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第十四話
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「課長!問題発生です!」
晴明と史郎が花火を眺めていると、晴明の部下が息を切らしてやってきた。
肩が上下に動いている。相当急いで来たことが伺い知れた。
「何が起こった」
「人間とあやかしの暴動が起こっております。私たちだけではとても太刀打ちできません!」
「分かった。私も行こう」
陰陽省・総務課の課長の顔に変わっていた。
幸せそうだった顔は厳しい顔つきにへと変わっている。
その切り替えの早さに驚いた史郎であったが、これが安倍晴明という女だったと思った。
「俺も行こう。総大将として見過ごせねぇ」
「史郎。ありがとう」
式神を晴明は出すと、史郎と共に龍に乗った。
晴明は空から祭りの様子を見る。
祭りは賑わっているようだ。
それはとても喜ばしいことだが、一部おかしい風景が晴明と史郎の目に入った。
人間とあやかしが殴り合いをしているのだ。
それを必死に止めている陰陽師たち。どんどんヒートアップしていく暴動。
冷静に暴動を見つめて分析した晴明は、龍から飛び降りて史郎に式神を任せた。
少し心配そうに史郎はその姿を見つめていた。
「やってやる!」
「おう!こっちもやってやるよ!!」
「何をやろうとしているんですか」
人間とあやかしとの熱いバトルを繰り広げようとしている中、冷たい声が響いた。
やたらとはっきりした声で、美しい声だった。
喧嘩をしている連中はその声で熱がさぁっと引いた。
その場の支配権を声だけで掌握することができるほどの絶対的な声だった。
「誰だ…お前は!」
「私の顔も知らないとは、今のあやかしは若い者ばかりだな」
感情のこもっていない声。それは史郎の耳にも聞こえた。
史郎にとってその声は恐ろしい声だった。
いつもの穏やかな性格からは想像することが出来ない声だった。
「陰陽師、安倍晴明と言えばさすがにわかるか」
凛とした佇まいでかの有名な陰陽師はそこにいた。
「安倍晴明…?まさかあの安倍晴明か?」
「そうだと言っている。私は陰陽省総務課課長も務めている。このような騒ぎを起こされると困るのは私ではなく、君たちだぞ。具体的に言うと、捕まる」
「なんでだよ!俺たちは何もしていない!」
「あやかしとの争いは立派な犯罪だ。教科書で習わなかったのか?それと、この祭りそのものが諍いは禁止だ。破ったものは即刑務所だぞ。」
あくまでも冷静に話をする晴明。
そこには私情が挟まることはない。あくまでも中立的な立場として陰陽師は告げる。
「これ以上、私の警告を無視するなら逮捕する」
晴明は特殊な手錠を手に持っていた。
あらゆる術を使えなくするものだった。
平安時代から存在しているもので作ったのは晴明本人である。
あやかしと人間の境目が現代よりも曖昧だった頃に作ったものだ。
人間であろうとあやかしであろうと分け隔てなく術を使えなくする禁忌に近いもの。
それを晴明は陰陽寮に入る前に作っていた。
手錠の存在感があまりにも強すぎて、喧嘩をしていた人間とあやかしは恐れを抱いた。
「そんな呪物、よく持っていられるな」
喧嘩をしていたあやかしたちがそう言う。呪物とは手錠のことである。
冷ややかな視線のまま晴明はその言葉に返した。
「私の作ったものだ。怖いことなどない」
「なっ……」
言葉を失うあやかしたち。
禁忌に近いことを平気でやってのける精神と術の精密さに安倍晴明という陰陽師に畏れを抱いた。
「話は陰陽省で聞かせてもらおう。連れて行け」
安倍晴明という名前と持ち前の威厳だけで喧嘩を終わらせた。
間違いなく彼女は最強の陰陽師だ。
史郎はその誰にも寄せつけない強さに寂しさを覚えていた。
そんな彼の様子を不思議そうな表情で晴明は見ている。
「史郎。どうかしたの?」
先ほどの雰囲気とは打って変わって女性らしい仕草で尋ねてくる。
史郎は周りの目を気にして晴明を抱きしめたくなる衝動を抑えた。
「まだ祭りを回るか?」
「うーん。回りたいところだけれど……もう花火も終わっちゃったしなぁ」
「疲れてるなら帰ろうぜ」
「そうだね。帰ろうか」
素直に史郎の言うことをきく晴明。
彼女自身も疲れていたらしい。ほんの少し、晴明が顔が疲れている時の表情になっていることに史郎は気がついた。
あまりその表情を見ることはなかったので彼は少し驚いた。
「珍しいな。俺の言うこときくの」
「そうかな。最近、ずっと忙しかったしねぇ」
他人事のように晴明はそう言う。
平気そうでいる晴明の精神が史郎を心配させた。
「おかえりなさいませ。早かったですね。何かありましたか?」
家で待機していた咲が帰ってきた晴明たちを見てそう言った。
史郎が苦笑いで答える。
「デートの邪魔はされたな」
「何があったのです?」
晴明がかいつまんで咲に話した。
みるみるうちに咲の美しい顔が鬼の形相に変わっていく。
晴明はその表情を見て咲は妖狐ではなく鬼だったのかと思うほどだった。
「私は双方に呆れています」
双方とは先ほど暴れていたあやかしと人間のことだ。
咲は妖狐の中でも強い方だが、争いは好まない性格だ。むしろ嫌っている。
そのことは晴明も史郎も知っていた。
「何故いつの時代もあやかしと人間は争うのでしょうか」
咲は憎々しげにそう言った。
晴明と史郎が花火を眺めていると、晴明の部下が息を切らしてやってきた。
肩が上下に動いている。相当急いで来たことが伺い知れた。
「何が起こった」
「人間とあやかしの暴動が起こっております。私たちだけではとても太刀打ちできません!」
「分かった。私も行こう」
陰陽省・総務課の課長の顔に変わっていた。
幸せそうだった顔は厳しい顔つきにへと変わっている。
その切り替えの早さに驚いた史郎であったが、これが安倍晴明という女だったと思った。
「俺も行こう。総大将として見過ごせねぇ」
「史郎。ありがとう」
式神を晴明は出すと、史郎と共に龍に乗った。
晴明は空から祭りの様子を見る。
祭りは賑わっているようだ。
それはとても喜ばしいことだが、一部おかしい風景が晴明と史郎の目に入った。
人間とあやかしが殴り合いをしているのだ。
それを必死に止めている陰陽師たち。どんどんヒートアップしていく暴動。
冷静に暴動を見つめて分析した晴明は、龍から飛び降りて史郎に式神を任せた。
少し心配そうに史郎はその姿を見つめていた。
「やってやる!」
「おう!こっちもやってやるよ!!」
「何をやろうとしているんですか」
人間とあやかしとの熱いバトルを繰り広げようとしている中、冷たい声が響いた。
やたらとはっきりした声で、美しい声だった。
喧嘩をしている連中はその声で熱がさぁっと引いた。
その場の支配権を声だけで掌握することができるほどの絶対的な声だった。
「誰だ…お前は!」
「私の顔も知らないとは、今のあやかしは若い者ばかりだな」
感情のこもっていない声。それは史郎の耳にも聞こえた。
史郎にとってその声は恐ろしい声だった。
いつもの穏やかな性格からは想像することが出来ない声だった。
「陰陽師、安倍晴明と言えばさすがにわかるか」
凛とした佇まいでかの有名な陰陽師はそこにいた。
「安倍晴明…?まさかあの安倍晴明か?」
「そうだと言っている。私は陰陽省総務課課長も務めている。このような騒ぎを起こされると困るのは私ではなく、君たちだぞ。具体的に言うと、捕まる」
「なんでだよ!俺たちは何もしていない!」
「あやかしとの争いは立派な犯罪だ。教科書で習わなかったのか?それと、この祭りそのものが諍いは禁止だ。破ったものは即刑務所だぞ。」
あくまでも冷静に話をする晴明。
そこには私情が挟まることはない。あくまでも中立的な立場として陰陽師は告げる。
「これ以上、私の警告を無視するなら逮捕する」
晴明は特殊な手錠を手に持っていた。
あらゆる術を使えなくするものだった。
平安時代から存在しているもので作ったのは晴明本人である。
あやかしと人間の境目が現代よりも曖昧だった頃に作ったものだ。
人間であろうとあやかしであろうと分け隔てなく術を使えなくする禁忌に近いもの。
それを晴明は陰陽寮に入る前に作っていた。
手錠の存在感があまりにも強すぎて、喧嘩をしていた人間とあやかしは恐れを抱いた。
「そんな呪物、よく持っていられるな」
喧嘩をしていたあやかしたちがそう言う。呪物とは手錠のことである。
冷ややかな視線のまま晴明はその言葉に返した。
「私の作ったものだ。怖いことなどない」
「なっ……」
言葉を失うあやかしたち。
禁忌に近いことを平気でやってのける精神と術の精密さに安倍晴明という陰陽師に畏れを抱いた。
「話は陰陽省で聞かせてもらおう。連れて行け」
安倍晴明という名前と持ち前の威厳だけで喧嘩を終わらせた。
間違いなく彼女は最強の陰陽師だ。
史郎はその誰にも寄せつけない強さに寂しさを覚えていた。
そんな彼の様子を不思議そうな表情で晴明は見ている。
「史郎。どうかしたの?」
先ほどの雰囲気とは打って変わって女性らしい仕草で尋ねてくる。
史郎は周りの目を気にして晴明を抱きしめたくなる衝動を抑えた。
「まだ祭りを回るか?」
「うーん。回りたいところだけれど……もう花火も終わっちゃったしなぁ」
「疲れてるなら帰ろうぜ」
「そうだね。帰ろうか」
素直に史郎の言うことをきく晴明。
彼女自身も疲れていたらしい。ほんの少し、晴明が顔が疲れている時の表情になっていることに史郎は気がついた。
あまりその表情を見ることはなかったので彼は少し驚いた。
「珍しいな。俺の言うこときくの」
「そうかな。最近、ずっと忙しかったしねぇ」
他人事のように晴明はそう言う。
平気そうでいる晴明の精神が史郎を心配させた。
「おかえりなさいませ。早かったですね。何かありましたか?」
家で待機していた咲が帰ってきた晴明たちを見てそう言った。
史郎が苦笑いで答える。
「デートの邪魔はされたな」
「何があったのです?」
晴明がかいつまんで咲に話した。
みるみるうちに咲の美しい顔が鬼の形相に変わっていく。
晴明はその表情を見て咲は妖狐ではなく鬼だったのかと思うほどだった。
「私は双方に呆れています」
双方とは先ほど暴れていたあやかしと人間のことだ。
咲は妖狐の中でも強い方だが、争いは好まない性格だ。むしろ嫌っている。
そのことは晴明も史郎も知っていた。
「何故いつの時代もあやかしと人間は争うのでしょうか」
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