分、史郎が包み込めば晴明の姿は見えなくなる。
彼女が来るなり当たり前のように史郎は晴明のことを抱きしめる。
晴明の心拍数も上がっていたが、同じくらい史郎の心拍数も上がっていた。
丁度、史郎の胸元あたりに晴明の頭がくっついているのだ。
だからこそわかることであった。
(私だけが緊張してるわけじゃないんだなぁ…)
晴明はなんだかそのことが嬉しく思い、しばしば彼の胸元に身体を預けた。
日の温かさが新米夫婦を優しく包み込んでいた。
事の起こりは、晴明が事務仕事に励んでいたときのことであった。
「課長。申し訳ございません、緊急事態につき失礼してもよろしいでしょうか?」
まだだらしなくスーツを脱ぎ捨てている時ではなかった為、晴明は部下をすぐに自室へ通した。
補佐をしている咲が扉を開ける。
部下が一礼して入ってきた。
「例の掲示板がまた復活しており、そこの書き込みの場所へ行った人物たちが居たそうです。それで…」
「私の部下が巻き込まれたのか」
「はい。力不足で申し訳ございません」
「いい。君の責任じゃない。いつかはこうなっていた。場所を教えてくれ」
「はい。西区にある赤池でございます」
「赤池…無理もないな。陰陽師もあそこは巻き込まれる」
赤池とは名の通り池である。
ただし、陰陽省が立ち入り禁止区域に指定している為かなり危険な場所だ。
その昔。家族を失い、赤池という池で命を絶った女性の霊が居る場所だった。
地縛霊である為に祓うということも難しく、晴明が陰陽省に入るまで陰陽師すら手がつけられていない場所であった。
ただ家族を失ったわけではない。殺されてしまったのだ。
女性の霊の怨念はとても強く、陰陽省に居る陰陽師では太刀打ち出来ないというのが今までの話だった。
だが今は安倍晴明が居る。あの、平安を代表する陰陽師だ。
「すぐに向かう。咲もついて来てくれ」
「言われずともお供いたします、晴明様」
二人の美女は、必要なものを持って課長室を後にした。
緊急事態につき、場所が分かっているため式神で移動することになった。
晴明と咲の二人は龍に跨り空を駆ける。
天気は曇り。まるで今の状況を写し出しているかのようだった。
雲の隙間を抜い、西区へ向かう。やがて問題の赤池に到着した。
龍の式神は護身も兼ねている為に出したままにする。
「悪霊の気配が凄いな…よくもまぁ、ここに肝試しに来たもんだ」
「左様でございますね」
「咲、太刀を」
「どうぞ」
「ありがとう」
慣れた手つきで咲から晴明は太刀を受け取ると、抜刀し刃を見せた。
「さて、まずは除霊作業からやらなきゃダメみたいだな」
正眼の位置に太刀を構える。
そして襲いかかってくる悪霊を容赦なく斬りつけていった。
鬼の腕すら斬ったと言われるあの『髭切』で悪霊を斬りつけているので、きちんと彼らは成仏をしていっている。
行き場所が天国か地獄かは、生前と悪霊になってからの行いによるだろう。
生者に襲いかかってくる悪霊をひとまず晴明は片付けた。
かなりの数が居たので咲にも特殊な刀を握らせて手伝ってもらっていた。
ひとまずの危険は去った。
あとは、巻き込まれた陰陽師の救出とこの池の完全なる浄化のみだ。
肝試しを行った連中は、陰陽師が巻き込まれる代わりに無事だったらしい。
今は陰陽省にて事情聴取を受けている。
「五行が術の一つ、水行の理」
右手で人差し指と中指を真っ直ぐに伸ばし、晴明はそう唱えた。
刀を持ったまま、池の水へと真っしぐら。
咲はそれを止めようとしない。このままでは今の池の主である女の地縛霊に引っ張られるだろう。
──だがそうはならなかった。
池の水は全て空中に吐き出され、巻き込まれた陰陽師が見つかる。
巻き込まれた陰陽師は男二人だった。
ゲホゲホと地面にそっと下ろされた二人は咳き込みながら空気を吸い込んだ。
右手の指の形を保ったまま晴明は池に水を一気に戻す。
彼女は視線だけ部下たちに向けて無事かどうかを観察した。見た限り、無事なようだ。
視線を元に戻すと池の水の中心に一人の女が立っていた。
まるでそこが女にとっての地面かというかのように。
晴明は再び刀を構える。
「ウチの部下が世話になったな」
「私の霊力をよくも簡単に上回ってくれたわね」
長髪の黒髪の女は怒りに震えていた。
家族を殺された痛みを晴明は知らない。だから、女の気持ちを知ることは出来ない。
だが、友を殺される気持ちなら理解できる。あの喪失に似ているのなら理解できる。
平安時代、安倍晴明は半妖であるが故に長生きであった。
当時、あやかしはよくない者とされ討伐されることが多かった。
それ故に友を殺されるということはよくある話であったのだ。
だから晴明は知っている。友を殺されるという気持ちを。
「貴女はもうここを去るべきだ。潮時が来たんだよ」
だが、それを晴明は言葉にはしない。
家族と友。晴明にとっては同じくらい大切なものであるが、彼女にとっては違うものかもしれない。
もっともっと家族とは大切でかけがえの無いものだったのかもしれない。
だから、口にはしない。軽々しく言うべき言葉ではないはずだからだ。
「それを、あんたが決めることではないわ…!」
怨念の塊が、晴明を襲いかかろうとする。
黒いもやのようなものが幾つも彼女に襲いかかろうとしていた。
晴明はそれを視界に入れるが特に反撃しようとはしなかった。
否。何もしようとしなかった。
「晴明様!」
思わず咲が口に出して叫ぶが、晴明は余裕を持った笑みで咲の方を向いて笑った。
黒いもやは何かに弾かれるようにしてその効力を持つことはなかった。
全てが無に返される。
晴明は軽く助走をつけて、女の方へと向かい刃を向ける。
「う、そ…。」
「だから言ったでしょ。私が来たんだからもう、潮時なんだよ」
女は攻撃が効かない晴明に呆然としたまま立ち尽くし、そのまま晴明の刃を受け入れてしまった。
女は晴明の霊力と髭切の効力により成仏した。
赤池は女が成仏したことにより浄化され、事態は一件落着となった。
史郎が気の毒そうにそう呟いた。
数日後。
ようやく休みをとることが出来た晴明は先日起こった肝試しの話を史郎にしていた。
午後三時。おやつの時間である。
縁側で晴明と史郎は話をしていた。天気は快晴。心地良い日差しが二人にふり注いでいる。
料理人の一人である香が作ったわらび餅を史郎と晴明は緑茶を啜りながら食べていた。
「今は警視庁のおかげで騒ぎはストップしてるけど、多分続くと思う…だから…」
「そう暗い顔すんな。俺は平気だ。…まぁ、寂しくないと言えば嘘になるけどな」
晴明が言葉を言い終える前に、遮るように史郎が言った。
本音を言えば彼が言った通りに寂しい気持ちはある。
仕事よりも自分との時間を大切にしてほしいという気持ちはある。
でも、史郎の妻にはやらなければならない使命がある。
彼女にしか出来ないことがたくさんある。
それを邪魔するつもりはない。
男としても、ぬらりひょんとしても、彼はそう思っていた。
「晴明。俺のことは気にせずお前は仕事に専念しろ」
「…うん。わかった。ありがとう」
史郎の優しさに晴明は救われていた。
本来なら文句を言ってもいいはずのことなのだ。
晴明は妻として、史郎に何もしてあげることが出来ていない。
忙しさが妻としての務めというべきものを妨げてしまっている。
だが史郎は文句すら言わない。
それどころか理解を示そうと努力をしてくれている。
夫として理想とも言うべき姿であった。
「だけど忙しくなるって言うなら今日くらい充電させてもらうか」
「へ?」
「ほら、こっち来いよ」
そう言って史郎が指差したのは彼の膝の上。
晴明は言っていることの意味が分かり、頬を林檎のように赤らめた。
彼女はあくまでも弟分のように史郎のことを思ってはいるが、妻としての自覚はある。
夫婦がするような行為は、自覚がある分彼女には恥ずかしさがあった。
けれど晴明は妻である。ここで逃げ出すわけにはいくまい。
女は度胸、と思いながら彼女はすっぽりとはまるように史郎の膝の上に座った。
体格差がある分、史郎が包み込めば晴明の姿は見えなくなる。
彼女が来るなり当たり前のように史郎は晴明のことを抱きしめる。
晴明の心拍数も上がっていたが、同じくらい史郎の心拍数も上がっていた。
丁度、史郎の胸元あたりに晴明の頭がくっついているのだ。
だからこそわかることであった。
(私だけが緊張してるわけじゃないんだなぁ…)
晴明はなんだかそのことが嬉しく思い、しばしば彼の胸元に身体を預けた。
日の温かさが新米夫婦を優しく包み込んでいた。
事の起こりは、晴明が事務仕事に励んでいたときのことであった。
「課長。申し訳ございません、緊急事態につき失礼してもよろしいでしょうか?」
まだだらしなくスーツを脱ぎ捨てている時ではなかった為、晴明は部下をすぐに自室へ通した。
補佐をしている咲が扉を開ける。
部下が一礼して入ってきた。
「例の掲示板がまた復活しており、そこの書き込みの場所へ行った人物たちが居たそうです。それで…」
「私の部下が巻き込まれたのか」
「はい。力不足で申し訳ございません」
「いい。君の責任じゃない。いつかはこうなっていた。場所を教えてくれ」
「はい。西区にある赤池でございます」
「赤池…無理もないな。陰陽師もあそこは巻き込まれる」
赤池とは名の通り池である。
ただし、陰陽省が立ち入り禁止区域に指定している為かなり危険な場所だ。
その昔。家族を失い、赤池という池で命を絶った女性の霊が居る場所だった。
地縛霊である為に祓うということも難しく、晴明が陰陽省に入るまで陰陽師すら手がつけられていない場所であった。
ただ家族を失ったわけではない。殺されてしまったのだ。
女性の霊の怨念はとても強く、陰陽省に居る陰陽師では太刀打ち出来ないというのが今までの話だった。
だが今は安倍晴明が居る。あの、平安を代表する陰陽師だ。
「すぐに向かう。咲もついて来てくれ」
「言われずともお供いたします、晴明様」
二人の美女は、必要なものを持って課長室を後にした。
緊急事態につき、場所が分かっているため式神で移動することになった。
晴明と咲の二人は龍に跨り空を駆ける。
天気は曇り。まるで今の状況を写し出しているかのようだった。
雲の隙間を抜い、西区へ向かう。やがて問題の赤池に到着した。
龍の式神は護身も兼ねている為に出したままにする。
「悪霊の気配が凄いな…よくもまぁ、ここに肝試しに来たもんだ」
「左様でございますね」
「咲、太刀を」
「どうぞ」
「ありがとう」
慣れた手つきで咲から晴明は太刀を受け取ると、抜刀し刃を見せた。
「さて、まずは除霊作業からやらなきゃダメみたいだな」
正眼の位置に太刀を構える。
そして襲いかかってくる悪霊を容赦なく斬りつけていった。
鬼の腕すら斬ったと言われるあの『髭切』で悪霊を斬りつけているので、きちんと彼らは成仏をしていっている。
行き場所が天国か地獄かは、生前と悪霊になってからの行いによるだろう。
生者に襲いかかってくる悪霊をひとまず晴明は片付けた。
かなりの数が居たので咲にも特殊な刀を握らせて手伝ってもらっていた。
ひとまずの危険は去った。
あとは、巻き込まれた陰陽師の救出とこの池の完全なる浄化のみだ。
肝試しを行った連中は、陰陽師が巻き込まれる代わりに無事だったらしい。
今は陰陽省にて事情聴取を受けている。
「五行が術の一つ、水行の理」
右手で人差し指と中指を真っ直ぐに伸ばし、晴明はそう唱えた。
刀を持ったまま、池の水へと真っしぐら。
咲はそれを止めようとしない。このままでは今の池の主である女の地縛霊に引っ張られるだろう。
──だがそうはならなかった。
池の水は全て空中に吐き出され、巻き込まれた陰陽師が見つかる。
巻き込まれた陰陽師は男二人だった。
ゲホゲホと地面にそっと下ろされた二人は咳き込みながら空気を吸い込んだ。
右手の指の形を保ったまま晴明は池に水を一気に戻す。
彼女は視線だけ部下たちに向けて無事かどうかを観察した。見た限り、無事なようだ。
視線を元に戻すと池の水の中心に一人の女が立っていた。
まるでそこが女にとっての地面かというかのように。
晴明は再び刀を構える。
「ウチの部下が世話になったな」
「私の霊力をよくも簡単に上回ってくれたわね」
長髪の黒髪の女は怒りに震えていた。
家族を殺された痛みを晴明は知らない。だから、女の気持ちを知ることは出来ない。
だが、友を殺される気持ちなら理解できる。あの喪失に似ているのなら理解できる。
平安時代、安倍晴明は半妖であるが故に長生きであった。
当時、あやかしはよくない者とされ討伐されることが多かった。
それ故に友を殺されるということはよくある話であったのだ。
だから晴明は知っている。友を殺されるという気持ちを。
「貴女はもうここを去るべきだ。潮時が来たんだよ」
だが、それを晴明は言葉にはしない。
家族と友。晴明にとっては同じくらい大切なものであるが、彼女にとっては違うものかもしれない。
もっともっと家族とは大切でかけがえの無いものだったのかもしれない。
だから、口にはしない。軽々しく言うべき言葉ではないはずだからだ。
「それを、あんたが決めることではないわ…!」
怨念の塊が、晴明を襲いかかろうとする。
黒いもやのようなものが幾つも彼女に襲いかかろうとしていた。
晴明はそれを視界に入れるが特に反撃しようとはしなかった。
否。何もしようとしなかった。
「晴明様!」
思わず咲が口に出して叫ぶが、晴明は余裕を持った笑みで咲の方を向いて笑った。
黒いもやは何かに弾かれるようにしてその効力を持つことはなかった。
全てが無に返される。
晴明は軽く助走をつけて、女の方へと向かい刃を向ける。
「う、そ…。」
「だから言ったでしょ。私が来たんだからもう、潮時なんだよ」
女は攻撃が効かない晴明に呆然としたまま立ち尽くし、そのまま晴明の刃を受け入れてしまった。
女は晴明の霊力と髭切の効力により成仏した。
赤池は女が成仏したことにより浄化され、事態は一件落着となった。
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