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第二十五話
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「遅れてご――」
「鯰尾さんの知り合い?はじめまして~!鯰尾さんの友達の斉藤桃香です~!桃香って呼んでください!お名前聞いても良いですか?」
史郎が晴明に続けて話しかけようとしたがいきなり遮られてしまった。
遮ったのは晴明と同じクラスメイトの女子だ。
友達と言われた本人は、友達とは?と意味を少し考えている。
頬を真っ赤に染めて興奮している斉藤の目には史郎しか写っていなかった。
他の男にはまるで興味がないようだ。現に彼女は自身の周りにいる男性客のことを全く見ていない。
史郎より低い身長の斉藤は上目遣いでじっと顔を見つめている。
まるで一瞬でも見放したらいけないと強迫観念に囚われているようだ。
分かる人には一目瞭然なのだが彼女は史郎のことを完全に一目惚れしていた。
一目惚れされた張本人は全く気がついていない。
斉藤の一目惚れがわかった生徒は酷く呆れた目でその光景を見ていた。気がついているのは主に女子だ。
晴明も女子だが史郎と同じく全く気がついてはいない。
斉藤が学校でも1番にモテる部類の生徒らしいという情報しか晴明は知らないのだ。
晴明がその情報を知った時は確かに可愛らしいよなぁと他人事のように思っていたものだ。
それくらいのことしか斉藤のことを知らないので友達というには難しい関係だった。
「俺は鯰尾史郎。さくらと仲良くしてくれてありがとうな。友達ができてよかったなぁ、さくら」
「……うん」
色々と考えるのが面倒になった晴明はとりあえず肯定しておいた。
彼女はたまにこうして考えを放棄する癖があった。もちろん、仕事ではそんなことはしないけれど。
適当に返答されたことに気がついた史郎はどうしたのかと声をかけようとするが、相変わらず彼しか見ていない斉藤にまた遮られる。
恋は盲目とはまさにこのことだ。
「史郎さん!素敵な名前~!私、史郎さんのこともっと知りたいです~!」
普通なら晴明と同じ苗字なことを指摘するところだが、斉藤は名前しか聞いていなかった。
身体をくねくねと動かしている。
不思議な動きをする女の子だなと史郎は視界に入れていた。
そんな様子を睨みつける客が数名。
当の本人にその妻は事情を把握していないのだが、彼らは事情を正しく把握しているらしかった。
「さくらちゃん。同じ苗字の人だけどお兄さん?」
斉藤の暴走を見ながら転校初日にカフェに誘った女子メンバーの1人、名取遥香がヒソヒソと晴明に尋ねてくる。
「違うよ。史郎は私の旦那。他の人には内緒ね」
「え!?」
「後でちゃんと種明かしするから」
最後の登校日が近いのだから偽る必要はないと思い晴明は事実を述べる。
転校初日から仲良くしてくれた一人である名取にこれ以上嘘はつきたくはなかったのだ。
ごく普通に友達になってくれたことがとても嬉しかったから。
だからなのか晴明はほんの少しだけ寂しげな表情を浮かべていた。
史郎が入店してしばらく経った後。
「久しいな!姫君!先に咲のクラスに行ったんだが、あのお化け屋敷は俺でも怖いぞ!人間相手にあやつは本気を出しすぎだ!」
晴明と史郎にとってはよく聞き覚えのある声だった。豪快な笑い声が聞こえてくる。
ていうか聞き捨てならない言葉が並んでいたように思えると晴明は頭を切り替えた。
「久しぶりね、大黒天。あの子、クラスでそんなに本気出してるの?」
ぬらりひょんの右腕である大黒天が人に紛れてやってきていた。
彼は神様でもあるけれどあやかしでもある。
黒い衣を着ており丸い顔が特徴的な男だ。
史郎は咲の言っていた通りに総大将の力を見せたのだ。
簡単に言えば部下であるあやかし達を片っ端から誘ったのだ。
ほんの少しでも売上を伸ばすための作戦だった。
晴明と咲が参加する人間の文化祭に興味を持ったあやかし達は喜んでその誘いを受けた。
大黒天とその部下達はその誘いを受けた一部である。
「おうとも。昔から手抜きができんからなぁ咲は」
「……やんわり後で注意しておこう」
あやかしの本気とか人間に見せるべきではない。
人間があやかしの力に恐怖するのは当然のことだ。
幽霊だって人間は怖く思うのだから仕方のないことである。
(でも咲はあくまでも真面目に楽しくやってるだけだろうし……ほんのちょっとだけだ。一応、私はあの子の主人だからね)
看板娘という立場であるが休憩はきちんと用意されているので晴明はその時間まで引き続き、頑張ることにした。
「鯰尾さんの知り合い?はじめまして~!鯰尾さんの友達の斉藤桃香です~!桃香って呼んでください!お名前聞いても良いですか?」
史郎が晴明に続けて話しかけようとしたがいきなり遮られてしまった。
遮ったのは晴明と同じクラスメイトの女子だ。
友達と言われた本人は、友達とは?と意味を少し考えている。
頬を真っ赤に染めて興奮している斉藤の目には史郎しか写っていなかった。
他の男にはまるで興味がないようだ。現に彼女は自身の周りにいる男性客のことを全く見ていない。
史郎より低い身長の斉藤は上目遣いでじっと顔を見つめている。
まるで一瞬でも見放したらいけないと強迫観念に囚われているようだ。
分かる人には一目瞭然なのだが彼女は史郎のことを完全に一目惚れしていた。
一目惚れされた張本人は全く気がついていない。
斉藤の一目惚れがわかった生徒は酷く呆れた目でその光景を見ていた。気がついているのは主に女子だ。
晴明も女子だが史郎と同じく全く気がついてはいない。
斉藤が学校でも1番にモテる部類の生徒らしいという情報しか晴明は知らないのだ。
晴明がその情報を知った時は確かに可愛らしいよなぁと他人事のように思っていたものだ。
それくらいのことしか斉藤のことを知らないので友達というには難しい関係だった。
「俺は鯰尾史郎。さくらと仲良くしてくれてありがとうな。友達ができてよかったなぁ、さくら」
「……うん」
色々と考えるのが面倒になった晴明はとりあえず肯定しておいた。
彼女はたまにこうして考えを放棄する癖があった。もちろん、仕事ではそんなことはしないけれど。
適当に返答されたことに気がついた史郎はどうしたのかと声をかけようとするが、相変わらず彼しか見ていない斉藤にまた遮られる。
恋は盲目とはまさにこのことだ。
「史郎さん!素敵な名前~!私、史郎さんのこともっと知りたいです~!」
普通なら晴明と同じ苗字なことを指摘するところだが、斉藤は名前しか聞いていなかった。
身体をくねくねと動かしている。
不思議な動きをする女の子だなと史郎は視界に入れていた。
そんな様子を睨みつける客が数名。
当の本人にその妻は事情を把握していないのだが、彼らは事情を正しく把握しているらしかった。
「さくらちゃん。同じ苗字の人だけどお兄さん?」
斉藤の暴走を見ながら転校初日にカフェに誘った女子メンバーの1人、名取遥香がヒソヒソと晴明に尋ねてくる。
「違うよ。史郎は私の旦那。他の人には内緒ね」
「え!?」
「後でちゃんと種明かしするから」
最後の登校日が近いのだから偽る必要はないと思い晴明は事実を述べる。
転校初日から仲良くしてくれた一人である名取にこれ以上嘘はつきたくはなかったのだ。
ごく普通に友達になってくれたことがとても嬉しかったから。
だからなのか晴明はほんの少しだけ寂しげな表情を浮かべていた。
史郎が入店してしばらく経った後。
「久しいな!姫君!先に咲のクラスに行ったんだが、あのお化け屋敷は俺でも怖いぞ!人間相手にあやつは本気を出しすぎだ!」
晴明と史郎にとってはよく聞き覚えのある声だった。豪快な笑い声が聞こえてくる。
ていうか聞き捨てならない言葉が並んでいたように思えると晴明は頭を切り替えた。
「久しぶりね、大黒天。あの子、クラスでそんなに本気出してるの?」
ぬらりひょんの右腕である大黒天が人に紛れてやってきていた。
彼は神様でもあるけれどあやかしでもある。
黒い衣を着ており丸い顔が特徴的な男だ。
史郎は咲の言っていた通りに総大将の力を見せたのだ。
簡単に言えば部下であるあやかし達を片っ端から誘ったのだ。
ほんの少しでも売上を伸ばすための作戦だった。
晴明と咲が参加する人間の文化祭に興味を持ったあやかし達は喜んでその誘いを受けた。
大黒天とその部下達はその誘いを受けた一部である。
「おうとも。昔から手抜きができんからなぁ咲は」
「……やんわり後で注意しておこう」
あやかしの本気とか人間に見せるべきではない。
人間があやかしの力に恐怖するのは当然のことだ。
幽霊だって人間は怖く思うのだから仕方のないことである。
(でも咲はあくまでも真面目に楽しくやってるだけだろうし……ほんのちょっとだけだ。一応、私はあの子の主人だからね)
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